ゆうがたフレンド

April 05 [Fri], 2013, 2:32
とある高齢者施設にて。


 私、大阪の浪速区で生まれてん。
 女学校出て、お見合いして、京都の中立売に住む人と結婚してん。
 19歳やったわ。
 その男が浮気ばかりして、お金も入れへんし。
 私が働かないと、子供養われへん。
 必死で働いたわ。
 ダンナが60歳になった時、京田辺でお風呂屋をしようってなってん。
 それから15年、頑張ったわ。
 ダンナが死んでから、お風呂屋たたんで、ここにきてん。
 私?81歳になるねん。
 子供は二人おってな。長男は60歳になるわ。
 全然ここに来てくれへん。
 左肩が痛ぅでな。ほら。全然上がらへんねん。


 こないだ、息子きてん。連れてきよってな。
 おれ、小遣い渡したんやけど、アイツ「あぁ」だけ言って、
 ありがとうもなんもない。
 まぁ。照れとんねや。
 今、コンビニでバイトしてるらしいで。
 「お前、分かったやろ。お金の大事さが」って言ったってん。
 息子の?なーんも喋りよれへんかったわ。
 大人しい子や。
 あいつら、高校卒業したら結婚しよるんちゃうか。
 息子、毎週、の家でご飯食べてるらしいで。


 「こないだ、ヘルパーさんたちが寄せ書きしてたのを見たんですけど、誰か辞めるんっすかね?」
 「あ。あれ。Aさんや。もう辞めた」
 「あぁ、そうなんすか」
 「Aさん、ええ人やったのになぁ」
 「まぁ。でも、Aさんって、仕切りたがりやったし、スタンドプレー多かったし」
 「そうや。それで施設長とモメてん」
 「まぁ仕方がないっすかね。僕はそないに好きじゃなかったんです」
 「でもなぁ、Aさんを慕ってるヘルパー多かったし、何人か辞めると思うで」
 「そうっすかね。Aさん派閥はあったの、何となく分かりましたけど」
 「Uくんとか、Aさんが違うところに行って、誘われたら、アイツ行きよるで」


 「あぁ、のらさん!僕、聞きましたよ。今度6月に演歌歌手の人たち呼んでくれるらしいっすね」
 「あ。Oさん。そう。施設長にその件、電話で話したら、6月のお誕生日会の担当、Oさんって聞いてね。Oさんなら人脈広いし、別にいっかぁとか思ったんですけど」
 「いやいや、そんなこと言わないでくださいよ。むっちゃありがたいっすよ」
 「いや、だって。社協の人たちともラインあるし。それならIさんの担当の11月にしたらよかったかなぁって」
 「なんでそんなイジワルなこと言うんですかぁ。ホント、ありがたいんすよ」
 「こないだ、芸能プロのマネージャーに電話して、6月の誕生日会でカメヤマ酵母でカロリー制限の話は進めておきましたよ。ただ・・・社長のスケジュールが合えば、ってことで、その返事をまだもらってないんです」
 「そうなんすか。いや、ありがたいです」
 「もし・・・社長のスケジュールが合わなかったら、僕も言いだしっぺだし、他のライン考えてみますよ」
 「期待してますよ〜。ホント、助かりますんで」

 「兄ちゃん、よく来るけど、あんたここの偉いさんか?」
 「いえいえ。ただの訪問者です」
 「こないだも、施設長と立ち話してたし。偉い人なんやろ?」
 「いやいや。ほんと、ただの訪問者なんです」
 「そんなことないわ。だったら、毎週土日、兄ちゃんの顔見ないもん」
 「・・・」
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