スタチンは男女ともに有効

February 09 [Thu], 2012, 7:17
スタチンとして知られるコレステロール低下薬は男女ともに同等に有効であり、いずれにおいても心臓発作(心筋梗塞)リスクが約20%低下することが、新しい研究で示された。

これまで、一部ではアトルバスタチン(商品名:リピトール)、ロスバスタチン(同クレストール)などのスタチン製剤によって女性が得られるベネフィット(便益)は男性よりも小さいと考えられていた。
米国では男女とも依然、心血管疾患が死因の第1位となっている。
スタチンは心臓発作や脳卒中のリスクを増大させるLDL(低比重リポ蛋白)コレステロールを低下させ、HDL(高比重リポ蛋白)コレステロールを上昇させる作用を有する。

米マサチューセッツ総合病院(ボストン)心臓病学部門のWilliam Kostis博士は、「スタチン療法は性別にかかわらず、適切な患者すべての治療で使用すべきである」と述べている。
今回の研究で、同氏らは男女におけるスタチンの有効性を比較するため、女性4万人以上を含む14万人以上の患者を対象とした18件の臨床試験のデータを分析した。

メタ分析を行い、最初の報告で見過ごされた可能性のある共通のパターンを調べた結果、性別にかかわらず、スタチン服用患者のほうが心血管イベントも全死因死亡も少なかった。
研究結果は、米国心臓病学会誌「Journal of the American College of Cardiology(JACC)」オンライン版に1月30日掲載された。

米ニューヨーク・プレスビテリアンPresbyterian病院心臓予防医学責任者で、同誌付随論説著者のLori Mosca博士は、「心臓障害の将来的なリスク低減に限れば、スタチンによる男女の相対的ベネフィットは同じだが、女性はリスクレベルが低い状態で使用を開始することが多いため、全体的なベネフィットが小さい可能性がある。明確な心疾患のない患者でのリスク・ベネフィット比の性差に関する確固とした結論を示す十分なデータはないが、心疾患がなくとも女性に対し予防を目的としたスタチン使用を検討してもよい。ただし、筋肉障害などの副作用や糖尿病リスクの増大など全体的なベネフィットとリスクは考慮されるべきである」としている。

別の専門家は、「ガイドラインでは心血管疾患の予防および治療にスタチン投与を勧めているが、一部の専門家は、特に心血管疾患予防のために女性にスタチン使用を強く推奨する十分なエビデンス(科学的根拠)がないと考えていた。
今回の研究はこれらの懸念に対する答えを示している。
スタチン療法は健康的な食事と運動と組み合わせることにより、男女に十分な心血管保護を提供する」と述べている。

出典 HealthDayNews 2012.1.30
版権 HealthDay

家庭血圧の変動性から心血管リスクが予測できる?

February 07 [Tue], 2012, 17:56
一般成人1,866例を約8年追跡した結果、家庭血圧および心拍数の変動性が心血管イベントの独立予測因子であることが示された。
フィンランド国立健康福祉研究所のJouni K. Johansson氏らが報告したもので、両値とも、朝の測定値の変動性の大きさが予測に寄与することが示された。
Johansson氏は、「両値は測定が容易であるので、心血管リスク評価の付加情報として活用すべきであろう」と結論している。

血圧、心拍数とも朝の測定値の変動性が、心血管イベント発生の独立予測因子
Johansson氏らは、フィンランドで行われた一般成人を対象とした集学的疫学調査「Health 2000 Study」の参加者から、45〜74歳の1,866例について調査を行った。

被験者は、自己測定で7日間毎日、朝と夕方に血圧と心拍数を2回ずつ測定することを課せられた。

測定データをもとに、血圧値と心拍数の変動性を、「朝−夕」「日−日」「初回値−2回目値」のSD値と定義し評価を行った。

主要エンドポイントは、心血管イベントの発生率とし、副次エンドポイントは、全死亡率とした。

おもな結果は以下のとおり。
 ●被験者1,866例の主な基準値は、平均年齢56.4±8.5歳、男性43.9 %、自己測定による収縮期血圧(SBP)129.5±18.7、同拡張期血圧(DBP)80.1±9.2、同心拍数68.3±9.1であった。
 ●追跡期間は7.8年であった。その間に、179例が心血管イベント(致死性・非致死性)を発症し、死亡は130例であった。
 ●年齢、性別、血圧/心拍数、その他の心血管リスク因子で補正したCox比例ハザードモデル解析の結果、家庭血圧の朝−夕の変動性[1mmHg増大当たりの相対ハザード比 SBP:1.04(95%CI:1.01〜1.07、p=0.006)、DBP:1.10(同:1.05〜1.15、p<0.001)]と、朝−朝の変動性[1mmHg増大当たりの相対ハザード比 SBP:1.04(同:1.00〜1.07、p=0.03)、DBP:1.10(同:1.04〜1.16、p=0.002)]は心血管イベントの予測因子であった。
 ●心拍数についても同様に、朝−夕の変動性[1bpm増大当たりの相対ハザード比:1.07(95%CI:1.02〜1.12、p=0.006)]と、朝−朝の変動性[1bpm増大当たりの相対ハザード比:1.11(同:1.05〜1.17、p<0.001)]は、心血管イベントの独立した予測因子であった。

[監修者のコメント]
本研究は、地域住民の追跡研究において、家庭血圧計で測定した血圧と心拍数の変動性の増大が共に、心血管イベントの発症リスクの増大につながることを示した貴重な研究である。

本研究はフィンランドの家庭血圧研究で、7日間、朝夕、さらに1機会に2回、家庭血圧を測定した研究である。
これまで、本研究データベースでは家庭血圧の平均値が心血管リスクとなることをすでに報告している。
今回の解析では、現在注目が集まっている血圧変動性に焦点を当てている。

本研究では、家庭血圧で測定した全ての血圧変動の増大が心血管リスクになっている。 
つまり、朝夕のME差の変動性、1回目と2回目の測定差の変動性、さらに日ごとの早朝血圧の変動性の増大である。 

血圧変動性は、早朝血圧の方が夕方の血圧の変動性よりもリスクとなっている点に注目してほしい。 
朝の血圧は平均値の増大も、変動性の増大も、より大きなリスクになるということである。

早朝血圧の変動増大の要因として睡眠の質や圧受容体感受性の低下、早朝の交感神経緊張、血管リモデリングなど多くの要因が関与すると考えられる。 

我々は身体活動に対する早朝の血圧の反応性を評価する血圧計の開発を進めている。
この早朝血圧反応性指数(morning BP reactivity index)が高いモーニングサージが最も大きな心血管リスク因子となると考えている (Kario K.Hypertension. 2010;56:765-73)。

                      ([監修] 自治医科大学 循環器科 教授 苅尾七臣)

http://www.carenet.com/news/cardiology/newsnow/det.php?nws_c=26176

原文
Johansson JK et al. Hypertension. 2012.

心房細動に対するカテーテルアブレーション治療の予後

February 06 [Mon], 2012, 20:08
心房細動に対するカテーテルアブレーション治療の予後:4,000名のエビデンス
心房細動に対するカテーテルアブレーションの治療後に20例に1例の割合で周術期合併症が起きており、不整脈関連の再入院が一般的に起きていることが、同初回治療を受けた患者約4,000例について調べた結果、明らかにされた。
合併症または30日以内の再入院の発生リスクは、高齢、女性、心房細動による入院歴がある患者で高いことも明らかにされた。
これまでカテーテルアブレーション治療の予後について、大規模な住民ベースの研究はあまり行われていなかった。

合併症・30日以内の再入院発生リスク:65〜74歳では18〜44歳の1.86倍、女性は男性の1.38倍

研究グループは、米国カリフォルニア州入院患者データベースを基に、2005〜2008年にかけて、心房細動に対する初回カテーテルアブレーション治療を行った全成人を特定し、予後に関する調査を行った。

多変量ロジスティック回帰分析にて、周術期合併症、30日以内の再入院、および両方に共通する予測因子を求め、また、Kaplan-Meier分析で、全再入院率、不整脈関連の再入院率を算出した。

おもな結果は以下のとおり。
 ●被験者は、2005年1月〜2008年11月の間にカリフォルニア州で初回カテーテルアブレーション治療を行った4,156例であった。
平均年齢は61.7歳、男性は67.8%で、高血圧50.3%、冠動脈疾患歴14.7%が最も一般的に認められた共存症であった。
●被験者の5%が、周術期合併症を発症し、そのうち血管合併症が52.1%を占めた。
●30日以内の再入院率は9%であった。
●合併症そして/または30日以内の再入院発生に関する補正後リスク因子は、高年齢(18〜44歳を基準に85歳まで段階的にオッズ比が増大、例えば65〜74歳は1.86、75〜84歳は1.95など)、女性(オッズ比:1.38)、心房細動による入院歴(同:1.19)、また医療機関の心房細動アブレーション経験の少なさ(12ヵ月間のアブレーション実施数が最多の四分位範囲に対する最小四分位範囲のオッズ比:1.56)であった。
●1年後までの全再入院率は38.5%であった。
 ●心房細動再発や房粗動、再アブレーションによる再入院率は、1年後までが21.7%、2年後までが29.6%だった。

[監修者のコメント]
本研究は、リアルワールドの大規模データベースを用いて、初回心房細動に対するアブレーションの合併症を調査し、約5%に周術期合併症、10%に30日以内に再入院がみられることを示した臨床上重要な報告である。
さらに、1年後までに約22%が不整脈の再発または再アブレーションのために再入院となっており、40%が何がしかの原因で再入院となっている。

周術期合併症の内訳では、血管合併症が52%で、血腫や出血44%、穿孔と心タンポナーデが4%生じている。また、30日以内の再入院は9.4%で、その内訳は心房細動・粗動による入院が約25%である。
周術期と30日以内の再入院を合わせた脳卒中は29例、死亡が10例である。

これがリアルワールドの数字である。
心不全、高血圧、慢性腎臓病、肺疾患など全身の合併症の程度が全て合併症と術後30日以内の再入院のリスク因子となる。
もちろん、この合併症の発生率には、施設差がみられている。
これらの要因の中で、年齢が最も大きな合併症のリスク因子となっており、65歳以上では若年者に比べ、約2倍近く合併症リスクが増大している。 

脳卒中リスクと死亡を合わせると40名程度と約1%に生じる。
したがって、カテーテルアブレーションでは、高齢者では思わぬ重篤な合併症が生じるリスクとその頻度を十分に説明し、同意を得て、専門施設での試行が望まれる。
            ([監修] 自治医科大学 循環器科 教授 苅尾七臣)
 
http://www.carenet.com/news/cardiology/newsnow/det.php?nws_c=26171

原文
Shah RU et al. J Am Coll Cardiol. 2012; 59: 143-149.

無症候性の心房性不整脈、脳梗塞リスク2倍に、カナダの大学が成果

February 04 [Sat], 2012, 18:12
カナダのマックマスター大学(オンタリオ州)はこのほど、自覚症状がなくペースメーカーによって検出される不整脈と、脳梗塞の発症リスクの上昇との間に関連性があるという研究結果を発表した。

心房細動の病歴がなく、ペースメーカーを移植した約2600人の患者のうち3分の1以上に、6分を超えて続く心拍数の増加や不整脈の症状が現れた。
患者の85%はペースメーカーが不整脈を検出しただけで、不整脈が原因とみられる症状はみられなかったが、移植後3カ月以内にこの無症候性の心房性不整脈が検出された患者は、脳梗塞または全身性塞栓症を発症するリスクが他の患者よりも2倍高くなることがわかったという。

同研究は同大医学部のマイケル・G・デグルート内科准教授と、ジェフ・ヒーリー博士らをはじめとする国際研究チームが実施した前向きコホート研究。
ヒーリー博士は結果について「心房細動が原因で生じる脳梗塞が全体の約5分の1を占めている可能性もある。
心拍の乱れが検出された場合、心房細動患者が脳梗塞になるのを未然に防ぐために具体的かつ効果的な治療を施せばよいということが明らかになった」とコメントしている。

同研究は米セント・ジュード・メディカルの支援を受けて実施。
結果は「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン」の2012年1月号に掲載された。

http://www.carenet.com/news/det.php?nws_c=26246
版権 化学工業日報社

心筋梗塞後の冠動脈内骨髄単核球注入

January 29 [Sun], 2012, 11:52
左室機能の改善認められず
アボットノースウェスタン病院(ミネソタ州ミネアポリス)にあるミネアポリス心臓研究財団のJay H. Traverse博士らは,急性心筋梗塞(AMI)によりバルーン血管形成術やステント留置術などの施行後も左室機能不全を呈する患者に,AMI発症から2〜3週間後に骨髄単核球(BMC)の冠動脈内注入を行ったが,注入から6カ月後の全体的な心室機能に有意な改善は認められなかったとJAMA(2011; 306: 2110-2119)に発表した。

発症から2〜3週間後に注入
研究の背景情報によると,AMI後に患者自身のBMCを投与することにより,左室駆出率(LVEF)や局所左室機能が改善し,臨床的な有害事象が減少する可能性が,複数のランダム化試験で示されている。
しかし,こうした試験の大半では,初回経皮的冠動脈インターベンション(PCI)から1週間以内にBMCを投与している。

Traverse博士は「医療上の問題などによって,1週間以内にBMC注入を受けられない患者は極めて多い。そのため,AMI発症から2〜3週間後の自家BMC投与の有効性を検討する必要があった」と指摘している。

そこで同博士らは今回,AMI発症から2〜3週間後の冠動脈内自己BMC注入による治療の有用性を検討するランダム化プラセボ対照試験LateTIMEを実施した。

対象は2008年7月〜11年2月に初回のPCI成功後も有意な左室機能不全を呈した87例(平均年齢57歳,男性83%)。
対象患者を自家BMCの冠動脈内注入群とプラセボ群に割り付け,ベースライン時と治療から6カ月後の複数の指標で左室機能の変化を比較した。

変化はプラセボ群と同等
検討の結果,ベースライン時と6カ月後の値は,LVEFがBMC群48.7%と49.2%,プラセボ群45.3%と48.8%,左室梗塞領域の収縮時壁運動(移動距離)はそれぞれ6.2mmと6.5mm,4.9mmと5.9mm,梗塞境界領域の壁運動は16.0mmと16.6mm,16.1mmと19.3mmで,いずれの指標でもBMC群とプラセボ群との間に統計学的な有意差は認められなかった。

Traverse博士らは「左室容積と梗塞体積にも有意な変化は認められなかった。
これらの指標のベースライン時から6カ月後の減少量は,両群とも同等であった」と説明している。

同博士によると,LateTIME試験の登録患者は,ステント留置による血行再建の成功から数週間後も左室機能低下が持続する高リスク患者で構成されており,過去の複数の後ろ向き解析では,こうした患者群で細胞治療の恩恵が最も大きいことが示唆されていた。
しかし今回の解析では,LVEFが最も低いサブグループにおいても,左室機能の改善は認められなかった。

今回の研究結果について,同博士は「AMI後の細胞注入のタイミングが治療効果に重要な影響を及ぼす可能性があり,今回,良好な結果が得られなかった原因なのかもしれない」と考察している。

出典 Medical Tribune 2012.1.26
版権 メディカル・トリビューン社


スタチンと感染症リスク

January 18 [Wed], 2012, 21:44
スタチンは感染症リスクを低減しない
オランダ・ユトレヒト大学のHester L van den Hoek氏らは、「スタチンは感染症リスクを低減する」との仮説を検証するためのメタ解析を行い、これを支持するエビデンスは得られなかったことを、BMJ誌2011年12月17日号(オンライン版2011年11月29日号)で報告した。
スタチンは心血管疾患の予防や治療に広く用いられているが、抗炎症作用や免疫調整作用も有することが知られている。
スタチン服用者は感染リスクが低下していることが、いくつかの観察試験で報告されているが、これらの試験のデータはバイアスを完全には排除しきれないという。

観察試験データを検証するためのメタ解析
研究グループは、観察試験で報告されているスタチンの感染リスク低下作用を検証するために、プラセボ対照無作為化試験の系統的なレビューとメタ解析を行った。

データベース(Medline、Embase、Cochrane Library)を用いて、2011年3月10日までに報告されたスタチンのプラセボ対照無作為化試験(100例以上を登録、フォローアップ期間1年以上)を検索し、感染および感染症関連死亡に関するデータを抽出した。

感染症罹患および関連死の相対リスクに有意差なし
11試験に参加した3万947例のデータが得られた。治療期間中に4,655例が感染症を発症し、その内訳はスタチン群が2,368例、プラセボ群は2,287例であった。

メタ解析では、スタチンの感染症リスクの抑制効果は認めず(相対リスク:1.00、95%信頼区間:0.96〜1.05)、感染症関連死亡の低下効果も確認されなかった(同:0.97、0.83〜1.13)。

著者は、「これらの知見は、スタチンが感染症リスクを低減するとの仮説を支持しない」と結論し、「大規模なプラセボ対照試験で良好な効果のエビデンスが得られなかったため、観察試験で報告されたスタチンの感染症抑制効果の可能性は低くなった」と指摘している。    (菅野守:医学ライター)

出典 Care Net.com 2012.1.13
版権 Care Net

米国のSTEMIの再入院リスク

January 17 [Tue], 2012, 14:56
STEMIの再入院リスク、米国は他の国のおよそ1.5倍
ST上昇型心筋梗塞(STEMI)による再入院率は米国が最も高く、血行再建術実施のための再入院を除いても、オーストラリアや欧州などに比べ、およそ1.5倍に上ることが明らかにされた。
退院30日以内の再入院のリスク因子としては、多枝病変であることが2倍と最も高かった。
米国・デューク大学医療センター臨床研究所のRobb D. Kociol氏らが、約5,700人のSTEMI患者について行った事後比較の結果で、JAMA誌2012年1月4日号で発表した。

入院日数中央値は米国が最短で3日、ドイツが最長で8日
研究グループは、2004年7月13日〜2006年5月11日にかけて、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドと欧州13ヵ国の計296ヵ所の医療機関を通じて行われた、STEMI患者5,745人が参加した試験「Assessment of Pexelizumab in Acute Myocardial Infarction」のデータについて事後解析を行った。

主要アウトカムは、退院後30日以内の再入院に関する予測因子だった。

その結果、被験者のうちSTEMIによる院内死亡を除く5,571人のうち631人(11.3%)が、退院後30日以内に再入院していた。

国別に再入院率をみると、米国は14.5%と、その他の国の9.9%に比べ有意に高率だった(p<0.001)。

一方で、入院日数の中央値は米国が3日(四分位範囲:2〜4)と最短で、最長はドイツの8日(同:6〜11)だった。

米国の院内死亡率や入院後30日死亡率は同等
多変量回帰分析の結果、30日再入院に関する予測因子は、多枝病変(オッズ比:1.97、95%信頼区間:1.65〜2.35)、米国で入院(同:1.68、1.37〜2.07)だった。

米国で入院という再入院予測因子は、血行再建術実施のための再入院を除いた後もオッズ比は1.53(同:1.20〜1.96)だった。

しかし各国の入院日数で補正後は、30日全死因死亡や緊急再入院の独立した予測因子ではなかった。
また米国での入院は、院内死亡(オッズ比:0.88、同:0.60〜1.30)や入院後30日死亡(オッズ比:1.0、同:0.72〜1.39)のリスク因子ではなかった。           (當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

出典 Care Net. com 医療一般 No.J001800  2012.1.17
版権 (株)ケアネット

安静時心拍数の経時的増加とIHDによる死亡

January 13 [Fri], 2012, 22:18
安静時心拍数の経時的増加とIHDによる死亡との間に明らかな関係
安静時心拍数の経時的増加が虚血性心疾患(IHD)による死亡リスク上昇と関連することを示すコホート研究の結果が,ノルウェーのグループによりJAMAの12月21日号に発表された。

安静時心拍数は心血管リスクの独立予測因子と考えられているが,安静時心拍数の変化がIHDによる死亡リスクにどのような影響を与えるかは明らかにされていない。

同グループは,男性1万3,499例と女性1万5,826例を対象とした前向きコホート研究で約10年間に2回,安静時心拍数を測定した。
2回目の測定は1995年8月〜97年7月に行い,その後,2008年まで追跡して安静時心拍数の経時的変化とIHDによる死亡との関係を検討した。

平均12年間の追跡で3,038例が死亡し,うち388例がIHDによる死亡であった。
解析の結果,安静時心拍数の経時的な増加とIHDによる死亡リスクとの間に明らかな関係が認められた。

安静時心拍数が2回とも70拍/分未満だった群の1万人年当たりのIHDによる死亡は8.2例だった。
これに対し,70拍/分未満から86拍/分以上に増加した群のIHDによる死亡は17.2例で,補正後のハザード比(HR)は1.9と有意に高かった。
同様に,70〜85拍/分から86拍/分以上に増加した群の死亡は17.4例,HRは1.8だった。

安静時心拍数の経時的変化と全死亡との関係も同様の傾向が見られたが,全体としてIHDによる死亡との関係より弱かった。

Nauman J, et al. JAMA 2011; 306: 2579-2587.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/22187277

出典 Medical Tribune 2012.1.12
版権 メディカル・トリビューン社


日本でのアリスキレンに関する一時的措置

January 06 [Fri], 2012, 17:37
ノバルティス,日本でのアリスキレンに関する一時的措置を発表
昨年(2011年)12月28日,ノバルティスファーマは,レニン阻害薬アリスキレン(商品名ラジレス)の糖尿病患者への処方について「一時的な予防的措置」を発表した。
同薬の国際共同治験ALTITUDE試験が中止されたことによる措置。

糖尿病患者におけるACE阻害薬,ARBとの併用行わない
同試験は日本を含む世界35カ国が参加する国際共同第III相試験で当初の予定登録症例数は8,600例。
ノバルティスファーマによると,中止時の登録症例数は8,606例を超えていたようだ。

今回同社が発表した,同薬の処方に関する「一時的な予防的措置」は次の通り。
いずれも次回以降の日常診療において留意することと記されている。

*糖尿病を合併している患者に対して,同薬とアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬またはアンジオテンシンU受容体拮抗薬(ARB)を併用しない

*既に,同薬とACE阻害薬またはARBを併用投与中の糖尿病を合併している患者においては,同薬の投与を中止する。なお,必要に応じて,高血圧の代替治療を考慮する

*ACE阻害薬またはARBを投与中の糖尿病を合併している患者に対して,アリスキレンの投与を開始しない
なお,医師への相談なしに同薬とACE阻害薬またはARBとの併用を中止しないよう,患者へ指導する

同試験の主な目的は,ACE阻害薬やARB単独では改善の余地が残る2型糖尿病患者の心・腎リスクの問題に対し,両薬とは異なるレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)阻害機序を有するレニン阻害薬の上乗せによるベネフィットの確認(Nephrol Dial Transplant 2009; 24: 1663-1671)とされている。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/19145003

対象は,アルブミン尿や心血管疾患既往と腎機能低下を合併する2型糖尿病患者。中間解析の結果,第三者委員会が同薬追加によるベネフィットの可能性が低いほか,非致死性脳卒中,腎合併症,高カリウム血症などの有害事象発現率が高いと結論,試験中止を勧告した。

現在,同試験の本解析が進行中で,今年早期に最終解析結果が発表される予定だという。 (坂口 恵)

出典 MT pro  2012.1.5
版権 メディカル・トリビューン社


<追加 2012.1.17>
■2012年9月Diovan米国特許失効とアリスキレン売り上げに及ぼしうるALTITUDE試験打ち切りの影響を鑑み、Novartis(ノバルティス)社は米国従業員およそ2000人を削減。
■2型糖尿病と腎機能障害を有する高リスク患者を対象にして実施されていたALTITUDE試験はデータモニタリング委員会の推奨により中止。
これを受けてNovartis社はACE阻害剤やアンジオテンシン㈼受容体拮抗薬(ARB)とアリスキレン製品併用の販促を一切中止。
■ALTITUDE試験結果を受けてのアリスキレン製品売り上げ予想の再評価に伴い、Novartis社は2011年4Qに9億ドルの特別損失を計上。

結構メーカーのダメージは大きそうです。

喫煙によるCHDリスクと性差

January 05 [Thu], 2012, 20:43
喫煙によるCHDリスクは男性より女性の方が大きい
喫煙による冠動脈性心疾患(CHD)への影響は男性より女性の方が大きいことを示すデータが,米ミネソタ大学などのグループによりLancetの10月8日号に発表された。

一部の国で女性の喫煙率が高まっている。
喫煙はCHDの危険因子の1つだが,喫煙によるCHDリスクに男女差があるかどうかは明らかにされていない。
同グループは,1996〜2010年に報告された喫煙とCHDに関する前向きコホート研究のメタ解析を行い,非喫煙者と比較した現喫煙者のCHD相対リスクから男性に対する女性のリスク比(相対リスク比)を算出した。

解析対象は,391万2,809例(うちCHDイベント発症例6万7,075例)を含む86研究。
そのうち,喫煙以外の主要心血管危険因子を調整した75研究(約240万例)では,男性に対する女性のCHD相対リスク比は1.25と有意に高かった(P<0.0001)。
追跡期間が1年長くなるごとに相対リスク比は2%上昇した。

この結果は可能性のある出版バイアスを調整後も変わらず,研究間に不均質性は認められなかった。

一方,53研究のデータでは,非喫煙者と過去の喫煙者のCHDリスクに有意差はなかった。

Huxley RR, et al. Lancet 2011; 378: 1297-1305.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/21839503

出典 Medical Tribune 2011.10.20
版権 メディカル・トリビューン社
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循環器関連の医師専門の内容になっています。

葦の髄から循環器の世界をのぞく
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