人材紹介にマッチングノウハウは存在するのか 

October 03 [Wed], 2007, 20:25

うわべだけ美しく語ると、ボロが出る
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 初めまして、求人求職サイト『××』を運営しております、××株式会社、××と申します。

 弊社は総合人材サービス企業として、特に「人材紹介ビジネス」に注力しており、若手からエグゼクティブまで企業のコアとなる人材の方々に、数多くの「成長企業・優良企業」をご紹介しております。

(中略)

◆募集職種
××××

◆業務内容
××××

◆年収
××××

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 現在、まともな職に就いているため、こうした人材紹介会社からのメールは無視することにしている。だが、上記メールが送られてきた5日後、再度、以下のような件名にてメールが届く。

 「あなたのご経験を必要としております」

 人材紹介会社というのは、クライアントである企業に人材を紹介して利益を稼ぐビジネスモデルだが、ここまで「露骨」にやられると、その案件がどんな内容なのか、また、ここが「どれだけひどい企業」なのかが気になってくる。そこで、このスパムメールにあえて対応してみることにした。

 すると同じ担当者より、打ち合わせ(カウンセリング)日時の調整メールが入り、希望日時を返信すると、「別の担当者」からメールが返ってきた……。おいおい、××さんはどこにいったんだ?

 そして、いざ、同社を訪れた。

メールで知らされた案件については何も触れず

 受付にて担当者を呼び出す。すると、別の担当者が現れ、小会議室へと通される。その後、この企業のイントラを利用して、「学歴なり職務経歴などに漏れがないかを確認せよ」とのこと。担当者が退き、時間も十分にあったので、それを埋めていると、「カウンセリング」を行う新しい担当者が現れる。

 私は以前、大手派遣会社に登録したことがあったが、そこからの流れはそれにほぼ似ていた。

―─  現在の職業は?

―─  なぜ退職を?

―─  希望給与は?

―─  福利厚生の希望は?

 おいおい、これってメールで知らされた案件についての打ち合わせじゃないの? などと思いながらも、ひとまず「お約束」なのかもしれないと、我慢してみることにする。そして、以上のような「カウンセリング」が終了すると、担当者が退き、再度プリントアウトした用紙を何枚か持ってくる。求人票である。

 担当者は、それらの記載事項をバカ丁寧に読み上げ、1社終わるたび、「どうですか?」とリアクションを探ってくる。正直、煩わしかったが、私にはそれよりも注目した点があった。各企業の採用までの流れである。

 普通、転職サイトや求人情報誌経由で仕事に就く場合、以下のような流れが一般的ではないだろうか?

(1) 書類選考
(2) 現場管理職との面接/適性検査
(3) 役員面接
(4) 採用

 こちらの人材会社で紹介された企業の採用工程が、上記とほとんど変わらないのだ。そこで、担当者に対し、この工程について尋ねる。

── こういった工程を見る限り、御社の「人材紹介サービス」を利用するメリットを感じないのですが、何のメリットがあるのでしょうか?

 (焦りながら)ええと、採用の際のですね、1次選考が省略されるので……。

── でも、普通に適正のありそうな人(経験者)だったら、そんなの通りますよね?

 そうかもしれません。しかし、われわれの場合、転職サイトなどと異なり、未公開求人を多く扱っているので……。

── ていうか、「量」が問題じゃないですよね? これは、私の場合だけかもしれませんが、「量」なんてものは別に求めてないんですよ。今日ここに訪れたのは、御社からのメールでの提案を受けてなのですが。

 あ、あちらの企業様はですね、現在クローズド(終了の意?)してまして……。

── いやいやいや、私が訪れたのは、その企業についての打ち合わせだったんですが……。

 あきれてモノも言えないとはこういう状況のことだろうか? 人材紹介会社のすべてがこのようなものであるとは言えないが、グッドウィルしかり、フルキャストしかり、人材紹介ビジネスに対して世間の信頼が揺らいでいる今、こうした誠実さに欠ける応対はいかがなものか。

 ましてや、「あなたのご経験を必要としています」なんていう大げさな件名でメールを送っておいて、しかも、その案件に関する打ち合わせと伝えておいたにも関わらずこの対応。もはや、社内のコミュニケーション不足などという問題を超えて、求職者をバカにしているとしか思えなかったりする。

 彼らの行っていることは、スパムメールを送りつける「出会い系サイト」のそれと同様であることは、もはや明らかなのかもしれない。

うわべだけを美しく語ろうとすると、ボロが出るもんだ

 先のカウンセリングを受ける前、小会議室のうえに置かれた同社のリーフレットに目を通すと次のようなことが書かれている。

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時代のニーズに柔軟に応える人材サービスを、トータルに提供します

 IT 時代の到来、事業再編など、劇的に変化し続けるビジネス環境において、時流に即した柔軟な対応、競争力の強化は、企業にとっていまや必須の課題となっています。総合人材サービス企業××は、人材にかかわるあらゆるご要望にフレキシブルに対応。総合求人求職サイト「××」をはじめ、再就職をサポートする「××」、求職者間、企業間コラボレーションの推進など、時代を先取る最適のソリューションを提供し、企業の活性化を強力にバックアップします。

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 この宣言文を読む限り、自分たちのビジネスやミッションを、「できるだけ大げさに」伝えようという意欲が伝わってくるのだが、カナ文字ばかりを並べた結果、非常に「頭の悪い、時代に即していない」文言が完成されている。

 まず、「IT時代の到来、事業再編、劇的に変化し続けるビジネス環境」とはいつの話だろう。少なくとも「IT時代の到来」を感じているなら、スパムメールを投げるなと言いたい。また、上記のような不誠実な対応をすれば、ブログやSNSで悪評が広がるでしょう。「時代の変化に柔軟に対応」する必要があるのは、彼らである。

 また、次の文言。

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求人企業と求職者とのベストマッチングを効率的に実現。

メリット

◆雇用のベストマッチング
 専門性が高く即戦力となる人材を、マッチングノウハウをもとに効率的にご紹介。

◆あらゆる職種に対応
 営業系、事務系、技術系、メディカル系、外資系など、多様な職種に対応。

◆最適な人選、スピーディーな紹介
 登録者のテクニカルチェックはもちろん、専任コンサルタントがキャリアカウンセリングを通じてヒューマンスキルなどを厳しくチェック。企業が求める人材を迅速に選出します。

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 マッチングノウハウ? そんなものはまず存在していないでしょう。ウェブクリエイターを5年以上経験してきた私に、広告営業を勧めるとは……、どんなノウハウでしょう?

 また、「営業系〜メディカル系」(カタカナ好きなようで……)は職種ですが、「外資系」は職種ではないと思われます。最後に、人材紹介ということでカウンセリングを受けましたが、「テクニカルチェック」などというものは一切行われませんでしたが……。

 ご立派な言葉を並べてクライアントにアピールしようとしても、実態はインターネットを経由して世間に広まるということを少しは意識してほしいものです。

 彼らのような人材紹介会社を「野放し」にしておく限り、日本の雇用事情は明るくならないことを、私たちは今一度認識し直さねばならないのかもしれません。以上、人材紹介サービスの実態をリポートしました。

色んな人材紹介サービスがあると思いますけど、比較してみるのも面白いですね。
P R
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