<イニョン王妃の男 DVD>日本の“母親”監督が大活躍 映画製作と子育ての両立は「問題ない」

June 03 [Tue], 2014, 17:25
 イニョン王妃の男 DVD第67回カンヌ国際映画祭のシネフォンダシオン部門で、平柳敦子監督の『Oh Lucy!』が2席を受賞した。同部門は学生映画を対象としており、今年は16本が参加。平柳監督の他にも早川千絵監督の『ナイアガラ』も上映されていて、世界中の1,631本の中から選ばれたことは快挙と言える。

 『Oh Lucy!』は桃井かおりが主人公のOLを演じる22分の短編。55歳で恋人もおらず、職場でも思ったことを口にできない姿からは、イニョン王妃の男 DVDスターの雰囲気がかけらほども感じられない名演。ある日、いい加減な姪っ子から紹介された怪し気な英会話学校に通うことになり、そこで「Lucy」を演じることになった彼女は、自分の中にいるもう一人の自分を解放していくことになる…。

 日本人なら「あるある!」と同意したくなるような英語コンプレックスや、集団の中の同調圧力と取り残される感覚などのユーモアに会場からは何度も大きな笑いが沸き起こり、上映後には自然と「ブラボー!」の声もあがった。この設定には平柳監督自身がアメリカで留学時代に感じた、もどかしさの経験が反映されているという。実は今回の作品も、シンガポールにあるニューヨーク大学 大学院 Tisch Asia 映画製作科の修了作品として製作されたものだ。一部の屋外シーンを除き、舞台となったオフィスなどはすべてシンガポールで撮影されており、印象的な英会話学校はカラオケボックスを利用したという。スタッフも同校の学生が参加しており、現場は英語での演出がメインだったという。

 その作品でカンヌという大舞台を経験。最初に連絡メールが来た時には「ピーーーっと頭に血が昇った」と笑う。シティーハンター in Seoul DVD上映での大きな反響には「他の学生作品がダークな作風が多く、観ている私も苦しくなっていたところに、珍しくコメディが入ってきたからでは」と冷静に分析する。その結果が22日の受賞という快挙に結びついた。賞状を受け取ってスピーチする場面では、こらえきれずに目頭をおさえる姿も。賞金の11,250ユーロの使い道を聞かれ、「まずは赤字の補填、でも次の長編への資金にもなる」と早くも先を見据えていた。元々は2011年に実施された映像人材育成プロジェクト「タレント・キャンパス・トーキョー」でプレゼンされた長編企画を、そこで出会った曽我真寿美プロデューサーとともに短編として製作した経緯がある。この『Oh Lucy!』の長編以外にもいくつか企画を準備しているという。
 
 一方、賞には届かなかったものの、同部門で上映された早川監督の『イニョン王妃の男 DVD』は対照的に若い二人の男女を主人公に据え、彼らの心の揺れを繊細に描いた瑞々しい作品。養護施設で育った少女が、昔、両親を殺害し、祖母と自分も殺そうとした死刑囚の祖父がいることを知らされる。施設を出た少女は祖母と暮らすことになるが、そこには住み込みのヘルパーとして祖母を世話する少年がいた。奇妙な共同生活が始まり、やがて3人は控訴を取り下げた祖父への面会に向かう…。

 少年が外界のあらゆる環境音を録音し、祖父へ届けているエピソードが印象に残るが、「死刑囚が外からの音を聴き、抱えていた記憶を思い出す瞬間があるような設定は昔から考えていた」という。一年間通ったENBUゼミナールの修了企画として製作するにあたり、「(少女を演じた)伊丹さんの顔が大好きで、撮りたかった」と明かす。「経験がないので演技が出来るかどうかは賭けだったけど、初日に大勢が演じる場面の撮影で、ごく自然に役としてそこに存在していた」と振り返る。9日間の撮影で、すべて自腹で持ち出した予算は「20万円を超えたあたりで数えるのが嫌になった」と苦笑いを浮かべるが、「小学生の頃から映画を作りたかった」という早川監督にとってカンヌは特別の場所だっただろう。今回のカンヌではコンペ部門の河瀬直美監督を始め、平柳監督も早川監督も「母親」の顔も持つが、「(映画製作と子育ての両立は)研ぎ澄まされて、時間のある時に進めているから問題ない」(早川監督)と頼もしい。『ナイアガラ』主演の若い二人と一緒のカンヌ入りだったが、初海外の二人を見守る視線も母親そのもの。その感性や人柄は作品に如実に現れており、今年の母親監督の活躍を象徴する1本だったと言えよう。

 イニョン王妃の男 DVDなお、カンヌ映画祭のトップとして長らく君臨していたジル・ジャコブ会長は、今年を最後に勇退することが以前から報じられていたが、今回の授賞式では自らの肝いりで始めたシネフォンダシオン部門は引き続き、ジャコブ氏が責任者として続けることを明言。世界の最前線の映画を紹介するだけでなく、次世代を育成しようという映画祭の姿勢を強く感じさせた。今回の二人の監督の活躍にも大いに期待したい。
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