静かな未来 

2008年12月31日(水) 13時25分
まるで年末年始のサンプルのように街は広告を備えている。
ゆっくりと新しいイメージは忍び寄ってくる。
数年前に無線LANなんて飛んでいなかったし、十年前には携帯がまだ普及し始めた頃だった。
昨晩にテレビで「バックトゥザ・フューチャー2」(監督, ロバート・ゼメキス/マイケルJフォックス、/クリストファー・ロイド/1989)がやっていた。懐かしく見える未来観が新鮮だった。いまや 2015年にあんなメカスーツを着ている明るい未来を思い浮かべられない。ホバリングするスケボーくらいはあるか?

広告は変わらず、把握されやすいものして街に立っているはず。
格差に抑圧、テロ、ありとあらゆる相互無理解も続く。


何も変わらずに君は年老いる
何も伝えられずに君は去るしかない
何をするのにも窮屈だから
何もしないと君は言った
頭が良すぎると君に言う
頭が悪すぎると君が言う
何もできないものだよと
ついに疲れはて
ちっとも把握できない奥底へ
街を横切って行く
これは恋ではなく
衝動とも呼べない
すぐに陽が落ちて
また陽が昇る
一時の暗闇の間だけ
君はささやいてくれた
ここから逃れる手筈を
決して実行には移されない
静かな未来についてを

森田芳光監督作品を二つ 

2008年12月30日(火) 13時23分
今年のお正月にテレビでやっていた「間宮兄弟」(監督, 森田芳光/原作, 江國香織/佐々木蔵之介、塚地武雄、沢尻エリカ、常磐貴子/2006)を録画したままずっと見ていなかったので、それを数日に分けて見ていた。夜、缶ビール片手に布団に入りながら最後まで見た。これは缶ビールを飲みながら見たい映画だ。誠実さと、浮き足立つ気持ちが行き来するのがほろ苦い。僕にも弟がいるが、こんなに仲良く一緒に住んだりしていないし、できないだろう。村田兄弟はどのようなものかと思い出すと、親孝行しなきゃなぁじゃないがちょっと詫びるような気持ちだ。
沢尻エリカは数年後に、大きく化けて登場しそうだなぁと下世話なことを思う。

こないだの日曜にはテレビで「椿三十郎」(監督, 森田芳光/織田裕二、豊川悦司、松山ケンイチ/2007)をやっていたのを見た。これもちょうど森田芳光監督作品である。バラエティに富んだ作品群だが、どれも丁寧で温かく安心させられる。賛否両論あろうが、原作を映画に昇華させる仕事に徹している印象だ。黒沢作品のリメイクである織田裕二版の椿三十郎は、映像感覚を現代的にフィットさせているのみにとどめ、脚本は触っていないということだった。できれば人を斬りたくない姿勢、ためらいが、ただのバイオレンスではないものを持っていて良い。オリジナル版を正月に見ようと思った。

http://www.mamiya-kyoudai.com
http://www.tsubaki-sanjuro.jp

ブロークンイングリッシュ 

2008年12月29日(月) 13時23分
伏見のミリオン座にて「ブロークンイングリッシュ」(監督, ゾエ・カサヴェテス/パーカー・ポージー、メルヴィル・プポー/2008)を見た。
日本の配給会社は恋愛映画だとパッケージングしているが、実際にはどこにも分類できない不可思議なシーンが多い「体験的な」映画に思えた。実際にあったことをそのまま持ってきているように感じられることから「体験的」と呼ぶ。恋に燃える勢いを全てとして本筋が進むのではなく、全く関係の無いような出来事も総体となって前進していく。実際の人生とはそんなノイズの中から「これっ!」という瞬間に辿り着くようなものであると思えた。
タイトルの「ブロークンイングリッシュ」は、「私の英語が壊れている」で、実に英語的な考え方の言葉だ。思っていることなどは既に自分の中で言葉になっている。しかしそれを英語として外に出すことができない。日本語的な言い方だと「言葉にできない」となるだろう。自分の英語を通して現すことのできる領域を超えている体験を指している。
キスとかパリとか嘘とか、人の数だけ体験があるという達観が流れているように思えた。

http://broken-english.jp
http://www.brokenenglishfilm.com

良いお年を from 潜伏先より 

2008年12月28日(日) 13時21分
昨晩から今日の昼にかけて福岡食堂にて忘年会が開かれた。
鮭酒粕鍋(シャケサケカスナベ)を囲んでの自我解放に明け暮れた宴だった。
突然の開催に、周囲に無茶なお誘いメールを送らせてもらう。
それらの返信とやり取りは、どれも「良いお年を」で締められた。
各自が大気圏に突入していくようだ。そんなふうに離れていく言葉みたいだなと思う。

今年も多く飲み食い、レコード、古本、物色、怒号にあるある、ないないをスクランブルし、ゲストも潜伏した食堂だった。
あんなにたらふく食べたのに、晩をまた迎える頃にはハラヘッタだ。酔いが回ってすぐに寝ていた。

手持ちビデオカメラによるリアリティー 

2008年12月27日(土) 13時20分
二ヶ月ほど前に DVD で見て、おしっこをちびりそうになった映画がある。
「クローバーフィールド/HAKAISHA」(監督, マット・リーヴス/マイケル・スタール=デヴィッド、マイク・ヴォーゲル/2008)という怪獣映画だ。
前知識のある状態では衝撃が半減してしまう内容ではあるが、この映画は全編手持ちビデオカメラで撮影した画面になっており、それが映像のみを通してリアリティーを感じさせるものになっている。ビデオカメラで撮影したことがある人なら、ぞわぞわする体感があると思う。前半はニンマリさせる演出だが、後半には僕を失禁寸前へ追い込んだ。
ディズニーランドのジャングルクルーズのように一つの視点だけでも世界や物語を描くことはできるということを教えられる。
そして実は、人間の視点自体も主観映像のみだけであり、メディアとは別の目を得るものであると考えられた。

http://www.cloverfieldmovie.com

ロック誕生 

2008年12月26日(金) 13時19分
「ロック誕生」(監督, 村兼明洋/監修, サミー前田/内田裕也、ミッキー・カーチス、近田春夫/2008)に上映時間ギリギリで駆け込む。
しかし、前半に流れる70年代当時のライヴ映像が、流れている曲を演奏しているものではなく見所的なクリップを詰め込んだものなので、画面と音楽が合っておらず、その時点で嫌な予感がする。サービス精神に溢れてはいるが、この映像感覚はまずいと。
その予感は当たっていた。ロックを日本語で歌うことは可能か否かという論争の話など、撫でるだけの印象で進む。初めて知る者には分かり難く、知っている者には物足りないのではなかろうか。これを入り口として広くて深い日本の元祖ロック世界に触れていってほしいという趣旨もあるだろうし、一時間半足らずで全てを補完することは困難だとは思うがどうも歯痒い。
英語で歌うことで欧米に評価されなくては日本のロックの誕生は無いと信じた内田裕也と、日本語で歌うことを貫いたはっぴいえんど、遠藤賢司。どちらも誕生とそこからの波ではあるが、この映画は内田裕也を主にして語られているため、例えばジャックスの存在などは出てこない。時代背景の描写もイメージ映像だけで考察に乏しい。もっと深く突っ込んで訴えてもいいのではないかと思ってしまった。
前述の通り、この映像感覚は当時の素材を多く紹介するというサービス精神を基にしていて、異なる意見を挟もうとはしていない。言わば、DJ感覚だ。監修のサミー前田は昭和歌謡やロックを回すDJである。流れるロックはどれも格好いい。

近田晴夫のインタビューに一番しびれた。
アングラなだけじゃだめ、貧乏臭いから。メジャーなだけでもビジネスライクだからだめ。その二つが共存する瞬間があるんだと。

http://www.rock-tanjo.jp

プレカリアートを理由にしても、きりがないんじゃないかと考えてみる 

2008年12月25日(木) 13時17分
この暮れに、左側で行列を組む者も、年が明ければ知事になっていたりして、間違えるな辞めさせるなと罵り合うことも、みんなすぐに帰っていってしまうだろう。
風が吹けば、だ。

ツリーが片付けられて、門松が出てきた。
「セレブもボロを着ればホームレスに見えるのよ」と失業者の支援をしている方がテレビで答えていたのを思い出す。ならばその逆も成り立つのではと考えてみる。
「王子とこじき」(著, マーク・トゥエイン/1881)だ。

2008歳のイエス・キリストは何を思ったか 

2008年12月24日(水) 13時15分
駅へ向かうときに思ったのは、数年前の深夜放送で「戦場のメリークリスマス」(監督, 大島渚/坂本龍一、ビートたけし、デヴィット・ボウイ/1983)がやっていたのを VHS で録っていて、それを HDD に移して DVD-R に焼いた。あのディスクはいまどこにやったか。難しい感じがしたけれど、最後の最後にグッときた。何故にあの映画にクリスマスが出てきたのかということを思っていた。
そしてもうひとつ思ったのは、何故か名古屋駅の構内にイエス・キリストが降り立っていて、様々な現代人を巡っていくという安い深夜ドラマの構想。というか妄想。
それから「明石家サンタ」が面白いのは、生放送でこの夜を繋げているように感じられるからではないかと思った。
今夜、2008歳のイエス・キリストは何を思ったか。

http://jp.youtube.com/watch?v=5mfyCI82lWM&feature=related
 村田 仁
 詩人
 1979年生
 >> 作品/works
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アイコン画像わたるん
» 衝撃がもっと要る (2012年06月29日)
アイコン画像わたるん。。。
» 衝撃がもっと要る (2012年04月27日)
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