ブックレビュー(300)ー『空白の戦記』 

March 16 [Thu], 2017, 20:00
ブックレビューもついに300回、blog化を始めてからの300冊であるから実際に読んだものはこれを上回っているのだが、年50冊(≒週1冊)を目標に続けていきたい。

節目の回に、最近はまっている吉村昭の本が来たのは、何かの因縁だろうか。
本書では、1935年に台風被害で海軍艦艇の艦首が破断した第4艦隊事件を扱った「艦首切断」、その前年に発生した水雷艇「友鶴」の転覆事故の「顛覆」など6編が収録されている。記録小説の大家である吉村の作品集にしては珍しく、鉄血勤皇隊に召集された少年兵を主人公にした「敵前逃亡」というフィクションが含まれている。

いずれの作品でも、戦争の悲惨さや人々の生活に与える影響が、淡々とした筆で描かれている。吉村昭がひらすら追い求めて続けていた証言と、語る人々が直面した出来事について、どう受け止めるかは読者に任されている。短編種ながら、余りに濃密な情景が目の前に広がり、圧倒される。これぞ吉村作品。

ブックレビュー(299)ー『日本海軍400時間の証言』 

March 12 [Sun], 2017, 20:00
戦後、帝国海軍の軍人が集まり、「海軍反省会」を行っていた。この録音テープが発見され、NHK取材班がテレビ化しているのだが、その番組を文庫化したもの。ハードカバーが出た際に立ち読みをしたが、ハードカバーで買うほどのものではないと感じており、文庫化されたので購入。

内容は取材班6名が分担したもので、それぞれの視点で証言内容を取り上げている。こういったものの特徴なのかもしれないが、記者自身の話(子供が産まれて育児休暇を取得、復職して・・・云々など)が度々登場し、鬱陶しい。
もちろん、「特攻作戦」について自己正当化に終始する中澤佑中将の話などは貴重なものであると思うのだが、折角の証言をもってしても「やましき沈黙」によって作戦が実施されたという事実の指摘に止まり、教訓を導き出しているとは言えない。
製作者の日記を読んでいる気分であり、体系的な学習にも思考の材料にもならない。

ニンニク入れますか?(116)ー『江戸一』 

March 09 [Thu], 2017, 20:00
会社帰り、夕飯にしたいが22時を回って飲み屋くらいしか行き場がない。
大井町駅界隈を探索すれば何かあるだろう、そう頭の片隅で考えつつも、結局はラーメン屋を目指してしまう貧困な舌には困ったものだ。
東急の改札口を出てすぐにある『江戸一』は、存在は知っていたものの入ったことがなかった。正直、余り綺麗とは言えない店構えだったので躊躇っていたのだが、意を決して暖簾をくぐる。

「豚鳥つけめん」(700円)を頼むと、餃子無料券を渡される。そして、麺の種類を選ぶように促され、メニューをよく見ると、「1:モチモチ手もみちぢれ麺、2:ツルツルのどごしストレート麺、3:バリバリピソソバ極細麺、4:太麺」と標語のような一覧。つけ麺なので2番(ストレート)を選ぶ。「替え玉無料」なる貼り紙もある混沌とした店内にややひるんでいると、丼が置かれた。店主は案外優しそうだ。



メンマ、ナルトなど定番の組み合わせが沈むスープに、少し黄色味が強いストレート麺をつけて食べる。鶏白湯と豚骨のダブルスープらしく、すっきりしており飲んだ後にも優しそうだ。ただ、特徴が無いと言ってしまえばそれまで。値段も安いから、〆に利用するのが一番かもしれない。


【住所】品川区東大井5-3-9
【最寄駅】東急大井町駅から徒歩1分
【営業時間】11:00〜25:00(土曜〜24:00、日曜〜21:00)
【定休日】不定休

ブックレビュー(298)ー『昭和の戦争』 

March 07 [Tue], 2017, 20:00
最近は日中戦争・太平洋戦争を巡る世界の動きに関心があるのだが、これは「日記」に残された日常やその場の感想を基に、彼らが何を考えてどう感じたのか、その時代を理解する手助けとして紹介してくれる。
政治家や軍人の日記はよく引用されるが、喜劇役者古川ロッパの日記が面白い。戦時下でも最初の頃はかなり贅沢をしており、食事や街の様子でそれが見て取れる。しかし、灯火管制の開始など次第に街が暗くなっていく。文化人で経済的にも裕福だったせいがあるのかもしれないが、市民は案外冷静に世の中を見ていたように感じられる。人々の息遣い、それを感じないと歴史の真実は見えてこないだろう。面白い視点の一冊だった。

ブックレビュー(297)ー『日米開戦と情報戦』 

March 05 [Sun], 2017, 21:50
情報をどのように解釈するのか、というのは重要なことでこうしたインテリジェンス活動は日本人が苦手とするところだった・・・という。
だが、現実には米国や英国でも誤訳や誤読による思い違いが存在していた。

日本では、情報を独善的に解釈して脅威や戦果を誇張し、不都合な真実は闇に葬られていった。そして、陸海軍や政党間の対立によって政策決定は歪められていく。幾ら優駿な人物であっても、真実を直視し情報を活用することができなければ、誤った判断をくだす可能性がある。
日中戦争・太平洋戦争の時代について、政策決定過程とインテリジェンス活動を結びつけ、日本と米英を中心とした諸外国をインテリジェンスの観点で俯瞰する好著だった。


書籍購入記録 

February 18 [Sat], 2017, 23:28
またしばらく放置してしまったが、3冊購入。

こちらは読了。
両論併記と避決定、という罪は現代日本でも繰り返されていると思う。


海軍反省会、というのが戦後行われたのだがその記録。文庫化されたので、読みやすくなった。


やはり最大の関心事はこれ。
歴史は示唆に富む。

ニンニク入れますか?(115)ー『麺やこころ』 

February 05 [Sun], 2017, 20:00
自宅近くのラーメン屋巡りということで、最近流行り(?)のまぜそばを提供するこちらに並んでみた。14時を回っていたのだが、1月中旬の凍れる寒さにもかかわらず列ができているのは凄い。

素直に看板メニュー「肉入り台湾まぜそば」(990円)の食券を買う。狭い店内のカウンターには人がひしめいている。客層はバラバラで、学生から家族連れまで。広い支持があるというのは美味い証拠であると思う。


到着した丼を店の指示どおり、かき混ぜる。海苔がペタペタくっ付いて鬱陶しいが、卵の香りも漂い食欲を刺激する。そしていざ・・・と一口食べて辛さよりも塩気に驚く。これはかなりきつい。汁が少ないので味を強めにしているのかもしれないが、野菜で中和しないとかなりきつい。そして肉が多いのでモゴモゴと食べるようになり、とても麺類とは思えない。
最後に残った汁にご飯を少し入れて〆るようだが、とても耐えられなかった。まぜそばが全てこれくらいの塩気なのか分からないが、ちょっと手を出しづらくなった強烈な「初体験」だった。


【住所】神奈川県川崎市高津区溝口1-6-1 クレール溝口 1F
【最寄駅】JR武蔵溝ノ口・東急溝の口駅から徒歩3分
【営業時間】11:30〜14:30、18:00〜21:30
【定休日】月曜

ブックレビュー(296)ー『シベリア出兵』 

February 02 [Thu], 2017, 20:00
こちらも読了からだいぶ時間が空いてしまったので簡単に。

日清戦争、日露戦争から日中戦争・太平洋戦争といった戦争が続いた19世紀終わりから20世紀前半の日本において、ぽっかりと抜け落ちている"戦争"がある。そのシベリア出兵は、元々はロシア革命の最中のチェコ軍団救出を目的とした共同出兵が、情勢変化に伴い目的を失い、各国の思惑で動くようになる。日本は派兵規模を拡大し、国際社会からの不信を招き、軍部の独走や撤退への躊躇といった後に中国戦線で見られるような失敗を積み重ねていく。
世界史の中でシベリア出兵がどう流れていったのかを俯瞰するのもそうだが、その後の日本外交の特性を考えるうえで良い資料だと思うのだが、教訓の部分が消化不良に感じた。その点については、更に研究が深められることを期待している。


ニンニク入れますか?(114)ー『ななほし』 

January 30 [Mon], 2017, 20:00
12月30日、地元を歩いていてお昼時になった。意外と入りたい店が少なく、ラーメンを求めて『泪橋』へ向かうが休業。仕方がない。そこでふと、かつて蕎麦屋が入っていた場所に入ったこちらの店を思い出した。

入って見ると、こざっぱりした店内で女性スタッフが目立つ。中年女性客も居ることから、結構広い層に受け入れられているようだ。味噌つけ麺(850円)とカレー丼をセットにして頼む。


運ばれてきたのは上品に盛られた麺とカレー。
汁は味噌が効いており、少し塩辛さもあったが魚介出汁とよくあっていてしつこさはない。太麺とよく合うのだが、麺の量が少なめで物足りない。もしカレー丼を頼まなければ、麺は大盛りにするとよいだろう。
カレーも上品な辛さで中々美味。カレーライスにして単品で食べたいくらいだ。
総じて女性にも受けそうなお店で、たまに使おうと思う。小さい頃に蕎麦を初めて外で食べたお店がなくなったのは寂しいのだが、違う麺文化が残ってよかったかもしれない。

【住所】神奈川県川崎市高津区坂戸1-1-6
【最寄駅】JR武蔵溝ノ口・東急溝の口駅から徒歩5分
【営業時間】11:00〜15:30、17:30〜麺切れ終了
【定休日】月曜

ブックレビュー(295)ー『元老ー近代日本の真の指導者たち』 

January 27 [Fri], 2017, 21:24
読了からだいぶ時間が空いてしまったので、簡単に。

教科書的な歴史で必ず出てくる、明治維新の立役者でありその後、大日本帝国の基礎を作った「元老」は多くの人が知っているだろう。伊藤博文、山県有朋、西園寺公望・・・
だが、この「元老」というのが憲法上の制度ではないことまでは教えてくれない。なぜ彼らが政治の中枢に居て、帝国議会成立後も天皇へ首相を推薦する立場を保ったのか。よく考えれば不思議だ。
そうした謎の存在である元老とはどのような役割を持っていたのか、元老制度の成立から終焉までを描きながら近代日本の歴史を見るのが本書。

結局のところ、未成熟な日本を導くための存在として機能したが、それには彼らが武士として「武」と「政」の双方に通じていたからなのだと改めて感じる。そうした存在がいなくなった時、政治と軍事の関係はバランスを崩し、よちよち歩きであった政党政治は転び、閣僚任免権を持たない首相のイニシアティブが失われる、様々な利益を調整する存在が消えたことで強力な政治的存在としての(政治とのバランス感覚を欠いた新世代の)軍部が台頭していった・・・そう歴史を見ることもできる。

近代日本の弱さを考えるうえで、大変参考になった一冊だった。

プロフィール
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  • アイコン画像 ニックネーム:さのってぃ
  • アイコン画像 性別:男性
  • アイコン画像 誕生日:5月2日
  • アイコン画像 血液型:A型
  • アイコン画像 職業:会社員
  • アイコン画像 趣味:
    ・映画-主に戦争映画
    ・旅行-公共交通機関を使っての国内旅行
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■趣味■ 国際政治の勉強、旅、写真、乗り物全般、読書、物書き、映画を見ること、街歩き、酒場巡り ■好物■ 北海道、夜景、Suicaのペンギン、熊、水曜どうでしょう(TV番組)、海上自衛隊、東急電鉄・バス、ボーイング777-200(JAS仕様)、ラーメン二郎、日本酒、スコッチ、スターバックスコーヒー、矢井田瞳、鬼束ちひろ、サザンオールスターズ、ボケの利いた女性
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