蒼い光の中で第26話

December 15 [Thu], 2011, 15:17
ー現実と夢のはざまー老木がお釈迦様の教え本末究竟等を話し終えた時、突然、男の咳込む声がした。
私達の背後にいたのは植木職人のおじいさん。
自ら神の使いだと言うこのおじいさんの出現によって、私の愛犬ジミーも、私と同じ人間の心記憶を持犬だと気付く。
私達には計り知ることが出来ないくらい辛い過去を背負ったまま犬に生まれ変わったジミー。
ジミーは、その過去を心の奥深くに封印している。
私達は敢えてジミーの過去に触れることはしなかった。
植木職人のおじいさんも、ジミーの過去を知る必要は無いと言う。
なぜなら、ジミー自ら、その封印を解く日が必ずやって来るだろうと。
さて、次はとうとう私が一番知りたかった重要な理由とこの世界にいてです。
では、続きをどうぞ植木職人のおじいさんはジミーを抱き寄せ、頭を撫でながらこの世界にいて話し始めた。
では、この世界のことから話しましょう。
しかしジミーさん。
あなたが考えているようなことは起こりませんので心配なさらないで下さいおじいさんは愛にみちた優しい眼差しでジミーを見めた。
はい。
私おじいさんを信じてますから、もう大丈夫ですおじいさんから受けた愛の波動のお陰でしょうかジミーはおじいさんを信頼し、すべてを委ねているようです。
ジミーの穏やかな表情を見て安心したおじいさんは、今度は私を見め微笑みました。
いいですかかのりさん。
これからお話する内容は、あなたにとって衝撃的なことかも知れませんよ。
それでも大丈夫ですかええ、大丈夫ですだって、人間から犬になったんですから、これ以上、何も驚くことなんてないですよそうですか、分かりました。
それなら安心です。
では、率直に申し上げます。
かのりさん。
今、あなたが居るこの世界は夢ですえっゆっ夢ちょっちょっと待って下さい何を言い出すかと想えば、よりによって、この世界が夢だなんていくらなんでもそれは無いですよ。
だっていいですか、私は人間から犬に生まれ変わった私が、何を聞いても驚かないと思っていた。
しかし、このおじいさんの発言には正直、驚かされた。
驚くなという方が無理な話しである。
私は自分の命に終止符を打とうとした時にジミーに助けられた。
そして深い眠りから目覚めると、私は犬になっていた。
目覚めて、初めて犬になった自分の姿を見た時、私は愕然とした。
こんなことがあるはずが無いこれは夢なんだと、何度、自分に言い聞かせたことか。
そんな私がやっと現実の世界だと受け入れることが出来たばかりなのにまた突然、この世界が夢だと言われても信じることなど出来るわけがない。
やはり、驚かれたようですね。
無理もないかも知れません。
ただでさえ、夢の世界と言うものは目覚めて初めて分かるもの。
夢の中でこの世界が夢だと言われても信じられないのは当然かも知れません。
しかし、この夢の世界は特殊な夢の世界です。
現実と夢のはざまに創られた言わば幻想世界現実と夢のはざま幻想世界一体どういうことだ困惑していた私に対し、おじいさんは落ち着いた口調で淡々と話しを続けた。
宜しいですかかのりさん。
あなたが居るこの世界。
今あなたが現実として見ているこの町並みの風景や景色をもう一度、その目で、しっかりと見て下さい私はおじいさんに言われるがままに、ここへ辿り着くまでの道程記憶を思い出しながら、今、目の前に映る町並みの風景をじっくりと見渡した。
愛する彼女と暮らしていたアパートに別れを告げて、雨の中ジミーと二人旅に出た。
街路樹や頬を掠め行く風達に新たな生命へと生まれ変わったことを祝福されながら、北仙台と堤通り雨宮町を通って、ここ定禅寺通りへと辿り着いた。
そう。
私が今居る場所は、ケヤキ並木がとても美しい定禅寺通り。
仙台の都心部に位置し、冬にはイルミネーション光のページェント夏には仙台七夕まりパレードが開催されるところだ。
周辺には先程、黒い犬が散歩していた市民のいこいの場である勾当台公園や仙台市役所、宮城県庁といった国の出先機関などの公的機関と公共事業関連の企業が集積している。
又、定禅寺通りは、仙台随一の歓楽街国分町飲食店だけで3000店舗以上や三越141フォーラスなどの大手デパートが数多く立ち並ぶ一番町商店街に隣接している。
私はそういった町並みの風景をじっくりと観察し、見渡した。
んっ待てよ何か変だぞ違うここは私が知っている定禅寺通りではない一体ここは何処だ私は町並みの風景を見渡している内にある≠ニんでもないことに気付いてしまったそして、そのある≠アとに気付いた途端に私の身体が小刻みに震え、今見ている目の前の景色が次第に湾曲し、歪みはじめた。
なんだどうしたんだ目の前の建物のカタチが崩れてゆくぞそれと同時に私の意識も遠退き、とうとうその場に倒れ込んでしまった。
バタンところが、倒れ込む瞬間に、今度は何処か違う世界で目覚めようとする自分の意識が働きはじめたのである。
うっうんうん目覚めようとしているのに目が開かない。
何も見えない。
身体も動かない。
一体、ここは何処なんだろうあれなんかオカシイぞベッドの上で寝てるような感覚があるぞかのりさん大丈夫ねぇ起きてかのりさん早く起きてジミージミーの声だ俺起きなきゃ早く、起きなきゃダメそっちの世界で起きないでそっちの世界何のことだオイジイさんやホントに彼は大丈夫かいなあっ老木さんの声だ大丈夫です彼が人間の姿でいる現実世界で蒼い光に包まれている間は、どんなことがあっても絶対に彼は目覚めることはありません蒼い光現実世界そうだ俺はうんうん私は文字通り、現実と夢のはざま言葉責めに居る感覚だった。
押し寄せる波と引き寄せる波との波間に浮いているとでもいうのであろうか私の意識は、今居た世界へ戻ろうとする意識と現実世界で目覚めようとする意識が波のように押し寄せては引き、引いては押し寄せるといったことを交互に繰り返し、二の世界を行ったり来たりしていた。
かのりさんかのりさんおじいさんを信頼していたジミーであったが、やはり私のことが心配なようである。
しかしおじいさんは完全に落ち着き払っていた。
大丈夫ですよ。
ジミーさん。
彼の意識が少し混乱しているだけですから、もうすぐ彼は目覚めます。
こちらの世界でねジミー老木さんそして、おじいさん。
どちらも、こちらもないよ俺は俺の世界で目覚めるんだ不思議だった。
自分の意識がそう決断した時に私は目覚めた。
私自身の意識が自分の身体を揺り動かし、目覚めさせた。
そんな感覚だった。
うん薄目を開けると、私の目の前には、私の顔を覗き込む三人の姿があった。
ねぇかのりさん。
本当に大丈夫あぁ大丈夫だよジミー。
どれ起きるとするかせえの私は気合いを入れ、その場で、一気に立ち上がった。
そして私は、皆の前で深々と頭を下げ、心配を掛けてしまったことを素直に謝った。
ジミー、老木さん、そして、おじいさん。
心配をお掛けしてすみませんでした俺、もう大丈夫ですからそんな私の姿を見て、おじいさんはニコニコと笑っていた。
ほら戻って来たでしょ私は、なぁんにも心配していませんでしたよ相変わらず能天気なジイさんじゃのうワシは少し心配したぞいいくら蒼い光が現実世界で彼を包み込んでる間は大丈夫だとゆうても、彼自身の意識や魂そのものが他の異次元へ行ってしもうたら、この世界は壊滅するところだったぞいそうよ。
私もそのことを心配したのかのりさんが現実の世界で目覚めたら、この世界はすべてなくなるのこの世界が壊滅なくなるだってやはりそうか間違いないだからこの世界は私が実際に暮らしている町とは風景や景色が異なっているんだ現実と夢のはざま幻想世界そうかこの世界を創り出したのはこの私だそうです。
やっと気付きましたね。
この世界を創り出したのは、かのりさん。
あなた自身ですしかしそれだけだけではありません。
先程、私がこの世界は特殊な世界だと言ったことを覚えていますかはい。
覚えていますまずは、そのことを踏まえて話すとしましょう。
もう既にあなたは気付いていると思いますが、この世界は、今、私達が居るこの通りを境に現実の世界が鏡に映っているが如く、右は左に、左は右に左右対称、逆転して存在しています。
ですから方角も北は南に、南は北に、東は西に、西は東に東西南北も逆さまのはずですそうです。
その通りですだからそのことに気付いた時に、急に頭の中がオカシクなってしまってえっどういうことなの私には何のことなのか、サッパリ解らないわいいかいジミー。
私と彼女が暮らしていたアパートは、この場所が現実世界の定禅寺通りだとしたら、この場所よりも遥か北側にある。
当然、この場所に辿り着くには北仙台と堤通り雨宮町を通って、ここに辿り着くんだけど何故かここに辿り着く前に在るはずの勾当台公園や市役所が北側ではなくて、南側に存在しているんだ。
ほら見てごらん。
さっき黒い犬が散歩していた公園は南側にあるだろうええ確かにそうね市役所や県庁の位置関係も現実とは、全く逆なんだよ。
それにそれ以上に不思議なことがあるんだそう。
この場所が定禅寺通りなら、ケヤキ並木のはず。
ところが、ここはイチョウ並木。
それどころか、現実の世界では仙台の都心部に老木のような悠々たる大木は存在しません。
そして、神の使いだと名乗るこのおじいさんも私が創り出したと言うのでしょうかおじいさんが言う特殊な世界とは一体、どのように創り出されたのでしょうか果たして、その真相や如何にづく
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