August 15 [Fri], 2008, 17:21
あれから親のいない私は先生の家に住むことになった。
もちろん学校側には内緒。この関係のことも。

「そういえば春さ、背中にある大きな傷どうした?」
「・・・ないよ、そんな傷」
「そうだな、ないな」
久し振りに聞く先生の困った笑い声。
怖くて私は言いなおした。

「・・・嘘、この傷ね、お父さんにつけられたの。」
「お父さん?」
「うん、お父さんね、すごい嫉妬深かった人なの。
小さい頃お母さんに懐く私が憎かったみたいで、
凄いほどの虐待たくさん受けたの。手首にだってリストカットみたいな傷あるし、
背中には大きな傷。お腹にある火傷みたいな跡はお父さんにタバコおしつけられたの・・・」
「・・・そうか」
先生は優しく抱きしめてくれた。
抱きしめる腕は私の父親に対する怒りに震えてた。
誰にもはなしたことなかったから、私は味方になってくれる人がいるようで
本当に心から嬉しかった。

「嫌いになった?汚いよね・・・?」
この傷のせいで嫌われるのが怖くて思わず問いかけた。
「嫌いになるわけないだろ?大丈夫、俺が守ってやるから」
先生はやさしくキスをくれた。
泣き虫な私の涙を拭って小さく微笑みながら。

夢かもしれない 

August 15 [Fri], 2008, 17:00
泣き喚いた次の日久々にテレビをつけると土曜日だった。
下村さんと先生はデートでもしてるのかな。
そう思うと枯れていたはずの涙が溢れそうになる。
気合いを入れて涙を堪えるとテレビを消す。

「・・・はぁ」
ため息をつき再び布団に入ると家のインターホンが鳴る。
―ピンポーン・・・

「うるさいなぁ・・・」
早く帰れと思いながら一向に玄関には向かおうとしない。

―ピンポーン…
「春ー?」

・・・・・・聞いたことある声。
誰だっけ?すごく愛しい声。

「・・・先生だ」
カバッ、と勢いよく起き上がるが会うと涙が出そうになる自分を想像し
玄関に向かうのを止め、はやく帰れとひたすら耳を塞ぐ。

―ガチャ・・・
「春、お前鍵開けっぱなしとか無防備すぎだろー・・・」
先生は困ったような声で勝手に部屋に入ってきた。
耳を塞いでいた私はそれすらも聞こえなかった。

すると先生はソファに座り耳を塞ぐ私を後ろから抱き締めた。

「春、俺な、少しの間あいつと付き合ったんだけど、だめだった。」
「・・・・・うるさい」
「お前少し会わない間に痩せただろ、食ってないのか?」
「・・・・・うるさい」
「口も悪くなったな、制服のままだし。」
先生はまた困ったように笑った。
その声には懐かしく怖い思い出しかない。聞きたくない。

「いや・・・っ・・・いやぁぁ・・・っ」
私は逃げたい恐怖感に襲われ意識を失った。
気づいた時には自分の部屋のベッドの上だった。
服も制服からTシャツに変えられ、静かに起き上がると隣でベッドに顔を伏せ寝ている
先生が視界に入った。

「・・・せんせ・・・?」
「ん・・・あ、春起きたか、大丈夫か?」
先生は優しく私の頬を撫でる。
「なんで来たの・・・?ほかの先生に学校に連れ戻せって頼まれたの?」
「いや、違う。お前さ、俺と付き合わない?」
「・・・・・え、だって・・・下村さん・・・。」
「あー、俺少しの間あいつと付き合ったけどお前が来なくなってからすごい寂しいんだよ、
放っておけないのはあいつじゃなくてお前だった。気づくの遅かったな、ごめんな?」
「だって・・・だって・・・下村さんは・・・?」
「あいつも納得してくれたみたいだし、大丈夫だ」

先生は困った顔はしなかった。
涙目になる私を愛しそうに優しく微笑んで抱きしめてくれた。

「せんせ・・っ・・・声・・・だしていいんだよね・・・っ?」
「あぁ、いいよ」
またやさしい顔。
最後だと思っていたのにまた再び繋がれるなんて。
嬉しさと痛さに涙があふれた。

夢じゃ、ないよね?

羨ましい 

August 15 [Fri], 2008, 16:55
あの日から学校に行かなくなった。
携帯も使わずもちろんだれからの連絡もない。

「もう夕方・・・か。」
小さくつぶやきオレンジ色の空を見上げるが食欲がない。
「今日もご飯いらないや・・・」
独り言をつぶやき困ったように微笑むと再び布団に顔を伏せる。
あの日から何日たったのだろう、一向に立ち直る気配のない自分にそろそろ嫌気がさしてきた。
今頃先生と下村さんは仲良く話してるんだろうな、なんて思うとたまっていた涙が一気にあふれた。

深夜遅くまで何も考えずひたすら泣いた。
下村さんが憎い、うらやましい。

好き 

August 15 [Fri], 2008, 16:42
ある日階段を降りるとだいすきな暁道先生が視界に入った。
私はいつもどおり思わず飛びついた。

「せーんーせっ!」
「また春か」
「・・・嫌?」
「・・・いや、別に嫌じゃない。」
「えへへっ、そっかあ」
「あぁ、お前はいつも元気だな」
「それが取り柄だもん!ねぇねぇ先生、私とえっち、しよ?」
「・・・は?」
「聞こえなかった?」
「おれは教師だぞ?」
「知ってるもん。1回だけでいいから。最後にするから。」

もう先生の困ったように笑う顔を見たくなかった。
だから、これでさようなら。
もう先生のところにはこない。
求めない。

「はぁ、1回だけだぞ」
「・・・うんっ!!」

先生はしばらく悩むと私の心境を察したのか、仕方なさそうにため息をついた。
初めて重ねる先生の体は熱くって、すごくドキドキした。
誰も来ない階段で一つになった。

「お前おれのこと好きだろ」

先生は終わってからいきなり私に問いかけた

「・・・・・え?」

驚いたように動揺を隠せず問い返すと先生は再び口をあけた。

「お前の気持には気づいてる、だけどな、俺、お前と同学年の下村が放っておけないんだ。」

・・・・・下村。
私は頭の中が真っ白になった。
先生の困った表情がひたすら目に入るだけ。
逃げたかった。

「・・・・そっか・・・そうだよね、うん、大丈夫だよ、下村さんも好きみたいだし・・・」

そう言い残すと私は何も考えられない頭のまま通学路をひたすら歩いた。



「ただいま・・・」
私しか住んでない家なのに、思わず口にする挨拶。
今日はひときわさみしく響く。

何も考えたくないと、携帯の電源を切り、家の鍵も閉めず、制服のままで私は眠りについた。
もう学校なんて行かない。

 

August 15 [Fri], 2008, 16:34
入学式も過ぎ、友達もできて楽しく過ごしてた。
でも毎日の生活の中で1番の話し相手は友達より暁道先生だった。
暇があれば先生の所に向かい、楽しく過ごした。

「失礼しまーす、暁道先生居ますかー?」
「はははっ、高木はまた綾瀬先生か。綾瀬先生なら音楽室だよ。」
「へへっ」

恥ずかしそうに職員室のドアを閉めると音楽室までダッシュした。
はやく暁道先生に会いたくて。
先生のことが大好きで。

―コンコン。
「先生ー??」
「ん、何だ、また春か。どうした?」
「へへっ、先生に会いにきたーっ」
「何言ってるんだよ、まったく・・・」

先生は毎回同じように抱きつく私を苦笑しながら仕方なさそうに抱き締める。
その度苦しい気持ちになること、先生は気づいてなかったのかな。

「先生、私先生のことだいすきだよ??」
「はいはい。」
「ね、ちゅーして?」
「はぁ、はいはい。」
こう言って先生はまた仕方なさそうにキスをくれる。
苦しい気持ちになるけれど表情に出さないように必死だった。

出会い 

August 15 [Fri], 2008, 16:25
青い空に白い雲。
4月だというのに夏のように空が高く、暑いくらいの南風が吹く。
そして今日は私の入学式。

普段からふわふわしてマイペースな私は、そこまで友達のことや
彼氏ができるか、など勉強のことなんて考えてなかった。

入学式が行われる体育館がどこにあるかわからず、不安になっていると
一人のスーツを着た大柄な男性が話しかけてきた。
きっと先生なのだろう。
身長は…180センチくらい、肩幅が広く、強そうなイメージ。

「お、新入生か。おはよう。」
「えへへっ、おはよーっ」
「お、お前、敬語・・・まぁいいか。ほら、式始まるぞ、体育館行くか。」
「うんっ」

あの時はこんな関係になるなんて思ってなかったのに。
ね、暁道先生?

そして僕らは―・・・ (出会い) 

August 15 [Fri], 2008, 16:22
もしも私があの人に出会ってなかったとしたら…
もしも私があの頃のままだとしたら…

今頃どうなっていたんだろう。
どこまで堕ちているんだろう。
プロフィール
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  • アイコン画像 ニックネーム:佳奈
  • アイコン画像 性別:女性
  • アイコン画像 誕生日:1991年11月1日
  • アイコン画像 血液型:O型
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