全兵士の数は? 大きな数とペル方程式
September 27 [Thu], 2007, 23:17
先日,学会があったので久しぶりにロンドンへ行ってみた.ロンドンへ行くとなると当然日本語の本を買うことが出来る本屋さんにも行くことになるのだが,今回は某百貨店の地下の本屋さんにて一松信先生の「数のエッセイ」を発見,購入してみた.
さて早速この本を読んでみると,なかなか面白く,また面白い数学の問題が紹介してある.ご存知の方も多いかとは思うのだが,こんな楽しい問題を僕だけで楽しむのは勿体無いので少しだけ先生の本から引用して紹介してみたいと思う.以下の考察はすべて一松先生によるもので,僕のオリジナルではないということを最初に断っておく.
問題
正方形に兵士が並んだ軍団が60あり,それに総大将の王様1人を加えて全体が並び直したら,大きな正方形が出来た.全体で何人か.
正方形の一辺をxとすると,x^2(xの二乗)の正方形の軍団が60個あるわけだから,兵士の数は60x^2,これに王様一人が加わるので+1が全体の人数となる.それで王様も含めて並び直してそれがまた大きな正方形になるのだからその一辺をyとすると
60 x^2 + 1 = y^2
という式ができる.後はこれを計算すれば答えは出てくるわけだが,答えを最初に言ってしまうと,x=4, y=31なのである.よって全体の兵士の数は 60 (4 x 4) +1 = 961 = 31 x 31となる.Excelなどを使えば簡単に解は見つかるし,大多数の人は,ふーん,それで?ということになる.
数学的に言えばx^2 + m y^2 = 1の2元2次の形の不定方程式はペル方程式といい,勿論僕も遠い昔に勉強したはずなのだが,講義をしていたのは退官まで後1年という老教授で,先生の講義は原爆的に催眠効果があったので何も覚えていないのである.先生ごめんなさい.
さて,上の問題がなぜ面白いのかというと,じゃあ兵士の正方形の数を61,62として問題を考えた場合,後者はx=8, y=63,全兵力3969人となるのに,前者の場合は何とx=226153980, y=1766319049となり,全兵力は3119882982860264401人となってしまうことである!!!!
ちなみに3119882982860264401人がどれぐらい大きい数なのかというと,これは30億の10億倍というもので,これは多すぎるとかいう次元の話ではなく,世界の総人口よりもずっと大きい兵力となり,これはもうでたらめな話だということになる.
さて,この話のどこが面白いのかというと,やはりそれは勿論正方形の数が60や62のときは比較的安心できる(?)答えが出てくるのに62だととにかくべらぼうな答えが出てくるというころで,やはり数の不思議さというかそんなところを垣間見ることが出来ることではないだろうか.
一松先生も述べておられるように数学をきちんと勉強したことのある人ならこのくらいの話は大したものでは無いのかも知れないが,こういった話も少しはあったのなら退屈な老先生の整数論の講義ももう少し面白かったのだろうなあと....郷愁に浸っている暇があったら,もう少し数学を勉強しろ?その通りです,ごめんなさい...
一松信「数のエッセイ」,ちくま学芸文庫
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