猫の歌 2

2006年09月28日(木) 19時45分
今日は本屋さんに行ったけどお目当ての本が見つからなかったカーリルこと寒月ですこにゃてゃー(・`ω・)ノ

明日はリブロに行こう、そうしよう。

さてさて前回の続きを持ってまいりましたっ。
そういえば前回、「一応Ro小説」とかのたまってましたが、全然Roらしい表現出てこないやんけ!!と思うかもしれません。
ただ、話の舞台が以前アップした「お話。」の獣人の村と小さな教会なのでRo小説と言ってるだけなのです。

一応補足までに説明したかっただけなのですっ。

いつぞやかに言ってたギャグ散文もその内あげられたらいいなぁとか思ってます。
言うのはタダ!!

でもここRo日記ブログだったよな……?




歳月は流れ、少年は青年へと姿を変えていました。
もう、音色の主が何だとか、何処から聞こえてくるのかなんて事は、気にならなくなっていました。
ただこの音色と共に歌える。
それだけで幸せでした。

毎日毎日、音色と共に歌い続ける彼。
彼の家の前を通るもの全てが、足を止めていくようになりました。
偶然通りかかった冒険者だけでなく、馬や鳥、犬などの動物までもが。

そして猫は、彼が歌い終えるとやっぱり寝息を立て始めるのでした。




時の流れとは……なんと残酷なのでしょう。


ある日、いつもの様に眠ってしまった猫が、目覚めなくなりました。
今日もあの音色と歌を歌って。
何故か、少し弱々しい音色だった気がしたけど、でも、いつも以上に綺麗な音色で。
明日はどんな歌を歌おうかな、とか考えて。
猫に餌をあげようと思って。背を撫でてやって。
そしたら、顔を上げてくれると思ったから。
ピクリとも動かない猫。
暖かかったはずのその背中ももう、すっかり冷たくなってしまっていました。
猫には……寿命が来てしまったのです。

物心がつく前から、ずっと隣に居て。
これからもずっと一緒にいられると思ってた。
どうしてだろう……そんなこと、あるわけがないのに。
彼は悲しみのまま、猫を土に還しました。
けれど、実感が湧くことはありませんでした。
信じたく……ありませんでした。

たかが猫一匹、と思うかもしれません。
だけど、彼にとっては親友であり、相棒であり、共に暮らした、家族だったのです。

涙を流し続ける彼。
歌おうとしても、うまく歌えなくなっていました。
そして、彼がどんなに歌を口遊もうとしても、あの音色が返ってくることはありませんでした。
それが、猫が居なくなった悲しみと同調して。
気付けば……彼は歌を歌わなくなっていました。

涙は出なくなったけれど、歌うこともしなくなって。
ぼーっと、窓の外を眺めるだけの日々が続きました。
一羽の小鳥が傍らの木にとまりました。
そして、彼をじっと見つめるのです。

彼は小鳥にこう言いました。
「歌いたい。歌いたいけど……でも、もう歌い方もわからなくなってしまったんだ。
歌い方を…………忘れてしまったんだよ。」
悲しげに微笑みかける彼。
今、彼の瞳に光はありませんでした。

小鳥が、まるで彼を誘うように舞い始めました。
虚ろな目で、眺める彼。
何処からか……音が、聴こえてきます。
そう、あの……あの懐かしい音色が……。
静かに静かに近づいてくる優しい音色。

ふわっと…白い光が彼の前を過ぎりました。
彼は自分の目を疑いました。
それでも、見間違うことはありません。
猫…でした。

音色が、彼に語りかけます。

なかないで。
げんきをだして。
わたしはいつもそばでみているよ。
さみしくないよ。
あなたがうたってくれないと、わたしはかなしくなっちゃうよ。
いっしょにいきることができてうれしかったよ。
たのしかった。
しあわせだった。
また、わたしにうたをきかせて。

その音色には、たくさんの意味が込められていました。
そして彼の口から、それに応えるかのように自然と音色があふれ出したのです。

ありがとう。
君だったんだね。
もう、忘れたりしない。
いつも君と歌っていたんだね。
だからあんなに楽しかったんだ。
ずっと歌い続けよう。
君に届くように。
幸せを忘れないように。

二つの心は歌い続けました。
過去を愛おしむ様に。
互いの、これからを願うように。

誇り高く
凛々しく
でも、どこか気ままで
自由に……

窓の外に、穏やかな風が吹きました。
ねこじゃらしがまるで指揮を取る様に、さわさわと揺れて。


やがて……歌は終わりの時を迎えます。


風はやみ、ねこじゃらしはただうなだれるだけ。
静かに口を閉じた彼の前にはもう、何もいませんでした。

歌を思い出した彼。
彼は、嬉しいとき、悲しいとき、どんなときでも歌いました。
もう、彼は歌を忘れたりはしませんでした。

歌詞はなくて、楽譜もなくて。
過去と、未来を祈る。
それは、猫のくれた歌。







―――――…おしまい。
これはね、『猫の歌』と言って村に伝わる昔話なんだよ。」
「先ほど謳っていた唄とはもしかして…。」
「そう、シスターのお顔に何の歌か知りたいって書いてありましたからね。」
「まぁ…!」
ふふふっと小さく笑うシスター。
村人が、静かに歌い始める。
シスターも、それに合わせるように歌い始める。


優しい音色が、聴こえた気がした。





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