5. 正しいこと 

December 05 [Wed], 2007, 22:59
妊娠が発覚してから中絶するまで、

今までで一番悩み、たくさん涙を流した。


でもどこかで、手術が終われば全てから開放されると思っていた。


そんなはずないのに。
カレンダーが塗りつぶされていく度に、どんどん辛くなっていく。

自分が消えて無くなりたい気持ちになる。




何でこんなことになってしまったの?


何で妊娠したの?


何で中絶手術をしたの?


何で尊い命を奪ってしまったの?


親にとって子どもは、無条件で愛し育てるもの。
そんなの誰だって、何だってしているのに、

どうして私はしなかったんだろう。









あの頃の自分は何が正しいのかわからなかった。








でもそれは・・・・・・







今の自分にもわからない。

4. 待ち構えているもの 

November 15 [Thu], 2007, 12:37
「スタミナをつけよう」


安静期間も終わり、私は彼氏と焼肉屋に行った。


久しぶりの外食
久しぶりのお肉
久しぶりのお酒


と言って、もわりと落ち着いた焼肉屋で、お酒も一杯、
お肉も今の私の腹6分目くらいの量だ。

もうつわりがないとは言え、気分が悪くなるのを避けたかった。
だって久しぶりのデートだったから。



私たちは色んなことを話した。

ダンスの話
友達の話
所属していたサークルの話
お互いの家族の話


笑いがいっぱいあって、とても楽しかった。

帰りにはゲームセンターによってプリクラを撮った。
ちゅープリ(いわゆるキスしているところを撮影したプリクラ)を撮ったり、
お姫様抱っこをしてもらっているプリクラを撮ったり、
そこには幸せがたくさんあった。




「そろそろ帰ろうか」


電車に揺られて5分、私はぼーっと外を眺めていた。

真っ暗な空だなぁ。

私は夜が嫌い。
一日が終わっていく瞬間を感じるのが嫌だから。人数も減って、お店も閉まって、
あんなにキレイな夜景を作り出してくれた部屋の明かりもどんどん消えていく。
昼間の雑音も嘘のように静まりかえる。
電気を消して布団に潜り込めば何も見えないし何も聞こえない。
そんな瞬間私は一日の終わりを感じる。それがなんだか悲しくて切ない。
何もせず、真っ暗な部屋で眠りに落ちるのを待つ。
ただ、そんな時でも活動しているものがある。
それは頭。
一日の活動が終わっても、寝るぎりぎりまで頭が働いて色んな思いを巡らせる。

ぐるぐると・・・。




電車に揺られながら一気に現実の世界に戻された。

私の嫌いな夜。





幸せなデートの後に待ち構えているのは、






底の無い悲しみと後悔。


3. 夜空 

November 11 [Sun], 2007, 19:06
手術が終わり、私は2、3日安静にしていた。

外出もせず、カーテンも開けず、食事もせず、
ずーっと考えていた。

水分だけは、「生きるために」少しの量を数回に分けて飲んでいた。

でも考えるたびに摂取した水が全て流れ出るかのように涙が溢れ、
私はカラカラの状態だった。



なんでこんな事になってしまったんだろう。

私は子どもが大好きで、高校生の時にはベビーシッターをし、
大学生の頃は自閉症の子どもの療育ボランティアをした。。。。。

そんな私の夢は教師になる事。



なのに私は、小さな命を奪った。


かけがえのない存在になるはずだった命。





小さい頃おじいちゃんが亡くなった時、お母さんか叔母さんかは忘れてしまったが、
こんなことを言われたことがあった。



「おじいちゃんはね、お星様になったんだよ。ほら、キラキラしてるでしょう?
おじいちゃんはお空からみんなを見守ってくれるんだよ。」


あの時の夜空はものすごくきれいだった。

本当におじいちゃんが星になって私に話しかけているかのようにキラキラしていた。





何を期待したんだろう。

私はカーテンを開き窓を開けた。
四月の半ば、まだ少し肌寒かったがサンダルを履いてベランダに出た。



星が一つも見えない夜空。




そうだよね、命奪われたんだもん会いたくないよね。






私はその場で泣き崩れた。







誰か助けて。。。。


2. 青い空 

October 20 [Sat], 2007, 23:17
24年間生きてきたけど、手術なんてうけたことがなかった。

手術台に仰向けになり、色々思いをめぐらせていた。




「点滴しますね〜。麻酔すぐ効くから大丈夫ですよ。」



看護婦さんに言われ、私は天井を見ながら、「はい」と返事だけした。

今振り返ってみると、何を考えていたんだろう。
覚えていない。。。

覚えているのは、体が震えていた事。
それもいつまで震えていたかはわからない。






「終わりましたよ〜。麻酔まだ効いているから、しばらくこのまま寝ていましょう。」


看護婦さんの声が聞こえた。

体がだるい。頭もあんまり働かないかんじ。


私はまた眠りについた。


30分くらいたったのかな。

「大丈夫ですか〜?ベッドに移動して休みましょう。」


看護婦さんにそう言われ移動した。
しばらくして看護婦さんが和菓子とお茶を持ってきてくれた。

和菓子とお茶がやけに美味しくて、
この間までつわりがひどかったのにぺろりとたいらげてしまった。
お腹に赤ちゃんがいるかいないかの意識で、つわりがおこるのではないかと思ってしまう程だった。

私はこの時すこし気持ちが軽くなっていた。
色々なつらいことから開放された感じがしていたんだろう。


退院し、彼氏とバス停に向かった。足が軽く感じた。
ふと、通りの反対側に目をやると、大好きなドーナツやさんがあった。
4個ドーナツを買ってからバスに乗ることにした。



バスに乗り、揺られて10分くらいだろうか。。。。

自然とお腹に手をあてた。

この妊娠していた数ヶ月間でついた習慣なんだと気づいた。




我に返った。




私今病院で何をしてきたの?




何で和菓子なんて食べていたの?

何でドーナツなんて買ったの?

何で笑顔で歩いていたの?











私、赤ちゃん殺したの?











やけに青い空が、自分を責めているように感じた。




でもその空も、涙ですぐ見えなくなった。。。




1. 去年、春 

October 03 [Wed], 2007, 4:55
サクラの花びらが頬に触れる四月。

私はバスに揺られていた。


手をお腹にあて、外を眺めて、私は何を考えていたんだろう。


覚えていない。正確に言えば、記憶がない。





私はその30分後、


人生最大の過ちを犯した。





「中絶手術」



おっきな罪。



育みたくても育めなかった命。



美化しすぎだよ、自分。




私は生まれてくる赤ん坊より、自分の生活を選んだ。
P R
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