出会い・ 

2005年11月09日(水) 5時55分
 昼下がりのキッチンが、煮込んだポトフの匂いに包まれていく
庭にはコスモスが咲き始め、秋の気配を感じるようになった

 コスモスが好きだった母は、
種の入った袋を見せながら
「新種よ」とはしゃいでみせた
シアワセそうな顔で、毎年庭に蒔く
そんな風景を見ているだけで、こっちまで嬉しくなった
ろくな手入れもしないくせに、日当たりだけはいいみたいで
秋になると、いろんな色のコスモスが咲き乱れ
また母を喜ばせていた
 
 「もうすぐお仏壇に飾れるわね」
母が亡くなって3度目の秋になる

 「これで、いっかな」
 味を調え弱火にしたミチは、まだ慣れてない松葉杖を不器用に操り
ダイニングテーブルに向かった。椅子に腰掛け、タバコに火を付ける
最初の煙を吐き出しながら、ギプスの巻かれた左足に目をやる

 「早く治んないかなぁ?」
ため息と一緒にまた煙を吐き出していた

 半年前、事故にあった。
ミチは膝と足首を骨折し、何回か手術を繰り返した
やっと退院し、2週間目になる
週に2回は通院し、ギプスの取れる日を待ち望んでいた

出会い・・ 

2005年11月16日(水) 12時00分
 「知り合いにさぁ、ビル持ってる人がいるんだけど、そのビルを占いの館にしたいんだってさ。どう、お前も入ってやってみない?」
 
 占いブームが起こるちょっと前の出来事だった
ただに近い家賃で3畳ほどの部屋を貸してくれるという。オーナーは無類の占い好きで
色んな占い師達を集めていたのだった
 ミチは自分のこの感覚を「占い」とか「才能」とか思っていなかった
勝手にみえてくるものだったが、誕生日や血液型を情報として入れると
もっと鮮明にみえてくる。そんな事を洋介に話した直後だった

 「お金なんて取れないよ。そんな自信ないって」
そう断ったはずなのに、次の日にはオーナーと会う約束を取り付け
あれよあれよと、入居が決まってしまったのだった

 始めてみると、色んな人生を抱えた色んな人が訪れた
開店時間は気分次第だったが、リピーターも多く
結構やりがいがあり、楽しいものに変わっていった
 
家庭・恋愛・就職・・・・・
誰もが背負っている不安をアドバイスできる自分が不思議だった
自分のことは何一つ分からないのに・・・

 それでも、占いブームがピークも過ぎると客足も減り
時には一人も来ない日もあった。ある日、早めに店じまいし
洋介を呼び出して久しぶりに飲むつもりだった

 待ち合わせの店の前で、自転車を停めようとしたところに
一台の軽トラックがバックで突っ込んできた
ギアを入れ違えたらしいが、ミチは壁際の自転車と車に挟まれ骨折した
洋介は救急車を待つミチに駆け寄り
 「俺がもっと早く来れば・・・」と泣きじゃくっていた
 「洋介のせいじゃないよ。気にしないでよ」
なぜか、自分を責める洋介が滑稽だったが愛しく思えた
入院中も退院してからも、時間を作ってはミチの世話をしてくれる

出会い・・・ 

2005年11月23日(水) 1時09分
 掲示板に集まる仲間と、チャットをするようになったミチは
気になる人物がいた。 kei そう書かれたハンドルネーム
誰にでも優しく受け答えし、人当たりもいい
過去の恋愛や現在進行中の恋愛を語るようになって、益々気になっていた
 (なぜ、こんなに気になるの?彼は奥さんも居るのに・・・)
ミチはkeiが現れる日が待ち遠しくて、そんな自分が信じられない
ネットってこんなん有り。なのかな?
そんな気持ちを打ち明ける事もなく、仲間としてみんなに混じってチャットをするだけだった

 ヨッチの相談mailには信じられない事が記されていた

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   ミチだから教えるね
  私 好きな人が居て、その人に会いに行っていいものか、、、
  占ってもらって、いい結果が出たら・・・・・
  思い切って会いに行こうかと思うの
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 え?ヨッチ結婚してるよね?
好きな人!って不倫て事??何それ??
 
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