ブックレビュー(302)ー『史実を歩く』 

May 21 [Sun], 2017, 21:45
読んだ順序が前後してしまうが、簡単に読めたので先に紹介しておく。
このところ小説と言えば吉村昭と言わんばかりに読んでいるが、本書は『ひとり旅』と同じように、自らの作品とそれに関するエピソードをまとめたもの。それぞれの作品の裏側を覗くことができるのが興味深い。

伝説の脱獄囚を書いた『破獄』では、関係者を丁寧に探し出して真実をあぶり出す様子が伺える。警察の公式記録である『北海道警察史』の記述ですら、ドラマ性を際立たせるためか脱獄当日の天気を「暴風雨」としているが、実は月の見える快晴だったこともその一つ。小説でありながらも、妥協をしない著者の姿勢にはただただ感心させられる。そ既に刊行されていた『桜田門外ノ変』にある、雪の降り止む時間を修正することすら厭わないのだ。

ニンニク入れますか?(118)ー『ニューハルピン』 

May 15 [Mon], 2017, 20:00
上越地方は豚骨ラーメンが主流と聞くが、その中でもライダーに知られた名店が直江津駅近くにあるので訪れることにした。直江津駅周辺であると、普段は『宝来軒』であるがこの日は定休日だったので新規開拓にはちょうど良かった。
扉を開けると給水機の前で待つ人4人。だが、回転は速いので、すぐに座れた。


「ラーメン」(600円)と「ぶためし」(200円)を頼む。調理も手早く、すぐに頂ける。スープは豚骨の旨味を感じられ、とろみはあるが割合あっさりした感じで、殆ど飲み干してしまった。麺は標準かやや太いくらいだろうか。こちらはいたって普通。チャーシューが美味く、「ぶためし」を頼んで正解だった。

【住所】新潟県上越市中央5丁目2-43
【最寄駅】直江津駅から徒歩5分
【営業時間】11:00〜15:00(スープ切れ終了)
【定休日】火曜

ブックレビュー(301)ー『ある明治人の記録』 

May 10 [Wed], 2017, 20:00
読後から時間が開いてしまったので、端的に。
会津藩出身の陸軍大将・柴五郎の名前を知っている人は少ないと思われる。場合によっては、1900年の義和団事件の際に中国へ派遣され、その冷静沈着な行動が諸外国から賞賛された軍人として記憶しているかもしれない。
だが、彼の生涯は生半可な苦労ではない。否、苦労では足りないくらいの険しい道のりであり、不遇な中からいかにして立ち上がったのかを、本人の回想録をベースに書かれたものが本書。中公新書のロングセラー商品として知られている。
幕末の会津藩は朝敵とされ、薩長によって降伏させられた。会津城が落城した際、彼の祖母・母・姉妹までもが自刃し、幼かった彼と兄だけが残された。しかし生き延びても下北半島へ移封され、火山灰台地で碌な作物も育たない環境で困窮の生活をすることになる。飢えと寒さに耐える心の支えは、薩長への一種の復讐心だった。やがて彼は青森県の役人の庇護の下、勉学の場を与えられる。彼は前向きに勉学に励み、軍へ入隊して着実に昇進していく。
西南戦争で薩摩へ「意趣返し」をするのは、読者までも痛快な気持ちにさせる。「敗者は歴史を持たない」というが、賊軍の汚名を着せられ、歴史を語ることすら許されなかった会津の悲劇。歴史の事実を学ぶことは、こういったもう一方の視点を探すことが重要なのだ。

ニンニク入れますか?(117)ー『麺屋こころ 溝の口店』 

May 07 [Sun], 2017, 17:52
だいぶ時間が開いてしまったが、1月の寒い日の「まぜそば」初体験について記録しておく。
自宅近くのラーメン屋巡りもだいぶ進んでいたが、いつも行列のこの店は中々手出しできなかった。しかし、最近流行っているらしい台湾風まぜそばの話を聞き、好奇心に負けて並ぶことに。14時過ぎに訪問したが、それでも15分くらいは待ったかと思う。
看板メニューである「台湾まぜそば」(780円)の食券を求め、カウンターで待つ。老若男女が並ぶことから、幅広い支持を得ているようで期待が高まる。



運ばれてきたのは、丼にチャーシュー、ひき肉、海苔、卵黄、ニラ、ねぎ、魚粉、ニンニク・・・と詰め込まれたもの。これを極太麺と一緒に混ぜる。一口食べると、ニンニクの香りと共にパンチの効いた塩気が到来する。"濃厚"、そう表現すべきなのか"味が濃い"と片付けるのか迷うところであるが、とにかく食べ進める。汁気が無いので、本当に具材の風味が直球で飛び込んでくる。
最後にご飯を投入する食べ方もあるようだが、どうも味の濃さにやられてしまい箸が進まなかった。
強烈なまぜそば初体験で、他に比較する余地もないのだが、正直なところ食指は動かないと感じた。やはり麺はスープとの組み合わせが大事であると思うし、この濃さはバランスを欠いている。

【住所】神奈川県川崎市高津区溝口1-6-1 クレール溝口 1F
【最寄駅】溝の口駅から徒歩5分
【営業時間】11:30〜14:30、18:00〜21:30
【定休日】月曜

ブックレビュー(300)ー『空白の戦記』 

March 16 [Thu], 2017, 20:00
ブックレビューもついに300回、blog化を始めてからの300冊であるから実際に読んだものはこれを上回っているのだが、年50冊(≒週1冊)を目標に続けていきたい。

節目の回に、最近はまっている吉村昭の本が来たのは、何かの因縁だろうか。
本書では、1935年に台風被害で海軍艦艇の艦首が破断した第4艦隊事件を扱った「艦首切断」、その前年に発生した水雷艇「友鶴」の転覆事故の「顛覆」など6編が収録されている。記録小説の大家である吉村の作品集にしては珍しく、鉄血勤皇隊に召集された少年兵を主人公にした「敵前逃亡」というフィクションが含まれている。

いずれの作品でも、戦争の悲惨さや人々の生活に与える影響が、淡々とした筆で描かれている。吉村昭がひらすら追い求めて続けていた証言と、語る人々が直面した出来事について、どう受け止めるかは読者に任されている。短編種ながら、余りに濃密な情景が目の前に広がり、圧倒される。これぞ吉村作品。

ブックレビュー(299)ー『日本海軍400時間の証言』 

March 12 [Sun], 2017, 20:00
戦後、帝国海軍の軍人が集まり、「海軍反省会」を行っていた。この録音テープが発見され、NHK取材班がテレビ化しているのだが、その番組を文庫化したもの。ハードカバーが出た際に立ち読みをしたが、ハードカバーで買うほどのものではないと感じており、文庫化されたので購入。

内容は取材班6名が分担したもので、それぞれの視点で証言内容を取り上げている。こういったものの特徴なのかもしれないが、記者自身の話(子供が産まれて育児休暇を取得、復職して・・・云々など)が度々登場し、鬱陶しい。
もちろん、「特攻作戦」について自己正当化に終始する中澤佑中将の話などは貴重なものであると思うのだが、折角の証言をもってしても「やましき沈黙」によって作戦が実施されたという事実の指摘に止まり、教訓を導き出しているとは言えない。
製作者の日記を読んでいる気分であり、体系的な学習にも思考の材料にもならない。

ニンニク入れますか?(116)ー『江戸一』 

March 09 [Thu], 2017, 20:00
会社帰り、夕飯にしたいが22時を回って飲み屋くらいしか行き場がない。
大井町駅界隈を探索すれば何かあるだろう、そう頭の片隅で考えつつも、結局はラーメン屋を目指してしまう貧困な舌には困ったものだ。
東急の改札口を出てすぐにある『江戸一』は、存在は知っていたものの入ったことがなかった。正直、余り綺麗とは言えない店構えだったので躊躇っていたのだが、意を決して暖簾をくぐる。

「豚鳥つけめん」(700円)を頼むと、餃子無料券を渡される。そして、麺の種類を選ぶように促され、メニューをよく見ると、「1:モチモチ手もみちぢれ麺、2:ツルツルのどごしストレート麺、3:バリバリピソソバ極細麺、4:太麺」と標語のような一覧。つけ麺なので2番(ストレート)を選ぶ。「替え玉無料」なる貼り紙もある混沌とした店内にややひるんでいると、丼が置かれた。店主は案外優しそうだ。



メンマ、ナルトなど定番の組み合わせが沈むスープに、少し黄色味が強いストレート麺をつけて食べる。鶏白湯と豚骨のダブルスープらしく、すっきりしており飲んだ後にも優しそうだ。ただ、特徴が無いと言ってしまえばそれまで。値段も安いから、〆に利用するのが一番かもしれない。


【住所】品川区東大井5-3-9
【最寄駅】東急大井町駅から徒歩1分
【営業時間】11:00〜25:00(土曜〜24:00、日曜〜21:00)
【定休日】不定休

ブックレビュー(298)ー『昭和の戦争』 

March 07 [Tue], 2017, 20:00
最近は日中戦争・太平洋戦争を巡る世界の動きに関心があるのだが、これは「日記」に残された日常やその場の感想を基に、彼らが何を考えてどう感じたのか、その時代を理解する手助けとして紹介してくれる。
政治家や軍人の日記はよく引用されるが、喜劇役者古川ロッパの日記が面白い。戦時下でも最初の頃はかなり贅沢をしており、食事や街の様子でそれが見て取れる。しかし、灯火管制の開始など次第に街が暗くなっていく。文化人で経済的にも裕福だったせいがあるのかもしれないが、市民は案外冷静に世の中を見ていたように感じられる。人々の息遣い、それを感じないと歴史の真実は見えてこないだろう。面白い視点の一冊だった。

ブックレビュー(297)ー『日米開戦と情報戦』 

March 05 [Sun], 2017, 21:50
情報をどのように解釈するのか、というのは重要なことでこうしたインテリジェンス活動は日本人が苦手とするところだった・・・という。
だが、現実には米国や英国でも誤訳や誤読による思い違いが存在していた。

日本では、情報を独善的に解釈して脅威や戦果を誇張し、不都合な真実は闇に葬られていった。そして、陸海軍や政党間の対立によって政策決定は歪められていく。幾ら優駿な人物であっても、真実を直視し情報を活用することができなければ、誤った判断をくだす可能性がある。
日中戦争・太平洋戦争の時代について、政策決定過程とインテリジェンス活動を結びつけ、日本と米英を中心とした諸外国をインテリジェンスの観点で俯瞰する好著だった。


書籍購入記録 

February 18 [Sat], 2017, 23:28
またしばらく放置してしまったが、3冊購入。

こちらは読了。
両論併記と避決定、という罪は現代日本でも繰り返されていると思う。


海軍反省会、というのが戦後行われたのだがその記録。文庫化されたので、読みやすくなった。


やはり最大の関心事はこれ。
歴史は示唆に富む。

プロフィール
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    ・映画-主に戦争映画
    ・旅行-公共交通機関を使っての国内旅行
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■趣味■ 国際政治の勉強、旅、写真、乗り物全般、読書、物書き、映画を見ること、街歩き、酒場巡り ■好物■ 北海道、夜景、Suicaのペンギン、熊、水曜どうでしょう(TV番組)、海上自衛隊、東急電鉄・バス、ボーイング777-200(JAS仕様)、ラーメン二郎、日本酒、スコッチ、スターバックスコーヒー、矢井田瞳、鬼束ちひろ、サザンオールスターズ、ボケの利いた女性
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