3人のペット 

May 08 [Mon], 2006, 0:07
今、私にはペットが3人いる。この間まで2人だったのだけれど、最近また1人増えたのだ。もう増やすつもりはない。オカダくんとヨウヘイとアイコの3人。当たり前だけれど全く違う人間だから、それぞれと全く違う関係性が構築されることになる。

オカダくんは私がペットを飼おうと思うことになったきっかけの人で、若い男子だ。オカダくんは恭順で単純で可愛らしい。ひとつひとつのやりとりを丁寧に楽しんでいる最中だ。

ヨウヘイは同じ年の男子で、オカダくんとの関係性とは異なり、もっと冷静で繊細で対等だ。まだ向き合った時間がとても短いから、これからゆっくりと模索していくことになると思う。

アイコは同じ年の女子で、オカダくんやヨウヘイとは大きく異なるのが、彼女もまた人間関係の構築にリハビリを必要としているということだ。彼女との間に必要なものは、ただひたすらに愛情を受け渡すということなのだと思う。

オカダくんとヨウヘイには恋人がいて、アイコにはいない。私はそれらに干渉する気はなく、ただそれぞれと向き合い、その為のパワーを費やす。私という人間の特性で、考えたことはとりあえず実行に移してみないと気が済まないのだ。考えている時間があれば動くのだ。そうして生きていたいのだ。

ペットを飼う理由 

May 07 [Sun], 2006, 0:02
私がペットを飼おうと思ったのは、ペットと言ってももちろん人間のことで、関係性の便宜上ペットと呼んでいるだけなのだけれど、別にセックスする為の相手ではなく、SMで言う所の奴隷でもなく、一方的に可愛がり愛玩する対象としての対象が欲しいと思ったのだ。だから相手はただ私に愛玩されていればいいのであって、お互いに拘束力はなく、何の見返りも求めていない。

何故そもそもペットなのかと言うと、別に寂しいからなどというわけではなくて、しばらく1人で生きていた私の人間関係構築の為のリハビリ行為なのだ。私が以前に恋人がいたのが5年半も前のことで、それ以後すぐに仕事が忙しくなり、1人で遊ぶことを覚え、セックスワークなんかをしていたこともあって、恋人など不要に、むしろ邪魔な存在になってしまったのだ。

1人で過ごすことはとても楽しくて、自由で、楽で、誰かと向き合うことなんて面倒な作業だと思っていて、死ぬまでそれでもいいと思ってもいたのだけれど、それでは人間関係構築の技術が蓄積しないなと、簡単に言えば成長しないなと考え始めたというのがごく最近のこと。

だからそろそろ面倒なこともしてみようかななどと思えるようになったのは、今の生活がとても満たされていて、余裕すら生まれたからなのだと思う。でも、しばらく1人に慣れてしまった動物なので、すぐにでも束縛や義務が発生してしまうと窒息しかねないから、大海に出る前に淡水から始めることにしたのだ。だからペット。

男がペットになる日【9】 

May 06 [Sat], 2006, 15:28
名残惜しそうに何度もキスをせがむので、今日オカダくんとしたキスの中で、一番いやらしいキスを返す。下唇に舌を這わせてついばんで、オカダくんの舌をフェラチオをする時のように吸いあげる。唇を離すときに唾液の糸が引くようなエロいキスだ。
「俺、起っちゃった。」
目を伏せながら恥ずかしい告白をするオカダくんの、後頭部にを指を差し入れてくしゃくしゃと撫でる。

「ズルいよ、好きになっちゃいそうだ。」
半分懇願するような顔で言うから、好きになればいいと答えた。でも多分それは錯覚だ。新しいものを次々と与えてくれたものに刺激を受けているだけで、私自身もオカダくんの好むような一部分を提供してあげただけに過ぎない。重ねれば重ねるほど褪せてしまうと思うから、焦らすだけ焦らして、少しでもこの感覚を楽しみたいと思ってしまう。私もこの可愛らしいペットに大分参ってしまったみたいだ。

もう一度きゅっと抱きしめてから、タクシーに乗り込むオカダくんを見送った。私は程近い自宅へと歩いて帰る。そういえば前にキスをしたのはいつのことだっただろう。中学生みたいな甘酸っぱい気持ちで、ゆっくりとまだ明けきらない街を歩いた。

男がペットになる日【8】 

May 06 [Sat], 2006, 15:25
人気のないゴールデン街を並んで歩く。ユリさんと2人きりになれる所に行きたいと再度主張するオカダくんに、どこに行くのと問い返してみると、ズルイと言われた。
「帰ろう」
笑顔で言い渡す。今日はオカダくんとセックスするつもりはない。驚いたようにオカダくんが繰り返す。
「帰るの?」
もう一度帰るよと行って靖国通りに向かった。

地下鉄の入り口の柱の陰で手を引かれて、もう一度深くキスをした。オカダくんが柱に背をつけて、私が折り重なるような形になる。少し苦しいくらいに抱きしめられる。
「離したくなくなっちゃった。また会ってくれるの?」
オカダくんの方が背がずっと高いので、頭は上の方にあるのだけれど、私と話すオカダくんの目はいつも覗き込むようだと思う。小動物や小さい子供のような印象を受けるのだ。

「また、会おう。来週でも再来週でも。水曜日か金曜日がいいな。」
ジムやデッサン教室に通う私にとって、夜の時間帯が空いているのが水曜日と金曜日だけなのだ。それもたいていは何かの予定が入って埋まることが多い。どの日がいいか迷っているオカダくんに、都合のいい時に連絡を頂戴と告げる。会っている時に次の予定を決めるのはあまり好きじゃない。

男がペットになる日【7】 

May 05 [Fri], 2006, 1:28
他の客との会話を楽しむ間に、オカダくんが絡ませた指を口元に近づけて、私の手の甲にキスをした。中指と人差し指に舌を這わせ、しゃぶる。可愛い子だとは思っていたけれど、こんなエロい顔もできる子なのだと発見する。扇情的に指を嬲る仕草をうっとりと眺めていると、またキスをせがんでくる。

頬と唇に軽くキスをして、かわした。知り合いの多いこの店であまりいちゃつくのは趣味じゃない。私の肩に頭を預けてオカダくんが呟いた。
「いい匂いがする」
動物のように鼻先を擦り付けて、私の匂いを嗅ぐ。2人きりになれるところに行きたいと言うオカダくんを、もう少し飲んでからと宥めた。この動物的で直接的なところが若さなのかと思う。同じ年や年上の男ではこうはいかない。スマートに見せようとする狡猾さや、断られることを恐れる臆病さがどうしたって見え隠れしてしまうのだ。欲情し始めた若い雄を焦らす愉悦を、もう少し楽しみたいと思った。

午前3時。すっかり酔いの回ったオカダくんは、相変わらず指を絡めたままカウンターに伏せて眠ってしまった。私は最後にソフトドリンクを頼むと、マスターが冷たいマンゴージュースを出してくれた。オレンジ色のトロリとした液体がキャンドルの炎に揺れる。オカダくんを揺り起こして、口に含んだ液体をオカダくんの口へと流し込んだ。甘い液体がオカダくんの喉を通過する。オカダくんは背中を向けて小さく「スゴイ」と呟いていた。グラスに残ったマンゴージュースを飲み干した。

そろそろ出ようと促すと、オカダくんが子犬が尻尾を振るかのように喜んでみせる。耳と尻尾が見えるかのようだ。支払をしようとすると、オカダくんが先にマスターへお札を手渡す。完全に飼われるのは嫌らしい。そのプライドを尊重することにした。

バーを出て冷たい外気に触れてすぐに、濃厚なキスをした。バーで触れた唇だけではなく、舌の表面も裏も絡ませて味わった。
「ユリさん、キス上手」
少し苦しげにオカダくんが囁く。あまりおしゃべりが上手な子ではないけれど、必要なことを言葉に出す所は、とても心得ていると思う。バーでの仕草と言い、思わぬ拾い物をしたかもしれない。 

男がペットになる日【6】 

May 02 [Tue], 2006, 23:40
また新たな客が来た。先に来ていた客と同様26歳の女子で、すでに出来上がっているようだった。この店の主要客層が30代、40代男性なので、26歳女子が3人並ぶのは珍しい。女子2人に紹介だけして酔い始めたオカダくんを放っておいたら、私の肩に頬をすり寄せ指を絡ませてきた。頬へのキスのお返しに耳朶へ軽くキスをする。

「やばい」
呟くオカダくんには笑顔だけ向けて、腕を預けたまままた別の客と話出す。ここは私のフィールドで、たいていの客は知り合いだ。そしてその客のほとんどは普段オカダくんが接することのない種類の人間で、簡単に説明する度にひとしきり感心しては頬をすり寄せてくる。

また別の客の1人に今度創刊する雑誌で連載を持たないかという話を頂いた。どんな内容にするかを相談している間、オカダくんを放っておいたら、26歳女子たちの話に紛れ込もうと試みていてマスターに咎められた。話かけるのは構わないのだけれど、相手の様子を見て迷惑そうであったら引くだけの配慮は必要だ。オカダくんの手を取り引き寄せた。

頬へのキスがずれて、唇になり、さらにずれて私の首元にオカダくんの顔が埋められる。
「チュウしちゃった」
囁くオカダくんの頭を軽く撫でて、私はまた他の客との会話に戻った。

男がペットになる日【5】 

May 01 [Mon], 2006, 0:25
交差点で信号待ちをしている間、オカダくんの視線がこちらに向けられているのを感じる。唇が魅力的だなどと言いながら、それでも自分からキスをできないところがとても可愛いと思う。強引で自信過剰な男など嫌いだ。

ゴールデン街のバーに入り、マスターや顔馴染みの客と挨拶を交わす。さほど広くない店内と暗い照明、アーティストたちの展示物や植物が並ぶその店は、3年前くらいから私のお気に入りだ。マスターたちにオカダくんを紹介する。年齢を告げると若いねと返って来る。この店に限らずゴールデン街に22歳はかなり不釣合いだ。

マスターの勧めで最初の1杯は焼酎を飲んだ。オカダくんは瓶ビールを2本空けているので、そろそろ酔って来ているようだ。オカダくんはどういう生き方をして来た人なのか、ゆっくりと引き出すことにした。

オカダくんは東京生まれの東京育ちで、中学を卒業してすぐに今の会社に勤め始めたので、22歳の若さですでにキャリア8年目なのだと言う。通りでそこら辺の大学出立ての子たちとは違うはずだと思う。高校も専門も夜間で通い、昼間はずっと働いていたらしい。悪い人たちも身近にはいたけれど、付き合わないようにして来たと言う。家は実家で、会社も人間関係が良く、ぬるま湯で育ってきたそうだ。今度5月で今の会社が倒産するから、いい機会になるようだ。いくつか次の就業先からも声がかかっているらしい。

少しくらい歪んでいる人間の方が、私には心地良い。真直ぐに進んできた人間だと、私の数多いカミングアウトの中で会話が成立しない程引かれてしまうことがある。影のある人間じゃないと、私の影を受け入れられないのだと思う。

バーにまた1人女性客が入ってきた。彼女と会うのは2度目で、たしか同じ年のはずだ。オカダくんを見て彼氏かと尋ねてきたのでペットだと答えると、彼女は嬉しそうにユリちゃん大好きと言って席についた。だからこのバーは居心地がいい。歪んでいない人間などいない。

オカダくんの彼女のことについて聞いてみた。別に彼女とオカダくんの関係をどうこうしようとは全く思っていない。単に好奇心だ。彼女はオカダくんと同じ年で、すでに付き合って3年目だと言う。彼女という形が欲しいだけであって、好きかと言われるとよくわからないなどと言うが、私には関係ないことだ。

男がペットになる日【4】 

April 29 [Sat], 2006, 14:21
食事の後はゴールデン街に向かおうと思っていたのだけれど、オカダくんが新宿二丁目がどんな街だか知らないというので、簡単に案内することにした。私は18の頃から二丁目に出入りしていて、学生時代には毎週毎週通っていたものだ。

私は生まれついてのバイセクシュアルで、同性愛やバイセクシュアルという言葉を覚える前から女の子を好きになっていた。そうと認知するまで公言したりすることもなかったのだけれど、明確に自分のセクシュアリティを認識し始めた中学生の時には、女子が好きであることを隠しもしなかった。以降、高校でも大学でも社会人になっても当たり前のようにカミングアウトしながら生きている。

ゲイや女装子たちを尻目に二丁目の仲通りを歩きながら、オカダくんにバイセクシュアルであることを告げると、オカダくんは少し驚いて尋ね返した。
「女の子が好きなの?」
「そうよ。」
「でも女の子と寝たことはないでしょ?」
「あるよ。」
「本当に?」
「あるよ。」
「女の子とHなことするの?」
「そうよ。」
矢継ぎ早な質問に答える。女子を愛することと、女子とセックスすることの間に、どれほどの差異があるのかと思うけれど、ノンケの男子にとっては重要なことなのだろう。さらに説明を補足する。
「でも、私はタチしかできないわよ。相手が男だろうと女だろうとタチなの。」
タチネコについては二丁目を歩いている最中にゲイの例で説明済みだった。同性カップルにおいてタチは男役、ネコは女役のことだ。私は相手が何であろうとタチしかできない。それは風俗嬢勤めの後遺症で、されることに対して嫌悪感があるからだ。

ノンケの男子はレズビアンにある種の幻想を持っている。レズビアンは端的に言えば女性同士の恋愛であって、男女間の恋愛と同様に特別にセックスをクローズアップして考えるようなものではない。でも、ノンケ男子は女性同性愛者とアダルトビデオの中のレズビアンプレイとを混同していて、勝手な妄想を抱くばかりか、あまつさえレズビアン同士のセックスに加わりたがる。必要とされていないどころか、迷惑ですらあるのに。

オカダくんも多くのノンケ男子と同様に、女子同士のセックスの話で情欲が刺激されたようだった。

男がペットになる日【3】 

April 28 [Fri], 2006, 9:54
子柱の餃子、揚げ物盛り合わせ、ここの料理はどれも美味しい。オカダくんが自分の箸で差し出した天麩羅にかぶりつく。隣の席に座っていた年配の男性が日本酒を勧めてくれたので、杯を空けて頂く。とても良いお酒だ。年配の男性は同じような年頃の男性3人で来ていて、近くの企業の社長や副社長たちだと言う。私とオカダくんを見比べて、こんな若い子にはもったいない年上はいいよ年上はなどと陽気に言う。男性たちは常連らしく店のママも出てきては言う。あらでもとても可愛らしいカップルじゃないの。年上のいい女と付き合った方が男はいいのよ。放しちゃ駄目よ。

年配男性の軽口にもママのよいしょにも笑って応える。オカダくんは恋人ではないけれど、面倒だからあえて否定したりしない。男性たちはオカダくんに、彼女に飽きたら連絡するんだよなどと言いながら、名刺を置いて出て行った。例えオカダくんが私に飽きたとしても、私はあなたのところにはいかないけれど、などと思っても口にはしない。金のある年配男性との付き合いなど今更する気もない。かつてはとある大企業の会長と愛人関係を結んでいたこともあった。大きな身体、醜悪な容姿、高給マンションに、高給スーツで、部下には横柄な態度を取りながら私の腕の中で泣くのだ。怖いよみんなが僕をいじめるよ。あのマゾヒストは今頃どうしているのだろう。

食事の支払は私がした。出そうとしたオカダくんに次の店でお願いしますと断って、店を後にした。

男がペットになる日【2】 

April 28 [Fri], 2006, 9:51
「えーと、とりあえず呼び名から決めましょうか。」
何か言いよどむようにオカダくんから提案される。言いたいことはわかっている。2人の関係性のことを本当は聞きたいのだと思う。オカダくんには彼女がいる。オカダくんを紹介してくれた先輩からは面食いで年上のお姉さんに遊んで欲しいという子がいるのだけれど、と持ちかけられた。私は私で年下のペットのような子がいいと先輩に言ったことがあったので、お互いのニーズが一致したわけだ。だから私が2人の間に望む関係はペットと飼い主なのだ。

別に昔から年下が好きだったわけではない。今までお付き合いした男性の多くは年上だったのだけれど、水商売や風俗で働く間中、自分よりも年上の男性の相手ばかりをしてきたので辟易してるのだ。それに私の性質がSであるということに4.5年前に気づいたからというのもある。支配することが好きだけれど、支配されたり高圧的に出られるといらつくのだ。セックスに至ってはすることはできても、されることが嫌なのだ。それは風俗勤めの後遺症で、自分で選んだ道の仕方がないトラウマ。

「ユリさん、ユリぽん、ユリちん。」
オカダくんがいくつかの呼び名を挙げる。放っておくと恥ずかしい呼び名が出てきそうなので遮って言う。
「さんでお願いします。」
あまりベタベタしたのは好まないし、あくまでペットと飼い主の形を取りたいと思ったのだ。私からは彼のことを名前ではなくオカダくんと呼びたいと申し出た。苗字の語感が気に入っているのと、きっと名前は彼女が呼ぶだろうと思ったから。
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