今夜は映画評論(113)ー『ザ・コンサルタント』 

June 14 [Wed], 2017, 20:00
田舎町の会計士でありながら、実は裏で闇社会の資金洗浄などを手掛けており、火の粉は実力で振り払う最強の男をベン・アフレックが演じている作品。そのベン・アフレックに似ているよ、と言われて観たのだが、何とも不思議な映画だった。

元々自閉症だったクリスチャン・ウルフ(ベン・アフレック)は、陸軍軍人の父から社会で生き抜く術を厳しく教えられる。天才的な頭脳を活かして会計士の仕事をしながら闇の金を扱い、儲けはカウンセリングを受けた病院に寄付していた。
ある日、義手などを扱う機械メーカーの不正調査を依頼されるが、一晩で膨大な帳簿からその証拠を探り当てたところで、依頼主である社長からCFOの死と仕事の中断を告げられる。自閉症であるがゆえに途中で仕事を止められない彼はその背景を調べようとするが、続々と関係者が命を狙われる事態に。一方、闇社会の会計士を探す財務省の手が伸びてくる・・・

様々な伏線が最後になって一気に回収される様は、小気味好いとも言える。
だが、説明調の場面を間に入れつつ時間枠に詰め込んだせいか、消化不良気味になっている。続編に向けた予告編、そういった位置付けであれば面白いのだろうが・・・

ブックレビュー(303)ー『この国のかたち(一)』 

June 11 [Sun], 2017, 20:51
司馬遼太郎の歴史小説ではなく、彼が少し躊躇いながら連載をしたエッセイをまとめた本を手に取る機会を得た。圧倒的な取材力や構想力から、その作品はまるで史実のように感じてしまうが、決してそうではない。しかし、そう感じてしまうほどの迫力を持った作品であるのは間違いない。
本書では、著者が日頃考えている「日本」に関することを、その豊富な知識をベースに語っている。

もっとも印象的であったのは、「統帥権の無限性」を題した回だった。著者は徴兵をされて陸軍兵として中国大陸に駐兵、その後は本土に戻ってきた経歴を持つ。戦争を憎む視点は共感するのであるが、「統帥権」や「参謀」といったものに、嫌悪感を持っているのがよくわかった。
しかし、統帥権への理解は正確ではないのではないか。統帥権の独立は明治期には民権運動から軍を遠ざけるために制度化されたと考えられ、昭和期に始まったものではない。重要なのは、独善的な軍人による自己中心的な政策がいとも簡単に遂行されてしまった、官僚機構と政治の貧弱さではないだろうか。

とても読みやすく、通勤電車の帰り道だけでも数日で読み終えてしまう。手頃な教養書としてカバンに忍ばせるのはよいだろう。

ニンニク入れますか?(121)ー『ラーメン二郎 京急川崎店』 

June 02 [Fri], 2017, 20:00
神奈川県の免許保有者が5年に一度巡礼する「二俣川」へ会社を休んで行き、午前中を丸々費やして新しい免許を受け取る。帰り道、昼食を食べようと思い、横浜からあえて京急に乗って川崎で下車、カンカン照りの下、店を目指す。
京急の踏切脇にあるのだが、交通量が極めて多い国道409を渡る必要があり、遠回りを強いられる。

5人ほどの待ちで着席し、14時前の落ち着いた店内でしばらく待つ。濃い眉毛が印象的な店主の声が小さく、コールに戸惑うのだが、ラーメンを美しい手さばきでカウンターに載せるところを見ると、ホスピタリティに溢れている。


小(730円)でニンニクのみ、ヤサイコールは無し。コールをするとかなりの盛りになるようだ。
冷麦のような二郎としては少し細めの麺はツルツルの食感で、柔らかい。固めはできない、との貼り紙。麺自体が柔目なのだろう。豚がツナっぽい食感だったが、味がしっかりと染みていて美味い。スープは醤油が立っていてさっぱりし感じで、ほぼ飲み干してしまった。全体的に優しい印象で、女性でも抵抗感無く食べられるだろう。立地的に便利とは言い難いのが残念。

【住所】川崎市川崎区本町2-10
【最寄駅】JR川崎駅から徒歩15分、京急川崎駅から徒歩10分
【営業時間】11:00〜14:00、18:00〜22:00(土曜は11:00〜16:00)
【定休日】日・祝

★『二郎レビューリンク』
三田/目黒/歌舞伎町/品川/環七新代田/京急川崎/荻窪/上野毛/関内/神保町/ひばりが丘/立川/大宮/中山/新橋/赤羽/会津若松駅前/JR西口蒲田

ニンニク入れますか?(120)ー『梅光軒』 

May 30 [Tue], 2017, 20:00
旅先でのラーメン開拓を行っているが、定番中の定番のこちらの店も紹介しておく。
旭川ラーメンと言えば、『蜂屋』か『青葉』とこのお店だろう。一番最初に行ったのもここだったが、紹介は後になってしまった。
常に観光客で並んでいる印象もあり避けていたのだが、2月の渡道は平日ということもあったので久しぶりに暖簾をくぐる。


ちょうど12時で混んでいるかと思いきや、何とガラガラ。地元利用というよりは観光利用ばかりなのだろうか。定番の「醤油ラーメン」(730円)を頼むとほどなく着丼。脂の浮いた醤油スープはやはり美味いと思うのだが、縮れ麺が安っぽい印象を受けてしまう。もう少ししっかりとした麺が自分好みというだけかもしれないが。
とは言え、全くハズレのない定番の味だから長く支持されているのだ。旭川を訪れた際、必ず一度は訪問すべきラーメン店であると思う。

【住所】北海道旭川市2条通8丁目右1 ピアザビル B1F
【最寄駅】旭川駅から徒歩3分
【営業時間】11:00〜21:00(土休日は20:00)
【定休日】不定休

ニンニク入れますか?(119)ー『梁山泊』 

May 24 [Wed], 2017, 20:00
2月のある日、学校の後輩に唆されて京急を撮影に出陣。後輩の地元である能見台付近で撮影しているとお昼時になったので、駅前にある中華料理屋へ入る。地元過ぎるせいか後輩も初利用とのこと。昭和臭漂う店内にはちらほら家族連れも入り、街の中華屋さんといった風情。


豊富なメニューに迷ったが、店名を冠した「梁山泊そば」(720円)にする。
案外を時間を要して登場したのは、餡に包まれた野菜炒めが載った、優しいラーメンだった。これといった特色がある訳ではないのだが、それがかえって"地元の味"として支持されるのだろう。居心地の良い店で、心まで温まる。

【住所】神奈川県横浜市金沢区能見台通4-13 駅前セレラルビル1F
【最寄駅】京急能見台駅すぐ
【営業時間】10:00〜24:00
【定休日】無休

ブックレビュー(302)ー『史実を歩く』 

May 21 [Sun], 2017, 21:45
読んだ順序が前後してしまうが、簡単に読めたので先に紹介しておく。
このところ小説と言えば吉村昭と言わんばかりに読んでいるが、本書は『ひとり旅』と同じように、自らの作品とそれに関するエピソードをまとめたもの。それぞれの作品の裏側を覗くことができるのが興味深い。

伝説の脱獄囚を書いた『破獄』では、関係者を丁寧に探し出して真実をあぶり出す様子が伺える。警察の公式記録である『北海道警察史』の記述ですら、ドラマ性を際立たせるためか脱獄当日の天気を「暴風雨」としているが、実は月の見える快晴だったこともその一つ。小説でありながらも、妥協をしない著者の姿勢にはただただ感心させられる。そ既に刊行されていた『桜田門外ノ変』にある、雪の降り止む時間を修正することすら厭わないのだ。

ニンニク入れますか?(118)ー『ニューハルピン』 

May 15 [Mon], 2017, 20:00
上越地方は豚骨ラーメンが主流と聞くが、その中でもライダーに知られた名店が直江津駅近くにあるので訪れることにした。直江津駅周辺であると、普段は『宝来軒』であるがこの日は定休日だったので新規開拓にはちょうど良かった。
扉を開けると給水機の前で待つ人4人。だが、回転は速いので、すぐに座れた。


「ラーメン」(600円)と「ぶためし」(200円)を頼む。調理も手早く、すぐに頂ける。スープは豚骨の旨味を感じられ、とろみはあるが割合あっさりした感じで、殆ど飲み干してしまった。麺は標準かやや太いくらいだろうか。こちらはいたって普通。チャーシューが美味く、「ぶためし」を頼んで正解だった。

【住所】新潟県上越市中央5丁目2-43
【最寄駅】直江津駅から徒歩5分
【営業時間】11:00〜15:00(スープ切れ終了)
【定休日】火曜

ブックレビュー(301)ー『ある明治人の記録』 

May 10 [Wed], 2017, 20:00
読後から時間が開いてしまったので、端的に。
会津藩出身の陸軍大将・柴五郎の名前を知っている人は少ないと思われる。場合によっては、1900年の義和団事件の際に中国へ派遣され、その冷静沈着な行動が諸外国から賞賛された軍人として記憶しているかもしれない。
だが、彼の生涯は生半可な苦労ではない。否、苦労では足りないくらいの険しい道のりであり、不遇な中からいかにして立ち上がったのかを、本人の回想録をベースに書かれたものが本書。中公新書のロングセラー商品として知られている。
幕末の会津藩は朝敵とされ、薩長によって降伏させられた。会津城が落城した際、彼の祖母・母・姉妹までもが自刃し、幼かった彼と兄だけが残された。しかし生き延びても下北半島へ移封され、火山灰台地で碌な作物も育たない環境で困窮の生活をすることになる。飢えと寒さに耐える心の支えは、薩長への一種の復讐心だった。やがて彼は青森県の役人の庇護の下、勉学の場を与えられる。彼は前向きに勉学に励み、軍へ入隊して着実に昇進していく。
西南戦争で薩摩へ「意趣返し」をするのは、読者までも痛快な気持ちにさせる。「敗者は歴史を持たない」というが、賊軍の汚名を着せられ、歴史を語ることすら許されなかった会津の悲劇。歴史の事実を学ぶことは、こういったもう一方の視点を探すことが重要なのだ。

ニンニク入れますか?(117)ー『麺屋こころ 溝の口店』 

May 07 [Sun], 2017, 17:52
だいぶ時間が開いてしまったが、1月の寒い日の「まぜそば」初体験について記録しておく。
自宅近くのラーメン屋巡りもだいぶ進んでいたが、いつも行列のこの店は中々手出しできなかった。しかし、最近流行っているらしい台湾風まぜそばの話を聞き、好奇心に負けて並ぶことに。14時過ぎに訪問したが、それでも15分くらいは待ったかと思う。
看板メニューである「台湾まぜそば」(780円)の食券を求め、カウンターで待つ。老若男女が並ぶことから、幅広い支持を得ているようで期待が高まる。



運ばれてきたのは、丼にチャーシュー、ひき肉、海苔、卵黄、ニラ、ねぎ、魚粉、ニンニク・・・と詰め込まれたもの。これを極太麺と一緒に混ぜる。一口食べると、ニンニクの香りと共にパンチの効いた塩気が到来する。"濃厚"、そう表現すべきなのか"味が濃い"と片付けるのか迷うところであるが、とにかく食べ進める。汁気が無いので、本当に具材の風味が直球で飛び込んでくる。
最後にご飯を投入する食べ方もあるようだが、どうも味の濃さにやられてしまい箸が進まなかった。
強烈なまぜそば初体験で、他に比較する余地もないのだが、正直なところ食指は動かないと感じた。やはり麺はスープとの組み合わせが大事であると思うし、この濃さはバランスを欠いている。

【住所】神奈川県川崎市高津区溝口1-6-1 クレール溝口 1F
【最寄駅】溝の口駅から徒歩5分
【営業時間】11:30〜14:30、18:00〜21:30
【定休日】月曜

ブックレビュー(300)ー『空白の戦記』 

March 16 [Thu], 2017, 20:00
ブックレビューもついに300回、blog化を始めてからの300冊であるから実際に読んだものはこれを上回っているのだが、年50冊(≒週1冊)を目標に続けていきたい。

節目の回に、最近はまっている吉村昭の本が来たのは、何かの因縁だろうか。
本書では、1935年に台風被害で海軍艦艇の艦首が破断した第4艦隊事件を扱った「艦首切断」、その前年に発生した水雷艇「友鶴」の転覆事故の「顛覆」など6編が収録されている。記録小説の大家である吉村の作品集にしては珍しく、鉄血勤皇隊に召集された少年兵を主人公にした「敵前逃亡」というフィクションが含まれている。

いずれの作品でも、戦争の悲惨さや人々の生活に与える影響が、淡々とした筆で描かれている。吉村昭がひらすら追い求めて続けていた証言と、語る人々が直面した出来事について、どう受け止めるかは読者に任されている。短編種ながら、余りに濃密な情景が目の前に広がり、圧倒される。これぞ吉村作品。

プロフィール
  • プロフィール画像
  • アイコン画像 ニックネーム:さのってぃ
  • アイコン画像 性別:男性
  • アイコン画像 誕生日:5月2日
  • アイコン画像 血液型:A型
  • アイコン画像 職業:会社員
  • アイコン画像 趣味:
    ・映画-主に戦争映画
    ・旅行-公共交通機関を使っての国内旅行
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■趣味■ 国際政治の勉強、旅、写真、乗り物全般、読書、物書き、映画を見ること、街歩き、酒場巡り ■好物■ 北海道、夜景、Suicaのペンギン、熊、水曜どうでしょう(TV番組)、海上自衛隊、東急電鉄・バス、ボーイング777-200(JAS仕様)、ラーメン二郎、日本酒、スコッチ、スターバックスコーヒー、矢井田瞳、鬼束ちひろ、サザンオールスターズ、ボケの利いた女性
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