ミルキーウェイ 

April 25 [Tue], 2006, 9:44
むかーしむかし、そのまたむかし
あるところにミルクが流れる川があった。

誰が呼んだか、その名もミルキーウェイ。

桜の木のしたで 

March 30 [Thu], 2006, 23:13
ゆうちゃんは、かさを持って出かけました。
行き先は、近くの広くて大きな公園です。
芝生の小高い丘のてっぺんに、大きな桜の木があるのです。

葉っぱ 

March 13 [Mon], 2006, 10:15
ある風の吹く午後、一枚の葉っぱが落ちてきた。

ビューッと勢いのある風。耳に覆いかぶさって、
音がなんにも聞こえなくなるくらいの強い風。

葉っぱがどの木から落ちてきたのかは分からない。
青々と茂っている木々の向こう、遠くのほうから来たのかも知れない。
ひらひらと一枚だけ落ちてきて、わたしの手のひらにすっぽりとおさまった。

わたしは、その葉っぱを眺めた。
すっきりとした、濃いグリーンの葉。
太陽に当たって表面がつやつやと光っている。
葉っぱを太陽にかざし、透かしてのぞいてみた。
葉脈が血管のようにはりめぐらされている。
葉っぱのどの部分にもすべての栄養分が無駄なく行きわたるよう、
細分化された糸でできた、迷路ような葉脈をじっと見つめた。

すると、葉っぱの奧にもうひとつの世界があらわれた。

どこまでも広がる草原に、一本の大木が立っていた。
はるか遠くには、ぼんやりと山々が白く映っている。
白い山を背にして立っている木は、ゆるやかな風に吹かれて
とても気持ちよさそうだ。

今ここにある葉っぱは、あの木からやってきたのかな、と
わたしはなんとなく確信した。

サキちゃんのランドセル 

March 01 [Wed], 2006, 10:02
サキちゃんの前にあるのは、ピカピカのランドセル。
そう、来月から一年生になるんです。
机の上に置かれたつやつやと赤く光るかばん。
このなかに本とかふでばことかノートとか、
なんでもいっぱい入れちゃうんだわーと思うと
たのもしいような抱きしめたいような
早く使いたい気持ちでいっぱいになります。

まだやわらかくない真新しいランドセルを背負うと、
鏡の前に今までより大きな大きなじぶんが映っていました。

「あ、アタシってなかなかすてき!」

サキちゃんの心はパンパンにふくれ上がって
足がふわっと宙に浮いてのぼっていく気分でした。

フクロウ・デンタルクリニック 

February 20 [Mon], 2006, 23:56
クマは森の奧にある、歯医者さんに出かけました。
雨が降り続き、歯がシクシクと痛み出したのです。
片手にはカサを持ち、もう片方の手で痛む側のほおを押さえて歩きました。
しばらく歩くと、カエルに出会いました。
「悲しい顔してどうしたの? こんなに楽しい雨の日に」
ピョンピョンはねながらカエルは聞きました。
「虫歯が痛むんだ。雨のせいでね」
「ふうん。そんなもんかな。まあでも早く治るといいね」
「ありがとう」
やっとの笑顔でクマは言い、軽く会釈して別れました。
カエルはなにやら嬉しそうに歌いながら、はねて行きました。
雨はますます強くなり、大きな粒となってカサや木々にゴオゴオと吹きつけます。

『フクロウ・デンタルクリニック』

木の枝にかかった看板をようやく見つけ、ドアノブを回して中に入りました。
クマの10倍はある、とても太い木の幹の中が治療スペースのようです。
「今日はどうされましたか?では、ここに横になってください」
フクロウの歯医者の指示どおり、クマはベッドのような治療台に乗りました。
「さてと、拝見いたしますよ。…おお、これは重傷ですな」
素早い手つきで口を広げ、歯の黒くなった部分を調べています。
ツーンとした消毒液のにおいもしてきました。
雨が上がりふいにあらわれた外の虹を見ながら、クマはじっと痛みに耐えていました。

にげたようふく 

February 13 [Mon], 2006, 14:36
 月夜の明るい晩のこと。
 スズムシのリィーン、リィーンという鳴き声が、くらやみにすいこまれそうなほど、あたりは静まりかえっていた。
 寝るじゅんびをしていたデイジーは、部屋においてあるタンスから、小さくごそごそと音がするのが聞こえてきた。ごそごそから、やがてがたがたと大きな音に変わっていく。どうやら引き出しのたなが小きざみにゆれているようだ。
 がたーん!
 いきおいよく引き出しの一つが開いたかと思うと、洋服たちがはねるように飛び出した。
 おどろいて、くちが開いたままのデイジーの横をワンピースとTシャツは通りすぎ、あけてあった窓のすきまからスルリとぬけ出た。道におり立つと、ちょうちょが舞っているように、ひらひらしながら歌いはじめる。

 いいわけなんて ひつようない
 わたしは いつでも じゆうのみ
 キライなひとから にげだして
 すたこらさっさ さっさとはしれ
 はしってにげろ どこまでも

「まって、わたしのふく!」
 くつもはかずにあわてて走っておいかける。心ぞうはバクバクとはげしく動きつづけている。
 月明かりに白く照らされ、うすボンヤリとした夜道を、ワンピースやTシャツが舞いおどる。そのあとをはだしでかけて行くひとりの女の子がいた。

雪だるまゴンドラへようこそ(2) 

February 03 [Fri], 2006, 10:20
 たろうはいよいよ胸が高なって、乗り場にある雪だるまゴンドラを、まじまじとながめた。
 雪だるまの上半分、あたまには、かおがあった。まゆげは木の枝で、目はまつぼっくり、鼻は葉っぱ、口は南天の実をならべてこしらえてある。あたまのてっぺんに、ロープを通すしかけがあった。このロープが動いて、たろうを乗せたゴンドラを、山の頂上まで運んでくれるらしい。

雪だるまゴンドラへようこそ(1) 

January 27 [Fri], 2006, 9:44
 たろうの住んでいる町では、きのうの夜からずっと雪がふりつづいていた。
 夜がまだ明けきらないころ、雪はすっかりやんでいた。たろうは、なんだかわくわくした気持ちになって、目がさめた。
 まどの外には、いちめん雪の世界。たろうの家の庭や、となりの家のやね、遠くの山、道や畑、電線まですっぽりと雪につつまれ、ぼんやり白く光っている。
「わあ、きれい。外へ出て、一ばんに足あとをつけてやる!」
 そう思うと、とびおきて着がえをすませ、玄関のドアを開けた。

闇とカラス 

January 20 [Fri], 2006, 10:27
人気のない鬱そうとした静かな林には、たくさんのカラスの群が
お腹をすかせて羽を大きくばたばたとさせながらじらしています。

「サアみんな、獲物をとってお行き!」
カラスの母さんは子どもたちに大きな鳴き声で合図しました。

一羽のカラスが林からスゥーッと一直線に出てきたかと思うと、
なんの迷いもなく明るい一点を目指して飛んでいきました。

今度は、また別の一羽はさっきとは反対の方角へ飛び立って行きました。
そのあとに何羽ものカラスがすいすいと追って行きます。

夜になる前に急ごう。
闇とひとつになったら分からなくなる。
どっちがおれで、どっちが闇か。
そしていつか、闇に溶けてしまう。
空とおれの境をたよりに飛んでいくんだ。
速く。
速く。

無駄のない角度でひゅうっと旋回するカラスはどれも、
はじめからエサのありかを知っているかのようでした。

ソーダ池 

January 19 [Thu], 2006, 22:58
背の高い木々の間から、どんよりとした灰色の雲が見えます。

少女はあたりいちめんにしきつめられた枯れ葉を
ザクザクとふみしめて歩くと、木の茂っていない明るいほうに
エメラルドグリーンに光る池を見つけました。
小さな無数の泡が池の底から出ています。

のどがかわいたな。すこし、飲んでみようか…。

池に近づくと水を口にふくみました。

甘い。おいしい!

ごくごくと喉をならしてたくさん飲みました。
口いっぱいに甘い泡が広がっていきます。

ザブン。

今度は着ている洋服やくつをぜんぶ脱ぐと
ソーダの池のなかに入ってみました。

顔をお日さまに向けてぽっかりと浮かぶと、
体じゅうを包み込むように泡があたって気持ちよく
いつまでも全身をあずけていました。
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