梶浦由記、過去最大規模のツアーが開幕!! 「FictionJunction/Yuki Kajiura LIVE vol.#6 at 横浜BLITZ」

July 06 [Tue], 2010, 17:25
 昨年、東京・名古屋・大阪を巡る初のライブツアーを行い、今年1月には“日本語封印スペシャルLIVE”を開催、さらに5月12日にライブ・ベストアルバムをリリースするなど、破竹の勢いに乗る梶浦由記。2008年に開催された初のライブから3年目を迎えたことを祝して、この度「Kajiura Produce 3rd Anniversary LIVE TOUR」が開幕した。

【表:当日のセットリスト】 【拡大画像や他の画像】

●過去最大規模でのツアー

 今回のツアーでは自身がプロデュースするKalafinaとFictionJunctionが、それぞれ同じ会場でKalafinaが土曜、FictionJunctionが日曜にライブを行うという異例の展開(※仙台はFictionJunctionのみだが、オープニングアクトにKalafinaが登場)だ。ツアー規模も大阪・仙台・横浜・名古屋・東京の5カ所に拡大し、過去最大となっている。今回は、ツアーど真ん中の横浜BLITZで5月30日に開催された、FictionJunctionのライブの模様をお送りする。

 開演時間になるとシンフォニックなメロディーと観客たちの大きな拍手に迎えられ、メンバーがステージへ。これから始まる幻想的な世界に思いを馳せている中、是永巧一の力強いギターと今野均が奏でる繊細なヴァイオリンが印象的なインストゥルメンタル曲「Crush」でライブの幕が切って落とされる。

●スタートから梶浦語のオンパレード

 そのまま「frenetic」や「the image theme of Xenosaga II」といった疾走感あふれるサウンド――そしてそのサウンドに乗る、黒と白を基調としたシックな衣装に身を包むWakana、Yuriko Kaida、Keiko、Kaoriといった歌姫たちが紡ぐ梶浦語(※日本語や英語などではない、梶浦が創りだす独自の造語)の歌声によって観客たちは一気に高揚し、梶浦が織り成す世界へ入り込んでいく。

 世界の入口で待ち受けるのは、もちろん梶浦。「『FictionJunction/Yuki Kajiura LIVE vol.#6』へようこそいらっしゃいました! 今日は私たちも楽しんでいきたいと思います。みなさんも楽しんでください」と素敵なお客様の来訪を笑顔で迎えた。

 梶浦という当代きっての音楽コンシェルジュはまず、人気シリーズ「.hack」の楽曲で愉しませてくれる。5月9日に開催された「.hack//LiVE 劇奏」でも披露された「Liminality」、「fake wings」、「in the land of twilight, under the moon」を堪能した後は、いったんMCへ。

●メンバーへのアンケート結果発表

 Yuki Kajiura LIVEでは恒例となっているツアーメンバーへのアンケート、今回は「家にある食べ物で絶対に切らしたくないもの」だ。まずは歌姫たちの回答が明かされた。Wakanaはトマト缶、Yuriko Kaidaは納豆、KeikoのボルヴィックにKaoriはビールという回答を受けて梶浦は、食卓に彩りを添えるようなアドバイスを4人それぞれに与えた。きっと音楽制作でもこういった、個性を尊重しつつ相手に適したアドバイスを与えるような関係性なんだろうな、と観客も笑顔になったところで今度は昨年リリースされたアルバム「Everlasting Songs」のパートが始まる。

 本日初の日本語曲となる「星屑」と「花守の丘」の、童謡のように一定のテンポを刻む音楽に浸っていると、それに続くアニメ「noir」のコーナーでは一転して、駆け抜けるようなメドレーが展開された。梶浦の仕掛ける揺さぶりに心地よくなっているところで、本日のゲスト、伊東えりが登場!

●ろっ骨を折っているとはとても思えない歌声の伊藤えり

 黒いドレスに白いケープをまとった伊東がステージ中央の階段から現れ、ピンライトを受けながら「hepatica」を歌いだすと、目の前の神々しい光景に目を釘付けにされてしまう。続く「godsibb」では梶浦が髪を振り乱しながら激しくピアノを鳴らしてリードし、それに完璧に応える伊東とKaoriのメロディアスな歌声に観客も熱狂する。

 MCで伊東が自己紹介の後にさらりと「実は今、ろっ骨を3本折ってしまっていて……」と話しだすと、観客だけではなくステージ上の歌姫たちまでもが唖然。歌うとミシミシきしむそうだが、それを全く感じさせない伊東のプロフェッショナルなパフォーマンスに大きな賛辞が贈られた。

 伊東を迎えてのスペシャルな時間のラストナンバーはアニメ「ツバサ・クロニクル」の挿入歌「a song of storm and fire」。伊東と4人の歌姫たちが一丸となって会場いっぱいに壮大なオペラさながらの歌声を響き渡らせると、大歓声が巻き起こる。そのまま伊東はライトアップされた客席いっぱいのファンを見渡し、最高の笑顔でステージを後にした。

 伊東がステージから下がった後は、歌姫たちも負けていられないとばかりにスパートをかけていく。日本語封印ライブでは披露できず(※日本語の楽曲であるため)悔しかったと笑顔で話す梶浦にとって雪辱戦ともいえる「時の向こう 幻の空」、梶浦がEmily Bindigerに提供した楽曲のカバーとなる「everytime you kissed me」、ヴァイオリンのリズムに合わせて歌姫たちが何度もジャンプして喜びを表現した「Parallel Hearts」、ライブならではの高音寄りのアレンジでWakanaが透き通った歌声を奏でた「where the lights are」、など、緩急を織り交ぜた人気ナンバーの連発に会場も揺れんばかりの勢い。

 少しひと息ついて、今度はバンドメンバーにとっての「家にある食べ物で絶対に切らしたくないもの」の紹介タイム。高橋“Jr.”知治(Bass)がごま、佐藤強一(Drums)が玄米、今野が充実野菜とローヤルゼリー王乳、是永がごま油、大平佳男(Manipulator)がさけフレークと、比較的健康志向の回答が目立った。常にベストな健康状態を保つからこそ、迫力のサウンドから囁くような調べまで、幅広い梶浦のリクエストにきっちり応えられるということかもしれない(?)。

 ラストスパートではアニメ「舞-HiME」&「舞-乙HiME」のスペシャルメドレー。まるで1つの曲であるかのように、流麗にアレンジされたアップテンポなナンバーに歌姫たちは音楽に身を任せて舞い踊り、メドレーラストの「zodiacal sign」では梶浦も一緒になって観客たちと歌い、強い一体感が会場を包み込む。その空気に触れた梶浦は「みなさんがいい顔して私たちの音楽を聴いていてくださると、これ以上の楽園はこの世に無いなと本気で思います」と優しい口調で語った。

●梶浦が込める、明日への願い

 そのまま最後の「maybe tomorrow」へと入る前に、梶浦はこの曲に込めた思いを真摯に述べた。「明日に思いを馳せることは誰にでもあることで、そんな詩の歌もいっぱいあります。そういう歌は大抵私も好きです。映画『風と共に去りぬ』のラストシーンで『明日は明日の風が吹く』という有名なセリフがあります。子どもの頃は映画のことなんて知らなくて、ちょっとかっこいいセリフだと思って使っていました。でもある日ふと、『明日は明日の風が吹く』って幸福な時は使わない言葉だと思ったんです。

 今が幸福だったらその幸せを享受するのに手いっぱいで、明日のこととか考えないですよね? 明日は今の幸福の続きだから、別の風なんて吹いて欲しくないじゃないですか。でも、明日は別の風が吹いて欲しいっていうのは、今がどうにもならない状況なんじゃないかと思いました。大人になればなるほど、頑張ってもどうしようもないことってありますよね。死ぬ気で頑張ったのに、何にもならなかったどころかマイナスだったなんてことが、案外多いのかもしれない。でも、そんな時にも絶望に浸りたくはないものです。そういう時に、今日はダメだったけど、明日は明日の風が吹く――。そんな考え方に気づいたら、“明日”っていう言葉が余計好きになりました。

 “明日”という言葉に、私も何度助けられたことか(笑)。年を経るごとに、自分の中で大事な言葉になっています。今日の絶望は明日に持ち込みたくない。明日はいい日に違いないと信じる、希望の象徴のような言葉だなって。maybe tomorrow……“きっと明日は!”、そんな思いを込めて書いた曲です」

 英語歌詞のmaybe tomorrowの和訳がステージのモニターに表示されていく。曲の前半ではKeikoを中心として、絶望を拭い去っていくかのように、静かに祈りの言葉が紡がれる。後半では明日への期待を確かなものにすべく、出演者全員が心を込めて観客たちに希望の祈りを捧げた。曲中、慈愛や献身に満ちた歌姫たちの高潔な佇まいに、自然と涙する観客が多数。けれどみんな下は向かず、ステージをしっかりと見据え、これからの人生への希望を明確なものにした。

●梶浦の“声”に対する考え

 最大級の歓声に見送られながらメンバーがステージから下がった後は、当然のようにアンコールのリクエスト! メンバーたちはツアーTシャツに着替えてステージに舞い戻り、「the world」と「I reach for the sun」をお披露目。高低・強弱自由自在、圧倒的な美声でライブの根幹を支えてきたYuriko Kaidaが、I reach for the sunでの観客との手拍子で見せた可憐な笑顔が一層の輝きを放っていた。そして、再び伊東を迎えての「ring your song」でライブはフィナーレを迎える。

 当日販売されていたパンフレット収録のインタビューで梶浦は“声”について「無敵」、「恐ろしい最終兵器」という表現を用いている。確かに、声を荒げれば簡単に不快な気持ちが周りに伝播してしまう。けれど裏を返せば、歓びや勇気、希望といったものも伝えていくことができるのではないか。ライブではそういった感情のきらめきを、時には言語に縛られることなく独自の言葉を使い、音楽で表現する梶浦の世界を満喫できる一夜となった。

【7月6日11時34分配信 ITmedia Gamez
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100706-00000026-zdn_g-musi
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