ニンニク入れますか?(110)ー『九代目けいすけ』 

December 08 [Thu], 2016, 20:00
休日出社をしようとオフィスへ向かう途中、「腹が減っては戦ができぬ」とばかりにラーメン屋開拓を兼ねて立ち寄る。オフィスは有楽町なので、東銀座まで足を伸ばすことは無く、名前は知りながらも機会がなかった。
15時過ぎと昼食にしては遅い時間だったせいか、先客は数名で寿司屋のような白木のテーブルはガラ空きだった。券売機前で悩むが、「鰹重ね鴨つけそば」(920円)とする。


しばらくして登場したのは、店内同様に美しい容器に美しく盛られた麺。神保町にある『つじ田』もそうだが、落ち着かない。中太麺を汁につけると、鼻腔内に出汁の香りが漂う。とろみはあるがしつこくない塩気で、上品な味わい。そして鴨肉がジューシーでこれまた美味。二種類のネギを取っ替え引っ換え入れて、汁も最後まで頂く。確かに美味いのだが、値段も高い。釣り合っているとは思うが、常用は難しいのが事実。さすが銀座。


【住所】中央区銀座6-12-15 いちご銀座612ビル 1F
【最寄駅】東京メトロ・都営地下鉄東銀座駅徒歩3分
【営業時間】
平日:11:00〜L.O.14:45、17:30〜L.O.22:45
土曜:11:00〜L.O.22:45
日曜・祝日:11:00〜L.O.21:45
【定休日】無休

ブックレビュー(293)ー『海の史劇』 

December 06 [Tue], 2016, 20:00
だいぶ更新をサボってしまったので、順番は前後するのだが吉村昭氏の小説を立て続けにご紹介したい。
本書は、日露戦争で最も有名な戦闘「日本海海戦」について、ロシア太平洋艦隊(バルチック艦隊)の動きを中心として描いた記録文学である。吉村氏の丁寧な取材もさることながら、その情景が目に浮かぶような巧みな筆で、ドラマのように再現されている。

ロシア艦隊はヨーロッパ側から、ケープタウンを通過してマダガスカルで足留めをされつつ、7ヶ月を要して日本海へ到達した。司令官のロジェストヴェンスキー提督は、中立国の冷たい対応、慣れぬ赤道の気候、部隊の士気低下、上級司令部の遅い判断、祖国での不穏な革命の動きに苦しめられ、自らも神経を病みながら戦闘に臨んだ。通説ではロシア艦隊の無能さと、日本艦隊の優秀さが言われるところも大きい。だが、ロシアは決して無能ではなく、また長い航海の果てにようやく祖国のために戦えることで士気は高かった。むしろ日本側が悲壮な決意のもと、猛訓練だけではなく、各地での情報収集や海上の哨戒網を用いて勝利をつかんだと言った方がよいだろう。そして、その後の講和条約に関しても、これ以上の戦争継続が国力上困難であることをよく理解し、国民世論に惑わされずに妥協点を見つけたと思う。

日露戦争については、学校の授業で学ぶよりもこの本を読めばスッと頭に入ってくるだろう。講和条約の交渉を描いた『ポーツマスの旗』とあわせて読みたい。小国日本の限界を知り、政治家は決断し、軍人は自制を保つこと。それが重要なのだと改めて思う。


ブックレビュー(292)ー『戦史の証言者たち』 

December 04 [Sun], 2016, 22:59
このところ吉村昭の記録小説にはまっているのだが、幾つかの作品の基になった証言をテープ起こししたものが本書である。そこでは小説に書かれなかった証言者たちの思いが反映されている。

特に心を打つのは、1944年に訓練中の浸水事故で沈没・着底した伊33号と、1953年の引き上げ作業に携わった関係者の証言。小説としては『総員起シ』に収録されているが、更に詳しく解説されており、生きたままのような姿で見つかった乗員の写真も、わずかだが掲載されている。吉村氏は戦史を取り扱う中で、完璧な事実に基づき書くべきであると考え、丁寧に取材を行うのをポリシーとしていた。その愚直な事実探求の様子がよくわかる。


ニンニク入れますか?(109)ー『龍華亭』 

October 31 [Mon], 2016, 20:00
弥彦線開業100周年イベントで臨時列車が走ると聞き、土曜午後から新潟へ行くことに。
着くと夕方なので、宿泊地である燕三条駅からほど近いここで夕食にする。三条ラーメンは新潟五大ラーメンの一つで、工場へ配達する際に冷めるのを防ぐため、背脂を多く入れているのが特徴だそうだ。



土曜19時前なので家族連れで混んでいるかと思いきや、自分だけ。しかし、後から続々と人が入って来て賑やかになる。登場したのは、「たまねぎ中華」(750円)と「餃子」(550円)。餃子は手作り感漂うへたり具合であるが、餡がしっかりしていて美味い。ビールが欲しくなる。
肝心のラーメンは、濃いスープの色から信じられないくらいあっさりした飲み口。背脂も気にならない。玉ねぎのシャキシャキした甘辛さが程よい刺激だ。うどんのようなもちもちした麺にスープがよく絡み、食べ応えもある。
東京なら行列ができてしまうのだろうが、のんびりとした感じが心まで温めてくれる。


【住所】新潟県三条市須頃1-22
【最寄駅】JR燕三条から徒歩7分
【営業時間】11:30〜14:30、17:30〜21:00
【定休日】月曜

ブックレビュー(291)ー『ポーツマスの旗』 

October 28 [Fri], 2016, 20:00
日露戦争の講和会議と言えば条約の名前にもなったポーツマス会議。そこに日本政府全権として派遣されたのが小村寿太郎、近現代史を知っていればすぐに思い浮かぶ名前であると思う。だが、その人物像とポーツマスでの激しいやりとりについて知っている人は少ないだろう。歴史の流れも大事であるが、時折立ち止まってその細部に目を向けるのも楽しい作業だ。

記録小説で右に出る者はいないと思う吉村昭が、小村寿太郎を取り上げてこの会議と背景にある日本の情勢を生き生きと描いている。国民の怨嗟を覚悟しながらも、国力の限界に達していた日本を救うために大きな譲歩をして会議をまとめた胆力のある外相を、高潔な人物であると思い込んでいた。だが、実像はかなり偏屈な人物であり、また家庭的にも決して恵まれた環境に居たとは言えない人物であることを初めて知った。
だが、世論工作など様々な手を尽くして米国を味方につけ、一方で日本国内と連携して妥協点を模索しつつ、必要な要求を貫き通そうとする。その姿は、ハロルド・ニコルソン『外交』に描かれているような、外交交渉の現実である。

吉村は現地の気候から食事の様子まで、簡素にしかし情景が目に浮かぶような巧みな筆で会議の流れを追っていく。最後にどうなるか、結末を知っていても手に汗握るようなやりとりを味わうことができる。


ニンニク入れますか?(108)ー『ラーメン二郎 新潟店』 

October 25 [Tue], 2016, 20:00
一ヶ月前の話になってしまうが、新潟へお目当ての鉄道車両を撮影に出掛けた際、ちょうどお昼であったから新潟駅近くにある二郎へ寄ることにした。いま一番新しい店舗、ということで楽しみでもあるし、首都圏以外の二郎がどのような状況なのか気になったところでもある。会津若松駅前店はかなり繁盛していたが、日本海側最大の都市である新潟もさぞや、と考えていた。


雨がぱらつく中、駅前の大通りを万代橋方面へ歩いていくと大きな交差点に差し掛かるそこから右へ曲がって古い街並みが残る地区の入り口に、店舗はあった。

かなり広い店内にはテーブル席どころか、待ち用の椅子が並んでいる。だが、13時過ぎながら並びはなく即座に着席できた。高いカウンターに「小」(700円)の食券を置き、ややあって丼登場。ヤサイマシを頼んだのだが山が崩れてしまい、元松戸店主は丁寧に再度盛ってくれる。


太めの麺に乳化したスープが美味い。豚の塩気も良い具合で、スープと絡めて食べると癖になりそう。量は本店と変わらないかやや少ないくらいだろうか。日本海側に二郎布教活動を確実に進めていくであろう、有力店であると思う。


【住所】新潟県新潟市中央区万代5-2-8
【最寄駅】JR新潟駅から徒歩10分
【営業時間11:00〜14:00、17:00〜22:00(土日は10:00〜16:00)
【定休日】月・第3日曜・祝日

★『二郎レビューリンク』
三田/目黒/歌舞伎町/品川/環七新代田/荻窪/上野毛/関内/神保町/ひばりが丘/立川/大宮/中山/新橋/赤羽/会津若松駅前/JR西口蒲田

ブックレビュー(290)ー『闇を裂く道』 

October 23 [Sun], 2016, 22:26
先日、富山県主催の黒部ルート見学会に参加し、『高熱隧道』の現場を見学する機会に恵まれた。
その話を会社したところ、社長から「丹那トンネルについて書いた、『闇を裂く道』という本がある」と薦められた。吉村昭の作品となれば、すぐに手に入れるしかない。早速ページをめくり、例によって一気に読み終えてしまった。

『高熱隧道』は工事自体の過酷さが中心になっていたが、こちらも生き埋め事故の話が入っているものの、「水に恵まれた豊かな土地」がトンネル工事の影響で水が枯れ、いつしか反対運動に変化してしまう、地域とトンネルの関係が強く印象付けられる。それは、『静岡新聞』の連載小説であったせいかもしれないが、より広い視点で苦難の工事とそれが及ぼす社会的な影響が描かれている。

期待を裏切らない吉村作品の世界に益々はまってしまう一冊であった。なお、文庫で500頁近い分量があるため、吉村作品を手軽に読みたいのであれば、『高熱隧道』をお薦めする。

今夜は映画評論(112)ー『海峡』 

September 26 [Mon], 2016, 20:00
【粗筋】
京大で地質学を専攻し、国鉄に入社した阿久津(高倉健)は、「津軽海峡地質調査事務所」勤務を命ぜられて青森県・龍飛へ赴任する。漁師の協力を得ながら調査を進めるが、厳しい気候に阻まれる。ある日、台地の地質調査をしていたところ、自殺しようとしていた多恵(吉永小百合)を助ける。
青函トンネル事業は中々進まず、阿久津は明石海峡への転勤を命ぜられる。調査も残っており、青函トンネルにこだわる阿久津だったが、一旦は転勤を受け入れる。そのような中、国鉄総裁の交代もあり、青函トンネル事業が前進することになり、再び龍飛へ着任することになった。

結婚しても別居が続く阿久津の妻(大谷直子)、満州からの引き揚げ中に娘を失ったトンネル屋・源助(森繁久弥)、洞爺丸台風事故によって親を失った過去を持ち鉄建公団へ入った青年(三浦友和)、そして密かに阿久津を思い続ける多恵を軸に、仲間を失い、家族を犠牲にしながらもトンネル貫通に賭ける人々が描かれている。

【感想】
映画公開は1982年、映画の主題となった先進導坑(パイロットトンネル)が実際に貫通したのは1983年1月。東宝50周年を記念した作品ということもあり、映画の完成が急がれたのかもしれない。
だが、CGや特撮無しの映像は迫力で、斜坑・導坑・作業抗の掘削場面、特に出水場面が凄い。最近は吉村昭の記録小説にはまっているのだが、時代が違うとは言え『高熱隧道』や『闇を裂く道』で描かれている山の恐ろしさ、これを乗り切ろうとするトンネル屋の執念が同じように漂っている。
家族を犠牲にし、25年間青函トンネルに関わり続けた阿久津は、何に取り憑かれていたのだろうか。
貫通後、彼は青函トンネルの軌道工事への転任を伝えられるが、トンネル掘りの現場から離れることを拒み、海外でのトンネル工事現場へ向かうシーンで映画は終わる。妻は離婚を漂わせる発言をするが、彼の耳には届いていない。知らぬ間に成長した息子とあわせ、大変残酷な描写でもある。歴史的事業の裏側にいたトンネル屋の生き様を描いた傑作として、もっと広く知られるべきものだと思う。



ブックレビュー(289)ー『深海の使者』 

September 24 [Sat], 2016, 20:00
太平洋戦争勃発した直後の1942年4月22日、建造後2ヶ月の新鋭潜水艦伊30号が秘密任務を帯びて出航した。インド洋からアラビア海周辺での作戦行動を行った後、アフリカ南端を経由してドイツまでの3万キロの航路を確立するためだ。やがて双方の人材や日本からは海図や南方の物資、ドイツからは最新の電探(レーダー)などの機材が交換されるために、幾たびか行き来が行われた。徐々に日独が不利となっていく戦況に影響される、危険な航海の様子を描いた記録小説が本書。

吉村氏特有の淡々とした筆で、息詰まるような水面下の航海の様子が目の前に広がってくる。荒天の続く海域での故障、敵機との遭遇・・・欧州からの帰路、日本軍占領下にあったシンガポールにたどり着いた伊30であったが、触雷によって沈没してしまう。結局、5回の航海のうちで往復に成功したのはたったの1回という過酷な旅だった。
日独の潜水艦運用の違いや、日本軍がソ連を刺激することを恐れていた実態(事実、日本陸軍は中国東北部においてソ連の対日参戦を警戒していた)、ドイツ降伏時にUボートに同乗していた士官の運命、そして日本降伏にあたって伊401艦内ので第一潜水隊司令の自決といったエピソードも絡めて、戦争の断片を知ることができる。
インド独立運動の闘士チャンドラ・ボースを潜水艦で連れてきた話は知っていたが、恥ずかしながらこのような連絡航路が設定されていたことは知らなかった。吉村氏が丁寧な取材をとおし、知られていない歴史を浮かび上がらせる作業を続けてきたことに、改めて感服した。

ブックレビュー(288)ー『戦艦武蔵』 

September 21 [Wed], 2016, 20:00
戦艦武蔵と聞けば、世界最大の戦艦「大和」の姉妹艦であることを知っている人は多いと思う(さすがに3号艦「信濃」の存在を知る人は少ないだろうが・・・)。
だが、「武蔵」の具体的な航跡については広く知られていないのではないだろうか。2015年、フィリピン沖の海底で「武蔵」の艦体が発見され、注目を集めた。1942年就役、1944年沈没この短期間に散った「武蔵」が、同型艦「大和」と違って注目されなかったのは何故か、そういった問いかけから日本人の戦争観を分析している。

「大和」との対比については、「大和=明、武蔵=暗」としている。それは森下・大和艦長と猪口・武蔵艦長の評価と結びついているという。レイテ沖海戦当時、森下艦長は在任期間が長かったため操艦に慣れており、巧みに魚雷をかわした。そもそも巨体ゆえに運動性に問題のあった大和型に苦労した猪口艦長指揮の「武蔵」は被弾、沈没していった。敵艦隊を引きつける囮だった「武蔵」はその役割を十二分に果たしているものの、結果として明暗分かれてしまったことも、後世への影響大なるところだったのだろう。
また、「武蔵」は乗員の半分弱が生還しているが、その後は情報漏洩防止という名目で一部はフィリピン守備隊へ組み込まれ、本土へ送還されたメンバーも輸送船が撃沈されるなど、悲劇がつきまとった。沖縄への海上特攻時、「大和」の生存者は1割にも満たず、その後すぐに敗戦を迎えたのとはまた対照的であった。

著者は「艦これ」に始まりサブカルチャーから戦記まで広く資料にあたっているのであるが、肝心のテーマである「なぜ武蔵は忘れられたのか」という点について、答えは示されていない。時折、決めつけとも思えるような強引さも見受けられ、全体的に違和感を覚える。無論、「武蔵」自体に興味がある向きには良いのかもしれないが、「大和」との比較をしっかりと書いて貰いたかった。

プロフィール
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  • アイコン画像 ニックネーム:さのってぃ
  • アイコン画像 性別:男性
  • アイコン画像 誕生日:5月2日
  • アイコン画像 血液型:A型
  • アイコン画像 職業:会社員
  • アイコン画像 趣味:
    ・映画-主に戦争映画
    ・旅行-公共交通機関を使っての国内旅行
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■趣味■ 国際政治の勉強、旅、写真、乗り物全般、読書、物書き、映画を見ること、街歩き、酒場巡り ■好物■ 北海道、夜景、Suicaのペンギン、熊、水曜どうでしょう(TV番組)、海上自衛隊、東急電鉄・バス、ボーイング777-200(JAS仕様)、ラーメン二郎、日本酒、スコッチ、スターバックスコーヒー、矢井田瞳、鬼束ちひろ、サザンオールスターズ、ボケの利いた女性
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