【著者に聞きたい】秦郁彦さん『靖国神社の祭神たち』(産経新聞)

March 19 [Fri], 2010, 0:02
 ■近現代史、生々しく映す

 坂本龍馬=◯、西郷隆盛=×、武市半平太=◯、岡田以蔵=×、蛤御門の変の会津藩兵=◯、八甲田山の遭難将兵=×、シベリア出兵中の尼港事件で殺害された在留邦人=×、ソ連参戦後、樺太・真岡電話局で自決した女性交換手=◯…。

 以上は、靖国神社への合祀(ごうし)の有無をめぐる本書の事例研究のほんの一部だ。左右を問わず心情的、観念的議論に傾きがちな靖国論が多いなか、著者・秦郁彦さんはあくまで事実関係の解明に徹する。「特定の運動や哲学にコミットすることなく、どういう人が読んでも資料になる本を意識して書いたつもりです」

 明治2年に前身である東京招魂社が創建されて以来、現在までに祭神は246万余柱。秦さんは、祭神を大きく2種類に分ける。圧倒的多数を占める対外戦争の戦没者と、明治維新前後を中心とした「国事殉難者」だ。第二次大戦のA〜C級戦犯、いわゆる「昭和殉難者」も、秦さんは後者の系統の中に位置づける。最も話題となるA級合祀の経緯については、特に一章を設けてその真相に迫った。「ただ、靖国神社も宮内庁も肝心の上奏文と提出名簿を見せてくれないんですよ。だから完全に詰め切れず、やや両論併記的になったのが心残りですが、推論で書くよりはと思った。これをきっかけに決め手の資料が出れば」

 だが本書の重点はむしろ、「昭和殉難者」の起源といえる明治期の「国事殉難者」の合祀事情にあるという。「誰をまつり、誰をまつらないかというところに政治判断が出るわけです。当然そこから明治新政府の歴史認識が見えてくる」

 合祀の基準は、政治や社会とともに徐々に変化していった。近代国家の形成期から国家総力戦の時代、そして戦後へ。日本近現代史を生々しく映した神社の姿が浮かび上がる。(新潮選書・1365円)

 磨井慎吾

                   ◇

【プロフィル】秦郁彦

 はた・いくひこ 昭和7年、山口県生まれ。東大法学部卒業。法学博士。大蔵省財政史室室長、プリンストン大客員教授、千葉大教授などを歴任。『昭和史の謎を追う』など著書多数。

東北で強い揺れ 福島で震度5弱 緊急地震速報発令(産経新聞)
ジェネリック医薬品で負担減 患者、病院ともにメリット(産経新聞)
<シー・シェパード>今後の展開に不安の声も 船長逮捕(毎日新聞)
政府・民主、首脳会議定例化を確認(読売新聞)
<スギヒラタケ>強い毒性、腎機能正常でも 高崎健康福祉大(毎日新聞)
  • URL:http://yaplog.jp/k7ky00ny/archive/28
Comment
小文字 太字 斜体 下線 取り消し線 左寄せ 中央揃え 右寄せ テキストカラー 絵文字 プレビューON/OFF

不正な自動コメント投稿を防ぐため、チェックボックスにチェックをしてください。

利用規約に同意
 X 
禁止事項とご注意
※本名・メールアドレス・住所・電話番号など、個人が特定できる情報の入力は行わないでください。
「ヤプログ!利用規約 第9条 禁止事項」に該当するコメントは禁止します。
「ヤプログ!利用規約」に同意の上、コメントを送信してください。