氷の溶ける温度

December 09 [Thu], 2010, 17:02
疲労がたまっているところに、嫌な上司が延々とグチをこぼして結局最後には怒りの矛先が私に向かう。この理不尽な展開。それでも相づちを打ち「申し訳ありませんでした」と頭を下げる私。

…ほんとにストレスたまるな、社会人ってのは。。

仮面をつけて、愛想笑いして。こんなところで何してるんだろうって、ふと思うことがある。
本当の私ってどんなだっけな。時々忘れそうになる。

少しでも幸せが逃げないように、思わず出そうになったため息を飲み込んで、ニノが待つ家のドアを開ける。
「ただいまぁー…ヒッ!!」驚いて声が出てしまった。ソファーにいるはずのニノが、ドアからこちらを覗いていた。柔らかい笑顔で「お帰りなさい」

それだけ言うと部屋の中に入ってしまった。
氷が溶けていく感覚。なんだかホッとした。

部屋に入るとニノはいつも通りソファーでゲームに没頭していた。なんでだろう、ニノを見るだけで安心する。温かいコーヒーを2人分入れて、私もいつもの指定席に座った。
さっきドアから出したニノの顔が頭に浮かんで、「ただいま」を言い忘れたことに気付いた。
ニノは背中を丸めてまるで猫みたいだ。ソファーで横になってゲームをするその背中を撫でながら「ただいま、ニノ」そう言うとまた氷が溶けた気がした。

「んふふ…遅いね、返事。」ニノはそう言って笑ってた。「そうだね」私も笑った。
ニノがもそもそと起き上がって、私を背もたれにしながら
またゲームの世界へと入っていく。

「あったかいねー、ニノ」そう呟くと「ん…」気のない返事をしてニノがスンと鼻をならす。
その反応にまた笑顔がこぼれる。
思いっきり息を吸って、深呼吸する。幸せな、温かいこの空気で体の中が満たされるように。
何度も何度も吸っては吐いて。
「揺ーれーてーるーよーって!」ニノがゲームの画面を見ながら私にツッコむ。「だって幸せなんだもん」思わず出た本音。
「何それ。意味分かんない!」笑いながらニノが言う。
「ずっとこんな時間が続けばいいのにね。」そう言ってまた息を思いっきり吸った。
画面が揺れて仕方ないニノはとうとう観念してゲームの電源を切ると、私から背中を離してコーヒーカップを手に取った。一口飲んでフッと微笑むとコーヒーを見ながらニノが言った。
「永遠ってさ、ないんだよね。だから今が愛しいの。だって今はもう2度と来ないんだよ?それってすごくない?もう絶対同じ時間は流れなくて、その時間を切り取ることもできないの。そしたらさ、今を楽しく過ごしたもん勝ちじゃん?それでその瞬間がすごい楽しかったらさ、オレの中に蓄積されるんだよ、その幸せが。今こうやって2人でコーヒー飲んでる時間の分も、蓄積されてるんだよ。それって素敵じゃない?」
そう言って私に微笑みかけた。

「うん…」そうだね、素敵だね。そう言いたかったけど、涙がこぼれて言えなかった。
幸せな涙なのか悲しい涙なのか、全然分からなくて混乱していたけどニノが背中をさすってくれた。その手の体温がまた氷を溶かしてくれた。
プロフィール
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