肆拾陸歌仙 

May 23 [Mon], 2016, 2:43


暖冬かと思っていたら急に身に染みる気候になってきた。
しかも今日の本丸は無防備に外に出れば数秒でずぶ濡れになるほどの大雨。
きっとこの雨でなんとか木にすがりついていた残りわずかな木葉も地面へと落ちてしまうのだろうと落ち葉掃除をいつやろうか考えながら、縁側を歩き塗れたままの髪をわしわしと掻いていた。
すると曲がり角から勢いよく飛び出してきた小さな影に驚いて一歩退く。


「あるじさま!」
「おお今剣、どうかした?」
「かせんがあるじさまをさがしていたのでつれてきました!」
「やあ」


曲がり角からゆったりと現れたのは動く度に美しい刺繍が覗く肩布を垂らした歌仙兼定だった。
相変わらず雅である。


「こんな時間に湯浴みかい?」
「あー、うん」
「あるじさまはかせんとちがって、ぼくたちとあめのなかどろあそびしてくださるんですよ」
「へぇ…」


今剣の言葉が大量の油となって歌仙に降り注ぐ…!!
さすがにこんな気候の中短刀たちと雨の中泥遊びをしていたのはオカン組には秘密にしておこうと思ったのに。
しかも歌仙は汚れる系の話は嫌いだし、そもそも雅じゃないと文句を言われてしまうだろう。


「そんな事より歌仙、何か用があったんじゃないのか」
「そうそう、手伝いの分の書を終えたから確認してくれないかと思ってね」
「おお、了解了解」


そう言うとつまらなそうに俺たちを見上げていた今剣がさらにぷくりとその柔らかい頬を膨らませた。
ああつつきたい。


「あるじさまはおしごとですか」
「うん、また遊ぼうね」
「はい!」


岩融の所へでも行くのか元気よく廊下を走り出す今剣。
横から溜め息が聞こえたのは、あの子に注意しても仕方がないという諦めのものだ。
それほどに天真爛漫。


「かせん、あるじさまをいじめてはだめですよ!」


たたた、と軽い足音を残して小さな天狗は消えていった。
それを見送った俺たちはただただ雨音に包まれる。


「いつ僕が君を苛めたのかな?」
「いつも小言言ってるじゃん。小姑みたいに」


不本意だというように顔を歪める歌仙を素通りし、今剣が向かった方とは逆の俺の部屋へ歩き始める。
風に吹かれた細かい雨が、俺の頬を濡らした。







ーーーーーーーー

歌仙と一緒に俺の執務室に入って一刻程。
仕事は粗方片付き、俺の髪もだいぶ乾いて軽くなっていた。


「今日は仕事量少なくて楽だなぁ」
「だからと言ってこんな雨の中泥遊びなんてしなくてもいいんじゃないかな」
「たまには変わった遊び方もしないと」


雨の中動き回る彼らの周りはなんだか輝いて見えた。
楽しそうに駆け回っていた短刀たちを思い出して頬が緩む。
そしてそんな俺を見て深くため息を吐く歌仙。


「雅を理解しているのに、どうしてそんな振る舞いをするのかな君は…」
「そりゃ楽しいからに決まってんじゃん」
「楽しい?汚して、濡らして、身を危険に曝すことがかい?」
「危険って…」


昔の人は風邪で命を落とすことも良くあったらしいから体調管理についてはよく注意される。
今は風邪なんて栄養のある物食べて寝てりゃあすぐ治るのにな。


「僕たちの主は君なんだから、ちゃんとしてもらわないと」
「へいへい」


唇を突き出しながら息を吐けば不服そうな視線を送られる。
それに気づかない振りをして固まりつつある肩や背中を解すように伸びをして疲れてきたアピール。
すると歌仙は何も言わず部屋から出ていき、早々に戻った手には急須の乗った盆があった。


「やれやれ、君は行動に斑がありすぎるね」
「はっはっはー」


そんな事を言いながらも長い付き合いなだけあってよく解ってらっしゃる。

他にも世話を焼いてくれる刀はいるが、歌仙の前では完全に気を抜いていられる。
歌仙だけはなんだか違う。
言うなれば特別、だ。


「…僕から色々言われるのは嫌かい?」


俺の机に湯気の立つ湯飲みを置きながらぽつりと零した。
その瞳からは感情が読み取れず少し動揺する。

周りから見れば小言ばかり言われているだけのように見えるかもしれない。
しかし彼は俺という人間にとって最善の言葉選びをしてくれるし、注意はすれど厳しいことも、甘やかすことはあれど盲目的でもない。
それは俺をよく理解してくれているということ。
彼は数多くいる刀剣男士の中でも群を抜いて人間味のある奴だと思う。


「全然。色々言ってくれるのはそれだけ見てくれてるってことだからね。いつも心配してくれてありがとうな」


少し驚いたように眼を見開いたが、すぐにいつも通りの柔らかい笑顔。
桜の花弁が舞った様に見えたのは気のせいだろうか。


「まったく、君は困った主だよ」
「手が掛かる子ほど可愛いだろ」
「手が掛からないから可愛くないね」


お茶を含めば香りと円やかさに全てか溶けていくようだ。
俺の好みに煎れてくれたのか、そもそも彼の味が俺好みなのか。
ただそれは出会ってから一年経っても変わらない。
はぁ、と息を吐けば抜ける香りがまた格別。


「主」


俺の前に正しく居座り広がる裾を正した歌仙は、上等な焼き物を眺めたり、渾身の歌に息を洩らしたり、移り変わる四季の欠片を愛でたりする時のような表情で俺を見ていた。
その穏やかでいて真摯な佇まいに俺は好意が沸きあがる。


「一年間、お疲れさま。これからも変わらずよろしく頼むよ」


いつもとは違う、少年のようなはにかんだ表情に身体が勝手に飛びついた。
そういえば歌仙は就任一年パーティーの時は、歌のいいネタになる、みたいなことを言っていただけで特にらしい会話をしなかった。
主役である俺はみんなに囲まれていて、ふと気付いたときには歌仙は姿を消していて。
興味がないのかと少し寂しくもあったのだ。


「はは、一年前を思い出すね」


一年前、俺が審神者になった日。
初めての出陣で、初めての重傷。そして初めての手入れ。
塩梅なぞ知り得ない俺と歌仙に無茶をさせたこんのすけに本気でキレて、半泣きで手入れをした。
手伝い札を使ってすぐに元通りになった歌仙に、俺はしばらく縋りついて謝り続けていたのだ。


「こんなに刀も増えて、今や君も立派な主だ」


そう言って俺の腰に回された腕は主従だけではない何か別の感情も孕んでいて。


「少し寂しくもあるけど、純粋に嬉しく思うよ」


見上げると細められた瞳の奥には確かに、人と同じ感情が映し出されていて。
奥ゆかしさを説く歌仙がこんなにも感情を伝えてくるのは珍しく、それこそ刀剣が十を越えた辺りから久しい。
最初は短剣も多かったし遠慮…のような感情があったのかもしれない。
それでもずっと側に居てくれた。
…さあ、この気持ちを今伝えなくていつ言う?


「俺が一番信頼してるのは歌仙兼定、お前だよ」
「本当かい?」


弾かれたように顔を突き合わされ少し驚いていた歌仙はそのうち嬉しそうな表情へ破顔する。
つられて笑って俺たちにしてはかなり幼稚に、お互いの好意をさらけ出して抱き締めあった。

たった一年と言われるかもしれない。
それでもその濃密な一巡りはありとあらゆる変化を起こし続けた。
家族のように過ごしながら、ふと彼らが人ならざる者だと突きつけられる事もある。
それでも俺たちは共に在り続けたし、これからもさらに賑やかになっていくことだろう。

しかし俺は忘れない。
初めてこの本丸に足を踏み入れた時、ここにはたった一人と一振りしか居なかったこと。
その一振りこそが今目の前にいる、歌仙兼定だということを。

そして大切にしよう。
他の刀剣男士とは築けない、特別な関係を。


「歌仙、いつもありがとね」
「此方こそありがとう、主」


彼は、俺が選んだ最初の一振りなのだから。










ーーーーーーーー


審神者一周年の時に見てメモってた夢。


やっぱり初期刀は思い入れ抜群、なんだけど歌仙のコメントが素っ気なくて少ししょんぼりした記憶。


俺の本丸は昔はグレー本丸だったんだけど、今は最初の入隊訓練以外超ホワイト本丸になりました。



三日月は程良く気を抜けさせてくれるし、
子狐は他の子に冷たいけど俺の物理的癒しだし、
石切さんの祈祷を邪魔してよく怒らせてるけど、
岩融の豪快さは見てて気持ちがいいし、
いまつるちゃんはいつも跳び回ってて見てて飽きないし、
数珠丸はなんだかんだ優しいし、
青江はエロ発言多いけど戦闘狂でズッ友だし、
鳴狐は案外好奇心旺盛で人懐っこいし、
一期は何か知らんが怖いけど、
ずおばみは悪戯遊びに混ぜてくれるし、
短刀たちは俺と遊びたがったり膝に乗りたがったり懐に入りたがったりで可愛すぎて辛いし、
うぐは案外率先して遠征に行って茶葉を買ってきてくれるし、
明石は口ではああだけどいざという時はしっかりするし、
蛍は疲れている時は俺の側で休んでくれるし、
蜻蛉切は頼りになるからから安心して隊長を任せられるし、
光忠はオカンでいつも俺の服装に怒ってくるけど、
江雪さんは和睦のためと色々助言してくれるし、
宗三はツンデレだけど俺のこと認めてくれてるし、
さよちゃんは一番気にかかる子で出来るだけ側に居たいし、
加洲は乙女のようで案外男らしいし、
安定は一人の時は甘えてくれる恥ずかしがり屋だし
歌仙は俺の誇るべき初期刀だし、
兼さんは文句言いながらもなんでも楽しんでやってくれるし、
むっちゃんは諍いが起きても間に立ってバランスを取ってくれるし、
まんばはあまり卑屈にならなくなってきたし、
山伏さんは相変わらず俺を鍛錬に巻き込もうとするけど、
堀川くんは頼めば嫌な顔せず何でもしてくれるし、
蜂須賀は実はすごく優しく気の利くやつだし、
浦島くんはあの奔放さで元気をくれるし、
長曾根さんは仕事に関しては真面目で絶対怒らないし、
髭切は何も考えてなさそうで仲間はちゃんと守ってくれるし、
膝切は兄以外は分け隔て無いから一番顔が広いかもだし、
くりちゃんは案外短刀たちと仲良しだし、
へしはちょっと盲目的だけど最近は少し素を出すこともあるし、
獅子王は相変わらずの可愛げ爆発だし、
たぬきちは裏表なくどんな刀とも話せるし、
鶴丸は本丸を掻き乱すけど一番空気が読めるヤツだし、
たろちゃんは大きくて優しくて頼りになるし、
じろちゃんはいつも楽しい酒の席に誘ってくれるし、
日本号は大人組の緩衝材になってくれるし、
ぎねは実は一人で何でも出来ちゃうタイプで短刀の面倒も見てくれるし。



みんなだいすきだよ!



ぐっばいかごしま 

May 08 [Sun], 2016, 5:52



まさか始発で帰ることになろうとは…





この歳で完徹は後に響きそうですなぁ



薄桜鬼 

February 25 [Thu], 2016, 0:28




やってます。


斎藤→沖田→藤堂→原田(イマココ)→風間→土方を予定。


なんか恋愛イベ来るたびに「嗚呼、これが恋愛ゲームというものか・・・」と不思議な気持ちになりまする。

おなご方がハマる理由は分かるけど、俺には違った方向での刺激が足りないっすな。(戦いとか闘争とか戦闘とか)



というかあれね、ルート入ったら完全に二人の世界ね。

もっとみんなでワイワイしたいけど題材的にしゃーないか。まぁそこは追加要素で楽しんで、って感じなのかな。




つーか今のところ全ルートで後半の土方さんの心境を想うと切なくて鞍替えしたくなるw

土方さんいい男すぎて泣きそう。






斉藤さんがかわいい。

セカンドチャレンジ 

February 25 [Thu], 2016, 0:23


とあるポケモン実況をラジオ代わりに流してたらやりたくなったのでポケモン開始。


前回名前は戦国武将縛りだったので今回はテイルズ縛りで。




相棒はヒトカゲ。つるっとした頭がかわいいなぁ。




まぁドラゴン大好きだから進化してもおk。最初のポケモンは最終メンツ確定。










↓なんか吹いたw

白い街 

January 24 [Sun], 2016, 15:39



急に訪れる寒波



震える住民



おののくタクシーの運ちゃん



夜明けぜよ 

January 15 [Fri], 2016, 5:27



気付けばもう朝。




起床時間は9時。





眠れないよぅ…




最愛の君へ 

December 14 [Mon], 2015, 1:11


家族になってくれてありがとう。

一緒に遊んでくれてありがとう。

眠れない夜に側にいてくれてありがとう。

嬉しいことも、愚痴も、聞いてくれてありがとう。

体を動かすことも辛いのに、会うと必ず俺の股の定位置に丸まりに来てくれてありがとう。

視覚も嗅覚も聴覚もないのに、俺にだけ見せる仕草をしてくれて嬉しかったよ。

いたずらもしたしされたけど、一度も怒った事はなかったね。


君がいたから俺は俺として生きてこれた。
君は俺を形成する一部だよ。


ありがとうほんとうに。

言葉では言い尽くせないや。





きっとこの世で一番愛していたよ。

きっとこの世で一番心を許していたよ。


最近はあまり会えてなかったね。それだけが心残りです。ごめんね。


絶対に、一生、忘れないよ。忘れるわけがないじゃない。



いつかどこかでまた会えますように。

それまでどうぞ安らかに。



おつかれさま。長生きしてくれてありがとう。


大好きだよ、チョク。

だめだ 

December 12 [Sat], 2015, 1:47


昨日全く寝れてないのに寝れない。



何かしてるときはまだいいんだけど、何もしないとやばい。





寝られないよ…


ギシギシアウアウ 

December 05 [Sat], 2015, 2:01


今日は起き抜けに珍しく鼻水が出て熱っぽい感じがしたので歳も歳だし暖かめの格好で出勤。

職場の人に「え、風邪?」とすぐに言われてしまいました。そりゃそうか。



午前中は普通に仕事してたけどどうにも止まらない鼻水とたまに出る咳。

昼に早退命令が出たので、ひゃっほーいゲームでもやるかぁ!なんて思ってたけど頭重いし眠気がきたので軽く飯食って昼寝。

2時間くらい寝てたようだが起きたら頭痛。



締め付けられるような痛みだったのでカフェインを摂ろうと気休めのレッドブルを一気。

なんとなく治まった気がしたのでパソコンで作業。

体冷えたらベッドでぬくぬく。


孤独のグルメを見てたら腹減ってきたので寝ようとベッドへ。





なんか寒い。全然暖かくない。


頭痛が戻ってきた。なんなら膝も痛い。




あうあう言いながらベッドをのたうち回る。





根本的に暖めるしかない、と風呂を沸かす。



三分の一も溜まってないのに我慢できず入水。




首まで浸かってまったり…痛みが無くなってきた…←今ここ




風呂出たらすぐ髪乾かしてベッドに入ろう…




乱れそめにし我ならなくに 

December 01 [Tue], 2015, 2:12


「暫くは安静だな、大将」


治療道具を片付ける彼を視界の隅で認識しながら外を眺め、考えきれないほど長い時に存在し続けていた彼の感覚の暫くとはどれくらいなのかと一瞬だけ憶測する。

嗚呼、外はあんなにもいい天気だというのに俺ときたら。


「絶対安静、だからな」


分かったな大将、と更に念押しをして部屋から出ていく薬研に言葉にならないような適当な返事をしながらひっそりと右足を曲げてみる。


「いっ!」


漏れた声は遠ざかっていく薬研には聞こえなかったようで、部屋には布団の中で情けなく悶絶する俺のみ。



発端は数日前。



いつものように内番の様子見をしながら本丸内を散歩していた時だ。
手合わせ組の加洲と安定に遭遇して誘われたので混ざってみた。
気が付けば二対一になり、観客も集まっていた状況で熱が入るのは必然。
ぎりぎりの所で切っ先を交わしたと同時に別方向から気配が来て咄嗟に体を動かした、が。
準備運動をしなかったせいか足が付いてこず、右膝を思いきり捻ってしまったのだ。
しかしながらすぐさま冷水で冷やし少し休んでいれば痛みは引いたので大したことではなかったと気に留めなかった。
それが数日たった今朝、急に激痛をもたらしたのだ。

ちなみに避けきれずに咄嗟に庇った左腕の痣はまだ残っていて、会う人会う人に心配をされたり怒られたり呆れられたりはまた別の話。

そして朝、俺を起こしに来た長谷部に薬研を呼んでもらい今に至る。


「安静、ねぇ…」


正直どこからがアウトなのかがよく分からない。
自分でもどこまで動けるか分からないがトイレぐらいは勝手に行ってもいいよな、と一応最悪の想定をしておくことにする。


「長谷部に御座います。主、お加減はいかがでしょうか」


襖の外に現れた陰はシルエットだけでも長谷部だとわかるくらい正しく座していた。
入っていいよと促せば、やはり礼儀正しく入室した。


「食欲はありますか」
「うん、足以外は元気そのもの」
「それは良かったです」


俺の側に朝飯を置いた長谷部は再度姿勢を正し向き直る。
何一つ乱れない彼はいつも通り僅かに視線を逸らしていた。


「主、本日は私が出陣の部隊長を務める事になっていますが、このような状態の主を一人残して行くのは家臣として憚られます」
「落ち着け長谷部。ただ足が痛いだけだから」
「お一人で身動きが取れない状態は重傷といいますよ」
「そもそも一人じゃないし。皆いるから大丈夫だって」
「しかし…」


なかなか折れない長谷部に焦る。
心配してくれているのは分かるけどこれじゃあ俺は長谷部がいないと何も出来ないヤツみたいじゃないか。
刀剣男士たちに示しがつかん。


「部隊長ってのは戦場に行けない俺の代わりに指揮を執る役だ。だから信頼できる奴にしか任せられない。…分かるな?長谷部」
「主命とあらば」


なんてちょろ…素直なんだろうこの子は。愛いやつめ。
頭を垂れた長谷部の頭を撫でくり回したくなったが動けないので断念。
三日月風に言うとあなや。


「そうだ、編成変更を頼む」
「はっ。」
「部隊長へし切り長谷部、次いで鶴丸国永、今剣、小狐丸、加洲清光、大和守安定、以上六名で出陣するように」
「御意に」


人選はお察しだろう。
全くもって嫌ではないのだが、この子等が現れたら構ってあげない自信がない。(一名除く)
なので申し訳ないが出陣してもらおう。
一番申し訳ないのはまとめ役の長谷部なので今度なにかご褒美でもあげるかな。


「それでは行って参ります。後ほど様子を見に来させますので、安静になさってください」
「行ってらっしゃい」


では御前を失礼致します。と出て行く長谷部に手を振り食事に手をかける。
上体を起こしておくのも辛いので一瞬の痛みを堪えて体を横向きにして肘を立て、罪悪感が芽生えるほど行儀が悪いが仕方がないと言い聞かせた。
文句の付けようもない食事も痛みを警戒してか味が薄く感じ、少し悲しい。
それでもちゃんと味わって米粒一つ残さず食べきり体勢を戻して一息ついたところで見計らったかのように入るよ、と光忠が入室してきた。


「朝餉は済んだ?」
「うん、美味しかったよ。ごちそうさま」


お粗末様でした、といつも通りの笑顔を返しながらもお椀と小鉢の蓋を開けて完食を確認するこいつはオカンに違いない。
そして俺の方に向き直りさほど乱れてもない布団を整える光忠は着々とオカンランクを上げていく。


「僕今日は畑に行くから付きっきりになってあげられないんだけど…」
「いいよいいよ。付きっきりになられても困るし」
「そう言うと思った。とは言え動けないみたいだし、誰かしら近くに居るようにしてるから呼んでくれれば駆けつけるよ」
「ありがとう」


さすが光忠、中も外もイケメンすぎるぜ。
ん?イケメンなオカンってなんだ。まぁいいか。
それじゃあ行ってくるねと部屋を出ていく光忠を見送り一息。

さて、暇だ。

もう寝てしまうしかないと思うんだけどそんなにすぐには寝れない。
普段昼寝はしないしな。
あ、短刀たちとなら喜んで寝るけど。
なんてくだらない一人問答を繰り返しているといくつかの気配を感じた。
光忠がぴったりと閉じていた障子にいくつかの小さな陰が透けている。
入っておいでと声をかけるとゆっくり戸が開き、顔を覗かせた心配そうな顔の短刀たちと目が合った。


「あるじさまぁ〜…」
「どうしたの、そんな顔して」
「どうしたの、じゃないですよ!」
「心配してるんですよ!」
「痛くないか?」
「何か困ったことはありませんか?」


わらわらと部屋に入ってきた短刀たちは俺を取り囲むように布団の側へ集まってきた。
いつも自由な五虎退の虎たちも今は大人しくこちらを見上げている。


「主君とお話しがしたいのですが、いちにいにすぐ戻りなさいと言いつけられているので長居は出来ないのです…」
「なにかぼくたちにできることはないですか?」
「何でも言ってね!」


すぐに戻れというのは一期なりの気遣いだろうか。
とんでもなく暇人な今の俺には逆効果なんだけどなぁ。
しかしなにかこの子たちに頼みごとをしなくてはわざわざ来てもらって申し訳ない。
少し考えて、あぁと閃く。


「本を取ってもらえるかな?」
「おやすいごようです!」
「任せな主さん!」


どれですかー?それそれ、あ、その一つ右。これはどうですか?あーそれもいいね!なんてやり取りしながら本棚に群がる小さな頭たちを微笑ましく見守る。
見目可愛くてお願いしすぎたのか十冊を越える本を、果たして動けるようになるまでに読めるのだろうかなんて微笑した。


「ありがとう、これで退屈せずに済むよ」
「早く良くなって僕たちと遊びましょう!」


そうだそうだとせめぎ合う短刀たちを宥めるとしっかり者の平野くんが統率を取り、そろそろ時間ですと俺に挨拶をする。
そして短刀たちが名残惜しそうにもばたばたと出て行ってからはやはりすることがなく、積み上がった本を読んでいたら珍しく眠気が来たのでそれを甘んじて受け入れた。
どれくらい経ったのかは分からないが布の擦れる音と気配でうっすらと意識が覚醒した。


「一期一振、参りました」


長谷部が言っていた様子見、だろうか。
それにしても一期とはなんだか珍しい人選な気もする。
いつも弟たちの面倒を見ているから、ということなのだろうか。
まぁ一期は長谷部の数少ない信頼の置ける者のひとりなのだろう。
中に入るよう促せば盆を手に入って来た。


「水をお持ちしましたので、宜しければどうぞ」
「ありがとう。いただくよ」


綺麗な所作でグラスを俺の口元に持ってこようとした一期に、流れるようにそれを受け取り自分で飲んだ。介護じゃないっての。
注ぎたての冷たい水は室内に籠もり重たくなった体を浄化してくれるように染み渡った。


「何か申し付けることはないでしょうか」
「今の所はないかなぁ」
「そうですか…」


暇潰しの本も短刀たちに取ってもらったし、汗も掻いてないから着替えたいとかもないし。仕事を片付けたいと言っては怒られそうだし。
ただなぜか少し悲しげな一期に動揺する。
世話焼き気質だから残念がっているのか。
しかし本当にしてほしいことがない。
唯一飲み物が欲しかったが彼が気を利かせてやってしまっているし。


「何もないからさ、弟たちと遊んであげなよ。俺厠行くし」


ぐっ、と固まった体を解すように伸びをする。
一期の瞳が輝いたのを見てやばい、と頭が警鐘を鳴らす。


「では私がお連れ致しましょう。主、僅かな一時、その絹のような白肌に触れることをお許しください」


この歳でトイレ介護は御免被りたいし、なんか卑猥だぞ一期一振。


「いや、何を言ってるんだ君は」
「不可解なことを申しましたでしょうか」
「そうだね」
「では主殿はお一人で行かれるのですか?歩けますか?立ち上がれますか?」
「あ…いや、…人には恥じらいという感情があってだね…」
「お覚悟」
「おい!」


布団を捲られ膝立ちの一期が俺の身体を持ち上げる。
声も出ないほどの痛みに震えた呼吸を漏らしたが気にすることなく器用に体勢を変えられた。
横向きなのだが横抱き、というのとは違うくて、どちらかというと一期の腕に浅く座っているような形だ。
お世辞にも小さいとは言えない俺を表情一つ変えずに抱える一期はさすが刀剣男士。


「一期一振って以外とドSなんだな…」
「どえす、ですか?」
「あぁいや何でもないよ…」


ゆっくりと負担の無いように歩く一期のおかげで痛みはあまりない。
短刀の子を抱っこすることはあっても自分が抱えられることはなく、この慣れない感覚は不思議と心地よかった。


「謎の安定感はあるけど落とさないでよくれよ?」
「その様なことをしては酷く怒られてしまいますな」
「別にそこまでは怒んないけど」
「主ではなく他の者が、です」


確かに切っ掛けになった怪我をした時も光忠は怒っていたし、長谷部は何故か自分を責めてたし、小狐丸は相手をしていた清光と安定に噛みつかんばかりの勢いだった。
こんな俺に、みんな過保護すぎると思う。
みんなちゃんと戦ってるかなと思いを馳せているとしかしながら、と言葉を切る一期はクスリと笑った。


「私が主に付けた傷、というものがあっても良いかもしれませんな」


ロイヤルスマイルで何を仰るドS一振。
一期の肩を掴んでいた手がじっとりと汗ばんだ。














ーーーーーーーーー


なぜか一期一振と謎の壁がある俺。

嫌いじゃないんだけどね。

信頼に足る刀だとおもうんだけどね。

金眼の人はなんとなく警戒しちゃうんだよね。なんでだろう。






しかしながらこれは少し前に膝痛が再発したときに見た夢でふ。

病気でレントゲン撮るときに無理矢理足を曲げられ激痛に晒され、その後痛みでゲロるというなかなかない経験をさせていただきました。



病院行って症状悪化するとかなんでや。


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