カル事件簿(水溜りのなぞ3) 

February 24 [Sun], 2008, 23:14
 ここからの捜査は難航を極めているようだった。チビ犬族4頭の中で誰が犯人なのか絞れないのだ。それは仕方のないこと。ぼくでさえ、現場を見たことがない。まして、人間族のパパにあのすばしっこいチビ犬族の行動を監視し続けるのは無理だと思う。パパは焦っていないのか、平静を装っているだけ?いや、パパは冷静であった。何かを待っている、そう、そんな雰囲気を漂わせていた。
 ぼくならば、1頭ずつ別の部屋に入れておき、その後の行動を監視する。もし、その部屋でおしっこ攻撃が行われたら、言い逃れすることの出来ない証拠となろう。しかし、パパの目は優しくぼくに語りかけた。そん事ならもう試し済みだと、そんな子供だましで尻尾をつかめる奴らではない。奴らをなめてはいけない、普通の状況では決してヘマは犯さないと。
 そう言えば、彼らの行動は慎重かつ大胆だ。パパの行動はお見通しだと言わんばかりに犯行を繰り返している。ぼくたちの散歩に行っている間や、少しの間パパとママが家をあけた時などに犯行に及んでいる。巧妙なのはその犯行頻度、いつもいつもおしっこ攻撃をする訳ではない、たまに、忘れかけているような時に事に及ぶのである。
 彼らとパパのせめぎ合いが続いていた。なにか独特の緊張感が流れていた、それはすがすがしささえ覚えるものであった。近々何か大きな事が起こる予感が次第に高まっていくのが分かった。そう、パパはこのときすでにトラップは完成させていたのだ、後はトラップを掛けるタイミングだけが問題であったのだ。そしてその日は、突然やって来た。

 その日は寒い日だった。いつも一番に起きるのはパパ。その日も、一番に起きて朝の準備をしていた。その後は、各自がおもいおもいに起きだすのだが、その日はパパがママを起こしにやって来た。そうパパは、皆の起きるのが遅いときは時々起こしに来るのだ。しかし、今日はいつもと様子が違うと直感的に感じたぼくは、すぐに起きだし事の成り行きを見守ることにした。彼らは、この違和感を感じているだろうか、いや感じていないようだ。長い平穏な日々が彼らの感覚を鈍らせたようだ、ぐっすりと眠り込んでいるようであった。
 ママを起こし部屋を後にしたパパのすぐ後に2頭ついていった。そして、セツ姫はすでにリビングにいた。これは罠だ。案の定、この後犯人が捕まるのだった。1分、2分部屋に残った1頭は出てこなかった。寝ぼけているのか、それともまだ寝ているのか。寝室には犬用トイレがあるのだが、その扉は閉じられていた。朝はリビングの犬用トイレですることがきまりなのだ。まだ寝室に1頭残っていることを確認したパパはおもむろに寝室へと消えていった。パパはこの瞬間を狙っていたのだ。ぼくたち犬族は寝起きにもよおす。とりあえず、おしっこやマーキングをしてしまうのだ。頭がはっきりしているときは大丈夫なのだが、ミスはふとした瞬間に犯してしまうものだ。そう、してはいけないおしっこ攻撃を抑えられないのだ。いつもしていることをふとしてしまうのだ。パパは巧妙だ。もし、このとき、マーキングがされていなくてもパパは、最後の1頭を迎えに行っただけと主張したことだろう。そしてさらに、あの一瞬のうちにパパは確認していたのだ。パパがママを起こしに来た時に、寝室のどこにもおしっこがかかっていなかった事を。そして見つけたのだ、再び入った部屋の中で、おしっこがかかったベットの脚を。制裁は行われた、断末魔と聞きまがうような叫び声が聞こえた。それから長い静寂が。すべては終わったのだ。満身創痍、魂を失った抜け殻のようなボステンが現れた。そう、彼が犯人だったのだ。
 これで、事件は解決したかのように思われた。しかし、これを見ていた白ジンの横顔が少し笑っているように見えた。これは、もしかして。いや、考えすぎなのだろう。この時は、ぼくにはそう思うしかなかった。

カル事件簿1(水溜りのなぞ2) 

February 24 [Sun], 2008, 0:36
 パパは現場の状況を分析しだした、よくおしっこがかけられているのは「ベットの脚」「ごみ箱」「ソファーの脚」「デカ犬用の食器台の脚」などである。この状況からすると、チビ犬が一番に疑われるはずである。彼らも馬鹿なことをしたものだ、一番に疑われるようなところにかけるなんて。しかし、彼らは一枚上手だった。そんなことは十分わかっているとあざ笑うように、彼らはとんでもない手を使って自らの疑いを晴らそうとしたのだ。それは、自分たち用のクッションにまでおしっこをかけたのである。そして、そのクッションに何事もなかったかのように寝ているではないか。「パパ騙されるな、それは罠だ」ぼくはそう心で叫んでいた。
 パパは、クッションにかけられたおしっこを拭きながらぼくに話しかけた、こんなことでは騙されないと。いや、すでに容疑者は絞り込んでいる、もういくつかのトラップを仕掛けてあると。
 パパはすでに犯人逮捕に向けて動き出していた。しかし、犯人は尻尾を出さない。第一と第二のルールがある限り、逮捕はかなり困難であることが予想された。まあこんなに他人事でいられるのは、この件に関してはぼくは容疑者から外れている。なぜなら、おしっこがかかる高さが明らかに違うから。このときばかりは、体の大きなことを天に感謝した。
 容疑者は3頭に絞られていると思っていた。状況証拠から「白ジン」「ボステン」「チョロソラ」しかいない。おしっこがかかっている高さ、壁におしっこをかけられることなどから考えるとここまでは誰にでも分かる。パパもそう考えていると思っていたのだが、後にその考えは否定された。そう、パパは「セツ姫」も容疑者と考えていたのである。なぜ?この時点では、ぼくには分からなかった。彼女はメスである、壁にマーキングなんてするはずがない、そう思っていた。
 これは数日前の話。パパはいつもの様に、庭にチビ族4頭を開放した。思いおもいに駆け出した彼らは、いつもの様に木やコンクリート壁に向かっておしっこをかけ出した。そのとき、パパの目が鋭く光ったのを、ぼくは見逃さなかった。セツ姫が右後ろ足を高々と上げ、白ジンのかけたおしっこの跡に放尿した。そう、彼女が。女の子であった筈なのに。あっ、姫セツは大きな過ちを犯してしまった。女の子と言うだけで、犯人像から除かれていたため、油断したのだ。これで、彼女も壁におしっこをかけられることを、パパに知られてしまったのだ。何事もなかったかのように彼らを家の中へと呼んだパパと一瞬目が合った、あの時パパは、ぼくにこのことを伝えようとしていたのだ。

カル事件簿1(水溜りのなぞ) 

February 22 [Fri], 2008, 23:46
 この家には3つの部族が存在する。1つは人間族、2つはチビ犬族、そして最後にデカ犬族だ。ぼくは、デカ犬族に属している。そしてそれぞれ、チビ犬族が4頭、デカ犬族が3頭、人間族が2人いる。この3部族が小さな世界でせめぎ合っているのだが、表面上の支配者は人間族である。
 人間族には、怒るとそら恐ろしいオスの「パパ」と普段はやさしいが疲れているとぼくに八つ当たりする「ママ」がいる。チビ犬族は全員チワワ。一番の古株はクリーム色のオス「白ジン」とブラックタンのオス「ボステン」だ、次いでスムースのブラックタンのオス「チョロソラ」、最後は蝶よ花よと育てられたホワイト?クリーム?のメス「セツ姫」である。デカ犬族はさまざま、最初にやってきたのは黒ラブの「黒さく」、次が白ゴルの「白ワイ」、最後がぼくL・ワイマの「カル」である。
 ずっと前のことで良く知らないのだが、昔は白ジンがボスをしていたらしい。それは、白ジンの方がボステンより先にやって来たかららしい。しかし、今では、ボスはテンだ。力ずくで奪い取ったらしい。それでも白ジンは自然体、ボスの座を奪われたことに執着はないようだ。男なのにふがいない。ぼくは、虎視眈々とボスの座を狙っているのだが、この話はまたの機会に。
 今回の話は、「水溜りのなぞ」である。チビ犬族は抜け目がない、パパやママの前ではいい子を演じているんだ。ぼくは知っている、彼らは、パパやママがいない時に破壊工作を行っていることを。そう、それは「おしっこ攻撃」いわゆるマーキングと呼ばれるものだ。彼らはママの寵愛を受けており、恐ろしいパパの制裁から守られている。ルールに従っている限りその形跡(おしっこの跡)があっても、彼らは怒られることはないのである。ぼくのイタズラはいつもパパに見られていて、とんでもないお叱りを受けるのに、なんて抜け目のない奴らなんだろう。
 この家のルールには、「現行犯逮捕者には制裁を」と言う第一のルールがある。また、現行犯でなくても「その行為が誰によるものなのか明らかな場合、制裁を受けることがある」という第二のルールもある。パパやママの目の前で粗相をした場合は、さすがに彼らもパパの制裁を受けることになる。しかし、彼らは絶対に第一のルールには引っかからない。そう彼らはパパの前ではいい子なのである。さらに、巧妙なことに、第二のルールにも引っかからない方法を編み出しているのである。その方法とは、「団体行動」。常に、一緒に行動をしその行為が誰によるものなのか分からないようにしているのである。さらに巧妙なことに、彼は悪びれない。おしっこ攻撃を行った後でも、絶対にそれをパパに悟らせないのである。この技術は匠の技の域に達している。とてもぼくにはマネ出来ない、すぐ顔に出てばれてしまうのだ。彼らにこれらの技がある限り、絶対に捕まる事はないと思っていた、あの日までは。

訓練 

February 18 [Mon], 2008, 0:00
 久しぶりに登場してみた。
 ぼくは今「訓練」と言うものをされているらしい。座ったり、伏せたり、後を付いて歩いたり。これが、結構難しい。ちょっとボケただけでパパがすぐ怒る、体が大きいという理由だけでボケは許されないらしい。なかでも、待て(休め)が一番嫌い。ちょっと待っていたら、後から遊んで貰えることはわかっているんだけど、どうしても体が動いてしまう。人間社会で生きていくには、これくらいは必要なのだと。でも、楽しいことが多いから、少しは言う事聞いてあげようと思っている。
 

ぼくはカール 

February 02 [Sat], 2008, 16:53
 ぼくはカールと呼ばれている。前は違う名前で呼ばれていた。
 家には「ママ」、「パパ」と呼ばれる人と、たくさんの兄弟(血はつながっていないが)がいる。早いもので、ここに来てから1年以上経った。この家は、居心地がいいので長く居てあげてもいいかなと思っている。
 ここに来てからも色々な事があった。結構かしこいつもりだったのだが、忘れないように日々の記録を残していこうと思う。
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