大いなる遺産 byディケンズ 

April 26 [Sun], 2009, 14:01
涙にもいろいろ種類があるけれど、
小さい子以外では
やっぱり女性のほうが男性よりは、「泣きびー」のように思います。

とはいえ、このごろは男の人の涙を見ることも多い、かな?
ある世代から上は「おとこが泣くなんて!」と
憤慨してるかもしれない。

「大いなる遺産」の主人公の少年ピップは
ある日突然、遺産を相続します。
住み慣れた村をはなれることになり、
親しい人たちとお別れします。
見送りをことわり、
村はずれの道しるべまで歩いて来たときに、
ひとりで、わっと泣き出します。

これから自分が向かう先が
あまりにも未知で広く大きい世界である、と
自覚した瞬間の涙。
そして、彼は思います。

(以下、抜粋)
「わたしたちはわたしたちの涙をけっして恥じる必要はないということは、
神もごぞんじだ。 
涙こそは、
わたしたちの頑(かたく)なな心をおおっていて、人の眼をくらます、
土埃(つちぼこ)りの上に降りそそぐ雨だからだ。
泣いてしまうと、わたしの心はまえよりもすなおになった 
ー 悲しさはひとしお深まり、自分の忘恩がいっそう痛切に感じられ、
そしてわたしはいっそうやさしくなった。」
(新潮文庫 山西英一 訳)

心にかぶさったホコリの上に降り注ぐ雨、それが涙。
積もりすぎると自動的に流れる涙もあるような・・・
このごろ「泣ける○○」というフレーズがちまたでよく見られるのも、
みんながなんとなく
「泣いて、心のホコリを泣き流したい」気分だからなのかも・・・。
そういう私は・・・?んん?

生きることと考えること By森有正 

April 25 [Sat], 2009, 2:15
著者が、「自分は本を読むときに
ストーリーよりも文章に意識を向ける」、と
いったことを書いているページを立ち読みして
「あ、なるほど」と思って買いました。

(以下、抜粋)
「なぜ私が話の筋とか内容とかをあまり問題にしないで、
文章に興味を持つかというと、
書いている『人間』を相手にするからです。
単なる思想ではなくて、
人間そのものを相手にするということです。
文章というのはその人の顔のようなもので、
そこにその人の全部が出るからです。」

文章とは、そのジンブツの顔!
どきっとしますね。
ひゃ〜

2008年お正月 

January 02 [Wed], 2008, 16:16
2年くらいほうってました。
システムがかなりかわっているので
とまどいつつ。

今年は
詩心の探求をしたいので
このページが
すこし
うごくのではないかと思います。

今読んでるのは
白州正子 「わたしの百人一首」と、「ポケット詩集」のシリーズ。
詩やら和歌に心がひかれています。

ハリーポッター謎のプリンス 

September 12 [Tue], 2006, 1:37
ずいぶん前に購入したのに
仕事がものすっごく忙しくなって
読む気がふっとんでしまっていた。

ついでに
ここのログインもほとんどしてなかったもので
カレンダーが7月でとまっていた!!

ハリポタはブームになる前に
立ち読みで気に入って買って読んで以来、
全巻をとりあえず読了している。

が、3巻を過ぎたあたりから
記憶の中での
ストーリーの順番があやしくなってきた

6巻を読むときも少し不安だったが、
「ま、読んでいるうちに思い出すだろう」と
読み始めた。

が、かなり忘れている
覚えていないことが多すぎる。

「やっぱり5巻をもう一度よむべきだったかなあ」

つい前の巻なのに、
シリウスの家の雰囲気と
最後の対決の場面の様子をおぼろげながら記憶しているのみ。

細かい筋はうろおぼえ。

過去のエピソードのことが入ってくると
「え?」「いつのこと?」「そんなことあったっけ?」と、しばし考える。

あとになって増えた登場人物の名前と素性が
なかなか一致しない。

目新しい名前を見ると
「見たことあるけど、
これはどっちのサイドだっけ?」
などと
また考える。

ハリポタを全巻もっているくせに
4巻以降は
ほんとにまったく
あらすじを把握していないのであった。

ハリポタ読者対抗、早押しクイズに出ても
ぜったいに勝てないと思う。

(出ないけど)

そして今
6巻の上巻をおよそ半分くらい読み終えた。

読むのは楽しい。
けれど、読んだはしから忘れているような気がする(!)。

下巻までなるべくいっきに読まないと
うっかり中断しようものなら、
上巻の筋すら
空のかなたに消えていきそうだ。

というわけで
必死になって読みすすめている。
ちょっと情けないけれど・・・。

ほかの人はみんなストーリーを
ちゃんと覚えているものなのだろうか??
(すごく疑わしい〜〜)

情報は「選ぶ」より「いかに捨てるか」 

July 20 [Thu], 2006, 0:50
「決断力」羽生善治著(角川oneテーマ21)

さすがの名フレーズの数々。
少しあげてみると、

1、「意表をつかれる」ことに驚いてはいけない。
1、結果には「いい結果」、「悪い結果」がある。
1、決断するときは、たとえ危険でも単純で、簡単な方法を選ぶ。
1、決断とリスクはワンセットである。

などなど。
もっとあるけれど、
なかでもこの本を買うきっかけになった一言は

「直感の七割は正しい」ということば。

「直感力は、
それまでにいろいろ経験し、
培ってきたことが脳の無意識の領域に詰まっており、
それが浮かび上がってくるものだ。
まったく偶然に、なにもないところからパッと思い浮かぶものではない。」

そしてまた、
「情報は『選ぶ』より『いかに捨てるか』が重要」というのも、ズシリ。

羽生さんいわく、
「情報をいくら分類、整理しても、どこが問題かをしっかりとらえないと
正しく分析できない」
「山ほどある情報から自分に必要な情報を得るには、
『選ぶ』より『いかに捨てるか』のほうが重要なのである」
と。

基本と原則を大切にしながらも
過去や常識にとらわれることなく、
今とこれからを積み重ねて
着実に前進している、
そんな風を
羽生さんの姿勢に感じた。

「蜂の巣にキス」読了 

July 17 [Mon], 2006, 15:15
ジョナサン・キャロル、なかなか、よい。

途中から謎解きになるあたりで
少し焦点がゆらめくけれど

縦糸と横糸ががっちりからんで
主人公が見ている世界を
しっかりと表現してくれる。

好きな言葉がある。

ひとつは
サムが娘のキャスに言った次の言葉。

「それでも学んだことは確かにあるんだ。
何だと思う?
お父さんのセメントでできた脳に
入り込むことができたたった一つの教訓。

一緒にいて、
概ね満ち足りていられる相手は、
ほんのわずかしか存在しない。
そういう意味で相棒だと思える人を見つけたら、
その時間のために闘え。
ふたりの仲を守るために闘うんだよ。」

二度と繰り返せない日々へのオマージュを感じるだけでなく、
今これからを生き抜くための強さを
過去から学びなおす、
そういう主人公の姿。

自分の住む世界を見つめなおしてみようか、と
思わずにはいられなかった。

小説が心の中でひとつの世界を立ち上げたとき、
それは
どんな説得やアドバイスやテクニックにもまさる強い力で
私たちの内面を創りかえる可能性をもつ。

ジョナサン・キャロルの作品は
そういう力を秘めている。

「蜂の巣にキス」 

May 08 [Mon], 2006, 0:10
「<蜂の巣>は亡くなった少女のあだ名。」

帯に書かれたそのフレーズにひっぱられて
読み始めた。

「ひとりで食事をするのが好かない。
有名になりたかったのはそれもあった。」という作家が主人公。

公共の場で一人ぼっちで食事をするのよりも、
一人の部屋で粗末な食べ物を口に入れるほうがましだ、と彼は考えている。

前者は「哀れであると同時に感じの悪いものがある」と。

この
なんだか気になる冒頭に惹かれて
読み始めたところ。
まだ本筋にはたどり着いていないけれど
そっけない突き放し加減が心地よい文章だ。

翻訳がすばらしい。
原文のもつリズムや
みずみずしい感情表現を
生かしている。
日本語での作品世界が
立派に立ち上がっているような気がする。

ジョナサン・キャロル著。
浅羽莢子訳。
(創元推理文庫)

ヒッコリーロードの殺人 

March 02 [Thu], 2006, 12:10
アガサ・クリスティ著 高橋豊訳
早川書房

ポアロものは、切れ味がよくていい。
ミス・マープルも好きだけれど
ポアロのシャープさが最近は心地よい。

この作品はポアロの有能な秘書ミス・レモンの
姉がつとめるユースホステルでの事件についての話。

なんでもなさそうな紛失・盗難事件が
実は大きな犯罪の「氷山の一角」であった、というもの。

ひとつ難をいうと
ポアロのミス・レモンに対する「あんた」という訳が
ひっかかる。

私の中には
テレビシリーズの中のデビッド・スーシェのポアロが
でんと存在しているので
あの口ぶりで「あんた」と秘書に言うのは
違和感がある。
イメージがうまく結びつかない。

その点さえこらえれば
作品全体としてはとてもすばらしい翻訳だと思う。

「プロセス・アイ」 読了 

February 15 [Wed], 2006, 10:30
仕事が増えて多忙だったけれど
「この本は絶対に全部読む!」と決心し
寝る前にコツコツと地道に読んでいった。
そしてついに読了。

やったー
(こういう根性には自信アリ)

後半部分はイッキ読み。
意外な展開に驚いて
「え?この先どうなるの?」と
気になり、止められなくなったからだ。

深い。
そしておもしろい。

いろいろなものが
たくさん入っている。

良質の素材がいろいろ入って
健康によくて
美味な
「お鍋」のような
お話だと思う。

難解な内容&文章だったらどうしよう・・・と
こわごわの読み始めだったが
思っていたよりずっと読みやすく
わかりやすかったので助かった。

読んでいる途中
「このフレーズ、茂木さんの言葉のどこかで・・・」と
デジャブのさざ波のような現象が何度も起こって
おもしろかった。

小説というのは
生きた人間が書くものなのだから
ことがらを拾う言葉ひとつひとつに
その人の考え、信じていること、そして感じ方が
結晶のようになって
姿をあらわしているものなのだなあと
いまさらながら思った。

そのくらい
この「プロセス・アイ」には
茂木さんの実像のようなものを感じたのだけれど
錯覚かもしれないし・・不明。

もう一度読んでみよう

追記;「プロセス・アイ」専用掲示板には
いろいろなみなさんの感想が書いてありますよ。

プロセス・アイ 

February 01 [Wed], 2006, 11:28
「脳と仮想」を読んだ後すぐに
「プロセス・アイ」(徳間書店 茂木健一郎さん著。)
にとりかかる。

毎夜すこしずつの読書なので
まだ最初の部分だけれど。
おもしろい。

どこがおもしろいかというと
いろいろと風変わりに感じる点。

懐かしいような感触。
茂木さんの著書の読者なら「おお」(aha!ですか?)と思う表現が
あちこちにちりばめられているせいかも。

少しとっちらかったような、何かからはみでているような印象。
鋭い感性の先で細く書き出したような美しい言の葉と
やわらかで親しみやすい表現と
難解に感じる用語の部分が入り混じっているせい?

ストーリーはまだまだこれから展開していくので
楽しみが待っている予感。

不思議な本。

いろいろなものが取り込まれたその奥にある
ひとりぼっちの
背中がすっと寒くなるような孤独感で満ちているような。

宇宙空間にぽんと放り出されて
目の前にいろいろなイメージが
浮いては消え、しているような。

そんな印象の本。

本とは書き手との対話だと言うけれど
著者の茂木さんとの「プロセス・アイ」での対話は
とても知的で感傷的で躍動的なものになりそう。

この本で
読者は
茂木さんの夢の中に
誘い込まれていくのかもしれない。

銀鏡反応さんkensukeさん
内容についてのとても詳しい解説を
書いておられるので
「とにかく雰囲気が知りたい」と思う方には
そちらもおすすめします。