同性 

September 11 [Mon], 2006, 17:31
あかねと親しくなってから、よく思った。

同性に対しても、異性に対しても、
相手を好きになったら、態度はそれほど違わない。

そばにいたいと感じ、触れたいと思う。

あかね 

September 01 [Fri], 2006, 20:31
彼女は、本当に変わったタイプの人間だった。
個性的と呼ばれることに命を懸けているらしい。

私は彼女のことは、学年が違うこともあって、
ほんの時折噂で耳にする程度だった。

その噂も、パジャマのまま大学に来たとか、
突然外国へ行ったとか、およそ普通ではない感じで、
私にとって彼女は得体の知れない別世界の人という印象だった。

私にはあんな型破りな生き方はできない。
委員の仕事を任されたのも、
決められたことをこなすのが好きという性格を
見込まれたからだし。

あかねと出会うまでは、本当の彼女のことを知らなかった。

夕闇に沈む美術室で、まさかそれが彼女の絵とは知らずに
しげしげと見ていたら、突然後ろから笑いを含んだ声が聞えてきて、
目玉が飛び出るかと思うくらいびっくりした。

彼女の第一印象は、私が噂から想像していたのとはだいぶ違った。
思っていたよりずっと女性らしい人だった。
背中あたりまでの長い黒髪と、ゆったりと曲線を描く腰、
どこか遠くを見るような優しい印象の瞳。
しゃべり方もとても優しかった。
名前を聞いた後も、すぐにはあの噂とは結びつかないほどだった。

出会い 

August 31 [Thu], 2006, 21:52
彼女との出会いは、放課後の美術室だった。
夏休みも直前の蒸し暑い夕暮れに、委員の仕事で居残りをしていた私は、
薄暗く沈んだ廊下を走っていった。
もう七時近く、遅くなっちゃったわ、と急ぎ足で美術室の前を通り過ぎた。

扉が開いていて、中に描きかけのキャンバスがあった。
月の光が差し込んでいて、使われていた銀の絵具がきらめき、
私はふと足を止めた。

思わず近寄って見てみると、素晴らしかった。
こんな表現があろうかと思った。
銀色に波打つ運河を一そうのゴンドラが漂っている。
ゴンドラの上には一人の少年が、憂いに満ちたまなざしを彼方に向けている。
夕暮れの色を映した、けだるげな波間。

暗闇に沈む美術室の中、私は息を呑んで見つめていた。
その少年に対して、もどかしいような、せつないような気持ちになり、
立ち去りがたかった。

そうして周りのことを完全に忘れていた、その時だった。
「気に入ってくれた?」

回想から(2) 

August 29 [Tue], 2006, 0:58
さて、私がこの物語で描きたいのは、それこそまだずっとずっと青かった頃のこと。

私は一人の少女に恋してしまった。ちなみに私は女だ。
どうしてあんなに好きになったかわからない。でも、事実なのだから。

周囲との接し方がわからない私は、どこへ行っても必ず孤立した。
不器用といってしまえばそれまでだが、その頃はほんとうに苦しかったし、寂しかった。
そんななか、親切にしてくれる子がいたら、好きになってしまうのは当然かもしれない。

そしてまた、15歳くらいの時期は、「ほんとうの友達」に対して過剰な意識をもつものだ。
私にはほんとうの友達はいるのか?ひょっとしたら今私を取り巻いている子たちは皆いざとなれば私を裏切るのか?
傷つきやすいというか、どう自分を防衛していいかわからないだけに、その友情が本物かどうかに敏感だったのかもしれない。

私は常に、常に、「ほんとうの友達」をさがしていた。求めていた。
とても孤独だったから。

人一倍強い気持ちを抱くくせに、それを表現する術を知らなかった。

物語というと、重要なシーンしか描写しないものだが、
ほんとうは無言の時間こそ、私は葛藤していたし、何気ない視線のやり取りにこそ、私は全生命をかけた。
あの頃の私の心のなかは、嵐のように忙しかった。
苦しみと無縁の日はなく、常に何かに追い立てられてるような気がしていた。
夢を追っていたし、焦っていて、でも誰にも甘えられなかった。
でも甘えたかったし、無意識のうちにKに依存していただろう。

Kは正義感の強い子だから、孤立する私を放っておくのが自分なりに許せなかったのもあるだろう。
でも嬉しいのは、彼女の意志として、私に対して、恐れながらも、近寄ってくれたことだ。

これは説明しにくいので、回想へと移っていきたいと思う。

回想から(1) 

August 29 [Tue], 2006, 0:06
青春は、青い春というだけあって、
ほんとうに、未熟な時期だったと思う。

青くて、硬くて、かたくなで。
自分のことで精一杯で、周りを思いやるなんて、ほんとうにできていなかった(今もかもしれないけど)。

なかでも一番未熟だったのは、恋愛に関して。

私は、自分の寂しさを表現できなかった。
いつも気持ちとは正反対の態度をとって、孤立しつづけた。

「私だけを見ていてほしい」
そう思うほど、態度は硬直になり、素直になれず、意地を張りつづけた。
そして致命的なひとことを言われるのだ、「かわいげがない」と。
そんなの男の身勝手な論理だ!と思ったりして、ますます悪化した。

こんな悪循環のなか苦しみ抜いたのが、私の青春だった。
ひょっとしたら苦しみこそ、私の生きがいなのかもしれない。
根っからの苦労性の私は、苦しみのなかで心に科学反応を起こす。そして生まれ変わる。

今はというと、そんな苦労は忘れたように、スムーズに男という存在を受け入れている。
正直、あの頃のような純粋さはなくなったのかもしれない。
でもその分、丸くなったとは思う。
男、女という分類をそれほど過剰に意識しなくなった。それらはただの役割なんだな、と思う。
P R
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