ふたり 

2007年10月27日(土) 11時40分
守ってほしい

守ってほしい

守ってほしい

小さなあたしを

言いつけに背いて

一人で帰ったあたしを

恐い夢から

恐い人から




守ってあげる

守ってあげる

守ってあげる

今のわたしが

昔のわたしを

ぎゅっと抱きしめて

あなたの無事に

涙を流そう




怒らないで

叱らないで

ごめんなさい

悪いのはあたし

だけど叱らないで

見捨てないで

ごめんなさい

ごめんなさい

さよなら。 

2007年03月03日(土) 22時55分
さよなら。
さようなら。
さようなら、ありがとう。

りん 

2007年01月16日(火) 0時50分
晩夏。
少し長すぎた うたた寝に
ひぐらしの音は、
淋しさを募らせる。

りん。
淋。




ひとり。
私は、淋しいと呟いた。
決して口には出せないが
届いて欲しい、この想い。

りん。
隣。




静寂。
真っ直ぐに伸びた背は
見えぬ気さえ変える。
遠くに聞こえる子等の声。

りん。
凛。

前へ。(下) 

2006年10月27日(金) 0時06分
 「お兄ちゃん…。」
兄がタバコの吸殻を飲み干した缶にねじ込んだ。
「私、逃げてるだけかもしれない。こんなの最低だよ。」
「ふぅん。別にいいんじゃないか?」
「ちょっ…、なんで?お兄ちゃんこそなんで別にいいとか、家を飛び出してきたことに安心するとか、全然訳わかんないよ!」
兄がもう一本、新しいタバコに火を付けた。
「俺は歩美に今必要なのは、リアルタイムで歩美自身の気持ちを察することだと思うんだ。小さい頃、あんまり自由に動けなかったから、俺は気持ちとか周囲を察することに無意識に集中することができたんだ。」
ここでまた兄は煙を空に向けて吐き出した。煙が空に広がり、舞った。
「今の歩美の気持ち、大事にしろよ。壁にぶち当たったとしても、構わない。全ての淀みは、意味のある淀みなんだ。凹んでもいいけど、絶対逃げるなよ。」

 私は残りのコーヒーを一気に飲み干した。
「なにそれ。そんなの結果論じゃん…。」
私は呟いた。私だけのものがたり、私だけの“秘密”が、なくなってしまったことも全て“若さゆえ”でひと括りにされているような気がして、ムッとした。
「俺の観察によれば…だな。歩美に足りないのはプロセスを認めることだよ。」
兄がにやっと笑った。その顔は、あの川に棲む妖怪の話をしたときの祖母の顔にとてもよく似ていた。
「歩美、お前、先に急ぎすぎだよ。もうちょっと、足下の風景に心打たれてもいいんじゃないか?」
「そんな暇、ない。」
―――だって、もう、私のものがたりは消えてしまったから…―――
「もう、我慢するなよ。いいんだよ、欲しいものを欲しいって言っても。」
「いいもん、何も欲しくないもん。」
兄が吐き出したタバコの煙が、また空にのぼった。
「そうやって突っぱねて、いつもリアルタイムを見ようとしないんだ。そうだろう?歩美はいつも“こんなはずじゃない。” “もっと、もっと。”って先ばかり見てるから現実に満足しないんだ。苦しくないか?」
全てを見透かされたような気がした。手の先が冷たくなっていくのが分かった。
「…なんの面白味もないこの世界で、何に満足すればいいっていうのよ。みんなと同じように、机にかじりついて勉強して、テストでいい点とって、いい大学に入って、いい会社に就職することが全てなの!?私はそんな分かりきった未来なんていらない!!」
兄は私のはき捨てた言葉に答えることなく、言った。
「小さい頃、俺は病気がちだったから、母さんと父さんの助けが必要だった。もちろん一人では生きていけないからな。すっげー申し訳なくて。情けなくて。妹には兄貴らしいこと何にも出来なかったし、俺は家族にとってマイナスの存在だなって。そんなことばっかり思ってた。ある日な、俺、母さんたちに言ったんだよ、これまでの自分の気持ち。」
「そしたら…?」
「そしたら、母さんたち俺に言うんだよ。俺の体が弱いことや、歩美と一緒に暮らせない寂しさは事実だって。でも、その事実を認めないと、先に進めないんだって。」
「先に…?」
「そう、先に。母さんたち、俺が丈夫な体で産まれなかったことを知ったとき、かなり悩んだらしいんだ。自分たちのせいで息子が苦しんでいるって。悩んで、悩んで。諍いもあったらしい。」
私は息をごくりと飲み込んだ。
「でも、俺が生きていることも事実だった。そして認めたんだ。その上で、俺たち家族はこういう生き方を選んだんだ。」
「お兄ちゃん…。」
兄が正面を向き、私の目をじっと見た。
「俺は歩美が空想の世界を何よりも大事にしていることを知っている。ばあちゃんからも話を聞いた。」
兄が私の“秘密”を知っていること、祖母も同じく知っていること、そしてさらに彼らが私のものがたりについて話をしていることに驚いた。
「でも、歩美が今生きている現実も、ちゃんと見ないと駄目だ。きちんとこの世に生きていることを感じるんだ。空想は淀みから抜け出す翼にはなってくれないぞ。俺たちは“家族ごっこ”をしているんじゃない。この世を生きているメンバーなんだよ。一分、一秒が繋がって、今が出来上がってるんだ。それを認めないと、その先の未来には進めないと思う。」
素直になれなくて、私はこんなことを兄に言った。
「じゃあ、私はその一秒一秒の織物に巻き込まれた女の子ってこと?」
兄が苦笑した。
「被害者っぽい言い方するなよ。まぁ、ある意味被害者かもしれないけど…。違うな。もっと、主体的な存在。歩美もメンバーの一人なんだよ。決して傍観者だけでは終わらない。終えてしまったら、この世からドロップアウトしちゃうんだ、きっと。」
「もっと近寄れ、ってコト?」
兄が笑った。
「んー、まぁ、それもある。それは俺の願望だけどな。」
「勝手なヒトだね、ほんと。」
「そう、勝手なんだ。歩美、お前も勝手な人間になれ。」
「えっ、意味わかんないし!!」
私は笑いながら兄の脇腹をつついた。これだけは知っている。兄の弱点。

 兄と一緒に家へと向かった。私が「寒い。」と言ったら、兄は「仕方ないなー。」と言いながら手を繋いでくれた。肌寒い外気にずっとさらされていたのに、兄の手はほかほかと温かかった。そういえば、私が兄と手を繋ぐのはこれが初めてだったかもしれない。

 「ねぇ、お兄ちゃん?」
「なんだい、妹よ。」
兄がおどけてみせた。
「私ね、まだお兄ちゃんの言ったことを100%理解できてないよ。飲み込んだとしても、どの位賛成するかも、まだ分からない。」
「知ってる。歩美ガンコだもんな。ばあちゃんに似て。」
「お兄ちゃんも負けずに頑固者だと思うけどね!!」
ぎゅっと手を握った。
「いてっ!!」

 「あっ、ねぇ、お兄ちゃん。お願いがあるの。」
「なんだい歩美ちゃん。社会人一年生、薄給の身の上のお兄様に何かねだる気かい?」
「そんなんじゃないもん!!」
「悪い。ちゃんと聞くよ。何?」
「私ね…。」

前へ。(上) 

2006年10月27日(金) 0時05分
 「あっ…。」
授業中にも関わらず、私は小さな悲鳴をあげてしまった。
「おい、武村。どうした?」
「…すみません、なんでもないです。」
「武村、しっかりしろよ?おい、お前たち全員にも言っておく。お前たちはもう三年だ。言うまでもなく、受験生だ。気を引き締めろよ。だいたいなぁ…」
―また始まった…―とクラス全員が、先生の熱くて長い脱線話にうんざりするのが分かった。学年でもトップクラスの頭脳の持ち主・小川君は、“俺たちを大学に受からせたいんなら、下らない話をさっさと切り上げて授業に取り組んでくれればいいんだけどなぁ”と言っていた。
 そう、私たちは高校三年生。世間で言う、受験生なのだ。私が通っている高校は進学校で、生徒のほとんどが大学への進学を希望していた。より多くの生徒を、より偏差値の高い大学へ入学させるために、先生たちは熱心に教鞭を奮った。
「お前たちの一つ上の学年の進学状況はなぁ…」
と、耳にタコが出来るほど聞いた、去年の卒業生の“自慢話”に差し掛かったところで授業の終了を知らせるチャイムが校舎に鳴り響いた。

 「ねぇ、歩美。さっきどうしたの?」
休み時間に仲良しの麻衣子が尋ねてきた。
「あー、ゴメン。ちょっと寝ぼけちゃった。」
「何か心配事でもあるんじゃないのー?恋の話とか!」
「ないない!私に色っぽい話なんて全然ないことは、麻衣子がよーく知ってることでしょう?」
私はトイレに行くね、と言って席を離れた。麻衣子は可愛くて、頼りがいがあって、なんでも相談できる貴重な友達だ。でも、いくら仲の良い友達でも、言えないことは、たくさんある。

 『ものがたりが、私の中から消え去ってしまった。』
だなんて、とても人には言えない。親友であっても、家族であっても。

 小さいころから、私の頭の中には魔女のいる森、人間の言葉を話す動物、不思議な呪文、異世界への扉があった。五つ年の離れた兄が病気がちだったから、両親は看病に一生懸命で、私は自然にひとり遊びを覚えた。テレビもゲームもぬいぐるみも何もいらない。想像するだけで、私はいろんな世界に飛び込んだ。あるときは竜の背中に乗って夜空を駆け巡り、三日月のベッドで眠った。またべつなときには地中を探検し、地底を治める大国の女王と友達になったりした。
 想像を繰り返しても決して枯れることのなかった、ものがたりの泉が、なくなってしまった―――。

 夕ご飯を味気なくもそもそと口に運んでいた私に、母が話しかけた。
「ねぇ、歩美。今度の三者面談のことだけどね。」
「…あ、うん。来週の水曜日だっけ。」
おろし大根をのせた秋刀魚の身を口に放り込んだ。
「歩美はどこの大学に行きたいの。」
―――歩美は他のみんなと同じように、来年は大学生になるはず―――
母の青写真は、こうだった。
「わかんない。考え中。」
「あんた、受験生でしょう?あんたの人生なのよ。しっかりしなさいよ、まったく…」
ひととおり母は小言を言うと、野沢菜の入った小鉢をつつき始めた。
「やだ、お母さん。私も野沢菜食べるんだから、その癖いい加減に止めてよ。」
母は案外子供っぽい。ぷくりと頬を膨らませたと思うと、
「歩美とお母さんは親子なんだからゴチャゴチャ言わないの。」
と、すね始めた。
 野沢菜…。少し前まで綺麗によそられていた鮮やかな色をしたその菜は、母の箸によって美しさを失ってしまった。私は仕方なしに、小鉢の野沢菜を一口分だけ上品に茶碗に乗せた。
―――野沢菜、よくおばあちゃんが食卓に並べてくれたっけ。あぁ、おばあちゃんの家にしばらく遊びに行ってないな…。―――

 小学校に入学するまで、私は祖母の家で育てられた。兄の体調が良くなかったので、生まれてからずっと父や母、兄と離れて暮らしてた。でも、寂しいという気持ちは全く無かった。たまに家に訪れた両親にお菓子やおもちゃを貰うことよりも、祖母の畑仕事を手伝い、祖母の膝で眠るほうがずっと心地よかった。祖母はとても正しく、私を育ててくれたと思う。私は祖母住む田舎が大好きだった。夏の朝日は肌に優しく、葉の上に集められた夜露は私の手足をひんやりと潤した。
 私のものがたりを創り出してくれたのも、祖母であり田舎であった。
 今は…もう。そのものがたりの火も消えた。まさか突然、さよなら、されるとは…。

 「あ、歩美。あんた算数、得意だったでしょ。理工学部とかいいんじゃない?」
―――算数じゃなくて、数学だってば…。―――
私は喉元まで出掛かった言葉を懸命に飲み込んだ。数学を算数と間違えるほど、子供の教育に時間の流れに関心をしない母にこれ以上の期待は無駄なのだ。
「別に、数学は好きだけど…。大学に行くんだったら、理系じゃなくて…」
「理系じゃないってことは、文系?あんた、一体、何がしたいの?」
少し間を置いて、私は口を開いた。
「…文学部。」
正直、口に出した私・本人が一番、その言葉に驚いた。
「あ…えっ?ちょっ、ちょっと待ちなさい、歩美。」
―――ブンガクブニナンカハイッテ、ショウライナンノシゴトニツクノ?―――
「文学部なんかに入って、将来なんの仕事に就くの?」
私が予想した母の反応と、母の実際の反応がここまで同じとは。と感じたとき、思わず声を出して笑ってしまった。
「あはっ、あははははっ。」
母は口を半開きにして、固まった。野沢菜をつまんだままの箸が、ぽろりと手から落ちた。
 笑いを抑え切れなくて脇腹が痛くなりながら、私はしばらく「あはははは」と笑い続けた。そのあと、こう言い放った。
「文学部だなんて、嘘。私、大学になんか行かないよ。絶対。意味を見つけてからじゃないとね。それよりも、失くしたものをとりもどすことが、重要。ずっと大事。」
「歩美…。なにバカなこと言ってるの…?」
 私は母の言葉に何も返さず、食卓の席を立った。そして階段を駆け上がり自分の部屋のドアを勢い良く開けた。お気に入りの赤いヨットパーカーを羽織り、パンダの形をしたガマグチを首から下げ、ふたたび階段を駆け下りた。ずっとずっと、軽やかに。

フラワー 

2006年10月12日(木) 23時57分
あの日 あなたが くださった

いちりんの花 いまでも胸に 鮮やかに

うなづく うれしい 優しいこころ

えがいた えがお なないろに

おもいで おもい 内緒のきもち

消えた。 

2006年10月07日(土) 23時56分
かけます

かけますん

かけません。


…アイディアが、浮かびますん。浮かびません。

…所詮、驕りだったか。完。

生業として書いているわけでもないし、しょぼい文の羅列だし。
こんなことよりももっとやらなきゃいけないことがたくさんあるのに
だから時間が出来た時に、書けると思った時に
少しずつ書いてゆけばいいわ。

…でも ちょっと せつない。

茨の海 

2006年09月06日(水) 10時26分

何を願うことで 忘れることで
ここが鳴るのを殺したりできる?
何を逃がすことで 重ねることで

低空を滑る私の非力な強さ
不快なロープが燃え落ちて行くのを見てた

貴方の放り投げた祈りで 私は茨の海さえ歩いてる
正しくなど無くても 無くても 無くても 無くても

幾つもの麻酔で 幼い私の
正気の在り処を分からなくさせる
どうかこれ以上に 見抜かないで

今さら鈍さを増して行く浄化
それもいつかは終わるのさえ信じられない

貴方の放り投げた祈りで 私は茨の海さえ歩いてる
正しくなど無くても 無くても 無くても 無くても

低空を滑る私の非力な強さ
足元に在る例えば無機質な

追い風 視界 笑い顔を 両手で掬い上げても
ねぇ喚く想いは何処へ?

貴方の放り投げた祈りで 私は茨の海さえ歩いてる
正しくなど無くても 無くても 無くても

在りったけの花で飾って そして崩れ堕ちて 何度でも
正しくなど無くても 無くても 無くても
響いて 貴方に
響いて



『茨の海』
written by. Chihiro Onitsuka

ひとつぶのおくすり 

2006年08月22日(火) 19時17分
逃げたいからじゃないよ

忘れたいからじゃないよ

救われたいからじゃないよ

ひとまわり大きな

おくすりを手にして

言い訳してみた

あなたのしていることは

逃げたいから

忘れたいから

救われたいから

だから

そうするんでしょう

いびつなかたちに伸びた

つめを見つめながら

ひとつぶのおくすりを

ごくりとのみこんだ

まわってまわって 

2006年07月25日(火) 17時00分
頭が痛くて

気持ちが悪くて

息が出来なくて

逃げるように眠り続けた



起きたら夕暮れ

だるさが残っていて

『時間を無駄にした』

と悔いて自分を責めた



眠っても眠っても

苦しいのが拭えない



泣いても泣いても

不安が身に纏わり付く



声が聴きたい


笑顔が見たい


どうか


手を差し伸べて




光にくらんで

目が見えなくなっても

きっと

私は捜し出す



闇に紛れて

視界が黒一色になっても

どうか

私を見つけ出して
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