通学の電車で、中学の時の友人に会った。
オタっぷりは増強しているらしい。
なんでも、高校でオタ友達を見つけたらしい。
姿でわかるようなやつじゃないらしい。俗に言う隠れ。それは貴重な友人だと思う。
今まで俺は高校でそういうやつを見つけていない。見つけたいものだ。
ヤツは同じ時間に乗っているらしいから、明日からも会うかもしれない。
電車内で、俺とヤツはしばし話した。
ヤツも俺と同じくハルヒにはまっているそうで、若干語った。
ヤツはみくる好きらしい。俺はハルヒ。
だがそんな差異は些細なもので、ハルヒトークなんざ簡単にできた。
女三人寄れば姦しいとは良く聞く言葉だが、オタは二人でも十分やかましくなれるみたいだ。
さすがに電車内だったから、ちょっとは躊躇して若干小声でしゃべった。
中学時代、美術部にたまに顔を出していたヤツ。
美術部の面々は何をやっているか。そんなことも話した。
いわく、模写ばかりしていたNはプログラマーを目指しているらしい。
当時の部長――シンのことだが――は絵描きを目指している。
当時の副部長は俺とギターをやりながら、大学に入って映画を作るつもりらしい。
今日電車で会ったHは、グラフィッカーを目指しているらしい。
皆が皆、自分の夢に向かってがんばっている。
―――俺はがんばっているのだろうか。
大学受験の勉強はぜんぜんしていない。
正直、入りたい大学は決まっていて、学力は中の若干上といった感じ。あまり勉強はしなくてよさそうだ。
まぁ、それでも夏休みは勉強漬けだろうが。
音楽で生計を立てれるような腕前は持っていない。去年はじめたばかりだからな。
絵も、そんなに努力してこなかった。
何ができるだろう。俺に。ちょっと凹んだ。
だが、この機会だ。考えつくしてやろうじゃないか。
何ができて、何に興味があって、何を目指すのか。