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【最終回】日本企業におけるダイバーシティマネジメントの典型的事例 / 2010年06月28日(月)
 第1回、2回、3回では、日本、米国、欧州におけるダイバーシティマネジメントについて、第4回では、日本における今後のダイバーシティマネジメントの方向性についてお話しいたしました。

 最終回の第5回では日本企業のダイバーシティマネジメントの実例についてPwCのプロジェクト事例から解説したいと思います。

●ケース1  M&A後の組織統合における組織のトランスフォーメーション

 M&Aでは、新しい組織のために労務管理などの諸制度をどのように整備していくか、といったハードな面が課題としてよく取り上げられますが、異なる社風を持った2つの組織を上手く統合し、それぞれの組織の持っている強みを引き出すための取組み、といったソフト面の課題にもしっか対処しなければなりません。PwCのダイバーシティマネジメントのフレームワークは、それぞれの組織の強みと、その要因である人的要素を明らかにし、それらを競争力の源泉となる多様性として「認知・管理」していくことで統合のシナジーを早期に創出します。

【ケース概要】

 外資系自動車販売企業A社は、同じく外資系自動車販売企業B社との統合を決めました。両社ともにメーカーの系列企業でしたが、A社はメーカー直営の企業であり、B社はメーカー本体からの独立採算制をとっていました。A社は個人営業に強く、B社は法人営業に強みを持っていたため、統合後は、営業面での早期のシナジーが期待されました。

 統合前の入念な情報収集・分析の結果、両社の統合シナジーを早期に発揮させるためには、ハード面の統合すなわち、組織の統合、役職や呼称の統合、処遇、評価の統合と同時に、ソフト面の統合、すなわち両社人材の多様性を認知し、個別に(もしくは価値観の親和性の高いグループごとに)適切に管理する仕組みをつくることが重要であると結論づけられました。

 ダイバーシティチームでは、特にソフト面の統合に力を入れ、PwCのダイバーシティマネジメントのフレームワークを活用し、組織文化の融合と新しい社風の構築支援を約7カ月で行いました。

 PwCでは、以下のステップに従ってアプローチを行いました。

【ステップ1:ビジョン策定と組織診断】

統合後のビジョン策定

・まず統合後の人材のあるべき姿のビジョンを策定しました。その際、統合を機に推進する組織統合・意識変革の目的と行動指針を共有しました。
・また同時に、合併前の両社組織の多様性理解の実情および多様性に対する意識について組織診断を行い、組織統合・変革のための課題を抽出、ダイバーシティ・ビジョンおよび組織行動ポリシーを策定し、ダイバーシティマネジメントの方向性を決定しました。

社員のグルーピング

 ・組織診断の結果を踏まえ、両社の社員をその価値観、嗜好・行動特性等により、価値観の親和性が高い複数のグループに分類しました。

【ステップ2:行動モデルと実行施策案の策定】

組織統合・意識変革の阻害要因の可視化

・組織診断の結果を踏まえ、組織統合・変革の阻害要因を組織と個人に分類し、組織に起因する要因については関連諸制度を見直し、個人に起因する要因については、関連諸制度と合わせてソフト面の意識改革を目的とした、新たな教育研修(ワークショップ形式での階階層別研修等)の場を設け、ビジョン実現のための土台づくりを行いました。

行動モデルの作成

・ステップ1で決定した、行動指針および組織行動ポリシーをもとに、組織統合・意識変革実現のために、「全社員共通の行動モデル」を策定、共有しました。

【ステップ3:シナジー創出のための管理指標の設計とモニタリング】

管理指標の設計

・ステップ1で分類した親和性の高いグループ別に、組織統合・意識変革実現の阻害要因をさらに分析・整理し、ステップ2で定義した「全社員共通の行動モデル」に向けてのアクションプランおよびそれらを計る管理指標を設定しました。

モニタリング

・設定した管理指標に基づき、組織長を管理責任者としてモニタリングを行い、必要に応じて個別面談・軌道修正を行いました。

【本ケースで得られた効果】

 上記ステップの実施により、統合後に社員がとるべき共通の行動モデルが理解され、個々のアクションプラン・管理指標が可視化されたことで、業務における平均的なパフォーマンスが向上し、社内全体の生産性が改善されました。

 また、組織統合・意識変革の阻害要因が明らかになり、関連諸制度が早期に見直されたことで、旧企業同士の摩擦が比較的少なく、当初計画された統合シナジー(営業拠点の統合によるシナジー、整備士等のスキルを持った人間の再配置によるシナジー、オペレーション・仕入機能統合による稼働率の向上・コスト削減シナジー・異動・配置転換によるモチベーショの低下の軽減等)を達成し、組織統合の実現に寄与しました。

 近年のビジネスのグローバル化により、日本国内においても国際競争力の確保に向けて、M&Aによる企業の合従連衡が進んでいます。ダイバーシティというと耳慣れない言葉かもしれませんが、M&Aはすべての企業にとって最も身近な課題の一つであります。本ケースでは、外資系自動車販売業界のM&Aを扱っていますが、多くの業界・業種において、今後もM&Aが進む公算が高く、制度・組織風土が異なる企業との組織統合を迫られる可能性があります。特にクロスボーダーといわれる国際M&Aについては、相手の組織と構成員の特性を理解し、受け入れることが国内のM&Aより重要な課題となってきます。

 PwCのダイバーシティマネジメントのフレームワークは、このような複雑化したM&A後の組織統合のシナジーの早期創出のためのソリューションと言えます。

●ケース2 専門職職員が多く抱える企業の組織トランスフォーメーション

 弁護士事務所や会計事務所等の多くの専門職員を抱える組織では、有資格者の数と併せて、高度なスキルや知識を持った人材の数が競争優位の源泉となります。ところが、このような組織では一般的に非常に離職率が高く、特に「売れる」人材ほど組織に固執しない傾向にあり、優秀人材の引きとめは各社共通の課題であります。一方で封建的で官僚主義的な社風は、せっかく獲得した優秀な人材がそのパフォーマンスを期待とおり発揮できないというジレンマも存在しています。

 以下は、ある専門職職員を多く抱える企業の人材マネジメントの事例です。

【ケース概要】

 A社は専門的知識を有する社員、弁護士・会計士等の資格を有する社員により構成された、アドバイザリーサービスを提供する企業であり、優秀な有資格者の確保に懸命ですが、一方で高い離職率に苦しんでいました。一見、同じ価値観を持った同質人材の集合体に見える組織であったため、どの社員に対しても同じようなマネジメントスタイルを適用していたため課題がありました。

 離職の理由はさまざまでしたが、調査の結果、社員のキャリア観や業務に対するストレス度にばらつきがあり、本ケースでは個々の社員(もしくは価値観の親和性が高いグループごと)に適応した多様性のある組織や制度設計の検討が求められました。ダイバーシティチームでは、組織診断から業績指標の設定までのプロセスを約6カ月の期間を通して行いました。

 PwCでは、以下のステップに従ってアプローチを行いました。

【ステップ1:ビジョン策定と組織診断】

多様性に関する共通意識の醸成

・組織内の多様性が会社の競争につながるという共通意識を醸成し、組織変革の目的と行動指針を共有しました。 

多様性の理解に向けた入念な調査

・事前インタビューにより、全社員が専門職であるという「一括り」としての価値観が横行し、組織に内在する多様性についての理解不足が離職の最大の原因であることが、明らかでした。客観的に事実を共有できるよう、組織内の多様性の実情と課題が細部にわたって明らかになるよう、組織診断の調査票を工夫し作成しました。

 

【ステップ2:認知した多様性の理解による組織パフォーマンスの向上施策立案】

業務に対するストレス(期待役割とキャリア観の差異)の影響分析

・離職の最大の理由である「キャリア実現に関する価値観」を中心に、専門職としての期待行動と本人の意識のギャップから生み出されるストレスが業務品質にどのような影響を与えるかについての分析を行い、それらを解消するための必要なインフラ・制度・仕組みを検討しました。
・最も重視したのは、多様性を許容する働き方の設計でした。すなわち認知した多様性を活かしながら、組織のパフォーマンスを向上させる施策、具体的には、価値観の親和性が高いグループごとに適した職場環境の整備、多様なワークスタイルを許容する人事諸制度の導入等を策定しました。

【ステップ3:個別フィードバックの実施とキャリアプランの作成】

フィードバックおよび行動計画表の作成

・個々人に対して面談を行い、課題を洗い出し、個々人の働き方にあったキャリアプランを作成するとともに、メンターを設定してプランの進捗管理を行いました。

【本ケースで得られた効果】

 プロジェクト終了後の社員に対する調査では、各社員の仕事に対する満足度が向上し、社内のミーティングなどにおけるコミュニケーションの効率性が改善されたことが分かりました。

 本ケースでは、専門職を多く抱える企業を取り上げていますが、大半の企業は、所属する業界・業種において専門性を有した人材を多く抱えており、上記アプローチは様々な業界・業種の企業にも適用可能である、と言えます。

●結びに代えて

 今回の連載まで全5回にわたり、ダイバーシティマネジメントについて論じて参りましたが、今回をもって最終回となります。今回の連載が日本企業にとってまだまだなじみの薄いダイバーシティマネジメントに対する理解の一助となれば幸いです。ダイバーシティマネジメントは一人ひとりの個性を受容し、人を活かす人材マネジメンの方法論です。その応用範囲は海外への事業展開、M&A,リストラクチャリング、チェンジマネジメント等様々な範囲での応用が期待できます。

 これまでの内容を総合すると、ダイバーシティマネジメントは、短期的には、個人のワークスタイル、企業・組織の生産性、企業業績を変化させ、中長期的には、リクルーティング、企業価値の向上、ひいては社会貢献にも繋がる取り組みであると言えます。

 日本企業ではダイバーシティマネジメントの進展が遅く、その効果に対して十分な理解が得られていない現状がありますが、日本企業が将来にわたって中長期的な成長を目指す上で、取り組みが不可欠な領域であることは間違いありません。

 本連載全5回が、各企業のダイバーシティマネジメントに対する意識変革の一助となれば、幸甚です。

(ITmedia エグゼクティブ) 6月26日12時11分配信 ITmedia エンタープライズ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100626-00000002-zdn_ep-sci
 
   
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