ADHD児の中枢神経刺激剤内服開始前に、心電図検査は必要か。
April 24 [Thu], 2008, 4:16
Medscapeの記事より要約翻訳。原題は「心電図検査をすべきだ」となっていました。記事には内容の繰り返しも多かったので、短くしました。中枢神経刺激剤=リタリンやコンサルタとその類似薬品です。
以下要約。
ADHD児は中枢神経刺激剤による治療を開始する前に心電図検査を含む、慎重な循環器評価を受けるべきだとアメリカ循環器学会が見解を述べた。
今月21日にCirculation誌で発表されたこの声明によれば、ADHDに使用される中枢神経刺激剤は著明な副作用でないとはいえ、心拍数を増加し、血圧を上げる作用がある。 基礎疾患として先天性心疾患や不整脈を持つ小児にとっては薬が突然の心肺停止を引き起こす危険性を高めることについて考慮が必要である。
新たに出された見解は、ADHD児への適切な中枢神経刺激剤の投与は制限すること、心疾患を持つ小児をマークすること、もしくはその小児の運動を制限することなどではなく、心疾患の有無を明確にし、危険性を示すことである。
ADHDの診断がついた後で治療として中枢神経刺激剤などを使用する前には、動悸・失神の有無などといった循環器系のチェックが必要である。すべての併用薬(薬局で買えるものも含む)、家族歴についても情報を得ておくべきである。
突然死に関連する循環器の状態によっては通常の診察ではわからないものもあるので、心電図検査を循環器の危険度チェックのひとつとして加えることを推奨している。
FDA (食品医薬品局)はADHDの治療に使われる中枢神経刺激剤の使用ガイドラインで、もしも循環器系の問題を抱えている場合には医師に伝えるようにと書いているが、多くの構造的な心疾患を持つ、突然死の危険性がある小児は、問題が起きるまでそのことに気づかない場合が多い。中枢神経刺激剤の使用がそういった問題の引き金になる可能性もある。
これらの薬を内服していた患者の中に突然の心停止や心筋梗塞が起こった例の報告はあるが、薬が問題を引き起こしたかどうかを知る大規模な研究はない。しかしながら、中枢神経刺激剤が作用する時のようにアドレナリン刺激が増加すれば、それは一部の患者において突然の心停止の引き金となりうる。
学会は、ADHDに対してこれらの薬を処方する前に医師が心電図検査を考慮し、心疾患の有無を確かめるとともに、もしもそういった問題が見つかった場合には心電図検査は偽陽性の結果が出ることがあるので小児循環器専門医への紹介を行うことを推奨している。
心疾患を持つ小児でも、状態が安定しており小児循環器専門医のケアを受けている状態であれば、ADHDの治療薬を飲むことは差し支えない。 循環器専門医により心疾患が確定されても、中枢神経刺激剤を内服することはできるが、それは慎重な観察のもとにおいてである。
多くの循環器の構造に問題のある小児がADHDを持つことは知られている。ADHDが情緒や社会生活において小児に大きな影響を与え、成長や人生の成功にも影響するため彼等は投薬治療が必要と感じることがあるだろう。 薬の使用を制限するというのではなく、薬をできるだけ安全に使用しようということだ。
小児が心電図検査や心電図を評価したり循環器検査を行うことができる小児循環器専門医へのアクセスを持たない場合、ADHD治療を受けてはならない、という訳ではない。これはクラス2a推奨である―我々が有用、助けになる、そしてリーズナブルだと感じるものであるが、利益についてはまだ証明されていない。
中枢神経刺激剤治療が始まれば、すべての治療を受ける小児は定期的に循環器系のチェック、1から3ヶ月後、フォローアップとして6ヶ月から12ヶ月ごとに血圧のチェックを含めて行うこと。循環器系の問題は 思春期まで分からないことも多いので、12歳以下の小児には心電図検査を行い、12歳以上になったら再度心電図検査を行うことが望ましい。
2003年では、アメリカでは推定250万人の子供がADHDの治療薬を内服していた。調査によれば、アメリカでは推定4%から12%の学童小児がADHDを持っており、循環器に問題を持つ子供により多く見られるとしている。研究によれば、33%から42%の循環器系に問題を持つ小児がADHDを持っている。循環器の検診は行われていないため、循環器系の問題があるのに診断を受けていない小児の数は不明である。しかし、近年の研究では健康な学童の2%までに心電図によって発見される、未診断の重篤になりうる循環器系の問題があるとされている。
参考文献
Vetter VL, Elia J, Erickson C, et al. Cardiovascular monitoring of children and adolescents with heart disease receiving stimulant drugs. A scientific statement from the American Heart Association Congenital Cardiac Defects Committee of the Council on Cardiovascular Disease in the Young and the Council on Cardiovascular Nursing. Circulation. 2008; published online April 21.
参考までに・・・推奨内容の基準についてすごく簡単に。
ClassI しなければならないこと (することで必ず利益が得られる)
Class IIa することがリーズナブルなこと (しないことより、することのメリットが上回る)
Class IIb 考慮すると良いと思われること (すること、しないことのメリットが同程度)
ClassIII することが良いかどうか分からないこと (しないほうがすることより良い結果となる可能性がある)
心疾患を持つ子供にADHDの割合が多いという話は、恥ずかしながら初めて聞きました。本当に全例、ADHDと診断してしまっていいケースなのでしょうか。もとの情報を探してみようかと思います。
ADHDの投薬基準については、アメリカはかなり甘いように感じていますが、250万人の子供が薬を飲んでいるとなると、副作用についてもより厳しくチェックしていく必要があるでしょう。
イギリスでは体重・身長・血圧チェックはしていましたが、内科的な検診や心電図は私が居た場所では行われていませんでした。血圧も自動血圧計であったため、不整脈のチェックはされていなかったと思います。
ただでさえ運動や成長による心臓への負荷がかかる思春期、中学生への循環器検診がないのであれば、心電図は行っていたほうが良い検査かもしれません。
しかし心臓に問題が見つかった場合でも中枢神経刺激剤を使用することは依然として否定されないというアメリカの考え方に、正直、ちょっとびっくりしてしまいました。
ここで、循環器疾患+ADHD症状という場合に、まずオメガ3内服を試すという選択肢があったらいいのに・・・と、つい思ってしまいます。
以下要約。
ADHD児は中枢神経刺激剤による治療を開始する前に心電図検査を含む、慎重な循環器評価を受けるべきだとアメリカ循環器学会が見解を述べた。
今月21日にCirculation誌で発表されたこの声明によれば、ADHDに使用される中枢神経刺激剤は著明な副作用でないとはいえ、心拍数を増加し、血圧を上げる作用がある。 基礎疾患として先天性心疾患や不整脈を持つ小児にとっては薬が突然の心肺停止を引き起こす危険性を高めることについて考慮が必要である。
新たに出された見解は、ADHD児への適切な中枢神経刺激剤の投与は制限すること、心疾患を持つ小児をマークすること、もしくはその小児の運動を制限することなどではなく、心疾患の有無を明確にし、危険性を示すことである。
ADHDの診断がついた後で治療として中枢神経刺激剤などを使用する前には、動悸・失神の有無などといった循環器系のチェックが必要である。すべての併用薬(薬局で買えるものも含む)、家族歴についても情報を得ておくべきである。
突然死に関連する循環器の状態によっては通常の診察ではわからないものもあるので、心電図検査を循環器の危険度チェックのひとつとして加えることを推奨している。
FDA (食品医薬品局)はADHDの治療に使われる中枢神経刺激剤の使用ガイドラインで、もしも循環器系の問題を抱えている場合には医師に伝えるようにと書いているが、多くの構造的な心疾患を持つ、突然死の危険性がある小児は、問題が起きるまでそのことに気づかない場合が多い。中枢神経刺激剤の使用がそういった問題の引き金になる可能性もある。
これらの薬を内服していた患者の中に突然の心停止や心筋梗塞が起こった例の報告はあるが、薬が問題を引き起こしたかどうかを知る大規模な研究はない。しかしながら、中枢神経刺激剤が作用する時のようにアドレナリン刺激が増加すれば、それは一部の患者において突然の心停止の引き金となりうる。
学会は、ADHDに対してこれらの薬を処方する前に医師が心電図検査を考慮し、心疾患の有無を確かめるとともに、もしもそういった問題が見つかった場合には心電図検査は偽陽性の結果が出ることがあるので小児循環器専門医への紹介を行うことを推奨している。
心疾患を持つ小児でも、状態が安定しており小児循環器専門医のケアを受けている状態であれば、ADHDの治療薬を飲むことは差し支えない。 循環器専門医により心疾患が確定されても、中枢神経刺激剤を内服することはできるが、それは慎重な観察のもとにおいてである。
多くの循環器の構造に問題のある小児がADHDを持つことは知られている。ADHDが情緒や社会生活において小児に大きな影響を与え、成長や人生の成功にも影響するため彼等は投薬治療が必要と感じることがあるだろう。 薬の使用を制限するというのではなく、薬をできるだけ安全に使用しようということだ。
小児が心電図検査や心電図を評価したり循環器検査を行うことができる小児循環器専門医へのアクセスを持たない場合、ADHD治療を受けてはならない、という訳ではない。これはクラス2a推奨である―我々が有用、助けになる、そしてリーズナブルだと感じるものであるが、利益についてはまだ証明されていない。
中枢神経刺激剤治療が始まれば、すべての治療を受ける小児は定期的に循環器系のチェック、1から3ヶ月後、フォローアップとして6ヶ月から12ヶ月ごとに血圧のチェックを含めて行うこと。循環器系の問題は 思春期まで分からないことも多いので、12歳以下の小児には心電図検査を行い、12歳以上になったら再度心電図検査を行うことが望ましい。
2003年では、アメリカでは推定250万人の子供がADHDの治療薬を内服していた。調査によれば、アメリカでは推定4%から12%の学童小児がADHDを持っており、循環器に問題を持つ子供により多く見られるとしている。研究によれば、33%から42%の循環器系に問題を持つ小児がADHDを持っている。循環器の検診は行われていないため、循環器系の問題があるのに診断を受けていない小児の数は不明である。しかし、近年の研究では健康な学童の2%までに心電図によって発見される、未診断の重篤になりうる循環器系の問題があるとされている。
参考文献
Vetter VL, Elia J, Erickson C, et al. Cardiovascular monitoring of children and adolescents with heart disease receiving stimulant drugs. A scientific statement from the American Heart Association Congenital Cardiac Defects Committee of the Council on Cardiovascular Disease in the Young and the Council on Cardiovascular Nursing. Circulation. 2008; published online April 21.
参考までに・・・推奨内容の基準についてすごく簡単に。
ClassI しなければならないこと (することで必ず利益が得られる)
Class IIa することがリーズナブルなこと (しないことより、することのメリットが上回る)
Class IIb 考慮すると良いと思われること (すること、しないことのメリットが同程度)
ClassIII することが良いかどうか分からないこと (しないほうがすることより良い結果となる可能性がある)
心疾患を持つ子供にADHDの割合が多いという話は、恥ずかしながら初めて聞きました。本当に全例、ADHDと診断してしまっていいケースなのでしょうか。もとの情報を探してみようかと思います。
ADHDの投薬基準については、アメリカはかなり甘いように感じていますが、250万人の子供が薬を飲んでいるとなると、副作用についてもより厳しくチェックしていく必要があるでしょう。
イギリスでは体重・身長・血圧チェックはしていましたが、内科的な検診や心電図は私が居た場所では行われていませんでした。血圧も自動血圧計であったため、不整脈のチェックはされていなかったと思います。
ただでさえ運動や成長による心臓への負荷がかかる思春期、中学生への循環器検診がないのであれば、心電図は行っていたほうが良い検査かもしれません。
しかし心臓に問題が見つかった場合でも中枢神経刺激剤を使用することは依然として否定されないというアメリカの考え方に、正直、ちょっとびっくりしてしまいました。
ここで、循環器疾患+ADHD症状という場合に、まずオメガ3内服を試すという選択肢があったらいいのに・・・と、つい思ってしまいます。









