\ 俺の隣 /

April 22 [Thu], 2010, 18:35
「で・・・君たちは本当にお互いが消えてしまえばいいと
望んでいるんだね?」

新羅が珍しくまじめに問いかけた。

「当たり前だ!!!」

2人の声が同じタイミングで部屋に反響する。

「じゃーさこれのみなよ
後戻りは出来なくなるからね?」

そういって新羅が取り出したのは
二本の試験管だった。

こぼれないようにコルクがしてある
中身は赤い液体でどくどくしい色をしていた。

2人はためらわずコルクを開け

飲み干した。

パリン

試験管が同時に手から滑り落ち

意識なく二人は倒れた。

「これは君たちの為なんだよ・・・」

そっと新羅はため息交じりにつぶやいた。




〈静雄目線〉

気がつくとさっきまで横にいたノミ蟲がいなくなっていた。

きっと帰ったのだろうと思ったが、

相変わらずノミ蟲のにおいは部屋に立ち込めていた。

「おい」

とっさに俺を見据えてる人物

新羅に声をかける。

「何?」

すごく哀しげな新羅の目に少し戸惑いを覚える。

「ノミ蟲は?」

問いかける。

「いるじゃん 君の横に」

横を見るが横には一人分のスペースががあるだけだった。

俺の隣には誰もいない。

「ふざけんな」

新羅が“いる”と言った方向に手をかざすけれど

やっぱりそこには何もない。

「君たちがそれを望んだんだよ」


〈臨也目線〉

いつの間に寝ていたのだろうか

目が覚めると新羅が誰かと話しているのが分かった。

誰と話しているんだろ・・・

俺の隣は誰もいないはずなのに

そういえば静ちゃんがいないな

帰ったのかな

でもかすかに静ちゃんの香りが嗅覚をくすぐる。

「新羅 誰と話してるの?」

こっちを向いた新羅はこういった。

「君の横にいる平和島静雄君だよ」

「嘘つかないほうが身のためだよ」

新羅の言う方向に手をかざしても

触れた感触は感じず

ソファーには一人分のスペースがあるだけだった。

「どうやら実験は成功のようだね。君達は
もうお互いを見ることも触れることも出来ないよ
そう望んだのも君達。
戻れないからね」

新羅は哀しげに笑いそう告げた。






〈臨也目線〉

あれから数日がたった。

相変わらず池袋に僕は出向いたが、
池袋に静ちゃんは現われなかった。
というより見えなかった。

時折、自動販売機が空中に浮かんでいることがよくあるが

それがきっと静ちゃんなのだろう。

もはや静ちゃんを確認するには、これしか残っていなかった。

いくら望んだことといえ、お互いは見えない。

何をしているのか 何を思っているのか

何を喋っているのか 何処にいるのか

孤独と不安がずっと心の片隅で主張していた。

望んだのは僕なのにね・・・


〈静雄目線〉

あれから数日が経ち、相変わらず臨也の気配はしていた。

だが、見えない。

俺が望んだ通り

だがどこか寂しかった。

俺はいつも以上に自販機を持ち上げ、此処にいると主張し続けた。

そんな時

気のせいかも知れないが、ノミ蟲が傍に居る気がした。


すぐ傍にあったベンチに座った。



〈臨也目線〉

仕事もひと段落し休憩がてら

傍にあったベンチに腰をかける。

ため息がこぼれた。

こんな時にまで静ちゃんのタバコの匂いが漂っていた。

無常にも寂しさを感じた。

さっきまで浮いていた自販機が公園の隅においてあった。

虚しさだけが残る

なんて後味が悪いんだか。
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hul_crowです。

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