磨幌刃の 俺の世界がRPGになった小説を転载するその3

November 02 [Fri], 2012, 17:34
その3

 翌日、気持ちよく目覚めた俺はスマホに十通以上もメールが来ていることに気づいた。送ってきたやつは母と中学校の時の友達2人と残りが高校の友達。やはりみんなこの事態に戸惑っているようだ。とりあえず全員に『ドントウォリー ビーハピー』と返信しておく。あと今日は学校が休みらしい。当然と言っちゃ当然だな。メールによると道にスライムとかゴブリンが闊歩しているらしい。なるほど、まさにRPGだ。ふざけんな。

 これは由々しき事態だ。とりあえず家の周りのモンスターだけでも片付けておこう。

 適当な服を見繕って家を出る。玄関を開けると、確かにゼリー状の蠢くスライムがズルズルと道を動いていた。とりあえずキックしてみる。するとスライムは何の抵抗も出来ずに地面のシミになった。あれ、言ってた割りに弱いな。あ、スライムだからか。とにかく進んでみよう。

 それからまっすぐ進んでいると曲がり角からスライムの大群が現れた。

「いくらなんでも唐突過ぎるだろ。俺はまだスライム一体しか相手してないんだぞ。」

 俺の実力で何とかなるのか? ・・・いや、やるしかない。やらなきゃ死ぬかもしれないんだ。全然自覚無いけど。とりあえずダッシュで蹴ればサッカーと同じ要領でどこかに飛んでいくだろう。そしたらきっと他の人が相手をしてくれるはず。

「俺の、全力を受け取れ!」

 全速力でダッシュ、からの全力キック。これによってスライムの半分が壁にぶつかってつぶれ、四分の一がその場で消滅した。あれ、俺もしかして結構強い? 調子に乗って死ぬのはごめんなので最後まで気を抜かずにつぶしていく。闘う前に決めた覚悟とはなんだったのだろうか。とりあえず無傷でよかった。

 この程度なら全然問題ないな。どんどん進もう。RPGのダンジョンとは違いここは幼い頃から見知った道だ。迷うなんてことは時空が歪んでいない限りありえない。再び遭遇したスライムを何の感慨も無く踏み潰すとピロリーンと心地のいい音が響いた。今度は何だ?

『レベルが上がりました。STR・VIT・AGI・MINが上昇します。』

 おぉ、やった。雑魚ばっかりと闘っていたから全然強くなった感覚が無いのだがレベルが上がってしまえば仕方が無い。自分の成長がわかるというのはいいな。少し楽しくなってきた。

 さらに歩くこと数分。今度はスライムと違うモンスターに遭遇した。緑色のゴツゴツした肌に醜い顔、俺の腰ほどしかない背丈。右手に棍棒を持っているところを見ると十中八九ゴブリンだろう。ゴブリンは俺を見るとギャギャと君の悪い声で笑った。うわコイツウザい。コイツには俺の全速全開キックをお見舞いしてやろう。

 ゴブリンが俺に走ってこようとする前に俺はダッシュして思い切りキックした。クリーンヒットしたゴブリンはゴミくずのように宙を舞った。これで終わりだ、と思ったのだがゴブリンは空中で一回転しながら着地するというアクロバティックな芸当をやってのけた。こいつ中々やるな。

 立ち上がったゴブリンが再び俺に向かってくる。その心意気やよし。だが動きがあまりに直線的過ぎた。棍棒を振り上げた瞬間、俺は後ろに跳んで避ける。振り下ろされた棍棒はアスファルトの地面にぶつかり、地面が少しへこんだ。え、思ってたより威力強い。一瞬集中が途切れたが、すぐに気を取り直す。俺の足が地面に付くと同時に姿勢を低くして前に跳び、攻撃直後で無防備なゴブリンの顔に渾身のアッパー。俺の拳はゴブリンの顎を意図も簡単に砕き、ゴブリンはグギャと蛙が潰れたような声をあげて吹き飛んだ。そしてゴブリンはそのまま地面のシミなり、やがて完全に消えた。死体どころか血一滴も残っていない。

「ちょっと待って。俺はゴブリンがシミになるくらいまで殴ってないぞ。なのにどうして。・・・もしかしてモンスターは死んだら皆こうなるのか?」

 だとしたら流血耐性のない俺にとっては大歓迎だ。これでスライム以外のモンスターとも気兼ねなく闘うことができる。シミにならずに残った棍棒を拾って先に進んだ。

 その後も特に怪我を負うことなく進み、無事に我が家に辿り着いた。あのとき拾った棍棒は予想以上に役に立ち、一般スキルの中に新しくスイングというスキルが加わっていた。さらに装備の欄に棍棒が増えていた。この棍棒はRPG風に言うとドロップアイテムだろう。さしずめ『ゴブリンの棍棒』といったところだろうか。お腹が空いてきたので時間を見るともうお昼だ。一旦ご飯にしよう。俺はまた送られてきたメールを処理しながら飯の準備をした。
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