Bad Dream 

July 28 [Sat], 2007, 19:41
薄暗い市街地で逃げ周る少年とそれを追う黒服の男達
『ハァ。ハァ…。
何なんだよさっきから。意味判んねえよ!』
  『居たぞ!』
『冗談じゃない!』
叫びながら少年は当ても無くまた走り出す
何処に逃げても何処に隠れてもすぐに見付かりまた走る
  『そう言えばオレは何で追われてるんだっけ?』
一瞬気を抜いたその時、目の前に黒服が現われた
  『もう逃げられないぞ!』
回り込まれた
少年は「やられる!」そう思った瞬間

 ゴッツン!!


『いっつぅ〜……アッレ?
なんだ…。夢か』
ベッドから落ちた少年はバツが悪そうに起き上がった。
「もうこんな時間か…。面倒くさいけど起きるかな」
ため息を一つ吐いて出掛ける仕度を整える
『それにしても…。あづい…。死ぬ!溶けてけ死ぬ!』
梅雨も空け本格的な夏を迎えて彼はダレていた


 「しまってこ〜!」
「バッタービビってるよ!」

『皆暑いのによくやるよなぁ〜。』
野球部員達の熱気でむさ苦しいベンチの中で呟く。
彼には【万年補欠】この言葉がよく似合う
『ほら!だらけて無いで!朗(あきら)も声だして!』
マネージャーの亜沙美に【気合い】を入れられむせ返る朗。
『ファイト〜!』
声が裏返り周りは失笑する。
 (最悪だ…。あそこで裏返るなんて…。恥ずかしい。)
『朗!気合い入れてアップしとけ!
チャンスに成ったら出すからな』
朗は監督の一言に驚き慌てて素振りを始める
(逆転のチャンスにオレって…。ヤバい!緊張し過ぎて口から心臓が飛び出そう)
 9回裏3−2、2死1・3塁バッターボックスにはピッチャー西野。
監督が審判のもとへ交代を告げに行く。
(まさか最終局面でオレを出すんじゃ無いだろうな…。プレッシャー…デカいよ。)
「選手の交代をお知らせします。ピッチャー西野 勇太君に代りまして。菊地 朗君背番号16」
『朗!頑張ってね!』
(マネージャーのこの一言って…。意外と重いんだよな)
『ハハ、頑張るよ』
極限の緊張状態でバッターボックスに入る朗。心臓の鼓動が耳障りなくらい大きい。
自分自身で意識しなければ呼吸をするのでさえ難しい。
照りつける太陽も周囲の歓声も関係無くなった次の瞬間。
ピッチャー振りかぶって。投げた

 (助けて)

 「当たれ!」
カキィーン!
ボールは高く舞い上がる高く高く朗の真上に上がった。
「アウト!ゲームセット」
試合は終わった。


球場からの帰り道、すっかり意気消沈した朗はマネージャーの亜沙美と一緒に帰
り道を歩いている。
  『朗って運動神経は良いのにプレッシャーに弱いよね』
  『あぁ〜。』
  『運動会でもアンカーに選ばれたのに転んで結局ビリ』
(あの時…。バットを降る直前で確かに何か声が聞こえた…ようなぁ?)
 『聞いてるの!?』
  『っえ?』
 『ん〜。っま、元気だせ!その内上手くなるよ!』
  『あぁ、そうだな…。それよりさオレが打つ直前で…。イヤ、何でもない』
  『っん?…変なヤツ。まぁ〜元気だしなよ!んじゃ』
 亜沙美は軽く敬礼にも似た仕草をして足速に去って行く。
「にしてもチャンスに凡退かぁ〜。
今日も悪夢を見そうだな…。」


P R
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