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July 22 [Fri], 2005, 9:09
しばらく走ったが何処をどう走ったかは思い出せない。
滴っていた血は黒く濁り固まり始めていた。
人気のいない路地裏で息を殺す・・・・・何におびえているのか、何から逃げているのか、わからないままだ。
遠くで警察のサイレンの音が聞こえる、子供の鳴き声のようにも聞こえる。

視線を感じてあたりを見回した、誰もいない、
しばらくこのままでいたい
まぶたが重く視界を閉じようとする
抵抗したが無駄のような気がした・・・・・

人の気配がして目が覚めた「ヒャ」っと声を上げてしまった。
目の前に黒くいびつな形をした老婆が立っていた
手に持った紙袋からは赤い液体がにじみ出ていた、老婆は一言もはっせず、刺すような視線でこちらを見ていた。

右手に再び激痛が走り意識を失った・・・・

 

June 27 [Mon], 2005, 7:35
どれくらい走っただろう。
足の裏は焼けて皮がめくれ上がっていた。

木漏れ日が眩しい、いつしか森に来ていた。
少年は荒れる息を整えるため道ばたに座った
目が霞む、急に頭の中が霧に包まれたようになった
幼いときの事を思い出していた。

少年はただ愛が欲しかっただけ・・・・
幼い頃少年の親は共働きだった。貧しいわけではなかったがやめられない事情もあったようだ。2人兄弟の末っ子としてうまれた少年は親の愛をいつでも欲しがった。
おそらく兄よりも独占欲は強かっただろう。
おもちゃが欲しいとかどこかへ行きたいとかではなくただ純粋に親の愛情が欲しかった、ただそれだけだった。
少年は親の気をひくためにいろんな事件を起こしたがどれも適切とはいえなかった。
そんな幼少時代をおくった人間は人一倍愛に飢えた人間になる
ただ愛が、あふれる愛の中で安心したかっただけ、ただそれだけ、でもそれがもっとも尊く、難しいものだと少年は知っている。

涙が頬をつたう音で目覚めた。日はとっくに落ち、あたりは暗くなっていた。
月の光りに青白く照らされた森の道をさらに奥へと向かった。

 

June 13 [Mon], 2005, 7:08
右腕に激痛がはしり目が覚めた。
一瞬のような気もするし、何時間もたったような気がする。
黒くこげた人の形をしたものがガラスの破片の中で横たわっている..
彼の名前は何だっただろう。
右足、左足、と一つ一つ順番に動かしてみる、やはり右腕の感覚がない、かろうじて動く左腕で右腕を触ってみる、手首から下の感覚が無い
どす黒い、生暖かい液体が体にまとわりついて不快だ
雲が見える・・・
空を流れている・・・・
逃げなければ!ここにいてはダメなような気がする。
立ち上がって始めて気付いたが黒くこげた
モノが無数にころがっている。それはあたかも芋ほりの時の芋のようにそこらじゅうに埋まっていた。
黒くこげたそのを踏むと赤く生暖かい液体が吹き出た。
彼の名前は・・・・もう思い出すのもやめよう

キリルは駆け出した・・・・・・・・・・・・
裸足で駆け出した。
無くした右手は見つからなかった。
右手などどうでもよかった

 

June 10 [Fri], 2005, 8:25
少年の嫌いな色は
なぜならそれはトマトと同じ色をしているからにほかならない。
太陽の光を受けて燃えるような赤色をした表面、分厚い皮に覆われた中にある緑色の内臓、果物に分類されるほどの甘さを持った糖分、少年はいつしかそのトマトを素足で踏み潰すのが快感になっていた。
じりじりと肌を焼くような照りつける太陽の中で潰れたトマトからひんやりとした液体が硬くガサガサになった素足にしばしの潤いを与える。
遠くでがこちらを見ている、遠目では秋田犬のように見えるがおそらく雑種だろう。秋田犬の生まれたこの国でさえ純粋な秋田犬は数えるほどしか残ってない、ましてや秋田から随分はなれたココでは到底目にすることなんて出来ないだろう。
その犬は誰にこびるわけでもなく、誰に闘争心をむけるわけでもなく、ただそこに立ちこちらを見ている。
老犬なのだろうか?若い犬のようなきらめく毛並みは感じられない。
少年は潰れて緑色の内臓が赤い皮膚を破り砂と混じってどす黒く変色したトマトを手に取り犬に向かって投げた。
どす黒いトマトは液体をこぼしながら宙を舞った、入道雲と青い空のあいだをトマトが舞う、トマトから出る液体は夏の光に照らされキラキラと輝きをおびて何とも美しかった。
むろん、トマトは届くはずもなくこげたアスファルトの上に落ちた。
微動だりもしないその瞳を見て無性に恐怖を感じ燃えるアスファルトの上を駆け出した。皮膚が焼ける臭いがした。
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