バースデイ 

March 08 [Fri], 2013, 0:15
清々しい朝帰りってのがあるじゃないか。
生まれ変わったような気怠さ、とても心地のよい余韻。

ああ、全ての持ち物を捨ててしまいたい。
あの、私の部屋にあるお気に入りのコートやシャツ、指環、ピアス、想い出の染み付いた家具、すべてすべて捨て去ってしまいたい。
そして、残されるのは、ひとつのテーブルとふたつの椅子。何のヘンテツもない、上着。テーブルの上にはカップと、そして、言葉が散らばっていて。
それだけで、とても満ち足りている。

バースデイ。
階段でリンゴをひとつ落とした。
どこまでも転がり落ちていくから、どこまでも追いかけてしまう。
何はなくとも、おめでとう。
それは、とてもピカピカして、忘れてしまうには、とても赤い。
バースデイ。
駅までの道で、とても綺麗な石を拾う。
あまりにも綺麗だから、途中で橋から投げてしまう。
また、ひとつおめでとう。
それは、36個もあるのだから、なにもない僕の部屋に、ひとつくらいはあってもいい。

長い夜があって、もう、最後なんじゃないかっていうくらい黒くて、触れることが出来そうなほど、留まっているそれに実際に触ってみると、忘れられないほど滑らか。
何度も、触らなければ良かったと後悔してしまう。

おめでとう、さようなら。
ああ、なんだろう。すべては報われたのかしら。ほんの少しは満ち足りたのかしら。
かかとを鳴らして出掛けよう。
だって、ほら、リンゴが転がってゆく。




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