細菌性髄膜炎にかかった子供には聴覚障害がよく見られる

December 21 [Fri], 2007, 5:43
ちょっと前の記事で、細菌性髄膜炎になった子供が難聴を起こしやすいという話です。MEDSCAPEより要約翻訳

高度感音難聴は細菌性髄膜炎の小児によく見られることが最近の研究で判明した。
研究によると、片側の重症高度感音難聴は21.6%に上るという。更に、5%から35%の細菌性髄膜炎患者が生涯、高度感音難聴となり、両側難聴は4%近くもの患者で起こる。結果として社会的、教育的な障害が個人と社会を困難に陥れる可能性がある

後ろ向き研究において、研究者達は10年間に細菌性髄膜炎に罹った171人のの小児についての記録を見直した。主因子は高度感音難聴の有無である。

134人の患者が入院中に聴力検査を受けており, 41 (30.6%) が少なくとも片方の軽度の高度感音難聴を示した。 難聴の発生率は肺炎球菌による髄膜炎患者では35.9%であり、ナイゼリア菌髄膜炎患者では23.9%だった。

入院中、痙攣、髄液中蛋白上昇、髄液中の糖の低下が細菌性髄膜炎の小児において有意に難聴の予測因子となったが、それらの因子はナイゼリア菌髄膜炎患者の場合にはあまり予測指標とはならなかった。髄液中の糖の低下が最も一貫した難聴の予測因子であった。限られてはいたが、オーディオメトリーによるフォローアップの結果によれば、難聴は変化が見られなかった。

"高度感音難聴は細菌性髄膜炎の小児における後遺症である。細菌性髄膜炎になった小児の難聴を発見して早期にリハビリを開始することが子供達がその後に経験するかもしれない長期の教育的、社会的な問題を減らすことになるだろう。"

今回の研究の欠点は、3次紹介センターを越えた場合の一般化が限られていたこと、過去の主観的な聴力検査がほとんどの小児において欠落していたこと、病歴だけに基づいた場合に難聴が確認できなかったことである。

"今回の患者グループはインフルエンザ桿菌B型ワクチン、すなわちHiBが導入された以降の現代の細菌性髄膜炎の微生物学的な特徴を正確に現している。細菌性髄膜炎患者全体の高度感音難聴の罹患率は30.6%だった。細菌性髄膜炎になった小児における難聴を起こすかどうかの最も強い予測因子は髄液中の糖の低下、脳神経の神経障害、そして入院期間であった。"

Arch Otolaryngol;Head Neck Surg. 2006;132:941-945.



細菌性髄膜炎というのは、いわゆるバイキン=細菌が脳に入り込む状態で、ノドにバイキンがついた場合とは全く違い、脳や神経系そのものにダメージが来る危険性があります。最初はただの風邪症状、頭痛や嘔吐が髄膜炎の特徴的な症状です。しかし小さい子の場合、何となく元気がなくて顔色が悪い以外に症状が少ないこともあります。

診断をつけるには背中から髄液を取って、菌がいないか確かめる、それとともに菌によって消費される糖が低下していないか、菌によって上昇する蛋白のレベルはどうかも調べます。
普通の髄液は無色透明ですが、細菌性髄膜炎の場合は髄液が濁るので髄液を取って濁りがひどければその場で分かります。診断がつけば菌の種類がわかる前に予想をたてて抗生物質を最低2剤は投与して、急いで菌を叩く治療をします。痙攣は最も危険なサインの一つなので、難聴にも関連していないかと思いましたが、意外にも今回の研究では後遺症である難聴と痙攣には関連が見られなかったようです。

日本では子供の髄膜炎というと、インフルエンザ桿菌と肺炎球菌が多いです。どちらもワクチンが出来て普及してきており、特にインフルエンザ桿菌は日本でも接種が来年から広がりそうなので期待が持てます。
どんどんワクチンは種類や数が増えてきて「・・・こんなに注射を一杯していいのかしら」と思うこともあるでしょうが、インフルエンザ桿菌ワクチンはその中でも予防のしがいがあるワクチンです。
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2003年からロンドンに来ています。3年経っちゃったけど行動範囲が狭いので実感湧かず・・・。

いろんな国、いろんな階級の人たちの英語に未だに悪戦苦闘する毎日です。と同時に、ジャパニーズ・イングリッシュを広めてます。

好きなものはビートルズ、プロレス、旅行、料理、お風呂。

日本に戻ってやっていけるか、ちょっと心配な今日この頃です。

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