2009/5月1日

May 09 [Sat], 2009, 6:30
いささか手前味噌めくが、朝日新聞出版が先ごろ出した文庫本のタイトルは味がある。『負けに不思議の負けなし』。プロ野球楽天の野村克也監督が、かつて書いたものに加筆してまとめた。負ける理由があって負ける、というのが名だたる知将の信条である。▼反対に、勝ちには「不思議の勝ち」があるのだという。完敗だとあきらめているのに、たとえば敵が大ポカをして星が転がり込む。だから「勝ち」より「負け」の方が信じるに足る。十八番のぼやきの奥には、冷静な勝負の哲学が鎮座している▼その野村さんが監督通算1500勝にたどり着いた。史上5人目の快挙だが、負け数の方はひと足先に大台に届いていた。きのうまでに1506敗を喫し、こちらは前人未踏というのがこの人らしい▼花形ぞろいの常勝チームを率いたわけではない。金に飽かせた補強とも縁がない。よそを解雇された選手をよみがえらせる手腕と情は「再生工場」と評されてきた。最短距離ではない勝ち方を見せてくれるのが、野村野球の大きな魅力だ。▼そして、理想があるからこそぼやく。「ぼやかなくなったらお迎えが来るころや」。おかしく言うのではなく、言うことがおかしい。その一言を多くの人が夜のニュースの楽しみにする▼2年前に3千勝を達成した競馬の武豊騎手が言っていた。「勝てなかった馬にもたくさんのことを教えられました。すべての馬に感謝しています」。すべての「負け」に感謝しながら、ノムさんはさらに勝ち星を積み上げていくのだろう。
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