アヤメ

February 27 [Sun], 2011, 11:17
ぼくはどこにいるんだろう?

「きみがアヤちゃん?」

お父さんより年上なんだろうな、このひと。
きもちわるい。

「おいで、怖がらなくてもいいよ。あ、慣れてるかな」

でも、このひとに触られてるぼくも、きもちわるい。
うそっぽく喘いでる。

、つもり?

ほんとうは、反応してるんじゃないの?
淫乱なぼく。
きもちわるい。

「はい、アヤちゃん」

渡される紙切れ。
でも、この世界、この紙があればあるほどしあわせなんだ。


ぼくは、どこにいるんだろう?


ぼくは、

muriel

February 21 [Mon], 2011, 19:53

―――おいで。

重たく閉ざされていた扉が開いた。差し込む光を背に、差し伸べられた手。
ふる、と翼が震えた。古い紙のにおいとは違う。外の――土や、太陽や、植物のにおいがする。
眩しくて目を細めた。やわらかく笑う、そのひとを見た。同じ色をした髪、同じ色をした瞳。
大きな翼だけが自分のものと違う。それでも、わかった。

―――にいさま?

彼は笑う。肯定はしないが、否定もしない。それだけでじゅうぶんだった。












翼が重い。
ああ、わたくしはどうしたのだったっけ。頭も痛い。鈍く、殴られたような。
足首に冷たい感触。がちゃがちゃと不快な音を立てるそれは、鎖だった。鈍色に輝いて、わたくしの脚を地上に繋ぎ止めている。

「目が覚めたか、天使様ぁ?」

下卑た笑い。にやにやとわたくしを見る男が、数人。着ているものは粗末なのに、身体ばかりは屈強だ。
ああ、そうだ。わたくしは、この人間たちに捕まったのだ。にいさまのお傍を離れてしまったから。
翼が重い理由もなんとなくわかる。呪だ。純白の翼は天使の象徴。それを封じてしまう呪術が、地上にはあると聞いた。
だから、離れてはいけなかったのに。

「わたくしは、」

そう口を開いたところで、不意に、景色が揺れた。
大きく――転倒。幌から放り投げだされて、地面に叩きつけられる。痛みと共に顰めた視界に、横倒しになっている馬車が見えた。馬の悲痛な嘶き。わたくしはそれでようやく、これまで馬車で運ばれていたのだということに気が付く。

「う、わあああああああ!! なんなんだよ!!」

何人もの男たちがうろたえて叫ぶ。悲鳴。前方に、見えた。
大きな獣だ。魔物か? 二本の雄雄しい角で馬車に激突したのだろう。ひどく興奮している。目に付く生き物を全て殺してしまうかのように、その角を向ける。散り散りになっていく男たち。取り残されたわたくし。

ああ、もう。
食べるのならば、食べてしまって。
にいさま、














次に目を開けると、なにもなくなっていた。
ひどいにおいだ。血。血だまり。
あの大きな獣も、男たちも、馬もいなくなってしまった。
どこに消えてしまったのだろう。身体を起こすと、大破してしまった馬車が傍らにあるだけだった。
翼の重さで、わたくしはまだ飛べないのだと思い知る。
突き抜けるような青さの空が、いまではとても遠い。


身体の節々が痛い。服もぼろぼろ。


わたくしはぼんやり、空を見上げる。
天上の白い部屋から、どのくらい落ちてきてしまったんだろう。
にいさま。

せっかく会えたのに。
迎えに来てくれたのに。

もう飛べない翼が、弱く羽ばたいた。
わたくしは、

詠う、

February 19 [Sat], 2011, 17:25


さようなら。
家族と祖国と己の全てと決別したあの日から、幾年か過ぎて。
どうにかこうにか生きている自分を、少しは好きになれたのだろうか。

僕は、土と死の臭いを漂わせていた。
僕には死神が憑いているのだと言われた。
出会った人々が僕を見て顔を顰めた。
そんな日々から抜け出したくて、僕はあの日逃げたのだ。
剣と剣のぶつかり合う音、爆発、展開された魔術の光、斃れていく敵と味方と、僕の手によって動く屍。
それらを全て放棄して、僕は逃げた。砂埃舞う中を、転がるように、這うように。
苦しくて息が詰まりそうな日常だったけれど、僕は死にたくなかったから。
僕に纏わりついて離れない土と死の臭いを、僕は何より嫌悪していたから。








幾年か過ぎて。
僕には、まだ土と死の臭いが染み付いているのではないかと、今でも怖くなる。
それでも僕を見てあからさまに顔を顰める者も、不躾に問いただすものもいないから、少なくとも周囲に悟られてはいないんじゃないだろうか。

物好きな死霊がひとり、それでも僕の傍を離れようとしない。
僕は彼のことを無視しているし、彼を呼び出す気もないのに、気付けば物陰から大きな鎌が覗いている。
可哀相だけれど、はやく黄泉の国へ還って欲しい。



生きていくことは前を向くこと。
僕の見据える前方に、土と死の臭いはしない。

淡い棘

August 07 [Mon], 2006, 22:35

夜明けが 迫る頃 夢から帰れば

薄暗い 空見上げ 隣はあなた

「泣いてる」 何故かな そう想ったの

「泣いてる」 わたしは 傍に居るのに


ねぇ その空疎な場所を

わたしじゃ 埋められないの?


「寂しい」なんて言わないでよ ねぇ

わたしは此処に居る 此処に居るのよ

「空白」なんて言葉は ねぇ

二人には無縁だって そう言ってよ


黄昏 近付き 伸びていく影は

ふたつ分 ちゃんと 其処に在るのに

「ひとりね」 どうしても そう想えるの

「ひとりね」 あなたが 其処に居るのに


あぁ その心の廃墟を

あなたは 捨てられないの?


「苦しい」なんて言いたくないよ ねぇ

あなたとわたしは 此処に居るのよ

「悲しみ」なんて想いは ねぇ

要らないんだって そう教えて


でも どんなときだって

ねぇ 気付いてる?

わたしがそっと 覗く横顔

そう ふとしたときに

ねぇ わかってる?

此処じゃない 何処か見ている


「寂しい」なんて言わないでよ ねぇ

わたしは此処に居る 此処に居るのよ

「空白」なんて言葉は ねぇ

二人には無縁だって そう言ってよ


「淡い棘」なんて欲しくないの そう

わたしはいつも 幸せが欲しいの

「淡い棘」それでも突き刺していくの

あなたとの距離を 思い知らせる為

盲目

August 07 [Mon], 2006, 19:20

だから光なんて要らなかった

もうなにも視えなくなる 目隠しよりもずっと酷い

最初から盲目ならば きっとなにも怖くなかった

わたしを包む闇のなかにさえ 幸せを見出せたかも知れないのに

わたしの瞼の裏で そっと時が止まる


もう視えない

優しいきみの

優しい笑顔

もう視えない

わたしを残し

大人になる きみが


手探りで探り当てたときには全てが終わっているんだろうか

そうしてわたしは誰にも見向きもされず果てるのだろうか

光を受け入れない世界で

タイセツナモノ 触れることさえ叶わずに


だから夢なんて欲しくなかった

もうすべて消えてしまう 目隠しよりももっと深い

最初から持たないならば きっとなにも厭わなかった

わたしを襲う悪夢の間にさえ 居場所を得たかも知れないのに

わたしの瞼の裏で そっと意味を失くす


もう視えない

愛しいきみの

愛しいすべて

もう視えない

わたしを置いて

歩き出す きみが


手探りで探り当てたときには何もかも遅いのだろうか

こうしてわたしは誰もに笑われながら進めないのだろうか

光を殺していく世界で

タイセツナコト 掴むことさえ叶わずに


殺してと 伸ばした腕も

受け取ってくれない 誰も

助けてと 叫んだ声も

聴き取ってくれない 誰も


手探りで探り当てたときには全てが終わっているんだろうか

そうしてわたしは誰にも見向きもされず果てるのだろうか

光を受け入れない世界で

タイセツナモノ 触れることさえ叶わずに

この世で一番

April 06 [Thu], 2006, 15:01
この世界で一番つまらないモノ それは 私だ

何かが欲しかった。 ヒトと違う何かが欲しかった。

たとえそれが辛い悲しいことだったとしても それがあれば私はこんな出来損ないにならなかった筈

この世で一番要らないモノは 私だ

せめて誇れる何かが欲しかった 溺れることの出来る何かが欲しかった

恨むならば誰を恨もう
自分と 自分をつくった両親と そして彼らを制約した彼らの両親を

何故私は空っぽなんだろう 中身が無くてペラペラで なんて中途半端なんだろう

ヒトと違う何かが欲しかった それを手に入れさえすれば私は絶対にこんなものではなかった筈

涙さえ流れないのはどうしてだろう もう枯れてしまったからか

どうしようもないことですぐに泣いた その所為か

ヒトと違う悲しみも 苦しみも 喜びも 立場も シアワセも 何も持たない私はもう動けない

ぐるぐる 束縛されて 動かない 動けない

ああ もう 

寒くて 無感動 携帯から流れた悲しいメロディが 嫌になるほど 私に似合う

特別をください 何か 特別をください

私だけのモノに 溺れさせて この世界から 抜け出す何か

動きたい 歩きたい それもできない 臆病者の私

せめて 生きている 意味と 価値を ください

消えてしまいそうなのに 消えてしまえたらいいと思うのに 私はどうして 存在するのか

ツマラナイ 世界

April 05 [Wed], 2006, 1:07

はやく、この、小さくて、隔離された世界から、抜け出せるとイイな

あと二年も待てないよ、ワタシ

この大きな世界の中で孤立した、ちっぽけなクズ世界の癖に

どうしてワタシを苦しめるのかしら

どうして自分たちが そう 支配者みたいに 絶対的存在 みたいに

ワタシ、疲れたな

ぐるぐるに 縛ってくる ちっぽけな くだらない箱庭の 癖に

永久に、ヤスミ なら イイのにな

ああ、 あのヒトたちに 逢いたくない

ああ、 あの後輩たちに 逢いたくない

オマエたちが 上だとか 勘違い シテル ようなら



殺シ、タイな。



だから はやく この 隔離された コンクリートの中から抜け出して




シアワセに なると イイな


両手を広げ

April 02 [Sun], 2006, 20:00

ごめんね。
無理させて、ごめんね。


キミが思いつめるまで
そんなにフラフラになるまで

無理させて、ごめんね。


ワタシが気付いてあげられなかった所為
だからワタシなんてもう嫌になったかな


無理させて、ごめんね。


だけどワタシも、みんなも、キミを待ってる
キミに帰ってきて欲しいんだよ。


今度は間違えない
キミを守るよ


約束するから
だから、帰ってきて


我侭でごめんね、こんなワタシでごめんね


だけど、ワタシは、



両手を広げて、待っているから

きっと隠し持っているモノだから

March 31 [Fri], 2006, 21:16

きっと、ワタシに大切なものなんてひとつもナイんだね

失うまで気付けないとか、よく言うけど。


ただワタシはそれが本当に欲しくて所持しているわけではなくて

手に入れるまでのその思いと、手に入れた瞬間の満足感のために手に入れる


他の奴らより持っていない、それが嫌だから手に入れる

みんなが同時に失くすなら、ワタシはきっと何も思わない


多分明日世界が滅んでも、多分、ワタシは―――……



どうしようもなく

February 05 [Sun], 2006, 0:12
その気持ちが溢れて止まらないなら
後はもう好きにしたらいい
2011年02月
« 前の月  |  次の月 »
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28
最新コメント
プロフィール
  • プロフィール画像
  • アイコン画像 ニックネーム:huyumegu
読者になる
Yapme!一覧
読者になる