本当の美しさ

June 30 [Thu], 2016, 16:19



私はずっとバラになりたかった。
バラにあこがれ、バラになるために自分の本来の美しさを否定した。
あこがれはいつしか羨みになり、羨みは嫉妬へと形を変えた。
ふと気付いた時、ボロボロだった。
葉も根も酷く痛み、ただの雑草のように成り果てていた。
そんな自分が酷く痛ましくて、こんな私を見られたくなくて、そっと茎を折り曲げ、誰にも見つからないように息を潜めた。
日の当らぬ場所から、凛と輝く花を見ては、言いようのない悲しみに襲われた。
ある日、自分と同じ花に出会った。バラのような凛とした姿でもなく、芳醇な香りを漂わせているわけでもないのに、その花はとても美しかった。
何の花になろうともせず、ただある自分を自分らしく見せていた。
ポロポロと涙が出た。私をこんなにも醜くさせてしまっていたのは、私自身であることに気付いた。
一重しかない花びらはダメだと、香りがない花はダメなのだと、そんな花は花ではないのだと決めつけていた。
何て、酷く偏見に満ちた考え方であったのだろう。
私は私のままで十分だった。
それに気付いた後、私は、とてもとても小さな蕾をつけた。

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