砂金の袋をなげつける

October 08 [Mon], 2012, 9:52
「打つ。蹴(け)る。砂金の袋をなげつける。ダウン モンクレール――梁(はり)に巣を食った鼠(ねずみ)も、落ちそうな騒ぎでございます。それに、こうなると、死物狂いだけに、婆さんの力も、莫迦(ばか)には出来ませぬ。が、そこは年のちがいでございましょう。間もなく、娘が、綾と絹とを小脇(こわき)にかかえて、息を切らしながら、塔の戸口をこっそり、忍び出た時には、尼(あま)はもう、口もきかないようになって居りました。これは、後(あと)で聞いたのでございますが、死骸(しがい)は、鼻から血を少し出して、頭から砂金を浴びせられたまま、薄暗い隅の方に、仰向(あおむ)けになって、臥(ね)ていたそうでございます。
「こっちは八坂寺(やさかでら)を出ると、町家(ちょうか)の多い所は、さすがに気がさしたと見えて、五条京極(きょうごく)辺の知人(しりびと)の家をたずねました。この知人と云うのも、その日暮しの貧乏人なのでございますが、絹の一疋もやったからでございましょう、湯を沸かすやら、粥(かゆ)を煮るやら、いろいろ経営(けいえい)してくれたそうでございます。そこで、娘も漸(ようや)く、ほっと一息つく事が出来ました。」
「どうしてこの島へやつて来た?」
「食物や水が欲しかつたものですから、わざわざ舟をつけたのです。」
 若者は悪びれた顔もせずに、一々はつきり返事をした。
「さうか。ではあちらへ行つて、勝手に食事をするが好い。須世理姫、案内はお前に任せるから。」
 二人が宮の中にはいつた時、素戔嗚は又椋の木かげに、器用に刀子(たうす)を動かしながら、牡鹿の皮を剥ぎ始めた。が、彼の心は何時の間にか、妙な動揺を感じてゐた。それは丁度晴天の海に似た、今までの静な生活の空に、嵐を先触れる雲の影が、動かうとするやうな心もちであつた。
 鹿の皮を剥ぎ終つた彼が、宮の中へ帰つたのは、もう薄暗い時分であつた。彼は広い階段(きざはし)を上ると、何時もの通り何気なく、大広間の戸口に垂れてゐる、白い帷(とばり)を掲げて見た。すると須世理姫と葦原醜男とが、まるで塒(ねぐら)を荒らされた、二羽の睦(むつま)じい小鳥のやうに、倉皇(さうくわう)と菅畳(すがだたみ)から身を起した。彼は苦い顔をしながら、モンクレール メンズのそのそ部屋の中へ歩を運んだが、やがて葦原醜男の顔へ、じろりと忌々(いまいま)しさうな視線をやると、
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