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25年の地域包括ケア、考え方は「ケア付きのコミュニティー」 / 2010年07月25日(日)
【第115回】田中滋さん(慶大大学院経営管理研究科教授)

 団塊の世代が75歳以上となる2025年、都市部を中心に高齢化が進み、どのようなケアを行うのか、その対策が急務となっている。こうした問題に対応するため、介護の有識者から成る「地域包括ケア研究会」は08、09年度、地域での25年のケアの在り方について幾度にもわたって議論を重ね、厚生労働省の老人保健健康増進等事業としてこのほど報告書をまとめた。研究会の報告書はいったい何がポイントなのか―。座長を務めた慶大大学院経営管理研究科の田中滋教授に話を聞いた。(外川慎一朗)

―研究会でまとめた報告書のポイントはどのような点でしょうか。
 日常生活圏域で、急性期入院を除く医療、介護、福祉、生活支援などが一体的かつ適切に利用できる提供体制を全国につくろうという提案です。日常生活圏域は中学校区とも言え、人口は約1万人、高齢者は平均2500-3500人。このうち要介護者数百人の規模を想定しています。この圏域はいわば、「ケア付きコミュニティー」の考え方と言えます。

―「ケア付きコミュニティー」とは。
 地域の中のどこにいても、おおむね30分以内でこのサービスが利用できるコミュニティーです。地域のどこに住んでいても、ケアの場所となり得ます。しかし、全く「移り住まない」わけではありません。もし今の住宅がバリアだらけで住みにくければ、地域の中で集合住宅に移り住む選択も容易に行えるようにすべきです。ただし、本人が希望しないまま、自分とは何のつながりもない他の地域の施設に移り住む事態は、できる限りなくしたいのですが。

―地域包括ケアの考え方では、住宅がメーンになります。
 現在の特別養護老人ホーム(特養)は、将来的には重度者向けの専門ケアが組み合わされた住宅の一種と見なされるようになるでしょう。しかし「ケアが組み合わされた」であり、「ケアが必ず内付けされた」住宅ではありません。建物の中に介護サービス提供者のステーションは必要ですが、夜間の看護職員などは30分で動ける地域の中に必要な数を確保できればよく、サービスを外付けでも利用する形態により、資源配分を効率化できます。また、施設の中向けにサービスを提供してきた大規模な特養が、地域に小規模な拠点を作り、良質なサービスを地域全体に展開する在り方も、もっと広まってほしいですね。

―サービスを地域の中に置くということですが、それで高齢者の安心は担保できますか。
 今、施設に入所する人は、在宅の区分支給限度額にかかわる問題を別にすれば、いざという時の安心感のために、やむを得ず入所している、もしくは、強い言い方をすれば、安心感を得たい家族によって入所させられているのではないでしょうか。火災が不安だからといって消防署の2階に住む人はいません。地域のどこでもすぐに消防車が駆け付けてくれる安心感があればよい。それと同じです。
 安心感を得るための「終の棲家」として、3年も4年もそれまでの生活とは関係のない地域で暮らす形はいかがなものでしょうか。介護の先進諸国でも、亡くなる前の1か月間程度なら、生活と切り離されて自宅以外の施設に入る対応はあり得ますが。それ以外はやはり、できる限り住み慣れた地域で生活し、すぐにサービスが利用できる体制を整備すべきです。

―地域包括ケアでの基盤となるのは何でしょうか。
 基盤は何といっても住宅です。住み家がしっかりと確保されてこそ、万一の時に必要な医療や看護、介護サービスを活用できるのです。在宅にとどまれる限界を高めるためのカギは、24時間巡回型介護と緊急通報システムだと思います。さらに、使いやすいショートステイ、信頼できる訪問看護などの整備に努めなくてはなりません。日常的な訪問と通所の介護を含め、どれが優先されるかではなく、住宅、医療・看護、緊急通報、介護のそれぞれのサービスが重層的に積み重なって地域に提供されるイメージを描いています。

―その中でも、介護の姿はどうあるべきなのでしょうか。
 「実体的なニーズとは別に、特に家族が求める安心感故に、施設に入らずに済む介護」が必要です。具体的には、今指摘した24時間短時間巡回型の訪問介護や訪問看護、小規模多機能型居宅介護などの普及を期待したい。また、要介護度を悪化させないための通所と訪問のリハビリにも重点を置くべきです。一方で、生活支援や家事援助はこうしたサービスとは別体系に属するととらえました。それぞれのサービスによって、保険給付と公費援助に加え、自費で利用したり、コミュニティーの互助が機能したりと、いろいろな方法があっていいと考えます。

―では、生活支援や家事援助の在り方は。
 どこまで介護保険で見ればいいのかをめぐる議論につながります。例えば、日常生活は摂食、排泄、入浴などを一人でできても、食事が作れなかったり、洗濯や掃除が面倒になったりする高齢者は珍しくありません。この人は身体介護サービスが必要な状態というよりも、生活の手助けが必要なのです。こうした生活支援などのサービスの費用は、すべてを介護保険給付とするわけにはいかず、先程述べたような組み合わせの発達を望みます。

―生活支援や家事援助はすべて介護保険の給付から外すべきなのでしょうか。
 必ずしもそうではありません。例えば、リハビリとしての家事援助や重度の認知症を抱える人の生活支援など、利用者の悪化防止の意味が認められるなら、個別判断によって介護保険給付の対象になっていいでしょう。

―25年までに地域包括ケアのシステムを構築することは、果たして可能なのでしょうか。
 わたしを含めた団塊の世代が75歳を迎えた時に、どんな地域で、どんな生活を望むのか、そのためにはどこまで税金や介護保険料を負担する覚悟があるか、に尽きます。もしいろいろなサービスが充実した地域に住みたければ、今後15年間で地域づくりに参画し、団塊の世代の責任として仕組みをつくるべきです。「可能かどうか」は間違った問いで、構築するかしないかの決意の問題でしょう。

―介護を担う人材の在り方については。
 介護の担い手の専門性を高めることが重要です。現在、介護職員の社会的評価や賃金が低いといわれるのは、生活支援などと在宅生活限界を高める専門的介護が“ごっちゃ”になっていることに起因していると思います。故に「介護は誰にでもできるもの」と考えられてしまっています。専門的介護と生活支援・家事援助を分け、介護福祉士を中心としたプロの職種として専門性を高められるようにします。その分、賃金を改善し、しかるべき収入が得られるようにすべきです。

―そのほかに必要なことはありますか。
 虐待や権利擁護の問題への対応が必要です。例えば、現在の成年後見人制度では、財産管理などはできても、手術など医療行為への同意ができないため、認知症の人が必要な医療を受けられない事例があると指摘されています。後見人制度を発達させ、認知症の人などが必要な医療を受ける権利を守ることも求められます。また低所得者対策も重要な問題の一つです。自治体がこうした人々に対して住宅を提供するなどの施策を取る必要もあるでしょう。

―今回の研究会報告書に対しては、一部からは高齢者自身やNPO法人などの担い手が参加していないとの指摘があるようですが。
 研究会は、実務にも精通する研究者が中心となって進めてきたものです。患者の声を聞いて研究を始めるにしても、先端医療の基礎研究は通常は専門の研究者の責任で行う過程と同じです。しかし、これと政策決定の過程は違います。今後、厚労省の審議会や検討会で制度改正に向けた議論が進められるでしょう。その際は介護の担い手や利用者など当事者の意見を十分に尊重し、政策に反映させなくてはなりません。

地域ケア研究会報告、「施設解体」と懸念―全国老施協・中田会長


【7月25日12時44分配信 医療介護CBニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100725-00000000-cbn-soci
 
   
Posted at 21:21/ この記事のURL
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