謝罪の日 A 

October 30 [Sat], 2010, 21:32
話し合いが終わると、うっかり爺平衛と夢ばあちゃんは、
いが坊とおひるねたんぽぽちゃんを部屋に残し、出てゆきました。

おひるねたんぽぽちゃんは、いが坊が家に来るとわかったときに
書いたメモを、いが坊にそっと手渡しました。

そこには、ひとことこう書きました。

「待ってます」

1年経つのを、あなたが変わるのを、あなたがここに戻ってくるのを・・・
待ってるね・・・って。

下を向いて、手渡されたメモを見たいが坊の瞳から、
再び大粒の雫が零れ落ちました。

あとになって、このときのことを、いが坊はこう語ってくれました。

≪人の有り難さ・家族の愛情の深さをこの時ほど感じたことはなかったよ。
同時に、たんぽぽの苦しみ・自分がキミにしてきたことの愚かさもこころから思った≫

そして、夜遅くなっていたので、おひるねたんぽぽちゃんはいが坊に、
おうちの残りゴハンだけど、食事を出しました。

素直に食べたいが坊は、「なんでもする」
そう言ってお皿荒いまでして、自分のアパートへ帰ってゆきました。

苦しいギリギリのところにいたふたりは、
この日、お互いに救われたのでした。









謝罪の日@ 

October 27 [Wed], 2010, 21:27
そうやって別れた、いが坊とおひるねたんぽぽちゃん。
この間に、おひるねたんぽぽちゃんは、自分のきもちの読みに
誤解があったことに気付きました。

結婚していた頃は、いが坊からメールなんて殆どもらわなかったけれど、
離婚してから繋がったわずかな間、いが坊はメールをくれるようになっていました。
そして、お別れのあとのおひるねたんぽぽちゃんときたら、
ならないメールを無意識にいつも待つようになっていたのです。

そして、鳴らないことに寂しさと落胆を覚え、自分のいが坊への気持ちが
決して「母親」ではなかったことに、今更のように気がつくのでした。

もう遅い、という危機的な想いが、たんぽぽちゃんの胸をきゅうきゅうと締め付けました。
数日たった頃、このままでは薬は確実に増えるし、場合によっては入院もあるのではと、
そんな危機感さえ持ちました。

いが坊に対して、母親のようでなければなんだったのか。
きっと、たった10年だったけれど、30年も50年も一緒にいる夫婦のように
なっていただけなんだと思いました。

それにしても、胸があまりにも苦しくて、藁にもすがりたい気持ちの
おひるねたんぽぽちゃんなのでした。

そんなとき、ちょうど、そんなとき、
うっかり爺平衛のもとに、いが坊から連絡が入りました。

いが坊が、うっかり爺平衛と、夢ばあちゃん、そしてたんぽぽちゃんに、
謝りたい、と言ってきたのです。

爺平衛と夢ばあちゃんは、あたたかくいが坊を家に迎えました。
おひるねたんぽぽちゃんは、何も言えないままで、同席しました。

目の前のいが坊は、泣いていました。
自分が何をしてしまったか、どんな傷を家族に与えてきたか、
そういうことに、おひるねたんぽぽちゃんのブログをみて、
このブログをみつけて、気づきました、と大泣きしていました。

夢ばあちゃんも、そんないが坊を目の前に、泣いていました。

おひるねたんぽぽちゃんは、こう感じました。
いが坊は、なんだか洗われたみたい、と。

苦しくて泣いているけれども、なんだか洗われたような顔に
見えたのです。

このとき、うっかり爺平衛も、夢ばあちゃんも、そして
おひるねたんぽぽちゃんも、思ったのです。

決意だけでは人は変われないけれども、
決意したいが坊は、必ず変わっていくだろう、って。

はっきり、そう思ったのです。


Aにつづく





星空の別れ 

October 11 [Mon], 2010, 18:45
次の日、たんぽぽちゃんはいが坊と会う約束をしていたので、
会って手紙を渡しました。

いが坊は小さな声で、
「読んでいい?」と訊きました。
そして、おひるねたんぽぽちゃんと
王子さまの前で、その手紙を読みました。

手紙を読み終えると、いが坊は、
「やだ!」と言いました。
ちいさな子供のように、「やだ、やだ!」と。
おひるねたんぽぽちゃんは、涙がこぼれてきてしまいましたが、
それでも、「ごめんね」と言い切りました。
いが坊を、突き放したのでした。

そしてそんなおひるねたんぽちゃんを見て、
いが坊もじきにうなずいたのでした。
「もう、しかたがないんだね・・・」

いが坊は、泣いているおひるねたんぽぽちゃんを
抱き寄せると、言いました。
「たんぽぽは、何も間違ってないよ。
自信を持っていいんだよ」
おひるねたんぽぽちゃんも、これが最後だと、
いが坊の胸でわんわん泣きました。

ふたりの傍では、王子さまが、そんなふたりをみていたのでした。

ふたりは、一年後には一度、王子さまの親として、話をしようと
約束を交わしました。
それは、ひとつきおくれの、七夕の夜の出来事でした。

お別れのとき、おひるねたんぽぽちゃんのほうから、
歩き出してお別れしました。

ここにいる自分は、新しい自分なのだと、
おひるねたんぽぽちゃんは、思っていました。






プロフィール
  • プロフィール画像
  • アイコン画像 ニックネーム:huwarin49
読者になる
2010年10月
« 前の月  |  次の月 »
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
最新コメント
アイコン画像おひるねたんぽぽちゃん
» サヨナラ大好きな人 (2010年09月21日)
アイコン画像カフェ
» サヨナラ大好きな人 (2010年09月13日)
アイコン画像ううむ
» サヨナラ大好きな人 (2010年09月09日)
アイコン画像カフェさん。
» 最後の話し合い (2010年08月19日)
アイコン画像カフェ
» 最後の話し合い (2010年08月18日)
アイコン画像おひるねたんぽぽちゃん
» 「いま、自分が・・・」 (2010年06月02日)
アイコン画像おひるねたんぽぽちゃん
» 「いま、自分が・・・」 (2010年06月02日)
アイコン画像カフェ
» 「いま、自分が・・・」 (2010年06月02日)
アイコン画像まる。
» 「いま、自分が・・・」 (2010年06月01日)
アイコン画像おひるねたんぽぽちゃん
» 王子さまへの影響 (2010年05月30日)
Yapme!一覧
読者になる