環状
July 31 [Thu], 2008, 18:49

昨日夕刻、稚内に着くなり腹が減ったので、前にも行った駅前食堂でやはり前と同じほっけの定食を頂く。肉厚で身は溶けるように柔らかく、居酒屋チェーンで出されるものが胡散臭く思えてくる。
駅前のマツダレンタカーでデミオを借り、ノシャップ岬で日没の風景を撮影して、ひとっ風呂浴びるべく稚内温泉童夢まで走る。南稚内との間にスーパー銭湯的なものが出来たようで、宗谷バスで片道270円払う必然性は無くなった。個人的には実家近くを走っていたバスが譲渡されている宗谷バス市内線の価値は別にあるのだが…
ちなみにバス+銭湯のセット割引券が稚内駅前のバスターミナル窓口で営業時間内に限って売っている(バス540円+温泉600円が950円くらいだったはず)。
露天風呂で星空を眺めつつ入れるのが優雅であるし、褐色がかったぬめりのある湯も気持ちよい。真冬だと、髪の毛が凍るが体は芯まで温まっているのを実感出来るからおすすめである。
今日は車だからバスの時間を気にせず、22時の閉館ギリギリまで座敷でうたた寝しつつ粘る。フロントに頼むと携帯電話の充電をしてくれるからありがたい。
すっきりしたところでドライブを再開し、ノシャップ岬の駐車場で夜明かしとする。助手席がかなり深く倒れるから夜行バスより良い。
空には、ちょっと不思議なくらい星が瞬いている。長野県川上村でそんな夜空を見たが、稚内市も負けてはいない。
メールをしていたが、23時に来た返事に気付かないくらいすぐに寝たらしい。
4時半の空は既に明るく、身支度と朝食を済ませて5時半頃出発。このドライブの目的の一つが、宗谷本線抜海〜南稚内で利尻富士を背景に列車を撮る事であった。だがしかし、その撮影ポイントは道路から保線用と思われる階段を登り、更に薮漕ぎをしなければならない。きちんと調べれば分かるはずだが…
天気も曇りがちで利尻富士が見えないので、あっさり諦めて抜海駅へ。木造のいい駅舎があるはず、と行けば広場側は補修されており木造の良さが隠れてしまった。煮えきらないまま列車が来るまで寝て待つが、ドンピシャのタイミングで起きた自分におかしくなった。
スーパー宗谷2号を撮影し、ドライブに本格挑戦。まずは道道106号、通称日本海オロロンラインを南下。右手に海、左手に湿原という北海道らしい壮大な道である。かって留萌から羽幌経由で幌延まで羽幌線が1987年まで走っており、車窓にもそれらしき築堤や、道道が跨いでいた箇所に「〜跨線橋」がある。
道道は天塩から国道232号に合流するが、その少し先中川から左手(山側)に進路を変えて道道119号で峠を越え、更に宗谷本線と天塩川を挟んで並行する国道40号で音威子府を目指す。
道の駅は定休日だったので、JR駅で名物蕎麦を食べる。まだ9時40分だが、早朝から動いているので腹が減るのだ。ついでにこれから廃線跡を辿る天北線の資料館で予習。国道275号に沿っているから『廃線跡を歩く』を見て位置を頭に入れて走る。鉄道施設は他に比べて巨大だから判別はしやすいが、いかんせん夏草が生い茂っていて形が見えてこないのだ。最初に見付けたのは、上音威子府から天北峠を越えるトンネル手前で、道路に「跨線橋」とあるから何とか分かったが、軌道跡は背丈はあろうかというラワンブキに覆われ、トンネル開口部突入は断念する。行くなら登山靴にスパッツ、更に鉈が必要だ。
小頓別駅跡はバス停になっているが、電信柱らしきものしか分からない。敏音知駅跡は道の駅になり、一角にホームらしきモニュメンとがあるのだが、この回りにも花々が…かくして鉄道の記憶は薄れていくのだ。
褐色の炭酸泉であるピンネシリ温泉に入り、寛ぐと気分は気だるい午後だがまだ11時半だ。さ、前に進もう。
松音知は驚くべき事に、駅舎と腕木式信号機、ホーム、レールが残っている。どうも個人が買い取ったようで、「保存」とまでは言えないが今にも列車が来そうな風景が、荒涼とした原野の中で浮いている。
中頓別駅跡はバスターミナルとなり、キハ22一両が置かれた上、二階に簡単な展示室がある。たまたま停車していた天北線代行バスは乗客ゼロで、やはり深名線と同じ道を辿っているようだ。
浜頓別からはオホーツク海側になる。以前、網走から名寄本線〜興浜南線〜興浜北線と鉄路が消えた区間をバスで辿ったから、音威子府〜浜頓別は来た事があった。ここから先の国道238号オホーツクライン沿いが、私の未踏地域となる。
浜頓別〜猿払の天北線は、道北有数の湖沼地帯を抜けているせいか、サイクリングロードに転用されており、浅芽野郵便局の先にあるプレートガーダー橋が鉄路であった事を今に伝える数少ない遺構だ。
さて、サイクリングロードの終点である道の駅さるふつで遅い昼食とする。このあたりは有数のホタテの漁場だから、やはりホタテである。分厚いホタテはフライながら水が滴るようだ。東京ならば澄ました顔をして「私はホタテなのよ!」と主張してそうな5つのフライは、あくまでもしとやかに「私を存分に食べて下さい」と大人しく身を横たえているのだ。そうなればこちらも「おぉそうか、では…」とありがたく頂いてしまうのである。と、何故か椎名誠風の文調だが、そうなのだ。
さて、今夜も下りまりもに乗るため、稚内1651発スーパー宗谷4号に間に合うよう戻らなければならない。時間は既に14時を回っており、残りが60km程で結構際どい。猿払温泉にひかれたが諦め、鬼志別で天北線跡とも別れて宗谷岬を目指す。曇天から時折水滴がフロントガラスへ当たるようになったから、早めの稚内入りが吉だ…
こうして、昨晩からの道北外周ドライブは終了となった。稚内到着は16時半、いよいよ空は不気味な黒さを増している。旅はいつもギリギリである。
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