SEEDER - 第八話:白い反乱分子。
April 07 [Mon], 2008, 13:30
- 西暦5513年 スタウト半島: 死者達のゆりかご-
あの出来事から10年の月日が流れた。
切り立った崖は、今日も生者の呼吸を拒む。
この10年間、息を潜め、覚醒種の改良と研究に精をだしていた。
だが、ただ、息を潜めていたわけではない。
着実に、脈々と、準備は進んでいた。
歳も300歳を越えたというのに、衰えぬ身体。
全て、命のカードと覇王の種のお陰だろうか。
Mistとなってしまった今、迂闊に歩き回るわけにはいかない。
今は、まだ『その時』ではない。
今は…、まだ……ではない。
- 西暦5539年 ヴェリカ直轄:ジェイド城-
この年の春、ロアが何物かにより殺害された。
死因は毒殺。
犯行に及んだのは…
アイドだった。
ロアは国民を虐げるルチア5世の悪政に、異を唱える事もなく、
そして更に激しくS;;eed達を虐げ続けた。
アイドはE:lite家系だったが、そこまで裕福ではなかった。
そしてアイドには2人の妹が居た。
一番下の妹は、鋼鉄の心臓を持っていなかったのだ。
虐げられることを恐れ、アイドの家族は、ただ、それをひた隠していた。
それが他Eliteに気付かれ、虐げられた挙げ句、殺されてしまった。
ロアに助けを求めたアイドだったが、所詮S;;eedの事。
ロアが相手にする訳もなく、逆に愚かだと罵られ、更には家系まで馬鹿にされ、逆上した上での犯行だった。
いや、アイドは常々、この階級制度への疑問は持っていた。
弱者だからこそ、抱える痛みを、アイドは知っていた。
ラドゥバス部隊のアイドへ寄せる信頼は厚かった。
私も厚い信頼を寄せる一人だ。
この事件以降、ラドゥバスは、ヴェリカへの反旗を翻し、ジェイド城を占拠。
アイドは『全ての国民に自由と平和を』と掲げ、独立国家、ラドゥバスを立ち上げた。
以降、ジェイド城は、ラドゥバス城と名を変える事になる。
ヴェリカへ住む、多くのS;;eed達が、数多の危険を顧みず、ラドゥバスへ亡命したのは言うまでもない。
だがしかし、帝国からすれば、ほんの一つの弱小国家にしかすぎず、
ラドゥバスが建国した直後から風前の灯火であった事には変わりはなかった。
そして、私は意を決し、アイドへ会う事を決めた。
- 西暦5540年 独立国家ラドゥバス-
久方ぶりに訪れたセイクリッド・ヒルは、懐かしく。
完全にあの頃の色彩を取り戻していた。
何かが違うと言えば、もうこの街に、ジェイドの民達は居ない。
忙しなく動き回る、あの奇妙な風体も、もう今となっては、過去のモノなのだろう。
私はあまり目立たぬように、城へ向かう。
が、やはり、門番に止められてしまった。
門番『何者だ!!』
『流浪いの種売りでございます。』
門番『…種?花屋が城に何の用だ!?ん…待て、あんたは…』
どうやら、門番は私に気付いたようだ。
門番『誰か至急、王へ通達を!!マロゥが来たと伝えるんだ!!』
この謁見は私にとって、賭であった。
乗るか、反るか。
反れば、私はまた、孤高の志士だろう。
だが、アイドは必ず乗ってくれる。
そう、信じているから、ここまで来たのだ。
5分とせず、城へ案内された。
まず、第一段階クリアだ。
長い廊下を歩き、謁見の間へ通された。
玉座に鎮座していたのは、紛れもなくアイドだった。
アイド『遅ぇな。すぐ城へ向かえと言ったじゃないか』
久しぶりに見るアイドの目には、うっすら涙が滲んでいた。
私は、反逆者となった経緯を話そうとしたが、アイドは首を振る。
アイド『私はマロゥ、お前を信じている。お前は義に厚い奴だ。義を通したんだろう?』
何故だろう。
この男の前では、私は全て見抜かれているようだ。
私の方が何百年と長く生きているというのに、人の心を動かす力を、やはりこの男は持っているのだ。
私は、全て包み隠さず、話した。
自分の身体に埋め込まれている4つのカードの事、
エリフという男と創り上げた、覚醒種の事、
自ら埋め込んだ、覇王の種の事。
アイドは私の話しに驚きながらも、少しずつ受け入れ、
そして言葉を噛みしめ、私のその一言一言を、真剣に聞いていた。
アイド『もう一度、ラドゥバスへ戻らないか?』
どれほど、その言葉を待っていただろうか。
だが…今はまだ、時ではない。
必ず戻るが、まだ時ではない。そう伝え、アイドへ小袋を渡した。
中には数種類の覚醒種。
種の力を生かすも殺すも、その人次第だ。
植えられる人間を見極めるのは、与える方だ。
アイドはそれが出来る男だと知っている。
これが今のラドゥバスがヴェリカからの侵攻へ耐える為の、唯一の方法だと告げ、私はラドゥバスを去った。
いつの日か、また、あの白装束を身に纏える事を願いながら。
あの出来事から10年の月日が流れた。
切り立った崖は、今日も生者の呼吸を拒む。
この10年間、息を潜め、覚醒種の改良と研究に精をだしていた。
だが、ただ、息を潜めていたわけではない。
着実に、脈々と、準備は進んでいた。
歳も300歳を越えたというのに、衰えぬ身体。
全て、命のカードと覇王の種のお陰だろうか。
Mistとなってしまった今、迂闊に歩き回るわけにはいかない。
今は、まだ『その時』ではない。
今は…、まだ……ではない。
- 西暦5539年 ヴェリカ直轄:ジェイド城-
この年の春、ロアが何物かにより殺害された。
死因は毒殺。
犯行に及んだのは…
アイドだった。
ロアは国民を虐げるルチア5世の悪政に、異を唱える事もなく、
そして更に激しくS;;eed達を虐げ続けた。
アイドはE:lite家系だったが、そこまで裕福ではなかった。
そしてアイドには2人の妹が居た。
一番下の妹は、鋼鉄の心臓を持っていなかったのだ。
虐げられることを恐れ、アイドの家族は、ただ、それをひた隠していた。
それが他Eliteに気付かれ、虐げられた挙げ句、殺されてしまった。
ロアに助けを求めたアイドだったが、所詮S;;eedの事。
ロアが相手にする訳もなく、逆に愚かだと罵られ、更には家系まで馬鹿にされ、逆上した上での犯行だった。
いや、アイドは常々、この階級制度への疑問は持っていた。
弱者だからこそ、抱える痛みを、アイドは知っていた。
ラドゥバス部隊のアイドへ寄せる信頼は厚かった。
私も厚い信頼を寄せる一人だ。
この事件以降、ラドゥバスは、ヴェリカへの反旗を翻し、ジェイド城を占拠。
アイドは『全ての国民に自由と平和を』と掲げ、独立国家、ラドゥバスを立ち上げた。
以降、ジェイド城は、ラドゥバス城と名を変える事になる。
ヴェリカへ住む、多くのS;;eed達が、数多の危険を顧みず、ラドゥバスへ亡命したのは言うまでもない。
だがしかし、帝国からすれば、ほんの一つの弱小国家にしかすぎず、
ラドゥバスが建国した直後から風前の灯火であった事には変わりはなかった。
そして、私は意を決し、アイドへ会う事を決めた。
- 西暦5540年 独立国家ラドゥバス-
久方ぶりに訪れたセイクリッド・ヒルは、懐かしく。
完全にあの頃の色彩を取り戻していた。
何かが違うと言えば、もうこの街に、ジェイドの民達は居ない。
忙しなく動き回る、あの奇妙な風体も、もう今となっては、過去のモノなのだろう。
私はあまり目立たぬように、城へ向かう。
が、やはり、門番に止められてしまった。
門番『何者だ!!』
『流浪いの種売りでございます。』
門番『…種?花屋が城に何の用だ!?ん…待て、あんたは…』
どうやら、門番は私に気付いたようだ。
門番『誰か至急、王へ通達を!!マロゥが来たと伝えるんだ!!』
この謁見は私にとって、賭であった。
乗るか、反るか。
反れば、私はまた、孤高の志士だろう。
だが、アイドは必ず乗ってくれる。
そう、信じているから、ここまで来たのだ。
5分とせず、城へ案内された。
まず、第一段階クリアだ。
長い廊下を歩き、謁見の間へ通された。
玉座に鎮座していたのは、紛れもなくアイドだった。
アイド『遅ぇな。すぐ城へ向かえと言ったじゃないか』
久しぶりに見るアイドの目には、うっすら涙が滲んでいた。
私は、反逆者となった経緯を話そうとしたが、アイドは首を振る。
アイド『私はマロゥ、お前を信じている。お前は義に厚い奴だ。義を通したんだろう?』
何故だろう。
この男の前では、私は全て見抜かれているようだ。
私の方が何百年と長く生きているというのに、人の心を動かす力を、やはりこの男は持っているのだ。
私は、全て包み隠さず、話した。
自分の身体に埋め込まれている4つのカードの事、
エリフという男と創り上げた、覚醒種の事、
自ら埋め込んだ、覇王の種の事。
アイドは私の話しに驚きながらも、少しずつ受け入れ、
そして言葉を噛みしめ、私のその一言一言を、真剣に聞いていた。
アイド『もう一度、ラドゥバスへ戻らないか?』
どれほど、その言葉を待っていただろうか。
だが…今はまだ、時ではない。
必ず戻るが、まだ時ではない。そう伝え、アイドへ小袋を渡した。
中には数種類の覚醒種。
種の力を生かすも殺すも、その人次第だ。
植えられる人間を見極めるのは、与える方だ。
アイドはそれが出来る男だと知っている。
これが今のラドゥバスがヴェリカからの侵攻へ耐える為の、唯一の方法だと告げ、私はラドゥバスを去った。
いつの日か、また、あの白装束を身に纏える事を願いながら。
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