優しさ、淡いソレ

January 08 [Thu], 2009, 20:40

嗚呼、なんて淡く美しい人なのかと思った


窓から入る光が当たって僅かに光っているように見えた


俯きがちにこちらをうかがう顔に影が差して


そこから発せられた声は優しく透明だった







彼が俺の名を呼ぶ




『高橋くん』




いつも聞く自分の名が

誰かが同じ名を呼ぶのに

彼が紡いだと言う事実だけで

価値を持ち俺の中にすとん、と落ちてくる


自分の夢や将来を話して

初めて会ったヤツにこんなこと話されて困っただろうに

彼は顔を赤らめ、しかし真剣にオレの問いに答えてくれた


言葉一つ一つ選んで

伝わるように、分かるように


嬉しかった

全て俺のための言葉なのだと

そう感じられたから


その時はたったの数分しか話すことしかできなかった

まだ、ずっと話していたくて

まだ、ずっと一緒に居たくて

まだ、まだ、まだ






『また話そう』






彼と俺との今はまだちいさな、けれど確実な繋がりが出来た







メールをした

彼が俺に答えてくれた時のように

ただ内容はありきたりなものだったけれど

一つ一つ丁寧に言葉を選んだ

こんな短い文章を書くのに

こんなに一つのボタンを押すことに

緊張したことはないだろう

きっと、これからも





これから俺は彼に頼るだろう

悩めば、きっと彼に

それは彼を困らせるだろう

けれどいつか俺に

彼が小さなことでいい

話をしてくれたなら

それで、それだけで俺は彼に近づける


何にも代えられない

大切な、こと






きっと俺は





彼に淡い恋をしているのだ





僕等は目を焼かれた盲目的な蛾

October 02 [Thu], 2008, 17:33

彼は僕の全てを構築していると言える人


剣を振るい髪を乱しながら戦うその姿は


獰猛で恐怖そのもの


けれど美しく艶やか


見る者の六感を奪い去り虜にしてしまう


彼はそう快楽に似ている


彼の進んだ焼け野原を道標に


僕は彼の背を追い続ける





寒椿の赤

August 20 [Wed], 2008, 21:02
その涼やかな瞳も

その雪のような肌も

その香るような髪も

その甘やかな声も


全てが愛しいのよ





「仙蔵」

「・・・どうした、こんな夜中に」

「ちょっとね」


まだ雪が被る睦月の夜

学園の月明かりのかかる廊下


あなたに話したいことがある

それは、


「私ね、辞めることになった」

「・・・学園を、か」

「うん、両親から連絡が来て。私、身請けされる事になったみたい」

「そう、か」

「この雪が溶け切る前に、発つ。

・・・仙蔵、私のことは忘れてね」

「な、」

「私なんかのこと、すぐ忘れちゃうかもだけど。

だけど、

仙蔵、愛してたわ」


ぽとり、と廊下から見える庭の寒椿の花弁が落ちた

白に落ちた赤


「・・・忘れるものか」

「え?」

「俺はお前を忘れない。絶対に、だ」

「・・・だめ。それじゃあ、」

「愛してる、お前を」

「せんぞ」

「こんなにも愛しく思うお前を忘れはしない」


気づいたときには白い腕の中にいた

目の前には仙蔵の肩の向こうに見える紫がかった髪

この細い体のどこにそんな力があるのか分からないくらい

強く抱きしめられた


「仙蔵、」

「愛してる、愛してる」

「仙蔵」


私の首筋に顔を埋め、何度も愛してると言った

その声はいつもの仙蔵から想像がつかないくらい

泣きそうだった


「仙蔵、仙蔵、仙蔵」

「愛してる、愛してる」

「私も、愛して、たよ」


でも、貴方はここで止まってはいけない

私みたいな女のせいで

だからどうか、

どうかどうか、


仙蔵の胸を腕で押すといとも簡単に離れた

そのときの仙蔵の顔は声と同じくらい、泣きそう

離れた仙蔵の頬を両手ではさんだ

するとひんやりと冷えていた


「だめよ。貴方は止まってはいけない、」

「あ、」

「愛していたわ、仙蔵」


少しだけ背伸びをして

仙蔵に口づけをした

それはただ触れただけの軽いもの

けれどそれは最初で最後の


「愛してたわ、仙蔵。だから」




忘れて




寒椿の最後の花弁が落ちた

雪の上にはいくつもの赤い花弁



どうか貴方もあの花の様に

最後には1つ残らず私の記憶を捨てて


















天使の脱落

August 06 [Wed], 2008, 14:27
なんて愛しいのか

十字架で私の胸を刺す君

ああ、泣いているのね

君の涙は真珠よりもダイヤモンドよりも美しい

世界中の誰も適わないよ

ああ、愛しい

愛しさばかり募るよ

私の全ては君のためにある







サンクチュアリで蜜葬

愛されて、いますか

July 31 [Thu], 2008, 21:22
とても優しい目をする人だと思った




「夏目様、お久しゅうございます」

「・・・え?」


先生との散歩中にいきなり声をかけられた。

真っ白な死装束を着た、日に溶ける銀の髪が印象的な美しい人。

誰かの家の塀の上からすとんと降りてきた。



「おまえ、アマメか」

「ああ、斑。久しぶりね。随分ちんちくりんになって」

「うるさい!大体今までどこに行ってたんだ!」

「おやおや、寂しかったのかい?ごめんよ」

「さ、寂しがってなどおらんわ!」


にゃんこ先生と知り合いなのか、なかなかに談笑している。

しかし、お久しゅうと言われても彼女と出会った記憶はない。


「・・・あのう、どなたですか・・・」

「ああ、私を、お忘れですか・・・?」


声をかけてこちらを向いたその目を忘れない。

深い深い青の目は悲しみに染まり、今にも泣きそうな。



「アマメ、こいつはレイコじゃない。こいつはレイコの孫だ」

「・・・じゃあ、レイコ様は・・・」

「祖母は死にました」

「そうでございますか・・・。分かりました」

「すいません、」

「いえ、レイコ様にはお会いできなかったけれど、孫であるあなたに会えた。

それだけで十分でございます」

「あの、あなたも友人帳に名前が?」

「いえ、私の名前は在りません」


受け取っていただけませんでした、と薄く笑って少し俯いた。

何か悪いことをしてしまったような気がして、

わたわたとしてしまったけれど、アマメさんは顔を上げ

ゆっくりと儚げに微笑んだ。


「では、私はそろそろ帰ります。あまり長い間は日の下にいる事ができない」

「・・・あの!アマメさん」


俺たちに背を向け何処かへ行こうとするアマメさんを呼び止めた。

大声で名前を呼ぶとびっくりしたように振り返った。

そして、泣いていた。

急いで淡い水色の着流しの袖で涙を拭いた。



「なんでしょう」

「また、来てください。ばあちゃんはいないけど、俺がいます」

「・・・ええ、また」


言葉と一緒に吹いた風と一緒にアマメさんは消えた。

でもそこに微笑みや声が残っているように感じる。


「・・・先生。アマメさんってどんな人なの?」

「アマメはいつもは雨の中でしか活動できない。

それ以外は日陰の中で過ごす。

アマメは日の中にずっと居るとそのまま消えてしまう」

「へぇ」

「あいつはレイコに救われたんだよ。

妖たちに交ざれぬ奴だったからな。レイコだけが居場所だったんだ。

優しい奴さ」






レイコさん

貴方はとても酷い人

こんなにも貴方は愛されている

それは盲目的だ

貴方は



愛されていた






影は太陽を求め、ついに捕らえた

July 20 [Sun], 2008, 18:31

アナタは情事の最中


アタシの名前を呼ばない


ずっと声を抑えるようにして


くぐもった声ばかり


アナタは気づいていないだろうけど


寝ているとき、必ず名前を呼ぶ


アタシじゃない名前を


愛しそうに、大事そうに


ああ、その人がアナタの


本当に愛されたい人






「黒崎さん」

「んだよ」

「アナタはどうしてアタシとセックスをするんです?」

「・・・どうしたんだよ、急に」

「アナタはいつも誰を思い浮かべる?アナタ愛しそうに呼ぶ」



『   』って人でしょ?



それを言ったときのアナタをきっと忘れられない

目を見開いて、声も出ない

額から伝うように汗が流れて

体中の筋肉が硬直してる



ああ、やっぱり






「ねえ、黒崎さん。アタシはアナタが愛しくてたまらない

それこそ修行だってアナタじゃなければやってない

アタシにはね、アナタ以外どうだっていいんですよ

で、アタシは考えたわけです

どうやったらアナタはセックスの途中アタシの名前を呼ぶのか

どうやったら愛しげに呼んでくれるのか

それで、1つ

ああ、そうだ。黒崎さんの心の中心があたしになれば

そうすればいい、と

そうするには今の中心が消えればいい

そこにアタシが入れば、アタシが中心だ

そうすればいい」




黒崎さんの顔がどんどん色を失っていく

口からは詰まったような声が漏れる

そんなアナタも愛しいと思うなんて

どんなに愛が深いか、アナタはわかってくれる?





想いは冷たい唇を誘う

June 26 [Thu], 2008, 18:10

いつか少年は言った


貴方の愛はまるで、毒のようだ


気づかないうちに体を侵していく


毒に気づいた時にはもう戻れない


それでも、苦痛はない


それは何故なのか、それは


それは、貴方も知っているのでしょう?






満月の夜

俺は少年に会いに行く

敵であるあの少年に


とある街の路地裏

月の光だけが其処を照らす

ひやりとしたレンガの壁に寄りかかり、待つ

すると無音だった空間に足音が響く

カツン、闇の中から浮かぶ純白の髪



「・・・ティキ」

「久しぶりだな、少年。元気だった?」

「ふふ、この前大怪我しましたよ。貴方が送った大量のAKUMAのせいで」

「俺は謝るべきかい?」

「いえ?あれはあなたの仕事でしょう?だからいいんです」

「そ、それはよかった」


少年、と呼ぶとあいた距離が縮まる

一歩、一歩、俺に歩み寄る少年は、月の光に照らされ

とても、綺麗で

手が届く距離になれば俺から手を伸ばし、引き寄せる

俺の腕にすっぽりと治まる華奢な体は

きっと多くの傷がついているんだろう



「ティキ、僕は貴方を愛しています」

「どうしたの、急に」

「でも、きっと幸せではない、苦痛でもないけれど」

「そう、俺は嬉しいよ?少年にあえて」

「ええ、僕も嬉しいですよ?そして貴方を愛しく思う。

でもいずれ僕らはたたかう事になる。近い未来で、きっと。

そうなれば僕らは会えなくなるし、もしかしたら、どちらかが」

「死んでしまう?」



言葉の続きを言うと少年は俯いてしまった。

微かに震えるその体はいつも以上に小さく見えた。

手で顎をすくい顔を上げさせると、目は涙に濡れていた。




「どうしたの、」

「ああ、ティキ」

「愛してるよ」



そっと口付けを落とす。

寒い空気にさらされた唇は冷えていた。

それを温めるように何度も。





「愛しているよ、誰よりも、何よりも、それこそ神よりも」





愛と呼ぶには汚く、嫉妬と呼ぶには優しい

June 03 [Tue], 2008, 16:23
彼は、アイツの名を呼ぶ




帝天によって様々な過去が塗り替えられた

銀朱のこと、呪いのこと、そして記憶

どうやらそれによって、鴇と同じ世界から来た

「篠ノ女 紺」と言う男の記憶から鴇が消えたらしい

俺にとっては天帝のことは気になるが

その篠ノ女というやつは興味はない


ただ、鴇があいつの名を呼ぶのだ。

寝ている間、寂しげに「紺」と。

一筋だけの涙を流しながら。


鴇、お前はそんなにそいつが大事か?

お前を忘れてしまった奴のことを?

俺はお前を覚えている。

誰にだってこの記憶は取られない。

お前が望むなら、何もかもお前にやろう。

だから、俺の名を




その声で呼んでくれ

可愛い君に、キス

May 18 [Sun], 2008, 16:17
あなたのこと

死ぬほど好きって言ったら、笑う?




私の好きな人は、はっきり言っておばかさん。

どんなフィルターを通してもそれは変わらない。

でもそれ以上に誰よりも輝いてるの。

声が大きいのも、ひげも、スーパーポジティブなのも

全部彼を輝かせるもの。



「平っち、」

「おお、どーした」

「この前旅行行ってきたの。そのお土産渡しに」

「なになに?!」


餌をもらう犬のように目を輝かせて私を見る。

ついでに両手をずいっと差し出して。

その姿が可愛くて仕方ない。ああ、可愛い。

思わずにやけそうになったが我慢して

出された両手に小さな袋を2つ、置いた。



「ご当地限定キティと、ご当地限定キュ―ピー」

「2つともストラップじゃねーか!」

「ご不満?もう一つあったのに」

「なに?!食べもん?」

「違うけど、ちょっと来て」


なになに?と言って大きい一歩を踏んで、さらに私に近づいた。

体が大きいから、自然と見上げる形になる。

それでは、ちょっと顔が遠い。


「ね、ちょっとかがんで」

「?おう」


すると目の前に顔が来た。

少し戸惑った様子の顔にちょっと笑えた。

でも、これでちょうどいい


「あのね、私ね」

「おう、なんだ?」

「平っちが死ぬほど好きよ」


そう言って、目の前にある唇にキス。

まるで子供のキスみたいに、触れるだけ。

ぱっと平っちの顔を見ると固まってた。

また、笑えた。


「お返しはいつでも


本当に、大好きよ」


そしてもう一度、キス。

ああ、好き、好き。




「だーいすきなんだよ」




俺が目を覚ます

May 17 [Sat], 2008, 16:27
俺が、そう、小学2年生の夏だった

友達と近くのプールへ行って、頭が濡れてて

持っていたバックが塩素臭かった

もう夕方だったけれど体は熱くて

家に帰ったら、お母さんにお願いしてアイスをもらおう

夕食前だけれど、小さいやつならくれるかもしれない

そう思いながら歩いていると、やっと家が見えてきて

少し小走りになって家に向かった

家の前について、玄関の扉を開ける

いつもならおかえり、そう言ってくれる声が聞こえない

いつも勿体無いからってクーラーをつける時は

リビングの扉を閉めているのに

今日ばかりはその扉が開いていて、家中がひんやりとしていた

閉め忘れたのだろうか、早く言わなきゃ

そう思ってお父さん、お母さんが居るだろうリビングに向かった

お母さん、そう言いながらリビングに入った


リビングは鼻をつくような鉄のにおいがして、台所を見ると

お父さんとお母さんが重なるように倒れていた

体中を真っ赤にしながら


体に触れてみるとびっくりするくらい冷えていて

手にはべっとりと血がついた


そのときの俺はいつにないくらい冷静で

けれど心臓はバクバクして

体のそこから上がってくる今まで感じたことのないほど

ぞくぞくした

無意識に口は笑っていて


そのあと訪ねてきた親戚が警察を呼んだ

どうやら犯人は最近話題になっていた連続殺人犯だったらしい

その後すぐに犯人は捕まって、数ヵ月後死刑になった


俺は犯人に感謝している

それは親を殺したことにじゃない

親の血だらけの姿を見て覚醒した俺の中の狂気

犯人が親を殺さなければきっと目覚めることのなかった狂気に対してだ


どこの世界に親の血まみれ死体を見て興奮する子供がいる?

ああ、いるさ 俺だ


俺はもう世から外れたものになった

しかし、気分は良くなった


そして気づいた。

俺の本来の姿がこれだと。




俺が世界を離れたのではない

世界が俺に恐れをなし


俺を突き放したのだ。





プロフィール
  • アイコン画像 ニックネーム:紫野 散茶
  • アイコン画像 性別:女性
  • アイコン画像 職業:小中高生
  • アイコン画像 趣味:
    ・マンガ-D.Gray−man、BLEACH、アイシールド21、銀魂、DOLLS、とかげ、学園アリス、女子妄想症候群,etc...
    ・語学-オリジナル&少年マンガ&少女マンガ&その他の小説。
    ・お笑い-次長課長、こりゃめでてーな、平成ノブシコブシetc・・・
読者になる
主に小説で活動。原作があるものを扱います。たまにオリジナル、BL
原作ものはCP小説だったり名前無変換のものだったり。様々。
どなたか此処の設定使って小説書いてくれないかと思ってます。
書いてくれるという心の広い方は一報ください。
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