迷わぬ子羊

January 16 [Thu], 2014, 0:15
私は昨年の春、勤めている中学校の、特別支援学級の担任に任命されました。この5年間我が中学校には、支援学級が相当と判断をされる生徒はいなかったのですが、転校してくる中学3年生の横瀬武夫一人のために開級が決まりました。
社会が専門で、障害を持った子どもの支援経験皆無の私がなぜ任命されたのかは分かりませんが、春休みのうちに横瀬武夫の資料に目を通し、指導計画を作成しなければなりませんでした。横瀬武夫、小学生の頃より親しき友人なし。提出物にルーズで、授業を受けず勝手に学校を抜け出し虫取りに興じたり、校庭のすみで花を摘んだりの毎日。成績は中の上。小学校は毎日登校。
中学校入学時、支援センターに相談広汎性発達障害と診断を受け、中学生活2年間は1度も学校へ行かず自宅学習を貫いて来たとの事でした。新年度が始まり、横瀬武夫が母親に連れられ職員室に姿を現しました。小柄で色白、声も小さくほとんどうつむいていました。教室に案内すると、母親から事前に要望されていたシャーカステンによる仕切りをとても気に入ったようで、持参してきたイヤーマフを装着し席につきました。授業を受けていても、教室の時計の音から校庭の体育の指導の声までなんでも同等に音を拾ってしまうと話す彼は、四六時中イヤーマフを装着し続け、他の生徒が使用しない時間にトイレに行き給食を取りに行っていました。学習に関しては、記憶力が高い反面基礎知識が抜け落ちているアンバランスさもありました。
なにより、横瀬武夫という生徒に対して自分を決して曲げない『迷わぬ子羊』という印象を強く持ちました。
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