アレキサンダー
March 01 [Tue], 2005, 19:44
今から2300年も前に、20歳の若さで一国の頂点に立ち、世界征服を果たしたマケドニアの若き大王アレキサンダー。そのアレキサンダーの謎に満ちた生涯を、2度のアカデミー賞に輝くオリバー・ストーンが10年以上の年月と総製作費200億円をかけて描いたスペクタクル大作。
アレキサンダーを演じるのはコリン・ファレル。
そして隻眼の父フィリッポスにはヴァル・キルマー、母オリンピアスにはアンジェリーナ・ジョリー。
そして、語り手役のプトレマイオスをアンソニー・ホプキンスが演じています。
200億円もかけたのにあまりヒットせず、ラジー賞にまでノミネートされてしまった(結局受賞はしませんでしたが)ので、どれだけ酷い出来なのか不安に思いながら観に行ったのですが、酷い出来なんてとんでもない、かなり見応えのあるオリバー・ストーンらしい力作でした。
「トロイ」や「キング・アーサー」など、最近の歴史スペクタクル作品がエンタテインメント的作りになっていたのに対して、この「アレキサンダー」はアレキサンダーの短い生涯に焦点を絞り、彼の葛藤や苦悩などを重厚かつシリアスに描いています。
監督がオリバー・ストーンなので当たり前と言えば当たり前なんですが、そこらへんとアレキサンダーをゲイにしてしまったのがヒットしなかった要因なんでしょうね。
僕は全く気になりませんでした。
当初はトム・クルーズの名が挙がっていたらしいですが、コリン・ファレルのアレキサンダーはハマリ役でした。
物語が進むにつれて野生的になっていく目つきと、ヘファイスティオンに見せる哀しげな瞳、その両方を使い分け、そして同居させられるのは若手では彼くらいでしょう。
改めてその表現力の豊かさに驚かされました。
しかし、この作品で最もハマってたのはアンジェリーナ・ジョリーのオリンピアス。
その巻き舌も含め、あまりにハマりすぎてて、思わず口許が緩んでしまった程です。
ディオニソスに魂を捧げ、アレキサンダーを溺愛し、そして権力を欲した、妖艶なオリンピアスの狂気と愛を見事に演じきっていましたね。
映像面では、前半のクライマックスである「ガウガメラの戦い」と、“地上の楽園”と呼ばれた「バビロン」の描写が特筆すべき部分でしょうね。
ガウガメラの戦いでは、大軍同士の戦いの迫力は勿論、これまでの作品ではあまりクローズアップされなかった、古代の様々な戦術や陣形などもしっかりと描かれています。
そして、それだけに留まらず、戦いが終わった後の、死体が累々と積み上げられた戦場をしっかりと見せるあたりがオリバー・ストーンらしいですね。
その「ガウガメラの戦い」の直後に登場する「バビロン」は、それとは対照的にまさに“地上の楽園”と呼ぶに相応しい美しさ。
ため息がもれてしまいましたね。
世界七不思議の一つでもある空中庭園やバベルの塔を筆頭に、極彩色に彩られた建築物や様々な植物、動物が画面中に広がり、眩暈にも近い恍惚とした感覚にとらわれました。
ラストのインドでの戦闘シーンも象が登場したりして迫力ありましたが、あの赤くフィルターをかけた映像はちょっと頂けませんね。
あそこだけ急に現実に引き戻されてしまいました。
オリバー・ストーンは否定してるようですが、この作品を観て、「平和」や「解放」の名の下に無益な戦争を続けているアメリカを想起する人は多いのではないでしょうか。
今も昔も、争いの道具は変われど人は変わらず。
力を持てども全てを欲す。

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