とわられ。 

2008年07月03日(木) 23時45分
 天井が上に見える。
 手に持っていたものが中に舞う。


 やってしまった―…!!

 こけながら思ってももう後の祭り。
 持っていたイチゴミルクが転んだ先にあった荷物に見事にかかった。


 「・・・・・。」
 「・・・・・。」

 ぶちまけた先を呆然と見詰める。
 相手もぼうっと紙袋を見ている。


 信じらんない、信じらんない!!


 キラは自分の間抜けさをのろった。
 こけるまではいい。たとえそこに何も無くても。
 イチゴミルクをこぼすのはいい。そこに何も無ければ。
 

 それが何であのアスラン・ザラに!!


 同じクラスの隣の席だがやけに冷めてて周りからは浮いている。
 というか”怖がられ”ている。
 彼自身が何かしたというわけではない。
 それでもうわさでは所謂”悪いやつら”と繋がっていて麻薬の売人だとかヤンキーの頭だとか言われていて彼もそれを否定も肯定もしていない。
 その微妙さがまた怖かった。

 どーしよー!!!

 後ろではカガリやフレイが何やってるんだといっているみたいだがそれも遠くに聞こえる。

 「ご、ごめんなさい!!」

 キラはとにかく謝った。

 「な、中身何かな・・・?駄目だったら僕・・・。」
 「・・・もの。」
 「え?」
 「着物・・・。」

 ぶちまけた紙袋から出てきたのは鮮やかな色の”着物”だった。


 うそだろ〜!!


 着物=高いイメージのキラはびびった。

 「え、えとそれどれ位の・・・。」
 「古着だけどそれなりに質のいいものだから・・・。ウン十万。」
 「えぇ〜!!」
 「責任とってもらおうか?」

 ニヤリと光を背にして笑う。
 そう笑ったアスラン・ザラの顔が最高に怖くてキラはなきそうになった。


 そうしてキラ・ヤマトはアスラン・ザラにとらわれた―…。


サカモトさんの「とらわれごっこ」のWパロ。
もうちょっと続きます。

よしもとばななWパロキラ♀ 

2008年01月11日(金) 20時50分
「ヤマト君。これ資料まとめておいてくれ。」
「はぁい。」

キラは間延びした返事をしながら上司から資料を受け取る。
その量はいつもより多めだ。
やれやれ。今回は時間かかりそうだな〜。
聞こえない程度に小さくため息をついた。

キラはそこそこ大手の会社の派遣社員だ。
仕事内容は事務。
保険は派遣会社の方から支払われるが、残業手当は付かない。
つまり真剣に働けば馬鹿をみるということだ。

「あぁ明後日までで十分だから。」
「わ〜良かったです。がんばりますね。」

キラはにっこりと笑った。
上司もそれに釣られて笑った。
ちょろいなぁ…。

仕事できないくせに。
何が頑張るよ。

ちらほらそんな声が聞こえるがキラは気にしない。
そんなことを言ってるのは所詮残業手当ての付く正社員だ。

仕事が出来ない。
そんなレッテルをはられてもキラはなんら気にならない。

そう思われて仕事を回してくれたほうが余計な仕事来なくて助かるんだよね。
キラはこっそりほくそえむ。
自分の机につき、資料を広げる。
これぐらいなら半分ぐらいを今日で済ませればちょうどいいかな?
明後日きっちりに終わらせるように脳内で計画を立てた。

馬鹿な振りほど賢いものはないとキラは信じている。

「ヤマトさんこれも。」
「え?」

キラは突然自分の目の前に出された書類に驚いた。
相手は営業課トップの成績のアスラン・ザラだ。
顔は誰だって認める美形。
しかしキラの好みじゃなかった。

「何か考え事でもしてた?」
「あ、え〜と仕事どこから手をつけようかなぁと。」
「あぁこれなら経費がいくらかかるか、から集めたほうがいいと思うよ?」

早く去って欲しいのに律儀にアスランは自分にアドバイスまで始める。

「そ、そうですね。がんばります。え〜とザラさんのは?」
「あぁ、急がないけど他社と過去の資料をしっかり集めて欲しいんだ。」
「分かりましたぁ。」
「ヤマトさんは仕事が速いわけじゃないけど、しっかりした物出してくれるから頼りにしてるんだ。」
「ありがとうございますぅ。」
あなたの信頼なんて要りませんとは思っていても顔には出さない。
「だからあんなの気にしないでね。」
そういって肩をポンと軽く叩くと自分の机に戻っていった。
どうやら先ほどの女性社員の嫌味のフォローにきたらしい。

そんなのいいから仕事回さないでよ。
渡された書類を軽くにらんだ。





遊園地にて。 

2007年05月30日(水) 21時02分
「絶対に嫌です!!」

シンが声を荒げる。
周りの人が見るが気にせずに嫌だと大声で繰り返した。
逃げ出そうと必死だが両腕をつかまれて動けない。
それでも必死にもがく。
その様子を見てシンの右腕をつかんでいたキラが「はぁ〜」と大きくため息をついた。

「ここまで来たんだからさそれは無いんじゃない?」
「だれもこれに乗るとは言ってません!!」
「も〜。宇宙の無重力が平気なら全然大丈夫じゃない。」
MSだともっとひどいGだって掛かるんだからかるいもんだよ。とあきれたようにキラが言うとシンはきっと目を吊り上げて叫ぶ。

「だってこれ360度、一回転するんですよ!?」

それこそMSでもっと激しく動いてるじゃないかとキラはバカにしたような目で見た。
「あきらめろシン…。」
そこにそれまで傍観していた左腕をつかんだアスランがため息をつくように言った。
「なに言ってるんですか!?絶対に嫌です!!」
あんただって苦手なくせに!!アスランに向かって叫ぶとキラがグイっと引っ張り
「そのアスランだって乗るんだからいいかげんにしてよ」
低い声で囁く。
シンはあまりの恐ろしさに固まってしまった。

なんで、なんで俺がこんな目に…。

事の発端はたまにとれた休暇にキラがテーマパークに行こうと言い出したからだった。
何でかアスランも休みで(きっと無理やり合わせたのだ)それに護衛という形で自分が行くことになった。
始めはシューティングやら、シアター系やらを回っていてそれから当然のように絶叫系のものにも乗ることになった。

で、恐ろしい体験をした。

小さいころは身長が足りず乗れなかったため経験が無かったシンは思い切り悲鳴を上げてしまった。

まさか自分が動かさない物があんなに怖いなんて・・・っ!!

今思い出しても目が回りそうだ。
レールから外れたらどうするんだというくらいのスピードと旋回。
今にも飛び出しそうな急降下そのときの浮遊感。

絶対にもう乗りたくない!!!

シンは俯いて動かない。
キラはもう一度大きくため息をつくとシンにささやく。

「いい加減にしない本気で怒るよ?」

―っ!!
びくりとシンは肩を震わす。

「はい、アスラン一緒に引っ張っていこうね。」
「シン、いくぞ〜。」
そういってアスランとキラはシンをずるずると引っ張っていく。

無理やり乗せられたシンは頭を下げ絶対に前を見ずに死ぬ、死ぬと繰り返していた。
キラは隣で楽しいそうに笑いながらシンに次は右とか今から落ちるよ〜と説明し、アスランはあきらめたように無言で乗っていた。

「たのしかったね〜!!」

本当に楽しそうにキラは言った。
その隣には意識を手放しかけたシンと少しグロッキーになっているアスランが居る。


「あんたなんで乗るんですか…。」
自分ほどではないが絶叫系が苦手なアスラン。
それがなんで。
「キラ一人で乗せられないし乗ってるキラが嬉しそうだからな…。」
困ったように笑うアスランにシンは何もいえなくなった。

あんたの人生ほんとキラさんで出来てるんだな!!!

いっそ羨ましいぐらいだ。

「ほら〜!!次いくよ〜!!」




ネズミで出来たネタ。(とわちゃんありがとう!)
運命後適当な時間軸アスキラ可愛がりシン。
絶叫系大好きなキラ。
乗った後グロッキーになるけどキラのために乗るアスラン。
もう絶対に乗らないと誓ったシン。(笑)

「ファーストキス」 

2006年06月16日(金) 22時57分

「んっ…」
自分の鼻に付く声が聞こえる。

とてもいたたまれない。

「はっ…んっ」
自分の息継ぎの声。

まるで自分の物じゃないみたいで。
なにも考えられなくなる。

アスランとのキスはいつもこんなのだ。

立っていることもままならなくなって、アスランに体ごと預ける。
そうするとアスランも僕を支えてくれて、少し一つになったような錯覚を覚える。

「はぁっ」
「ごちそうさま」

キスが終わるといつものようにアスランが笑った。
キラはアスランにすがったままだ。
まだうつろの目をアスランに向けながらキラはつぶやく。

「…割と長いよね」
「?何が?」
「キスが。」

アスランはきょとんとするとやや考え込む。

「そうかな?」
「そうじゃない?」

キラも同じように考え込む。

「キスの長さなんていちいち考えて無いけど…。」
「計ってもないしね。どうだったかなぁ。」

アスランにとってはくだらないことだが、キラが真剣に考え始めている手前話をすり替えるのはいい手ではない。



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