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December 12 [Mon], 2005, 3:53
[死刑制度]「『裁判員』が負う厳酷な義務」(読売新聞、2005、11、11)

 時には、一般の市民も被告を「死刑」と断じなければならない。3年半後に始まる「裁判員制」は、そんな厳酷な義務を内包した制度だ。評決の時、心の平静を保てる市民がどれほどいるだろうか。そうした“覚悟”を裁判員に求める立場にあって、先の法相発言は軽率の批判を免れない。
 「私は(死刑執行命令書に)サインしません」。新大臣に就任した直後、杉浦正健法相は言明した。ところが、直後、「発言は個人としての心情を吐露したもので、法相の職務執行について述べたものではない」と、撤回した。
 「死刑」は唯一、その執行に法相の命令を必要とする刑だ。法相が署名を拒めば執行されない。過去には1989年11月の執行から3年4か月、1人の執行もなかったことがあった。4代にわたる法相が署名しなかったためだ。
 執行を再開した後藤田正晴・元法相は当時、「法務大臣の職責を守っていかなければ、国の秩序が守られない」「個人的な思想信条や宗教観でやらないなら、初めから大臣に就任することが間違いだ」と語っている。法の番人たる法相が、胸中の揺らぎを露呈するようなことは慎むべきだ。

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December 12 [Mon], 2005, 3:52
近年の死刑をめぐる司法判断の流れには、大きなうねりも見られる。90年代、下級審から死刑回避の傾向が進んだ。被害者1人の殺人では、ほとんど極刑が言い渡されなくなった。危機感を持った検察は97年から98年にかけて、死刑を求刑しながら2審で無期懲役となった強盗殺人事件5件を上告したが、死刑含みの差し戻しは1件だけだった。
 ここ数年、死刑判決は逆に増加する傾向にある。その変転に、国民世論が影響していることは確かだ。旧総理府(内閣府)の世論調査では、75年に死刑存置派と廃止派の比率は57%対21%だったが、昨年暮れには81%対6%と、存置派が圧倒的になった。オウム真理教事件や小学校乱入事件など、重大犯罪が相次いだため、とされる。
 一方で、仮釈放のない「重無期刑」(終身刑)導入を提唱する動きが出ていることも注目される。超党派の死刑廃止議員連盟は、重無期刑新設と死刑制度調査会の設置を盛り込んだ法案をまとめた。民主党も03年の衆院選以来、マニフェストに重無期刑創設を盛り込んでいる。
 死刑をめぐる近年の動静を市民が理解し、納得して裁判に臨めるよう、政府、司法当局は十分説明すべきだ。あいまいな気持ちのまま、被告の生死を決めるようなことは誰しもしたくないだろう。

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December 12 [Mon], 2005, 3:36
一方で、8割を超す教官が「指導力に問題のある保護者が増えた」と回答し、6割強は「家族の情緒的な交流が乏しい」と述べている。非行少年と向き合っている専門職の観察、分析だけに重視すべきは当然だが、結局、親子関係の歪(ゆが)みから非行に走る少年が増えているのが実情のようだ。51年の戦後第1の非行のピーク時などには生活苦や食糧難からの非行が目立ったのとは違い、親のしつけや愛情次第で防ぎうる非行が増えていることに注目したい。少年法改正で厳罰化が進んだが、保護者対策に力を入れない限り少年の犯罪や非行は減りはしない。改正の際、犯罪の低年齢化が騒がれたが、凶悪犯罪の低年齢化が進んだ事実もない。従来の対策には、事件の衝撃性にばかり目を奪われ、本質を見極めてこなかったうらみがありはしないか。
 少年の犯罪、非行が治安全体に影響することを踏まえれば、歪んだ親子関係を正すことが有効な治安対策ともなる。保護者を相手にした社会教育や相談窓口の開設など従来とは発想を変えた施策を検討、実践することが急務だ。

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December 12 [Mon], 2005, 3:36
社説:犯罪白書 家庭環境の改善が急務だ(毎日新聞 2005年11月13日)

 防犯の施策は、一時的な現象や見かけの統計数字に惑わされず、犯罪の特性や犯罪者心理なども精査してから講じなければならない。今年の犯罪白書は、いみじくもこの基本原理を強調しているように映る。刑法犯の認知件数は02年に約370万件を数えた後、一昨年から減少に転じ、犯罪多発傾向に歯止めがかかったと思われていたが、交通事件と窃盗を除いた一般刑法犯に限れば依然として増加が続いており、昨年は史上最多を更新した。検挙率も全体としては回復しているが、一般刑法犯は一昔前には90%という高率を誇っていたのに約38%まで低落、戦後最低となった、と白書は述べている。
 窃盗より被害が重大な犯罪を含む一般刑法犯の増加は、市民生活に大きな影響を与える。一時横行したピッキング盗への対策が奏功したり、すり、ひったくりが大幅に減少したことで、いわゆる体感治安に好転の兆しがみられたが、治安情勢は一段と悪化していると言わざるを得ない。今年の白書が特集した少年非行についても、問題の本質に迫る対策が必要だ。86年以降、少子化で少年人口が減少しているため、少年刑法犯の検挙人員も低減し、昨年は約19万人と少年非行の第3のピークといわれた83年の約32万人に比べれば約6割に過ぎない。だが、人口比では当時と大差がなく、事態はむしろ深刻化している。しかも、少年院の教官を対象にした調査で7割強が非行少年の資質が変化し、処遇が困難になったと答えていることも示唆に富む。教官の多数意見を総合すれば、最近の非行少年は思いやりや人の痛みへの理解力・想像力に欠け、対人関係を円滑に結べず、感情をコントロールできない、という。善悪の見極めができないというより、その場の感情、感覚に任せて意思決定し、規範を軽視する態度が目につく……との指摘も多い。

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December 12 [Mon], 2005, 3:21
日本書紀は、入鹿邸と蝦夷邸が並んで立ち、武器庫を備えた要塞(ようさい)のような構造だったと伝える。甘樫丘の尾根から望むと、800メートルほど離れた天皇の宮殿跡を見下ろすことになる。ここが本拠なら、天皇家の親類として力を付けた蘇我氏の権勢ぶりがうかがえる。ただ、建物跡の規模が小さく、蘇我氏が滅びた後の7世紀後半の土器も出土していることなどから、入鹿邸跡と断定するには不確定な要素も残る。もっと規模の大きい建物跡が出土すれば入鹿邸としての確実さは増す。近くに蝦夷邸の跡があるかもしれない。さらに調査を進めてもらいたい。幸運なのは、発掘現場が私有地ではなく、国土交通省が管理する歴史公園の一角であることだ。詳しい調査を進めるうえで、支障はほとんどないだろう。
 聖徳太子と、入鹿の祖父の蘇我馬子が編纂(へんさん)したという「天皇記」と「国記」の存在にも注目したい。日本書紀では、これら最古の史書は燃やされたとあるが、その国記は救い出されたとも記されている。木簡などが出土すれば、日本史を書き換える可能性もある。日本書紀は天皇家から見た歴史観に貫かれている。そのため蘇我氏を実際以上に悪く描いているという指摘がある。蘇我氏側から見た史書の一端が明らかになれば、多面的な視点で当時の歴史に光を当てることができる。「地上に万葉集、地下に日本書紀」。明日香村を、こう例える研究者がいる。法律で守られた村の風景には万葉の景色が残り、地下を掘り進めば遠く日本書紀の痕跡が姿を現す。発掘は、日本の起源を知るうえでは欠かせない。高松塚古墳の壁画保存の失敗は、文化庁が説明責任と情報公開を果たさなかったことが大きな原因だった。その轍(てつ)を踏まないためにも、発掘の成果を広く国民に伝えることが肝要だ。奈文研と奈良県、明日香村は連携し、考古学ファンだけでなく、小中学生にも分かりやすい説明を心がけてほしい。

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December 12 [Mon], 2005, 3:20
(蘇我入鹿邸)日本書紀を掘り起こせ(朝日新聞、2005、11、20)

 西暦645年。歴史を学ぶ日本人の多くが最初に覚える年号だ。蘇我入鹿(そがのいるか)が、天皇の宮殿で中大兄皇子(なかのおおえのおうじ)(天智天皇)と中臣鎌足(なかとみのかまたり)に殺された。中央集権国家の幕開け、大化の改新である。日本書紀に克明に記された古代史最大の政変だが、物証がない。
 日本書紀からは、入鹿が殺害された翌日、邸宅に逃げ帰った父親の蘇我蝦夷(えみし)が火を放って自害したと推測される。その痕跡とみられる遺跡が、奈良県明日香村で見つかった。奈良文化財研究所が甘樫丘(あまかしのおか)という国営公園の域内で続けていた発掘調査で、入鹿邸の一部と思われる建物跡を5棟見つけたのだ。焼けた土や炭、当時の土器も出土した。16日に開かれた見学会には、平日にもかかわらず4500人が詰めかけた。現地の赤い土を見ていると、1300年以上も前の出来事でありながら、そのイメージが大きく膨らんでくる。

fdg 

December 12 [Mon], 2005, 2:58
建物の構造欠陥や手抜き工事は外見では分からず、素人には判断するすべもない。それを知りうる立場の専門家が設計段階から意図的にごまかしていたとは、言語道断で犯罪的な背信行為だ。専門家としての責任感とプライドの欠如は嘆かわしい限りだ。国土交通省は設計関係者を建築基準法違反容疑で警視庁に告発するというが、1級建築士などの資格もはく奪し、断罪すべきは言うまでもない。柱が細かったり、鉄筋の量が少ないのに偽造を見破れなかった確認検査機関や施工業者の言い分も素直には受け取れない。同様に責任を厳しく追及すべきである。さし当たっては計算書の偽造が明らかな21棟について、施主や所有者を先頭に耐震性をチェックし、危険な場合は早急に住民らを避難させねばならない。個人情報を理由に多くのマンション名が伏せられているが、転居や売買などで新たな被害者が生まれないように、販売、転売などへの影響は避けられないとしても公表すべきだ。調査や転居先の確保などは自治体などがバックアップし、問題の設計事務所が関与したという約90棟の一斉点検も急ぐべきだ。
 全国の震災対策も見直しを迫られそうだ。従来は耐震性の強化に重点が置かれ、82年の建築基準法改正以前に建てられた全国2100万戸のうち約1400万戸が強度不足といわれる一方、改正後の建築物は耐震強度が一応は確保されていると考えられてきた。しかし、欠陥建築の存在が明らかになった以上、改正後の建築も疑ってみる必要がある。一つの設計事務所だけが不正を働いていたとも考えにくい。全戸を対象に耐震性を見直すべきだろう。不正を自ら認めて名乗り出た業者や関係者の責任を減免するといった措置も検討し、欠陥建築の一掃を図らねばならない。点検にはマンションの管理組合なども一役買うべきではないか。建築確認審査が民間に移行されたこととの関係を取りざたする声も聞かれるが、問題の本質は犯罪的な行為にあり、「官」が行っていれば起きなかった事態ではない。責任の所在は、個別ケースごとに明確にすべきである。

df 

December 12 [Mon], 2005, 2:38
社説:耐震計算書偽造 一斉点検で安全確保急げ(毎日新聞 2005年11月19日)
韓国ソウルで10年前、デパートが突然崩落して約500人の死者が出た時、その前年、同じソウルの漢江の橋が崩壊した時、建築専門家は「日本では考えられぬ手抜き工事だ」と口をそろえ、あきれた顔をしたものだ。だが、日本の状況も大差がなかった。震度6強以上の大地震でも倒壊しないはずのマンションが、震度5強で倒れる危険があるというのだからゆゆしき一大事だ。
 千葉県市川市の設計事務所が、マンションなどの設計に必要な構造計算書を偽造していた事実は、あまりにも深刻で影響は計り知れない。耐震強度を確保して安全を守る責務を負っているのに、しかも直下型地震への不安が高まっている折に、コスト削減を願う施工主側におもねるように、虚偽データで建築確認申請をすり抜けさせたというのだから、悪質極まる。
 

dsfsdf 

December 01 [Thu], 2005, 13:57
女性の立場からは同じ卵子である。使い道によって別々に論じていてはわかりにくい。時間もかかる。規制に抜け穴が生じる恐れもある。ここは、縦割り行政を廃して議論を一本化し、生殖医療まで含めた総合的な法整備につなげるべきではないか。
 総合科学技術会議はクローン胚作りに際し、ボランティアからの卵子採取を原則として禁止した。女性の肉体的・精神的負担が大きいことに加え、人間の手段化・道具化につながる恐れがあるからだ。しかし、卵子の入手先が限られていることから、文科省の作業部会はボランティアについても検討を進める予定だ。
 ここで注意しなくてはならないのは、卵子提供が売買や提供者への圧力につながりかねないことだ。卵子不足に目を奪われず、女性保護に力点をおいてほしい。倫理問題でのつまずきは研究そのものの妨げにもなる。ソウル大チームと共同研究を進めてきた米国のグループが「卵子の入手方法に疑問がある」との理由で協力関係を解消したことからも、それは明らかだ。

sfd 

December 01 [Thu], 2005, 13:54
社説:卵子の行方 議論一本化し総合ルールを(毎日新聞 2005年11月24日)

 女性の卵子は普通は体内にある。それが体外で扱えるようになってから、さまざまな「使い道」が生じた。不妊に悩むカップルの間で行う体外受精だけではない。他の不妊カップルに提供されたり、研究にも使われる。韓国では卵子の提供をめぐり倫理的問題が生じている。今月初め、不妊の夫婦を対象に卵子を売買した疑いでブローカーが摘発された。今週には、ヒトクローン胚(はい)作りの世界的拠点であるソウル大のグループが、卵子提供者に金銭を支払っていたこともわかった。卵子提供は日本人にとっても無縁ではない。韓国の例を参考に、足元を固めたい。
 韓国には数年前から不妊の夫婦を対象にした卵子ビジネスがあった。しかし、今年1月に「生命倫理および安全に関する法律」が施行され、事情が変わった。法律が卵子の売買を禁じたからだ。ソウル大のケースは法律施行前だが、国際的基準からみると問題が残る。弱い立場にある研究チームの若い女性研究者に卵子を提供させていた疑いも以前に指摘されている。
 日本でも卵子の扱いは国レベルで議論されている。問題は使い道によって別々に議論されていることだ。ルール作りの進行も遅い。不妊治療については厚生労働省の部会が検討し、03年に卵子や精子、胚の売買を禁止する報告書をまとめた。報告は法整備を前提にしていたが、2年以上たった今も法制化は進んでいない。ヒトクローン胚作りは日本の現行法では禁じられている。総合科学技術会議は昨夏、拒絶反応のない再生医療に使える可能性を重視し、条件付きで作成研究を認めた。卵子を使った受精卵作成研究も条件付きで認めている。ところが条件整備そのものは、文部科学省と厚労省に丸投げされた。現在、二つの作業部会がそれぞれ検討を進めている。
 
P R
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