葉酸 

August 05 [Sun], 2007, 21:09
葉酸

葉酸(葉酸塩)はビタミンB12とともに、正常な赤血球の形成や細胞の遺伝情報をつかさどるDNAの合成に必要不可欠です。

葉酸欠乏症

体はごく少量の葉酸(葉酸塩)しか蓄えていないため、葉酸が少ない食事を続けていると、数カ月で葉酸欠乏症になります。十分な量の生野菜やかんきつ類を食べない人が多いため、葉酸欠乏症はよくみられます。アルコール依存症による栄養不良もよくある原因です。大量の飲酒も、葉酸の吸収と代謝を妨げます。フェニトインやフェノバルビタールなどの抗けいれん薬や、スルファサラジンなどの潰瘍性大腸炎の治療に使う薬は、葉酸の吸収を低下させます。癌や関節リウマチの治療に使うメトトレキサートや抗生物質のトリメトプリム‐スルファメトキサゾール(ST合剤)は、葉酸の代謝を妨げます。

妊娠中や授乳中の女性と透析を受けている人は、葉酸の必要量が増しているため、葉酸欠乏症になりやすい傾向があります。

症状、診断、治療

葉酸欠乏症の人は、ビタミンB12欠乏症が原因の場合と似た貧血になります。

疲労感が初期症状です。肌が青白い、過敏、息切れ、めまいなど貧血の一般的な症状に加えて、赤くただれた舌、味覚低下、体重減少、下痢などが起こります。妊婦が葉酸欠乏症になると、胎児に先天性の脊椎奇形(神経管の異常)が生じることがあります。

貧血や栄養不良の人に、血液検査で巨大な赤血球が検出された場合には、採取した血液の葉酸値を測定します。低い値であれば、葉酸欠乏症です。

治療としては、葉酸サプリメントを毎日摂取します。葉酸の代謝や吸収を阻害する薬を服用している場合は、予防として葉酸サプリメントを摂取すべきです。妊婦または妊娠を計画している女性の場合は、葉酸サプリメントを多めに摂取して、胎児に先天異常が生じる危険性を減らします。

葉酸過剰症

葉酸は一般に有毒ではありません。ビタミンB12欠乏症の場合には、大量に摂取すると神経障害が悪化することがあります。

アルカローシス 

August 05 [Sun], 2007, 21:01
アルカローシス

アルカローシスは血液のアルカリ性度が高くなりすぎた状態で、血液中に重炭酸塩が過剰にあったり、血液中から酸が失われる(代謝性アルカローシス)、または速くて深い呼吸により血液中の二酸化炭素濃度が低下する(呼吸性アルカローシス)ことが原因で起こります。

代謝性アルカローシスは、体から放出される酸の量が多すぎるか、入ってくる塩基の量が多すぎると起こります。たとえば、嘔吐が続いたり、病院で胃チューブを使って胃酸を吸引した場合に、胃酸が失われます。まれに、重曹(重炭酸ナトリウム)などの物質から多量の塩基を摂取した場合に、代謝性アルカローシスが生じることがあります。さらに、ナトリウムやカリウムが多量に失われたことによって、血液の酸塩基平衡を調節する腎臓の能力が損なわれると、代謝性アルカローシスが生じます。たとえば、利尿薬やコルチコステロイド薬の使用により、代謝性アルカローシスを引き起こすほどの量のカリウムが失われる場合があります。

呼吸性アルカローシスは、速くて深い呼吸(過呼吸)により多量の二酸化炭素が血流から放出されると生じます。過呼吸とそれによる呼吸性アルカローシスの原因として最もよくみられるのは不安です。その他の原因としては、痛み、肝硬変、血液中の酸素濃度の低下、発熱、多量のアスピリン服用(代謝性アシドーシス(酸塩基平衡: アシドーシスを参照)も引き起こす)があります。

症状と診断

アルカローシスは、過敏性、筋肉のひきつり、けいれんを引き起こすこともあれば、まったく無症状の場合もあります。重度のアルカローシスでは、長時間続く筋肉の収縮とけいれん(テタニー)が生じます。

動脈から採取した血液標本は、アルカリ性を示します。

治療

普通、水分と電解質(ナトリウムとカリウム)を補うことで代謝性アルカローシスを治療する一方で、その背景にある原因を治療します。非常に重い代謝性アルカローシスの場合には、塩化アンモニウムの形態で、薄めた酸を点滴で投与します。

呼吸性アルカローシスでは、たいていの場合、ゆっくりと呼吸するだけで治療としては十分です。不安が原因で呼吸性アルカローシスが起きた場合には、意識的に呼吸を遅くすれば解消することがあります。痛みが原因で呼吸が速くなっている場合には、痛みを和らげるだけで、普通は十分です。紙袋(ビニール袋は使用しない)を口にかぶせて呼吸すれば、吐いた二酸化炭素をもう一度吸うことになるため、血液中の二酸化炭素濃度が上昇します。

低リポタンパク血症 

August 05 [Sun], 2007, 20:52
低リポタンパク血症

低リポタンパク血症は、血液中の脂質濃度が異常に低下した状態です。

脂質濃度が低いことが問題を引き起こすことはめったにありませんが、別の疾患の存在を示していることがあります。たとえば、コレステロール値が低い場合には、甲状腺機能亢進症、貧血、栄養不良、癌(がん)、消化管からの食物吸収不良の可能性があります。そのため、総コレステロール値が120mg/dL未満の場合には詳しい検査が必要です。無ベータリポタンパク血症や低アルファリポタンパク血症などのまれな遺伝性疾患は、深刻な結果を招くほど脂質濃度を低下させます。

まれな疾患である無ベータリポタンパク血症では、LDLコレステロールが存在せず、体はカイロミクロンをつくることができません。その結果、脂肪と脂溶性ビタミンの吸収が大きく損なわれます。便には過度の脂肪が含まれ(脂肪便症という状態)、赤血球に奇形がみられます。眼の網膜は変性して色素性網膜炎に似た状態が生じ、失明します。中枢神経系が損傷し、運動失調症になります。無ベータリポタンパク血症は治癒しませんが、多量のビタミンEを摂ることにより、中枢神経系の損傷を遅らせることができます。

低ベータリポタンパク血症では、LDLコレステロール値が非常に低くなります。普通、症状はなく、特に治療は必要ありません。非常に重度の低ベータリポタンパク血症では、LDLコレステロールがほとんどありません。症状は無ベータリポタンパク血症とほとんど同じです。

低アルファリポタンパク血症では、HDLコレステロール値が低くなります。HDLコレステロール値が低いのは、しばしば遺伝性です。肥満、運動不足、喫煙、糖尿病、ネフローゼ症候群などの腎疾患が、HDLコレステロール値を下げる要因になります。ベータ遮断薬(ベータ‐ブロッカー)やタンパク同化ステロイドなどの薬も、HDLコレステロール値を低下させます。HDLコレステロール値が低いと、アテローム動脈硬化(アテローム動脈硬化を参照)のリスクが高くなります。そのため、体重を減らす、運動量を増やす、喫煙をやめるなど、生活習慣を改善して、HDLコレステロール値を下げてしまう要素を取り除くことが推奨されます。脂質低下薬の中にはHDLコレステロール値を高める働きをするものがあり、LDLコレステロール値または中性脂肪値が高い場合に使用できます。

リン 

August 05 [Sun], 2007, 20:42
リン

体内にあるリンは、ほとんど必ずリン酸塩の形で存在しています。リン酸塩の大半は骨に含まれています。残りは主に細胞の中にあり、エネルギー代謝にかかわっています。リン酸塩は骨や歯の形成に必要です。また、細胞がエネルギーをつくるのに使う物質やDNA(デオキシリボ核酸)など、重要な物質をつくる成分としても使われます。リン酸塩は食事で摂取し、尿や便で排出されます。

低リン酸血症

低リン酸血症では、血液中のリン酸塩濃度が非常に低くなります。慢性低リン酸血症は、甲状腺機能亢進症、甲状腺が十分に働かない甲状腺機能低下症、腎機能が損なわれている場合、あるいは利尿薬を長期にわたって使用している場合に起こります。アルミニウムを含む制酸薬を長期にわたって多量に服用するか、テオフィリンを多量に服用することでも、体に蓄えられたリン酸塩がなくなってしまいます。重度の栄養不良、糖尿病性ケトアシドーシス、重度のアルコール依存症、重症のやけどなどでは、リン酸塩の蓄えが底をついてしまいます。こうした状態から回復しつつある患者の場合、回復期に体が多量のリン酸塩を使用するため、血液中のリン酸塩濃度が非常に急に危険なレベルまで低下することがあります。

症状が現れるのは、血液中のリン酸塩濃度が極端に低下した場合に限られます。筋力低下が生じ、昏迷から昏睡へ進行し、死に至ります。軽度の低リン酸血症が続くと、骨がもろくなり、骨の痛みや骨折が生じます。診断は、血液中のリン酸塩濃度が低いことに基づいて行います。

約1リットルの低脂肪乳またはスキムミルクを飲むことで、多量のリン酸塩が供給されます。軽い低リン酸血症で症状のない場合は、リン酸塩を経口で摂取できますが、たいてい下痢を起こします。重度の低リン酸血症、あるいはリン酸塩を経口摂取できないときは、点滴で投与します。

高リン酸血症

高リン酸血症では、血液中のリン酸塩濃度が非常に高くなります。高リン酸血症は、重度の腎機能不全の場合以外はまれです。透析は、リン酸塩を取り除くのにあまり有効ではありません。

高リン酸血症では症状がみられることはまれです。骨が徐々にもろくなり、痛みが出て、骨折しやすくなります。カルシウムとリン酸塩が血管や心臓の壁で結晶化して重度のアテローム動脈硬化を引き起こし、脳卒中、心臓発作、血液循環の不良に至ることがあります。結晶は皮膚でも形成され、激しいかゆみが生じます。診断は、血液中のリン酸塩濃度が高いことに基づいて行います。

腎臓が損傷している人の場合の高リン酸血症は、リン酸塩の摂取を減らし、消化管から吸収されるリン酸塩の量を減らすことで治療します。リン酸塩を多く含む食物は避ける必要があります。医師の処方に基づいて、リン酸塩結合性の制酸薬を食事と一緒に服用します。これらの制酸薬は、リン酸塩と結合してリン酸塩の吸収を妨げます。

水分過剰 

August 05 [Sun], 2007, 20:25
水分過剰

水分過剰は体内に過剰な水分がある状態です。

失った分以上の水分を摂取すると、水分過剰になります。その結果、水分が過剰になり、ナトリウムが不足した状態になります。したがって、水分過剰は血液中のナトリウム濃度が低い低ナトリウム血症(ミネラルと電解質: 低ナトリウム血症を参照)を引き起こします。普通、多量の水を飲んでも、甲状腺、腎臓、肝臓、心臓が正常に機能していれば、水分過剰にはなりません。腎機能が正常な成人であれば、水分を排出する体の能力を超えるには、1日あたり7.5リットル以上の水を毎日飲まなければなりません。

水分過剰は、腎臓が正常に尿を排出できない場合によくみられます。たとえば、心臓、腎臓、肝臓に異常がある場合です。水分過剰は、抗利尿ホルモン分泌異常症候群(SIADH)からも生じます。この症候群では、脳下垂体が抗利尿ホルモンを分泌しすぎて、腎臓が水分の排出を抑えてしまいます(体内の抗利尿ホルモンが多すぎる場合を参照)。

脳細胞は、脱水の場合と同様に、水分過剰に特に敏感です。水分過剰がゆっくりと起こった場合には、脳細胞は適応する時間的余裕があるので、症状はほとんど起こりません。しかし、急激に起こった場合には、錯乱、けいれん、昏睡が生じます。

水分過剰と過剰な血液量を区別する必要があります。血液量が正常で水分過剰の場合には、普通は余分な水分が細胞内へ移動し、浮腫は起こりません。水分過剰で血液量も過剰の場合は、余分なナトリウムがあるので、水分が細胞内へ移動できなくなります。代わりに、余分な水分が細胞周囲にたまり、胸部、腹部、脚の下部の浮腫を起こします。

治療

水分過剰はその原因にかかわらず、たいていの場合、医師の指示の下で水分摂取を制限しなければなりません。摂取量を1日1リットル以下に制限すれば、普通は数日間で改善します。原因が心臓、肝臓、あるいは腎臓の疾患の場合には、ナトリウム摂取量の制限(ナトリウムは水分を体内にとどめる働きをする)が有効です。

尿の排出量を増やすために、利尿薬が処方されることもあります。一般に、利尿薬は過剰な血液量を伴う水分過剰の場合に有効です。