「人生模様のチラリズム」 第六回 もう!とにかくだめ! 

2007年05月12日(土) 12時09分
前回関連裁判http://yaplog.jp/katayaki/archive/4

またまた鷲鼻裁判の傍聴である。僕はこの裁判を継続して傍聴している。
この裁判を継続してみようと思った理由は、鷲鼻が下着泥棒という事実。

もうひとつは弁護士、検察官が人間的に面白そうだからである。

まず弁護士。彼の今回の事件に関する理論が非常におかしい。
素人の僕が見てもおかしいことがわかるほどだ。

「鷲鼻が今回犯行を繰り返した原因は警察にある。最初の事件のときにすでに警察は鷲鼻が犯人だとわかっていた。だから鷲鼻を逮捕できたはずだ。逮捕しておけば以後の犯行はなく被害者は少なくて済んだ。」

こんな調子だ。こんなことを言えるのはすごい。

この理論でいけば、「スピード違反をしてしまったのは法定速度以上にスピードが出る車が悪い」ということになる。

下着を盗む犯行を繰り返したのは鷲鼻自身だし、スピード違反をしたのは運転手自身である。すさまじくおそろしい責任転嫁の理論だ。

こんなすさまじい責任転嫁の理論が裁判という場で成り立っているのである。裁判とは実に面白い。


続いて検察官。
一言で言えば見た目、言動が非常にだめ。
はげでメタボリック、受け答えがうまくできない、その上裁判官には変に下手に出るし、弁護士に対して嫌みは言うし…まぁとにかくだめという印象しか僕はもてない。

こんな人間が難関の司法試験を突破している。僕が興味を抱かないはずがない。


とにかく僕は彼らを見るという不謹慎な理由で鷲鼻裁判を継続して傍聴しているのだ。
しかし5月11日の鷲鼻裁判は荒れに荒れた。
というか二人ともなんか、こう…「だめ」なのだ。


ということで今回は5月11日に行われた鷲鼻裁判をチラリと報告することとしよう。



「脂ぎった検察官」



5月11日
鷲鼻裁判開始時刻ぎりぎりに僕は入廷した。検察官・弁護士・鷲鼻がすでに所定の位置に座っていた。あとは裁判官の入廷を待つだけだ。
3分ほど遅れて裁判官が入廷。僕はこの裁判官の顔を見るとなぜか安心してしまう。

今日は前回に続き被告人質問だ。弁護士の質問が終わった後、検察官の質問が始まった。
その脂ぎった顔からは少しばかりやる気がチラリと見える。

「えぇ、被告人は6月の犯行は、下着を盗む目的でしたか。」
「被告人は、被害者に見つかり逃げましたね。何で逃げたんですか?」
「警察に逮捕されていれば以後の犯行はしてないといっていますがなぜ自首しないんだ!」

的確な質問を脂ぎった顔から鷲鼻に浴びせまくる。

なかなかやるじゃん、メタボリック検察官!見直した!

少し検察官に流れが傾き始めた…かに思えた。
突然鷲鼻がキレたのだ。
「あなたの質問は意味がわからない!」
「人をバカにした質問をしないでくれ!」

鷲鼻の顔からは検察官に対する怒りがにじみ出ていた。

怒る鷲鼻をなだめる裁判官も「確かにあなたの質問はわかりにくい。もっとわかりやすく。」と検察官に注意するほどだ。

こうなると検察官はもうだめ。
重みのない質問ばかりを繰り返すし、裁判官の顔色をうかがうような質問ばかりを続ける。
脂ぎった顔からは悲壮感が伝わってくる。


最初の勢いはどこいった?やっぱりだめじゃん、メタボリック検察官!



「鷲鼻は…」



鷲鼻は鷲鼻でだめだった。
最初の検察官の「えぇ、被告人は6月の犯行は、下着を盗む目的でしたか。」
という質問に対して。
「違います!顔が見たかっただけです!」
と力強く即答。

いやいやぁ、あんたさぁ、とにかくベランダに侵入したんでしょうが。力強く言ったところで何の説得力もないよ、あんた!

ほかの質問。
「あなた10月の件はパンティを盗む目的でしたね?被害者に見つかって何で逃げたんですか?」
「(パンティを盗む目的)だったと思います。被害者が帰ってと言うからベランダから帰りました。」


だったと思いますって!あんたのやったことでしょうが!はっきり「はい!盗む目的です。」とでも言いなよ。
帰ってと言ったからって、そりゃ言うよな。「今から警察呼ぶので、警察来るまでまぁコーヒーでも。」なんて被害者が言うはずもないよ。

僕は検察官が発するパンティという言葉に笑いをこらえつつこう思った。


とにかく言えるのは、鷲鼻がなんと言おうともうだめだということ。

はっきり答えても、あやふやに答えてもだめ。どちらに答えても「あんた結局下着盗んだんでしょ。」という結論になってしまう。


せめて泣きながら質問に答えていればねぇ。



「名言!!」



そんなこんなで今回の裁判はメタボリック検察官のだめさ、鷲鼻のだめさがチラリと見えて終わることとなった。

しかし裁判官は完璧だった。


裁判官から鷲鼻に対して、なぜ犯行にいたったのかという質問が投げかけられた。


「独りでいてさみしくて、そのストレスから…」



「独りでさみしいのはストレスじゃないでしょうが!」




嗚呼、名言!

「人生模様のチラリズム」 第五回 愛する息子へA 

2007年05月07日(月) 23時11分
ジャイアン母が証言台についた。いよいよ証言!
僕は当然のごとく興奮している。

ジャイアン母の手にはすでにハンカチが握られている。泣く気満々の様子がうかがえる。
弁護士がジャイアン母へ質問を始めた。
「あなたのご主人、つまり被告人の父は今日夜勤明けでこの裁判に来ていますね。」
「はい。息子のためなら、と思い今日は無理をしてきました。」

すでに泣き出しそうだったジャイアン母は当然のごとく泣き始めた。ハンカチを用意してきたのは正解だったようだ。

着々と質問が続く。ジャイアン母は事務的な質問になると緊張のせいかうまく答えられないでいた。質問した以上のことを話そうとするのだ。
「質問だけに答えてください。」裁判官はこう言わざるをえなかった。

いよいよジャイアン母への質問が核心に入る。
「被告人はどんなお子さんですか?」
「本当にいい子なんです。おばあちゃんがケガしたときも心配して花を買ってくる。おじちゃんの仏壇におじちゃんの好きだったタバコを自分から供える子なんです。」
弁護士の問いに母は泣きながら語る。

本当はこの被告はいい人なんではないか。犯罪は何かの間違えではないかと思うほど僕はジャイアン母の涙に同情してしまった。

しかしこれではいけない。あんな大きなスパナを使って犯行に及んだ結果、手錠まではめられ裁判にかけられているのだ。
母の証言だけで被告人の人柄を判断してはいけない。親なら息子は「いい子」にしか見えはずだ。
涙はごめん!ここは冷静に裁判を見ることにしよう。


続いて父親へ質問が始まった。弁護士いわく父親は夜勤で疲れているので質問は短めに行うらしい。
「息子さんが出てきたらどうしますか?」
「一緒に住んで更生させます。」
父親が力強く言った。弁護士はそれを聞いて大きく何度もうなづいた。これが弁護士の作戦なのだろう。

弁護士はこう続けた。
「お父さん。あなたの家の居間には写真が飾っていますね。何の写真ですか。」
「息子と釣りに行ったときの写真です。」
「あのころの家族に戻れますか?」
「はい!一緒に住んでたまには一緒に晩酌できればと思います。もっと早くそうすることができれば息子はこんなことをしなかったと思います。」

 父親が泣いている。なんと被告人のジャイアンも大泣きしているではないか。「父親を泣かせる息子なんて親不孝だ。」僕がこう思った瞬間、映画を見て一度も泣いたことない僕の目から涙がこぼれ落ちそうになった。
もし自分が同じ立場なら…耐えられないだろう。

結局僕の目から涙はこぼれ落ちなかった。
僕はやはり冷静に裁判を見ようと思ったからだ。この裁判には被害者の気持ちがまったく見えてこないし、この際家族への愛などどうでもいい。

最後にジャイアンへの質問も行われたが、今回の事件で家族に一番迷惑をかけてしまったと言っている。
被害者の立場は?僕はまた強く疑問に思った。
コワモテの男に大きなスパナで襲われた被害者。すさまじい恐怖に違いない。下手したら殺されていたかもしれない。

なのにこの裁判の場では、家族愛がだけが渦巻いている。被害者はまったく蚊帳の外だ。


今回の裁判は家族の愛をちらりと見ることができた。しかし被害者は蚊帳の外。
僕は少し納得いかないままこの裁判は終わりを迎えた。

「人生模様のチラリズム」 第五回 愛する息子へ 

2007年04月28日(土) 21時12分
今回は親と子のすばらしい人間模様のお話しである。



「傍聴席に若い人」



4月19日木曜日僕は裁判所を目指し歩いていた。
もちろん裁判を傍聴するためである。

12時半に裁判所に入った。僕は足早に入り口の左にはってある裁判の予定表を見た。
午後1時半からの裁判を見るのが都合がよさそうだ。
罪状は「器物損壊・強盗致傷」被告人の欄に2名の名前が書いてある。

始まるまで時間が少しある。街を歩こう!

歩きながら僕はまた勝手な想像を始めた。想像というか妄想である。

「今回の被告はコワモテだ。犯行に関しては2人でやったんだ!ひったくりか何かか。犯行をする際に予想していなかった抵抗を受け、必死に逃げた。その際何かのはずみで相手を傷つけてしまったのだ。大胆で計画的な犯行だが、予想できないことが起こってしまいパニックになってしまったんだ。」

あっという間の妄想は終わり。1時20分ごろに41号法廷に入った。

法廷に入っておどろいた。傍聴席に大学生ぐらいの人が5人いた。後からそのうちの1人に聞いたのだが大学の授業の一環らしい。この中から裁判にはまる変態が何人出てくるだろうか。楽しみだ。


僕は被告人の顔がよく見える真ん中の席に腰かけた。
周りを見回すと家族らしき集団が2組いた。

「この家族は何でここに来ているのだろう。」
僕がそう思った瞬間。
「情状証人の方はこちらに来てください。」裁判所の人が言った。
2組の家族が立ち上がった。



「想像通りのコワモテ」



どうやら今日は情状証言があるようだ。
テレビドラマの裁判シーンで、証人が涙ながらに被告人は実はいい人なんだ、というような趣旨の発言をするのを見たことがある。
そのシーンでは証人が涙ながらに被告人について話していた。
まさにお涙ちょうだいである。

今回はそんなお涙ちょうだいの人間模様が見られるのであろうか。しかもこれはドラマではない“生”なのである。そう思うと僕は興奮してきた。テンションもあがってきた。変態だ。

僕が興奮をしている間に時計の針は進み1時半になった。いよいよ始まりである。

扉が開く。
体つきのよい男と筋肉質の男が入廷してきた。どちらも非常にコワモテである。
しかも筋肉質の男のほうは刺青がチラリと見えている。


「そんなチラリいらないよ!」僕は心の中で叫んだ。



「いったい何をしたの?」



僕はコワモテの人が苦手である。少しでもコワモテの人と目が合うと萎縮してしまう。

体つきのよいジャイアンのような被告と目が合った。すごく威圧感を感じた。当然テンションはさがり、萎縮してしまった。僕は被告人がはっきりと見えるこの席に座ったことに後悔を覚えた。


いつものように形式的に裁判が始まった。


裁判長が今後の流れの説明を始めた。今回は検察側から証拠を提出後、情状証言に移るらしい。

検察側の証拠提出だ。
「今回犯行に使われた。スパナとモンキーレンチを提出します。」
すごく重そうな凶器である。こんなもので襲われたらひとたまりもない。
次に被害者の証言を読み上げこれを提出。

証拠提出後、弁護士・検察官・裁判官がすこしやりとりをし、情状証言が始まった。


いきなり始まった情状証言。被告人が何をしたのかわからない。
検察が読んだ被害者の証言で「車が…」とか言っていたが結局わからない。この事件で彼らが何をしたのかかなり知りたいところである。
事件と人間の関係。事件の内容がわかっていればこれらが立体的に見えてくるのだ。

しかしわからない。残念だがしかたない。
僕はあきらめて被告人と家族の関係を立体的に見ることにした。

いよいよジャイアンの母の証言だ。
この裁判はジャイアン一家の人間模様を中心に見ていくことにしよう。

次回へつづく。

「人生模様のチラリズム」 第四回 不運な男 

2007年04月21日(土) 21時23分

今回は不運な男の少しおかしな恋の話である。



「うざい男!」



4月13日
今日は自身二回目の傍聴だ。
なんと今回は「裁判を見てみたい」という二人の女子を引き連れての傍聴である。

待ち合わせ時刻は9時50分。朝一番10時から始まる裁判を見る予定だ。
僕は前日の深酒のせいで10分ほど待ち合わせに遅刻してしまった。(申し訳ありませんでした)
そのせいもあり10時10分ぐらいに三人で裁判所の中へ入った。

「えー、裁判所では静かにして、えーそれで、まずは裁判の予定表を見て好きな裁判を見ます。裁判を見る心得は…」

裁判を一度見ただけでこの先輩面。僕は本当にうざい男だ。



「住居侵入・窃盗」



そんなことより裁判である。
朝10時から始まった裁判。罪状は「住居侵入・窃盗」である。
遅れて入廷した僕たちは真ん中の席に腰掛けた。



「住居侵入・窃盗」これだけを見て僕はかってに想像を膨らませた。今日の被告人は空き巣だ、こう思った。鍵師を目指す僕にとっては空き巣がどのような犯行をするのかとても興味深い。変態な僕は空き巣の赤裸々な犯行を聞けると思うと興奮してしまった。


しかし僕の勝手で先走りな想像・期待はあっさり裏切られてしまう。しかも想像を絶する裏切りだった。


入廷すると裁判は着々と進んでいた。今日の裁判は捜査にかかわった刑事への証人尋問のようだ。被告人は鷲鼻の男だ。

勝手に鷲鼻と呼ぼう。

僕は鷲鼻の顔を見るなり「あぁこいつはかなり空き巣っぽい」と思った。勝手な思い込みだ。
しかし証人尋問が進んでいくにつれて鷲鼻は空き巣ではないことがわかってきた。



「下着!」



「被告人が被害者のベランダに侵入した際…のぞき目的でベランダに侵入し…」
要約するとこうだ。

鷲鼻は上に住んでいる女性が気になっていたらしい。その思いが強くなりのぞき目的で何度かベランダに侵入した。
ある日その女性がベランダに鷲鼻がいることに気づいた、鷲鼻はあわてて自分の部屋に逃げた。
女性は「犯人は下の階の人間だ!」と感づいてしまった。

しかもこの女性、県警本部に勤める女性であった。そのせいなのか、早い段階で内偵が入り家宅捜索が行われた。

鷲鼻は犯行時むらさきの短パンをはいていたらしい。家宅捜索の目的はこのむらさきの短パンを見つけることだ。このむらさきの短パンさえ発見することができれば鷲鼻が犯人だということを証明できる。
しかし短パンが見つからない。あせる警察。そしてベッドの下から…大量の女性用の下着が出てきた。


鷲鼻は実は下着ドロでもあったのだ。


すさまじい裏切りだ。まったく空き巣ではないじゃない。
しかものぞきかよ、下着ドロかよ!
僕は鷲鼻の顔がだんだんとのぞきの下着ドロに見えてきた。

そして彼の人間らしさもチラリと見えてきた。



「不運だ!」



人間誰しも不運が重なる時があると思う。
朝寝坊し、遅刻。忘れ物をする。友達とけんかをしてしまう。お金を落としてしまう。こんなことが不思議なくらい次から次に起こることがある。

鷲鼻はそんな不運が一気に起こったのではないかと思う。

県警の女性の家に侵入。目立つむらさきの短パンで犯行、それを目撃される。家宅捜索時下着を盗んだのがばれてしまう。

まさに不運の連続だ。まさに人間らしい。

鷲鼻がやったことはもちろん犯罪で許されるものではない。こんな言い方悪いが、もし県警の女性宅に侵入していなかったら、むらさきの短パンをはいていなかったら捕まらなかったかもしれない。下着を盗んだのがばれていなかったら、窃盗の罪状は追加されなかったかもしれない。

今回の裁判で僕は鷲鼻の不運の連続をみることができた。僕はそれが人間らしいと思った。
少し鷲鼻に同情してしまった。


今回は鷲鼻の以外のある人からも人間らしさをチラリと感じとることができた。
それは僕という人間の偏見だ。

僕は最初鷲鼻の顔を見たとき「こいつなら空き巣をしそうだ」と思った。それは今回の裁判が空き巣の事件だろうという僕の勝手な思い込みが原因である。
僕の勝手な思い込みのせいで鷲鼻を空き巣犯に仕立て上げてしまったのだ。
しかも鷲鼻が下着ドロだとわかった瞬間「あっ、こいつなら」と思ってしまった。
残念ながらこれらは偏見だ。

この偏見は僕だけではなく、多くの人が持っているものだと思う。人間誰しも大なり小なり人を見た目だけで判断し偏見をしているはずだ。偏見をしたことがないという人間がいるのなら教えてほしい。いないはずだ。

頭では偏見はだめだとわかっていても、それをしてしまう。これは人間誰しも陥ってしまうものだ。それに僕は陥ってしまった。僕はやはり人間だ。


鷲鼻の不運の連続という人間らしさ、僕の偏見という人間らしさ。僕は二つの人間らしさと出会うことができた。


鷲鼻の不運で興奮し、自らの偏見で反省をする。そんなことをしている間に今日の裁判は終わりを迎えた。

鷲鼻裁判は次回4月27日。「裁判所で会いましょう」


「人生模様のチラリズム」 第三回 素直な男 そのA 

2007年04月19日(木) 22時48分
第二回 素直な男 その@はこちら→http://yaplog.jp/katayaki/archive/2

「少しちゅうちょ…」


僕は階段を駆け上り法廷の前に来た。裁判時刻までは後10分、入っていいのか悪いのかわからない。少しちゅうちょしてしまう。
入り口前で挙動不審な僕に、「傍聴ですか?」と声をかけてくれた人がいた。この裁判の書記の人らしい。とてもいい男だ。
この声が僕の背中を押し、すんなり法廷に入ることができた。

はじめて見る法廷。思ったよりきれいである。空調も完璧な温度に設定されておりすごしやすい。
僕は奥の窓際の席に腰掛けた。その直後弁護人、検察官が入ってきた。

もうすぐ裁判の始まりである。いよいよだ。



「だらしない小太りの男入廷」



裁判の始まりが迫ってきた。
僕の想像では被告人はやくざで決定である。最低でもこわもての人間が被告だ。すさまじい決め付けである。

扉が開いた。僕の興奮も頂点だ。さぁどんな人間か……

答えはやくざでも、こわもての人間でなく、だらしない服装をした小太りの男であった。
想像とは明らかにかけ離れている。

自分の想像とのすさまじいギャップにニヤニヤと怪しい笑いを浮かべてしまった。

「起立してください」 裁判所の人の一声で裁判が始まった。



「えっ!そんなに!」



裁判の始まりと同時に、僕の中で興奮と緊張が交互に入り乱れた。この感情は今まで感じたことがない…快感だ。
裁判長がたんたんとこの裁判の流れを確認した後、検察側が起訴事実を朗読しはじめた。

「被告人田中(仮名)は松山市内で…」 要約するとこうだ。

被告人は松山市内で偽造した免許証を使用し、サラ金から50万円を借りた。この次に広島県三原市で同じように使用。これは失敗に終わる。次は鹿児島、次は福岡、最後は佐賀で同じことをしたらしい。

僕は起訴事実の中に福岡県の話が出てきとき、「そんなにしたのかぁ!」と田中に突っ込みを入れたくなった。
「えぇ…次に佐賀で…」検察官が言った。
僕は「まだやってたのかよ!」とさらに突っ込みを入れたくなった。心の中で大爆笑である。

なんて男だ!田中よ!

「被告人田中は平成18年8月ごろ、コンビニで「本当にあった儲かる話」という本を購入し、その中の内容を本当に実行し…」

笑いそうになった。しかしここで彼の人間らしさをチラッとみることができた。

なぜ彼のこの行動が人間らしいか…彼は本当に素直なのである。

あの類の本は僕も読む。内容は詐欺の仕方、裏の商売、とにかく法に触れる裏家業のことが書いてある。僕自身実際にする人はいないだろうと思っていた。

それを田中は本当に実行したのである。

もう一度言おう。彼は本当に素直である。
とても人間味があふれている。目先の欲のために犯罪に走ってしまう。
その素直さ、犯罪を実行する行動力。

こんなことにその力を使わなければ真っ当な人間である。
僕は素直な田中が大好きになった。そんな田中に出会えて僕はうれしい。




「裏に組織が」



僕は田中の人間らしさ、性格がチラリと見えたことに満足した。初めての裁判にしては上出来である。

しかしこれでこの裁判の話は終わりではない。田中の犯罪の裏には組織の影がチラリと見えるのだ。

田中は本を読んだ後、闇の職安というサイトでこの犯行を紹介されたらしい。東京で組織の面接を受け、犯行の仕方を教わったらしい。サラ金から騙し取った金は全部彼らに渡していたらしい。(やはり彼は素直だ)


素直で無知な男をだます闇の犯罪組織、彼らはまだつかまっていない。
無知な素直な男だけが逮捕され、本当の悪は逮捕されない。

この裁判を通して、日本の社会の闇を見ることができたような気がした。

裁判が終わるころには僕の興奮はおさまっていた。何か理解できない、今までに体験したことのない快感だ。また見たいと思った。もっと本当の人間が見たいのである。



この裁判はまだ終わりではない。次回は6月7日。
田中よ「裁判所でまた会おう。」



「人生模様のチラリズム」 第二回 素直な男 その@ 

2007年04月19日(木) 0時10分
注:僕は法律の知識は皆無です。正確な罪状、法律用語は書けません。今後は正確に書けるように努めますのでよろしくお願いします。



「裁判所前で緊張」




僕の初裁判傍聴は4月12日である。これはそのときの話である。

4月12日12時。僕は裁判所に向かっていた。
もちろん裁判を傍聴するためである。

以前から興味を持っていた裁判を見るとあって僕の足取りは軽い、テンションも高い。
しかし、だんだん近づいてくる裁判所の外観は威圧的で、ぼくは圧倒され緊張してしまった。
残念ながら裁判所の中に入るころにはテンションも下がっていた。

威圧されてもしょうがない。僕は低いテンションのまま裁判所の中に入り、すぐ左側にある掲示板に張ってある今日の裁判予定を見た。

ここで裁判傍聴の仕方を簡単に説明しておこう。
裁判所入り口のすぐ左側にある掲示板に張ってある今日の裁判予定を見て、見たい裁判を見るだけである。予約や手続きはまったくいらないし、法廷には出入り自由である。裁判を見るのは簡単である。





「毎日こんなに裁判が」





今日の裁判予定を見たとき正直驚いた。
刑事裁判、民事裁判ともに僕の想像を超える数である。
刑事裁判5件、民事裁判約20数件、かなりの数だ。

刑事裁判が5件。単純な話で恐縮だが、刑法犯の検挙率が50パーセントとして1日にして10件もの刑事裁判になるような事件が起こっていることになる。
犯罪は意外に自分たちの身近にあることがわかる。おそろしい。

一方民事裁判のほうだがこれもかなりの数である。
ほとんどが、サラ金、カード会社による未払い料金の請求である。意外に多かったのが携帯電話の料金未払い請求であった。
世の中にはこんなにも借りた金を返せない人、返さない人が多いのだと実感できた。


刑事裁判、民事裁判の件数を見て、今の世の中の現状が少しわかったような気がした。

まさに裁判所は「社会の縮図」である。





「何を見ようか…」





裁判の件数の感想よりまず何を見るかである。
裁判の予定を見て何を見るか迷ってきた。今日は刑事裁判を見ると決めていたのだが、見ることが可能な刑事裁判が3件もある。

ひとつは「恐喝未遂」もうひとつは「強制わいせつ・強姦」最後のひとつが「有印文書偽造・窃盗」であった。
時間の関係的には「有印文書偽造・窃盗」の裁判が一番都合いい。しかし「強制わいせつ・強姦」もかなり見たい。かなり迷った。さぁ決断のときだ。


結局「有印文書偽造・窃盗」の裁判を見ることにした。

見ると決めたのはいいが、罪状の内容だけではどのような内容かさっぱりわからない。

「きっとやくざがなんかの文書を偽造して…そんでこわもてのにぃチャンが被告人で…」
勝手な想像が膨らんできた。想像が膨らめば膨らむほど僕は興奮してきた。
こわもてのにぃチャンが出てきたら怖い。しかしこれも興奮のうちである。

これから見られるであろう犯罪・裁判という真実に僕は興奮しているのである。
興奮している僕の顔はニヤニヤしていたに違いない。
裁判を見るだけで興奮し、ニヤニヤする男は残念ながら変態だ。僕はつくづく怪しい男である。



再びテンションがあがってきた。裁判所に来る前のテンションとは比べ物にならないほど高い。興奮を抑えきれない。
僕の心と体は、裁判が行われる41号法廷に向け薄暗い裁判所の階段を駆け上った


次回そのAへ続く。

裁判傍聴日記「人生模様のチラリズム」 第一回 僕が裁判を好きな理由 

2007年04月16日(月) 22時25分
「裁判は人間模様のチラリズム」

 僕が初めて裁判を傍聴した感想である。
形式的な「裁判」という儀式の中にチラリと見える被告人、裁判官、弁護士、検察官の人間模様。
赤裸々に犯行にいたるまでの経緯を書かれた調書、その中に欲望のままに犯行にいたる被告人の心情が垣間見える。

そのすばらしい人間らしさ。これが本当に面白い。


テレビや雑誌などで事件や裁判について面白おかしく書いてあることがある。

どのような事件なのか、なぜこのような事件がおこったのか、様々な視点で分析したりしている。その中では堅苦しい言葉はなく、とにかくわかりやすい仕上がりになっている。それなりに面白い。

女子高生のスカートの中を手鏡で見た植草教授の事件などは、日々テレビで面白おかしく放送されていたように記憶している。

このようなテレビ、雑誌の内容は(わかりにくいかもしれないが)「全裸の女性」を見て楽しんでいるようなものではないかと思う。



一方裁判は堅苦しい言葉が並ぶし、決してわかりやすいものではない。

「裁判は形式的なことが多くて、専門用語が多くてわかりにくい。」僕はそう思っていた。実際そうである。

でもその中で僕は、被告人、裁判官、弁護士、検察官の人間らしさをチラリと見ることができた。
人間らしさがチラリと見えた瞬間に、人間という生き物の欲望のすごさを実感できる。


僕はこれが非常に面白いと思った。


裁判は「シャツを着た首もとからチラリと谷間が見える女性」を見るようなものではないかと思う。


「全裸の女性」と「シャツを着た首もとからチラリと谷間が見える女性」‥僕は変態なので後者の方が好きだ。だから僕は裁判が好きだ!






注意:本文中に「面白い」という表現をしています。これは決して、被告人や裁判官、弁護士、検察官、もちろん犯罪にあった被害者をバカにしているものでも侮辱しているものでもありません。「人間として興味深い」というような意味で使用します。
また裁判が面白と言うのは不愉快に思う方もいると思います。僕は裁判の中での「人間模様」「人間らしさ」が本当におもしろいと思っています。不愉快な方は今後スルーでお願いします。
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  • アイコン画像 ニックネーム:katayaki 
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自称変態活動家・変態研究家(4月16日現在)
世の中にたくさんいるであろう「変態」に光をあてる活動を展開中。

大学3回生時代に北尾トロ氏、鍵師のM氏に出会い「やりたいことをして死のう!」という人生のテーマが決まる。

また、北尾トロ氏の影響で大学4回生で裁判を傍聴。裁判の虜になってしまう。
「変態」に光をあてる活動、また裁判の面白さを知ってもらうため、2007年4月、この連載を立ち上げる。

現在は大学4回生である。
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