act1@深川優佳 

March 20 [Mon], 2006, 10:20
五月。
今年赴任してきた校長は、校長室で頭を悩ませていた。

「全く、どうしたものか…」

昔ながらの頭の固いこの校長は、心配するように自分の頭に触れた。
そろそろ彼の頭も寂しくなってきた。
市販されている育毛剤を、学校に持ってきてまで試しているが、どうやら効果はないようだ。
ではなく。

彼が見ているパソコンの画面に映し出されているのは、この学校の進学率。
数年前までは進学校として有名だったのに、今はあまり評判がよろしくない。
名門、難関と言われる大学への進学率は落ち、浪人生も出る始末。
学歴主義のこの校長にしてみれば、それはどうしようもない屈辱だった。
そして、なんとかしてそれを食い止めようと頭を悩ませる。

が。

頭を悩ませば、今度は自分の頭の具合が気になるわけで。
秘密の引き出しから、新しく購入した育毛剤を取り出した。

「な、何!?」

セットで買った育毛ブラシを片手に、校長は固まった。
何とも奇妙な光景である。
新品のはずの育毛剤の封が開いているではないか。
そしてその液体が少し減っているではないか。

「そうか、これが七不思議の最後…」

誰かがこの場に居たなら、それは違うと突っ込んだだろう。
が、幸か不幸か、この場には校長以外にはいなかった。
校長と同じ頭なら、少しは彼の気持ちも分かったのだろう。

「これも全て七不思議のせい。なんとかして、その実態を暴かねば…」

育毛剤の減りと、進学率低下の話なのだろう。
昔は七不思議などこの学校にはなかったのだ。
だが、七不思議が表沙汰の話となってから、なぜか進学率が低下している。
そして校長は勝手に決めつけた。
進学率低下は七不思議のせいだ、と。

「呑気にしている場合ではないな。早く探偵団を結成せねば」

実はこの校長、少年時代には探偵に憧れていたのだ。
どの生徒かいいか、と頭を悩ませる。
先にも言ったように、彼が赴任してきたのは今年。
生徒のことなどそうは知らない。

仕方なく、彼は職員会議へと赴いた。
そして咳払いを一つして、教師達の注目を集め、こう言った。

「七不思議の正体を暴こうと思う。
 よって、それが出来そうな六名の生徒を教えてほしい」

唖然としながらも、教師達からは名前があがった。

act2@深川優佳 

March 20 [Mon], 2006, 10:26
「と言うわけだ。頼んだぞ、深川」
「いや、おかしいですから。何であたしが?…小さいから!?」
「小さいお陰で目立ってはいるが。残念ながらそうじゃない」

あたし、深川優佳は進路指導室で担任と向かい合っていた。

「兄貴が探偵だから!?」
「そうだ」

そこらに落ちていた孫の手で、背中を掻いていた担任はため息まじりに言った。
そのため息は呆れた、という意味ではなく、気持ちいいかららしい。

「七不思議って解決できるもんじゃないでしょ?」
「大丈夫だ。朝比奈と渡来がいる」
「渡来?」
「お、渡来は一年だから知らんか」

聞かない名前に首をかしげると、担任はそう言った。
朝比奈は知ってる。うちの学年一、いや、学校一の秀才だから。
向こうがあたしを知っているのかは知らないけれど。

「とりあえず、頼んだからな。お前を指名したのは俺だし」
「先生!?」
「お兄さんの名にかけて、頑張ってくれ」
「待って。協力者連れてきていい?兄貴か、兄貴の友達か」
「好きにしろ。早く解決するのを校長も望んでる」

心の中でガッツポーズをして、進路指導室を出た。

「言い忘れた。明日の放課後、第二会議室へ行け」
「は?」
「そこがお前らの探偵事務所だ」
「…そうですか」

いや、もうなんて言うか反論の気力もない。
とっとと家に帰って、兄貴に話さないと。

act3@熊野剛 

March 20 [Mon], 2006, 10:28
■同日■
ああ…朝日がまぶしい。
カーテン閉めりゃよかった…。
携帯を手探りで探し当て、時間を見る。
木曜日…休みか。
ってか、朝日じゃねぇな。
もう四時かよ…。

「今日は寝て過ごしちまった…」

誰に言うとなくつぶやいて、諦めたように意識を再度眠りの濁流に投げ込む。

…………寝てるの?
…今日は休みだ。そら、はやくしろ。

おぼろげな意識の中、何か聞こえる。

…筋弛緩剤!?こんなのうって大丈夫なの?
…象撃ちようの麻酔弾で寝ない男だぞ!?これぐらいしなきゃ…

筋弛緩剤…!?

「死ぬってのっ!」

叫びながら起き上がろうとしても体に力が入らない。
刹那、いつもの衝撃が後頭部に走る。
意識は濁流の中に堕ちて行った。

「……これでよし!」
「最初からこうすればよかったね…。」

いい仕事をした後のように、汗をぬぐいながらさわやかに一息つく妹に少し恐怖を覚えながら熊野を簀巻きにしてゆく。

「そういえばさ、その間の給料ってどうなるの?」
「なしだろ。」
「そうだよねー。」

熊野の携帯を熊の自身と一緒にロッカーに詰め込む。

「重いね…っと。」
「がんばれ、兄貴!」
「手伝うとかしないの?」

ロッカーを台車に乗せ、軽トラの二台に上げる。

「丸一日は動けないだろうから、安心して。一応、硬質ワイアーで巻いといたし。」
「ありがと!んじゃ、第二会議室に放置すれば終わりっと。」

悪魔のような兄弟は、熊野入りのロッカーを白昼堂々運んでゆく…

act4@朝比奈静夜 

March 20 [Mon], 2006, 10:30
休み時間、担任に呼び出されてオレは職員室に居た。
今呼んでいる小説があともう少しで終わるから、それを読んでいたかったのだけど。

「そういう訳で、頼みましたよー朝比奈君。」
「頼みましたと言われても……承諾してないんですけど。」

どうしてオレが探偵団に選ばれたか、はさすがに分かる。
自慢になるが成績がいいから、だろう。

「七不思議なんて…放っておけばいいんじゃ…?」
「そうもいかないんですよねー校長命令なんでー。それに朝比奈君、探偵団とか好きでしょ?」
「…オレが好きなのは…推理モノなんですけど……」

一緒じゃないの、とけらけら笑う担任。
あー…なんかアホらしくなってきた。

「とにかくオレ、やらないんで」
「図書室。」
「…は?」
「閉室時間が早いーって言ってたよね? 合い鍵あげてもいいんだけどなー」
「やります。」

…しまった、つい即答…。
オレの家から市立図書館までは結構遠いから、学校の図書館を重宝していた。
弱点をつかれた。

「そーかそーか!朝比奈君ならそういってくれると先生信じてたぞー!
 じゃー早速明日の放課後、第二会議室集合ね。はい、図書室のカギ」

カギを手渡すと担任はデスクに戻っていった。
よく考えれば、合い鍵を貰っても図書室に行く時間が減れば意味がない、のだけど。
答えてしまったものはしかたない。
このくだらない七不思議とやら、さっさと片づけるか。

「あの性悪担任め……」

うまく嵌められたことに憤りを感じつつも、どこか諦めた気分でその日を過ごした。

act5@浅海凪 

March 20 [Mon], 2006, 10:48

「あー、浅海。ちょっと話があるから、部活行く前に私のトコ来な。」
「はい?」

その日、あたしは担任に呼ばれた。
しかもHR、皆の居る前で。
いや、それは全然構わないんだけど……。
何で部活行く前なの?まぁ、構わないと言えば構わないけど!
何だかなぁ……どうせなら、昼休みとかに呼び出して欲しかった。

とは言うものの、あたしは何かをしたワケじゃない。
自分で言うのもなんだけど、別に素行は悪く無いと思うし……。
あ、もしかしてあれ?最近部活に没頭し過ぎて帰りが遅いから?
いやいや、そんな事で呼び出されるわけないよねぇ。

「浅海。お前な、探偵に選ばれたぞ。」
「………はい?」

突然呼び出して、突然それですか?
意味が分からないんですが、先生。
とか考えてたら、あたしの表情からそれを察知したのか、先生が苦笑交じりに説明し始めた。

「七不思議が最近流行ってるだろ。」
「あ、はい。」
「で、新しい校長がそれを暴けとか言い始めたんだ。」
「はぁ。」
「で、お前も含め6名が選ばれた。」
「へぇ?」
「結構有名な奴らばかりだぞ。」

え?あたしって有名なのかな。
そりゃまぁ、足の速さなら少しは自信があるけどね。
ううーん……にしても、有名な奴らって……誰だろ。

「誰かは明日分かるさ。」
「明日?」
「明日の放課後、第二会議室に集合…だそうだ。」
「何で。」
「そこが事務所で……顔合わせ、だそうだ。」
「成る程……。」
「ま、テキトーに頑張れ。」

先生……そんな、テキトーなんて。
っていうか、拒否権無し?無しですか?
まぁ、別にやりたくないとも思わないし。
寧ろ、面白そうと思ってる自分が居る。
七不思議にだって、興味が全然無いわけじゃないしね。

「ん、分かりました。テキトーに頑張ります。」
「流石。じゃ、頑張ってな。」

先生はあたしの頭をポン、と叩いてその場を立った。
さっきテキトーとか言ったけど……何分、面白そうだしね。
やるからには、徹底的にやってやろうじゃないの!

ま、今はその前に部活かな。

act6@白雪鈴子 

March 20 [Mon], 2006, 11:11
「…ですから先生「という訳で、宜しく頼みますね」」



こんな話が始まったのはつい先程、15分程前でしょうか



そうですね…その時丁度私は部活の準備をしていたんです

今日は授業が早く終わりましたので、私が一番早かったんですが…

ネットをはっていると、担任の先生に呼び出されたのです





「貴女の両親は確か…校長先生の知り合いでしたよね?」

「あ、はい。そうですが、何か?」

「実はね、この学校には七不思議があるらしくて…」

「は?」





それで、暫く先生のお話を聞いていました

内容は大体分かったのですが…





「それは…私のご両親が校長先生のお知りあいという事だから、だけでしょうか」

「まぁ、そういう事になりますね」

「ちょっと待って下さい、私はそのような事は…」

「まぁまぁそう難い事云わずに、ね?」

「硬い事も何も…私はバレーボールに熱中したいので…っ」





先生は一度小さな溜息を付きました、そして

「貴女は背が高いし!明日の放課後、第二会議室に集合ね」そう満面の笑顔で言い

私の話の途中で、宜しくといって体育館を後にしたのです



呆然と一人立ち尽くし、暫くして私はまたネット準備をしました

悩んでいても仕方有りません、こうなったらやるだけやりましょう!
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