第1章 能力 

2006年12月03日(日) 0時19分
私の母は霊能者である。

霊能者といっても幽霊が見える人、幽霊の声が聞こえる人、未来が見える人、勘の強い人といろいろあるみたいだ。

私の母は、霊の存在はもちろん、会話、未来予知、勘、すべてオールマイティなのだ。

そんな母の子供に生まれたのが私。名前は”松下 ひかり”だ。

私の母”松下 沙織”はもともと霊感が強かったわけではないらしい。

母の世代は学生運動真っ盛り。母も大学の授業料を払うためにバイトをしながら学生運動に参加していた。
学生運動は学費値上げ、ベトナム戦争、日米安全保障条約の自動延長などに反対する学生たちが1960年代後半から1970年代初頭にかけて繰り広げられた。
母達は自分達の力で国を変えることができると本気で信じていた。

学生運動の為に母はたびたび東京のデモに参加していた。

学生が機動隊と戦っていたと言われても私はピンとこない話だが、母はいつも楽しそうに昔話をするのだった。
火炎瓶の作り方や投げ方など、私が知りたくもない話をうれしそうに話すのだ。

きっと母はこの学生運動の時が一番楽しかったのだろう。

ただ、母の話は楽しいものばかりではなかった。

東大紛争では、たくさんの学生が警察につかまったり、亡くなったりしたのだ。

母の友達は、自分達の叫びを世間に伝える為に何十人もの学生が東大の屋上に上り、並んで叫んだ。

「日米安保条約反対!!戦争反対!!」
その声は届くことなく次々と首をつり自殺をしていったのだ。

その光景を母はくいいるようにみつめ、一緒に叫んだ。

人が次々と首をつって死んでいく様はおぞましい光景だった。

母だけじゃない。学生運動をしていた学生は皆みていただろう。
死んだ学生から、魂がでていくのだ。

母も隣にいた友人も口を開けたまま動けなかった。
誰も声には出さなかったが、皆見えていた。

この時代を生きた学生には霊能者が多いのはこの光景をみた学生だと言われている。

それ以来母は霊が見えるようになった。

あの自殺現場を目撃した学生達の中には霊が見えるようになった人はたくさんいたが、母はこの能力に強い興味を持ってしまった。

毎日自分の持っている気を強く持ち周りの空気の違いを感じ取る練習をした。

日々の練習の結果色んなことができるようになってきた。

それは確信とまではいかず、ただ何となくというような感じだった。

予感的なものは数を重ねるにつれ未来予知というものになっていった。

未来予知 

2006年12月03日(日) 0時23分
母のはじめての未来予知は小さな出来事から始まった。

ある日母は嫌な予感がした。
朝からそわそわしてしかたがない。
その時、母の弟が遊びにでかけようとしていた。
何だか嫌な感覚に思わず弟を引き止めた。
でも、弟は無視して出かけていった。
その日弟は、腕を骨折して帰ってきた。
それ以来、母は自分の感覚に集中するようになった。

毎日母は今見えている霊をもっと見ようと必死にがんばった。
どんどん勘も強くなり、霊の声も聞こえるようになったきた。
母が寝ているときは、誰かの話し声や文句がひっきりなしに聞こえてくる。
睡眠不足の毎日になり、ある日母は嫌な夢を見た。

それは飛行機が落ちる夢だった。
たくさんの人が死んでいる気味の悪い夢。
そこに親友が向かっていく。
早くとめないといけない!と目覚めた。
すぐに親友に旅行をやめるように強く言った。
誰もこんなことを信じてくれるとは思わなかったが、親友は母の言葉を信じてくれた。
母の親友は飛行機の時間を1つ遅らせた。

結局、母の友人が乗るはずだった飛行機は落ちて、たくさんの人が死んだ。

ちょっとずつだが、母の力は強いものになっていった。


母は、この力を得てからしんどい日々を送るようになった。
道を歩けば、何メートルもある頭だけの人や空全体が顔だったり、ぐちゃぐちゃにつぶれた顔の人が交差点に立っていたりするのを目の当たりにするのだ。

よく霊能者が心霊写真を見せてここに人がいます。とかわかりますか?ここが目です。と説明します。
でも、だいたい○で囲んで上から目や口をかいてわかりやすくしてるでしょ?
そう、人によって見え方が全然違うのだ。

それに見えない人には想像もできないような光景が広がっているのだ。

霊能者はそんな光景をずっと見ていると生活できない。
だから、普段の生活の時は見えない目にするのだ。
二つの目を使い分ける。
そう言うとわかりやすいだろうか。

今私達が住んでいる世界と霊の世界は異次元なのだ。
ただこの目を持つまではとてもつらい経験が必要になる。

ただ見て見ぬ振りをするのは簡単だが、時々その霊達はついてきたり、押してきたりといたずらしてくるのだ。
たちの悪い者は、ずっと自分は死んだのか?どうしたらいいのか?と聞いてくる者だった。
寝ていても起こされ、悪意に満ちた言葉で「死ね死ね」と耳元でささやいてくるのだ。

母はだんだんその霊が見えても無視するようになった。自分は見えない人だと振舞うようにした。

でも、無視できない霊もいた。

この力を得てから知り合った友達が次々と自殺するのだ。
そして、毎日夢にでてきてグダグダと世の中の悪口を言うのだ。
たまに自殺しない友達ができると、やっぱりその人も霊能者だった。

そんな霊能力の強い友達と喫茶店に入ると、1つ多く水がでてくることがよくあった。

霊能者といっても色々いる。

母のように見たり聞こえたりする人もいれば、聞こえるだけの人、見えるだけの人、感じるだけの人。

それに、話によると見え方も人によって違うみたいだ。

手しか見えない人。顔しか見えない人。足のない霊が見える人。足がある霊が見える人。

こうなってくると、母の話を聞いてると楽しくなってくる。

未来予知にも色々あるみたいで、母のようにオールマイティの霊能者は色々な情報を持っている。

未来を予知するのに、夢を利用したり、浮遊霊の噂話を聞いたり、自分の勘を頼りに集中して未来をみてみたりと方法がたくさんあるのだ。

ただ浮遊霊の噂話はずれることが多いらしい。

だから宝くじを買う時は、自分の勘だけを頼りに買いに行くのだ。

意識を集中して見える場所とか数字を書き出していくのだ。

たまに外れるが、当たる確立は相当高かった。

わざわざ新幹線に乗って買いに行くこともあった。

当然購入するのは1枚。

馬券も年に1回だけ。

大きな金額は当てず100万単位で当てていった。

若い頃の母はお金には困らなかった。
プロフィール
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  • アイコン画像 ニックネーム:honodon
  • アイコン画像 誕生日:1979年2月25日
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  • アイコン画像 現住所:大阪府
  • アイコン画像 職業:専業主婦
  • アイコン画像 趣味:
    ・ハンドメイド
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平成18年1月16日に娘を出産。

初めて母になり、今まで書いてみたかった小説を書きました。
初めての小説なので、うまくありませんがよかったら読んでみて下さい♪
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