さて、先週末は岩手県釜石市に
日本回転寿司協会の会員社の皆さんと共に炊き出し支援へと行ってきました。
協会としては3度目の支援となりますが、震災から1ヶ月が経ち、少しずつ復興へ向けて歩み出しているいま、
生きる上で最も大切なことといってもいい「食べる」ことを心から楽しんでいただきたいと思い、
回転寿司のエンタメの集大成である「
マグロ解体ショー」の開催を計画したのです。
今回、我々は岩手県の福祉協会にお願いし、「
困っている避難所へお伺いして、マグロ解体ショーを行い、元気づけたい。回転寿司は魚を獲ってくださる漁師さんがいなければ成り立たない商売。可能であれば、被災された漁師さんにおいしいお寿司を味わっていただきたい」とお願いし、ほぼすべての家庭が漁業関係者という釜石市の尾崎地区へと訪れることになりました。
岩手県の「
回転鮨 清次郎」さんを中心に関東から「
がってん寿司」「
まぐろ問屋 三浦三崎港」の面々が参加し、美味しいマグロと元気を届けに総勢24名で釜石へと向かいました。
海沿いにある尾崎地区へと向う車中からは、報道でさんざん見た瓦礫の山や震災の爪痕がいまだ色濃く残っていました。
完全に孤立している尾崎地区は海からすぐに高台へとつづいており、
低地は漁港もろとも津波に襲われ、ご覧のような有様……
家ごと流され、お亡くなりになられた方もいらっしゃいます。
幸いにも高台に住まわれている方は津波被害に遭わなかったそうですが、避難所で生活されている方も多い状況です。
小学校に着くと尾崎白浜町内会長の佐々木さんが迎えてくれました。
「
みんなお寿司を食べるのを楽しみにしているので、宜しくお願いします」と声を掛けられ、職人一同、はりきって準備に取りかかりました。
理科室を借りて早速、仕込みにとりかかります。
「清次郎」の田村社長も先頭に立って、皆を鼓舞します。
「清次郎」「がってん寿司」「三浦三崎港」と普段は異なる店舗で働く皆さんが力を合わせて、一つのことに取り組む姿はこれまでになかったこと。
まさに
皆が一つになって助け合っていこう!
そんなメッセージを感じた光景です。
まずは400食分の寿司パックをせっせと作っていきます。
稲荷2個につぶ貝、サーモン、蒸しエビ、イカ、これに捌きたての本マグロ2貫が加わります。
2400貫もの寿司もこれだけの人数で取りかかれば、あれよあれよという間にできていきます。
パックに詰めるのは「
岩手のPuffy」(?)と呼ばれる「清次郎」のレディース部隊。
こちらも手際良く、せっせと詰めていきます。
本日使用されるマグロは
高知産の25kgほどの本マグロです。
そして午後3時。
尾崎地区のほぼ全家庭が駆けつけた中、マグロの解体ショーがはじまりました。
まずは職人がずらりと並び、挨拶をしました。
本日は「がってん寿司」系列の「
グルメ回転寿司 函太郎 仙台ららガーデン長町店」の中島店長がマグロを捌きます。
「函太郎 仙台ららガーデン長町店」は現在、休業中。
震災の影響でララガーデン長町自体が閉鎖状態となっており、それならばということで、駆けつけてくれました。
では、「がってん寿司」譲りの元気の良い解体ショーをご覧下さい。
今回、飛び入りで沖縄から来た青年(謎?)が、どんじゃかどんじゃか太鼓を叩いてますが、普段の「がってん寿司」さんはもっと
格調高い解体ショーを行ってます。
そして、
カマトロ争奪じゃんけん大会!
数貫しかとれない希少部位のカマトロをめぐり、大いに盛り上がりました。
解体したマグロは次から次へと握って、パックに詰めていきます。
用意した400食はあっという間になくなり、会は無事に終了しました。
ちなみにFNNニュースでも放映されたました。
その模様はこちらから確認いただけます。
4月16日のニュース
東日本大震災 岩手・釜石市の避難所の小学校で回転ずし店の職人らがすしを振る舞う
私も一生懸命、お寿司を配っていました。
どこにいたかおわかりになるでしょうか?
共同通信社でも全国配信されています。
被災者に新鮮マグロのにぎり すし職人20人が振る舞う - 47NEWS
それはそうど多くの方に「
魚を食べるのは1ヶ月ぶり。それまで毎日食べていたので、本当に嬉しい」とおっしゃっていただき、我々としてもうれしい限りです。
町内会長の佐々木さんとお話しをしたところ、組合には
220艘もの船があったが、震災により船は10艘もなくなってしまい、皆、途方にくれているとのこと。
このあたりは
ウニや三陸アワビ、アイナメ、マコカレイ、ナメタカレイ、平目などが豊富に獲れるそうです。
漁師たちは皆、気力に満ち、漁が再開されるのを心待ちにしているとのこと。
港の瓦礫が片付けられても、船がなければ漁に出ることが出来ない。
そこで、皆で残った船を共有して漁に出ることを考えている、と聞きました。
佐々木さんは「
収入が何分の一になるかわからないけどみんなで細々とでも長く漁を続けられれば。みんな漁をやめる気はないよ」と笑顔でおっしゃられた。
船を新造するにしてもどれだけの時間が掛かるのかわからず、下りた保険を船のためではなく生活のために使わざるを得ない家庭も出てくるだろう。
それでもみんなで力を合わせ、生まれ育ったこの場所で漁業を続けていきたい。
そんな力強い思いを感じました。
「
今日の寿司で避難所生活に一区切りを付けようと思っているんですよ。皆が集まって食事をするのも今日で最後。いままでいろんな炊き出しに来ていただいたけどやっぱり寿司が一番いいな。最後にいい食事ができました。ありがとう」という言葉に我々一同、身が引き締まる思いでした。
復興へ向けて、確実な一歩が踏み出されているのを実感しました。
東北にも春が訪れているのです。
※いま佐々木さんたちのように漁を続けたい漁師の皆さんに休眠している船を送る動きが各地で見られるようになりました。