小澤征爾さんと、音楽について話をする 小澤征爾X村上春樹 (新潮社)
February 04 [Sat], 2012, 14:38
「そういえば、俺これまで、こういう話をきちんとしたことなかったね
え」というのが、出来上がった原稿を読んだマエストロの第一声だ
った。「でも俺って、物の言い方がずいぶん乱暴だなあ。読む人に
意味がわかるのかな?」
たしかに小澤さんには「小澤語」みたいなものがあって、それを日
本語の文章に換えていくのはなかなか簡単ではない。大きな身振
り手振りがあり、多くの思想は歌のかたちで表出される。しかしその
気持ちは「言葉の壁」を越えて――いくぶんの「乱暴さ」を通して―
―ひしひしと素直に伝わってくる。
(「始めに――小澤征爾さんと過ごした午後のひととき―― 村上
春樹」より)
ベートーヴェン・ピアノ協奏曲第三番、復活のカーネギー・ホール、
60年代の軌跡、そして次代の演奏家達へ。「良き音楽」を求め
耳を澄ませる小説家に、マエストロは率直に自らの言葉を語った。
東京・ハワイ・スイスで、村上春樹が問い、書き起こした。ま
さに指揮者はタクトを振るように語り、小説家は心の響きを聴くよう
に書きとめた一年に及ぶロング・インタビューである。
お二人の求道者のような仕事に対する喜び、どこまでも追及した
いという情熱、生き生きとした語り。音楽を知らない私にとっては、
分からないこと、知らないことがいっぱいあるけれど、とても楽しい
対談である。
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